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元歌舞伎町No.1ホストが解説するガンプラの世界2


さて、今回はガンプラ好きな元歌舞伎町No.1ホストの石垣さんのインタビューを順に追うことで記事を構築していこう。


まず、僕も知らなかったのだが、プラモは大きくいうと、キャラクターとスケールという2種類に分けられる。キャラクターはガンダムのようなアニメキャラクターをプラモデルとして具現化したもの。スケールは、実際に存在するバイクや車などをそのままスケールダウンしたものだ。つまりは、この現実社会にもともと実在するものがスケールであり、実在しないものがキャラクターと言える。

石垣さんは、「キャラクタープラモデルの魅力は2次元を3次元に落とし込むこと。」だと言う。

例えば、アニメでガンダムを見た際に、なんとなくの構造は見てとれるし、想像はできるが、2次元の世界であるが故に自分の思うようにギミックやディティールを観察することはできないが、アニメから抜け出たままのガンプラなら、実際に自分で組み立て動かしてみることで、「こういう動きなんだ。」という発見がある。ガンダムは詳細に渡る世界観の設定が魅力であるが、その詳細な設定はメカニックデザインにも、当然ながら及ぶので機体の考察も楽しめる。機動戦士ガンダムのシャアが搭乗するザクが真っ赤な機体をしており、通常のザクよりも3倍の機動力を持っているので知られているように、搭乗者によって同じ機体でもそれぞれの特徴がある。ガンダムの世界観を理解していれば、自分が作品に登場するどのパイロットか、もしくは自分が軍の中でどの階級に属するパイロットなのか、といった感じで改造をするカスタムまで楽しめる。設定の知識を理解し、想像力があれば、自分だけの設定作りにも没頭できで、クリエイティビティを育める。

ガンプラは男性向けのコアなホビーだと思いがちだが、あながちそうではないようだ。機体の搭乗者キャラクターが美少年であることや、アニメのキャラクターに人気の声優を起用することで、ガンプラを買い求める女性ファンもいるという。

価格帯も多くの年代が購入しやすいように幅広く設定されている。1,000円以下から10万以上まである。筆者が子どもの頃に買っていたのはHG(ハイグレード)と呼ばれる一番安い価格帯だったし、大学生の時はMG(マスターグレード)と呼ばれる5,000円程度のものを購入していた。HGはパーツも少なく組み立ても1時間あれば終わるものが多かったが、MGともなるとサイズもHGの1/144から1/100までサイズアップするのみならず、詳細に機体を再現しているため、パーツの種類も大幅に増える。どれだけこだわって組み立てるかによるが、1日では組み立てすら終わらなかった。

グレード分けは十種類以上にも及ぶが、一般的なグレードは「HG、RG、MG(マスターグレード)、PG(パーフェクトグレード)」の4つだ。後半ほどサイズが大きくなり、パーツの数も多くなる。同時に価格も上がる。HGとRGのサイズは同じ1/144だが、RGになるとパーツの色分けがしっかりされており、目にまで色が入っているので、素組み(塗装しない状態で組むこと)でも美しく仕上がる。ガンダムは機体の中心にコアファイターという機体から分離できる小型戦闘機が搭載されている事が多い。僕がガンプラを作っていた15年ほど前(2000年代初頭)は1/144のサイズではコアファイターは搭載されておらず1/100サイズからだった。このサイズのガンプラだと13cm程度の大きさしかないので、当時のプラスチック成形技術では搭載が難しかったのだろう。ところが、今のRGにはコアファイターが搭載されており、作り込まれ再現度も高い。

こんなところにも技術躍進は役立っているのだと感動した。石垣さんの自宅にあるガンプラを拝見したが、15年前のガンプラとは成形の完成度が丸で別物に進化していて、再びガンプラを作ってみたいという気持ちになる。現代の技術があれば、まさにアニメからガンダムが飛び出して来たのと変わらないように思え、子どもの頃に描いたガンダムを自分の手に、という夢が叶う。

ガンプラの中でも神キットと呼ばれる名プラモデルは存在し、その中でも特に有名なのがMGのνガンダムだ。石垣さんの自宅にもあったが、作り込まれた造形は惚れ惚れする。造形の完成度の高さを楽しむ一品と言っていいだろう。

キットを組み上げて本当に完成度を高くしようと思うと知識と技術と道具が必要だ。
部品を切断する際にバリがほぼ出ない片刃のニッパーであったり、(ちなみにプラモデルのランナーとパーツをつないでいる部分をゲートと言うので、ゲートを切り離してキレイに処理するのを“ゲート処理”というらしい)接着剤もプラスチックを溶かす能力の有無があり相性の勉強が必要になる。塗装の為にエアブラシを使うとなると更に奥深くなる。

筆者が子どもの頃はこれらを勉強する機会がなかった。首都圏に行けばバンダイ主催の実習会もあっただろうし、本屋に行けばハウツー本もあっただろうが、筆者のようにお金がない田舎の子どもにとっては夢のまた夢の話だった。

時代は変化した。YouTubeなどのオンラインコンテンツでプロの業を無料で勉強する事ができる。ハウツー本とは違って動画なので作業工程がわかりやすし、何度でも見直す事が可能で再生速度を変える事まで出来る。これは大きな革新だ。例えばあの吉本興業は吉本プラモデル部チャンネルを運営し15万人以上の登録者がいる。奥義が誰でも無料で効率的に学べる時代になったのだ。

「こうした作業が造形の楽しさに繋がり、プラモデル作りはもはや絵画のような芸術の世界に近くなる」と石垣さんは話す。

石垣さんに訊いてみた。
「ガンプラを製造販売するバンダイナムコホールディングスが消費者に魅せているモノの正体は何なんでしょう?」と。
彼は
「それは結局、企業スローガンの『夢・クリエイション~楽しいときを創る企業~』に集約されるのではないか。」と答えた。

「夢・クリエイション~楽しいときを創る企業~」−−お客さまに夢を届けるのがバンダイの仕事です。まずはバンダイで働く私たち社員が夢を持つ。その夢をステークホルダーの皆さんと分かち合い、一緒に育てて形にしていく。バンダイならおもしろいことをやってくれそうだ、バンダイを見ているとワクワク・ドキドキしてしまう。そんな存在でありたいと思います。
~株式会社バンダイのホームページ内 トップメッセージより引用~

ガンプラはクリエイティビティを形にでき、“ガンダムフィルター”を通しながらも理念に沿ったコンテンツだからだ、と。理念が一貫したコンテンツには不動の魅力があるものだ。

大人になると子どもの時には分からなかった世の中の仕組みが見えてくる。それが見えるとハマっていたものが急に陳腐に見えたりする。それにも関わらず大人になっても魅了し続けるコンテンツがガンプラなのだ。

2021年もステイホームの日々がもう少し続きそうだ。
大人になった今だからこそ、子どものときには存在しなかったツールや使えるお金を最大限に活用してガンプラを作ってクリエイティビティを膨らますのも楽しいのではないだろうか。完成したらSNSにアップしてみよう。

昔と違ってガンプラを通して世界中の人たちと繋がれる時代なのだから。


# yachallenge100days





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