ダイナソー探検隊 冒険日記

はじめに

私はダイナソー黒田。MtGと恐竜を愛してやまない考古学者である。

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恐竜てんこ盛りの「イクサラン」が登場してから、私は常に恐竜のことを考え続け模索を続けていたが、今のスタンダード環境が終わりつつあるこのタイミングで、とうとうかわいがっているペットたちが活躍する場を作ることができた。この日記ではそこに至るまでの道のりを示そうと思う。

2019年8月末。私は日本選手権に向け、構築戦のデッキがなかなか決まらず途方に暮れていた。
調整時間が不足している中、新星の如く登場した《ケシス》を使いこなすには時間が足りない。エスパー系には魅力を感じるものの、サイド後の経験不足が明白で、ミラーマッチを制する自信がない。かねてから愛用していた《シミック・ネクサス》はいいところまで行っていたものの、《白黒吸血鬼》との致命的な相性差をひっくり返す解答が見つからず、このままではお蔵入りの可能性が高かった。

そんな状態で大変困っていたところ、我が家で遊んでいたペットたちが鳴き声を上げたので、気分転換のつもりで散歩に連れて行くことに。すると、参加者6名のスタンダード構築戦に、なんと5名が恐竜を連れてくるという予想外の展開となり、晴れる屋大阪店はあたかもジュラシックワールドのような雰囲気に包まれた。

その日全勝したのは、 はまち(藤本岳大)隊員。非常によくできたデッキで、私のかわいいペットたちも彼のレギサウルスに食い荒らされてしまった。聞くところによると、はまち隊員のデッキは東京の変人考古学者、廣澤遊太隊員によって作られたものだという。どうやら、《暴れまわるフェロキドン》が無罪判決を受けて釈放されたことをきっかけに、恐竜の研究を再開したらしい。そしてその研究はかなり順調に進んでいたようだった。

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私はこの環境末期に、これまで大した結果を残していないにもかかわらず、恐竜を使ってやろうという変人がたくさんいることに大変興奮した。そして即座に、デッキをシェアしてくれないかと申し入れたのだった。

その日、唯一恐竜でないデッキ(とは言ってもグルールなので、我々と同様に知性はない)を使って恐竜に踏みつぶされ、「むぎゅー」と面白いうめき声をあげていたけんちゃん(大森健一朗)隊員も加わり、東京と大阪の2ヶ所を繋ぐグループLINEを使って、直前まで調整が行われた。

ちなみに、我々が廣澤隊員から最初に受け取った挨拶がこちら。冒頭から変人の匂いがプンプンしていたが、デッキの方向性については大変分かりやすくまとめられているメモだった。

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デッキ紹介

それでは、我々が廣澤隊員の教えを守って調整を続けた結果、完成したデッキを紹介しよう。メインは全員同じだが、サイドは好みによって変化させているので私のリストを用いている。

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かわいいペット:22
4《無法の猛竜》
4《朽ちゆくレギサウルス》
4《切り裂き顎の猛竜》
4《変容するケラトプス》
2《縄張り持ちのアロサウルス》
4《原初の飢え、ガルタ》

エサ:8枚
4《ラノワールのエルフ》
4《オテペクの猟匠》

呪文:7枚
4《恐竜との融和》
3《凶暴な踏みつけ》

土地:23枚
4《森》
4《踏み鳴らされた地》
4《血の墓所》
4《草むした墓》
3《手付かずの領土》
4《根縛りの岩山》

サイドボード
3:《溶岩コイル》
2:《丸焼き》
2:《世界を揺るがす者、ニッサ》
1:《目覚めた猛火、チャンドラ》
3:《ビビアンのアーク弓》
2:《打ち壊すブロントドン》
2:《炎の一掃》

個別紹介をする前にひとつ重要なことを伝えておきたい。
このデッキは、4キルを目標にしているコンボデッキである。

具体的な動きは、このビデオマッチで良いところを見せられたので参考にしてほしい。
https://www.twitch.tv/videos/478424611##
(04:56:30頃から)

そのため、中途半端な除去や相手を妨害するだけのカードは採用されていない。土地は極限までアンタップインにこだわっており、1秒の無駄も生まれないように設計されている。《朽ちゆくレギサウルス》以外の黒いカードが採用されていないのは、色マナが合わずに呪文がプレイできないことが無いように配慮された結果と考えてほしい。

