バントランプ デッキガイド

みなさん、はじめまして。Magic the Gatheringのプレイヤー兼、公式解説者の黒田正城です。
直近に行われたスタンダードの大会(MCQ大阪、GP台北)で良い結果を残すことができたため、そこから得られた経験を伝えることができればと思い、記事を書くことにしました。メインテーマは「バントランプ」の紹介になりますが、その中心的な存在である《世界を揺るがす者、ニッサ》を紹介するため、前段ではお気に入りの「シミックネクサス」についても触れています。noteの記事は初めてで、不慣れな部分もあると思いますが、よろしくお願いします。

1. 現在のスタンダード環境について

現在のスタンダードは飛び抜けて強いデッキがなく、非常にバランスの取れた環境です。しかし、当然デッキ相性は存在します。そのため、個別カードに対する理解度や相性を覆すサイドボーディング方法など、熟練度が勝敗を大きく左右する環境であるとも言えるでしょう。この記事は青緑系のデッキを使う側の視点で書いています。

メタゲームの変化が非常に早いのも、この環境の特徴だと思います。
私は5月末に大阪で開催されたMCQを、幸運にも10勝1敗で突破することができました。このときに使ったデッキは青緑2色の《荒野の再生》が入ったシミックネクサスでしたが、それまでに相当な数の大会に出てデッキの試行錯誤を続けてきました。
灯争大戦によってシミックネクサスが得たものは数多くありましたが、最初に注目を集めた《伝承の収集者、タミヨウ》や《爆発域》を上回る掘り出し物が、《世界を揺るがす者、ニッサ》でした。

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MCQの勝因は、勝ち手段を《世界を揺るがす者、ニッサ》2枚にしたことだと断言できます。また、もう一度このデッキを使うなら、間違いなく3枚に増やすと思います。(代わりに《薬術師の眼識》を1枚減らします。)

《ニッサ》は、灯争大戦発売直後はそれほど注目を集めませんでしたが、この2週間で急速に評価を上げ、今では緑のデッキにとって不可欠な存在になっています。シミックネクサスで《ニッサ》を使った感想は下記の2点で、この経験がGP台北のデッキ構築や戦い方にもつながったと思います。

常在型能力がとにかく強い
この環境には《時を解す者、テフェリー》が溢れかえっています。この強烈なプレインズウォーカーのせいで、《荒野の再生》をプレイ→次ターンのエンドステップに7マナから《運命のきずな》という、ネクサスの勝ちパターンが崩れてしまいましたが、《ニッサ》のおかげで悠々と7マナ出せるようになりました。場に出たターンに3/3の土地で《テフェリー》を倒すこともでき、至れり尽くせりです。

②赤単、グルールといった攻撃的なデッキに対して想像以上に活躍する
こちらはMCQのラウンドを重ねていくうちに、確信に変わったポイントです。《ニッサ》は、もともとサイドアウト候補として考えていました。代わりに入れていたのが《生体性軟泥》です。今読むと大変奇妙なサイドボーディングですが、当時はそのイン・アウトが適切だと思っていました。
MCQの4ラウンド目に赤単と当たり、試験的に《ニッサ》と《軟泥》を両方入れてみたところ、マナ加速からの《ニッサ》だけで勝ってしまいました。ここが大きな転機だったと思います。それ以降、ビートダウンに当たっても《ニッサ》を抜くことはありませんでした。MCQでは赤単と4回当たり3勝1敗だったのですが、《ニッサ》を残したマッチはすべて勝っています。(とは言え、不利なマッチアップであることに変わりはないのですが。。。)

GP台北に向けて
最高の結果で終わったMCQでしたが、それ以降のシミックネクサスは非常に苦戦が続き、戦績も安定しませんでした。MTGArenaでいうと、Platinumの1〜3を行ったり来たりするレベルです。皮肉な話ですが、その大きな理由は《ニッサ》の大流行だと思います。

MCQのトップ8には、複数の青緑ランプが残っていました。しかし、この頃の青緑は《集団強制》や《幻惑の旋律》といったクリーチャーおよびプレインズウォーカー対策カードに大きく偏っており、自分のメインフェイズに動かざるを得ない構成だったため、ネクサス側から見るとデッキ相性としては良い方でした。

その後、青緑系のデッキは急速に数を伸ばします。多くのデッキが、緑の軽いマナクリーチャーから早期に《ニッサ》を着地させるアプローチを取るようになりました。これらのデッキは早いターンに十分なマナを用意できるため、メインフェイズに新たな驚異を展開しながら打ち消し呪文を構えることができます。ここに《ニッサ》が絡むと、豊富なマナとアタッカーを用意しながら《繁殖池》をアンタップさせて《否認》を構えるという、ネクサスにとって悪夢のような展開を実現してくるようになったのです。

そして、そのアプローチをさらに進化させたデッキが、今回紹介する「バントランプ」だと思います。このデッキが出てきたために台北でネクサスを使うことを諦めた、と言っても過言ではありません。上述のような青緑のベースに《時を解す者、テフェリー》が加わると、ネクサス側はほとんど打つ手が無いということを実感しました。実際、GP台北で2日目に残った各デッキの勝率を見ても、ネクサスはバントランプに4勝10敗と大きく負け越しています。