では、個別に私のペットたち(とおまけ)を紹介しよう。廣澤隊員は恐竜愛が強すぎて、カードのイラストだけでオスかメスか判別できるようなので、その結果も記しておきたい。

《無法の猛竜》 メス画像2

このデッキで最も重要な先鋒。ただデカいだけの他の連中と違って、この子が出るとデッキはモダンのような壊れた動きを見せる。思わずモダンでも組めないかとカードを並べてしまったほどだ。必須パーツとして絶対に4体採用。次の環境にも、この子の相棒となる有能な恐竜が出てこないだろうか。

《朽ちゆくレギサウルス》 メス画像3

気性が荒すぎるため自陣に与える被害も大きいのだが、3パンチで相手を沈めることができる大変貴重な存在。《ラノワールのエルフ》という食欲増進剤を与えると2ターン目に登場し、相手の場を食い荒らす。

《第1管区の勇士》のような小さすぎる生物が苦手。また、セットで出てくる《時を解す者、テフェリー》も腹立たしい。あいつが「くにに かえるんだな。おまえにも かぞくがいるだろう。」と囁くと、この子はハウスに帰ってきてしまう。ただ帰ってくるだけならまだしも、手札が無い状態だと《原初の飢え、ガルタ》などさらに上位のエース級を手札に戻され、捨てさせられてしまうことになるため、無駄な土地は置かずに持っておいた方が良いこともある。(このデッキは5枚目以降の土地にほとんど使い道がない。)

《切り裂き顎の猛竜》 メス
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赤系のデッキに無類の強さを誇る。2ターン目《無法の猛竜》、3ターン目《無法の猛竜》、《切り裂き顎の猛竜》とつながると2ドローが付いてきて反則では?と思わせる動きになる。
チャンプブロックされても追加ドローができるため頼もしいが、相手がコントロール系の場合はパワーが物足りない(4もあるのに!)ので、サイドに落ちることも多い。

《変容するケラトプス》 メス
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期待の新星であり、求めていた品質。同じコストの《スキジック》に謝ってほしい。《時を解す者、テフェリー》等の青いカードに対し最高の対抗策だが、意外と緑緑緑のトリプルマナが出しづらい。タップインを優先して《血の墓所》を置きすぎないよう、注意が必要。
《無謀な怒り》や《溶岩コイル》の前にはタフネスが物足りない(4もあるのに!)ので、サイドに落ちることも多い。

《縄張り持ちのアロサウルス》 メス画像6

おそらく、我々《チームダイナソー》以外に使っていた人はいないと思われる。通常は《レギサウルスの頭目》が入るスペースだが、このデッキは4キルを目標にしているため、5マナの《頭目》は残念ながら不採用。
・・・と偉そうに言っているが、私だけは当日の朝までメインデッキに《頭目》が入っていた。
パワー/タフネスだけ見れば、上述の2体より明らかに優秀。この後登場する真打を安定して出すためにも4マナ域の充実は大変重要であり、抜擢されることとなった。

《原初の飢え、ガルタ》 メス画像7

普通は3枚までの採用なのだが、勝利貢献度があまりにも高いためコンボパーツのひとつとしてフル投入されることになった。このデッキは最速で3ターン目に《ガルタ》が飛び出し、相手を踏みつぶす。このときの爽快感を是非味わってほしい。
除去がたくさん入ったコントロール系のデッキを相手にする際は、残念だがサイドボードでおとなしくしてもらった方が良いだろう。ほとんどの場合、プレイするのに12マナ必要。

なお、この研究が始まったきっかけである、《暴れまわるフェロキドン》は検査の結果オスだったので廣澤隊員の不興を買い、不採用とのこと。

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実際のところは単純なパワー不足と、増加を続ける《ケイヤの誓い》に対して、タフネス3が大きなマイナスポイントになったためだ。

さて、ここから先はペットではないので愛もないし、どうでもいいのだが、一応紹介しておく。

《ラノワールのエルフ》画像9

ペットたちの食欲増進剤。恐竜ではないが、まあ、そこそこ役に立つ。こいつを1ターン目に安定して出せるよう、緑マナの土地配分は大変気を遣って構成されている。

《オテペクの猟匠》
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食欲増進剤その2。《ラノワールのエルフ》と立ち位置は同じだが、こいつは闘牛士のように、私のペットが襲いかかるのをうまくかわす。ペットたちは勢い余ってそのまま相手に飛び掛かって行くようである。しかし、なぜ種族が人間なのか。恐竜だったらどんなに構築が楽だったことか。。。
コントロール相手にはサイドアウトした方が良い。序盤を加速しても肝心のペットたちはすぐ殺される。1/2が場に残っても嬉しくないし、複数残していると《軍団の最期》でまとめて持って行かれて大損である。

《恐竜との融和》画像12

パッと見た感じは強そうに思えないが、必須パーツ。レガシーの《渦巻く知識》と同じ役割、と言えば伝わるだろうか。あらゆるシーンで役に立つ素晴らしいカード。そう考えると、《むかしむかし》というカードはとんでもないポテンシャルを秘めている。

《凶暴な踏みつけ》ダウンロード

たった1マナでほぼすべてのクリーチャーを除去することができる。レガシーの《剣を鍬に》に匹敵するカード。いや、∔1/∔1カウンターを置けるのでそれ以上か。つまり、恐竜デッキの強さはレガシー級。

真面目に補足しておくと、恐竜を出してからプレイするという流れが手遅れになることもあるため、後手の場合はサイドアウトすることも多い。

《各種土地》画像22

《竜髑髏の山頂》を不採用にした点が、我々の特徴だ。デッキリストを書くときに漢字が難し過ぎて書けないからである。私は同様の理由で《練達飛行機械職人、サイ》も嫌いだ。

本当の理由はタップインの比率を大きく高め、序盤のロケットスタートを阻害するからである。初手が《森》と《竜髑髏の山頂》の2枚だった時に、廣澤隊員があまりの衝撃で放送できないような状態になってしまい、それ以降紙おむつを推奨された。《変容するケラトプス》の項目でも触れたが、緑のトリプルマナも出しづらい。黒いカードをもっと使いたい欲求はあったのだが、今回は最序盤に重点を置いたためこのような結果となっている。

一方、《手付かずの領土》が3枚なのは、《恐竜との融和》を安定してプレイするために4枚目が邪魔だったから。このデッキで最も時間をかけたのがマナベースであり、最終的には大変満足している。

キープ基準

廣澤隊員の残してくれたメモ書きが大変わかりやすく、キープ・マリガンの判断は単純だ。

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相手がどんなデッキであっても、こちらのゴールは3ターン目に《ガルタ》を出し、4ターン目に致死ダメージを与えることなので、一人回しに近い。デッキのポテンシャルは高いので、このキープ基準を愚直に守っていればそれなりの勝率を保つことができるだろう。

サイド後のキープ基準は少し変わってくるが、その前にサイドボーディングで注意したいのは、6枚以上の恐竜を抜かないこと。《恐竜との融和》や《オテペクの猟匠》が大きくパワーダウンするため、デッキ全体のバランスを崩さないことが重要で、特定のデッキに対する過剰な枚数のサイドボードは用意しない方が良い。

日本選手権の結果

はまち隊員:6勝1敗
ダイナソー黒田:4勝3敗(エスパーに2敗、吸血鬼に1敗)
廣澤隊員:3勝2敗
けんちゃん隊員:0勝5敗(その後いろんな勝負に敗北し、実質0ー13ぐらい)

結果は御覧の通り。私は最後勝てばトップ8だったものの、ここで相性最悪のエスパーを踏んでしまい、大変残念な結果となってしまった。
https://mtg-jp.com/coverage/jpnats19/article/0033047/

なお、需要があるか不明だが、日本選手権のトップ8に残った各デッキとの相性はこちら。(URLはトップ8のデッキリスト)
https://mtg-jp.com/coverage/jpnats19/decklist/0033044/

ボロス・フェザー 五分
先手を取った方が圧倒的に有利で、明確な相性差はないと思われる。《朽ちゆくレギサウルス》、《ガルタ》の流れなら勝ち。《変容するケラトプス》の重ね引きだと負け。というように、引きに左右される部分も大きい。

緑単タッチ赤 やや有利
単純なサイズ勝負では圧倒的にこちらが有利だが、《アーク弓のレインジャー、ビビアン》が出るとその優位は崩れ押し戻される。こちらも3色と言いながら黒い除去を用いていないので、実質赤緑の同型勝負で《ガルタ》頼み。

グリクシス・コントロール やや不利
相性最悪のエスパー・コントロールと大きく違うのは、全体除去が《煤の儀式》であること。頭の悪い私のペットは、煤を吸い込んでも気付かないので助かっている。《変容するケラトプス》のプロテクション(青)も、各種ニコル・ボーラスを無視できるため、こちらにとって都合の良い噛み合いが発生しやすい。

ケシス・コンボ 有利
ダイナソーを選んだ最大の理由。おそらく環境で一番人気であろう、ケシスには展開速度で大きく上回ることができるため総じて有利。《ウルザの殲滅破》だけは常にケアする必要があるため、《時を解す者、テフェリー》の忠誠度1残りや、相手の場に5マナ揃う直前の《迷い子、フブルスプ》は盤面に残さないこと。

ゴルガリ・土地破壊 やや有利
黒除去の《暗殺者の戦利品》を引かれなければ速度、サイズの両面で間に合わないため、ダイナソー側に有利が付く。《軍団の最期》で2マナ域のブーストを複数持っていかれないよう、出す順番に気を付けることが必要。

エスパー・ヒーロー 大変不利
メイン、サイドともに対処しなければならないカードが多すぎるため、不器用なダイナソーにとってかなり厳しい戦いを強いられる。《朽ちゆくレギサウルス》の評価が先手・後手で大きく変わる。《テフェリー》や《第一管区の勇士》に弄ばれてアドバンテージを失うのが負けパターンなので、後手は抜いたほうが良い。

おまけ:おすすめのサイドボード

もうこの環境のスタンダードも残りわずかなので、具体的なインアウトは割愛するが、手ごたえのあったカードを紹介しておこう。

《溶岩コイル》画像18

ケシス、吸血鬼、赤単、フェザーなど、考えられるクリーチャーデッキのほとんどに入る。追放する能力も《万面相、ラザーヴ》の対策になったり、今さらだが《再燃するフェニックス》を一発で葬ったりと使い勝手が良い。どんなサイドボードの組み方をしても採用されるだろう。

《丸焼き》画像17

日本選手権では枠が足りず2枚だけにしていたが、結果を残したデッキを見る限り、思い切って4枚入れるのもありだったと思う。《テフェリー》と、サイド後の《黎明をもたらす者ライラ》のどちらにも効くのが素晴らしい。青単やシミックフラッシュにはもともと《変容するケラトプス》だけでも相性が良いのだが、その上にこのカードが重なると万全。

《ビビアンのアーク弓》
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《時を解す者、テフェリー》や《ケイヤの怒り》に対し、相手のターンエンドにクリーチャーを生み出すことができる、非常に優秀なサイドカード。5枚目以降の土地が不要なこのデッキに良く噛み合っていた。次の環境になっても活躍するシーンがあるのではないだろうか。

《サルカンの封印破り》画像14

最近お気に入りの派手なカード。《朽ちゆくレギサウルス》との相性がすごい。このデッキが苦手な吸血鬼、エスパーヒーロー、ゴロスなど、横並びのデッキ相手に逆転満塁ホームランとなる可能性がある。
下の画像はできすぎだが、あまりに気持ち良いので最近はメインデッキも少し変更して遊んでいる。3ターン目に4マナ出すため《大物群れの操り手》を重用しているが、《無法の猛竜》との相性も良く、非常に感触が良い。日本選手権前にもっと試しておくべきだったと思う。

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さて、我々チームダイナソーの活動報告は以上だ。

この環境のスタンダードで楽しめる時間はあと1週間程度しかないが、この日記を読んで興味を持ってくれたなら、一度かわいいペットたちを走らせてやってほしい。たった2回の攻撃で相手のライフを削りきる爽快感を味わうと、病みつきになってしまうはずだ。

では、また次の環境で。
このデッキのような、楽しいデッキが生まれることを願っている。


くだらない記事をここまで読んでいただきありがとうございました。
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masashiro.41236@gmail.com

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