実はこの結論に至ったのがGP台北の前日、MCQを3勝2敗という中途半端な成績で終えた直後でした。
「このままでは明日のデッキがない。どうしよう。」困り果てていたときにこのツイートを目にしたことで、私の方針は大きく変わりました。

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見た瞬間、このデッキはすごい!という衝撃を受けたのを良く覚えています。慌ててデッキの画像を保存しました。流行りの赤単、グルールと言った高速アグロにも、青緑にも耐性がありほとんどのデッキに対して解答を持っているように感じました。ということで、前日の夜からカードを集め、このデッキをそのまま使わせていただくことになったのです。

なお、サイドの《不滅の太陽》だけは使い道がイメージしづらかったので《殺戮の暴君》に変えましたが、一回しか使わなかった上に勝利に貢献しなかったので、失敗でした。

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2. バントランプの基本戦略と個別カード紹介

バントランプは、
①12枚以上のマナクリーチャーによるブースト
②3~4ターン目の《ニッサ》設置
③5ターン目以降の大量マナによるパワーカードの連打

という3ステップで構成されるデッキです。最高の回りを見せたときは3ターン目に《ニッサ》が着地するため、大半のデッキには対処法がありません。ここではこの役割別に、カードの紹介をしていきたいと思います。

①序盤のマナブースト
4種類13枚のマナクリーチャーが、デッキのエンジン部分となるマナブーストです。後述のマリガン基準でも触れますが、初手にこれらのカードが1枚もなければ即マリガンすべきです。それぞれ役割が微妙に異なることを押さえておきましょう。


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《ラノワールのエルフ》はいつでも初手に来てほしいカードですが、簡単に処理されるため、相手によっては4枚ともサイドアウトする場合もあります。


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《楽園のドルイド》は除去されない安心の2マナブーストで、重要な白マナ・青マナの供給源でもあるため、迂闊に攻撃して除去されることが無いようにしましょう。


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《培養ドルイド》は順応が非常に強力で、《ハイドロイド混成体》などのX呪文をサポートしたり、タフネス5のガッチリボディで盤面を支えたりと大活躍です。しかし順応できなければパワーの無い非力なクリーチャーですから、除去が豊富なコントロールと対峙する場合はサイドアウト候補になります。


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《僧帽地帯のドルイド》は1枚しか入っていませんが、これは2マナ域のカードを高確率で初手に確保するための枠です。《ショック》だけでは除去されない、タフネス3が地味に活躍することもあります。

②《世界を揺るがす者、ニッサ》

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散々語りましたがあえて別枠にしておきます。このデッキで最も重要なパーツであり、その強さは上述のとおりです。
+1の能力を使うときは、どの土地をクリーチャーにするのかが重要です。そのターンのうちに追加の2マナが必要なときは《森》や《繁殖池》、《寺院の庭》を対象にしますが、それ以外の場合は他の土地を選んだ方が良いです。土地の枚数が足りないときは、除去されるリスクを考慮して対象を取らない選択も大事になってきます。

-8の奥義を使うときは、大抵《ニッサ》が場を離れると思います。その前に必要なマナを《森》から出しておきましょう。高い確率でうっかりします。

重ね引きしたときは、1枚目を失ってもいいので気にせず連打することも大事です。GP台北の初日最終ラウンドでは、1ターンのうちに3枚の《ニッサ》が入れ替わり、いきなり9点のダメージが発生しました。

③パワーカード
ここは個別に紹介していこうと思います。

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《ハイドロイド混成体》は追加のカード獲得、ライフ回復、フィニッシャーの3要素を引き受ける超優秀カード。実はこの大会に出るまであまり好みではなかったのですが、今では枕元に置いて寝たいと思うほどお気に入りのカードです。
重いカード扱いなので、2枚以上引くケースが多数発生します。序盤にやることがなければ、絶対にX=2の4マナで1枚目をプレイしましょう。その1枚で人生が変わります。私も台北で複数回経験しました。
《覆いを割く者、ナーセット》が出ているときはカードを引けません。うっかりに注意しましょう。特に、「何か引け!」と思っているときにトップデッキすると嬉しくてついやってしまいます。とは言え、単なる巨大クリーチャーとして出さなければならない場合もあると思いますのでそこは臨機応変に。
何マナで出そうともマナコストは2です。《爆発域》や《幻惑の旋律》に弱いことを意識の片隅に置いておきましょう。


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《豊潤の声、シャライ》は4マナ3/4飛行という高スペック、呪禁による高い防御力に加え、序盤の仕事を終えてヒマになったマナクリーチャーを強化するマナフラッド受けも万全という、このデッキのために存在するような優秀カードです。
赤いデッキと戦うときに大変重宝するカードです。一方、《溶岩コイル》で簡単に対処されてしまうため、出しどころは十分に気をつけましょう。《不和のトロスターニ》や《黎明をもたらす者ライラ》が横にいれば4/5になるため万全です。
コントロールと当たったときはサイドアウトする方が良いでしょう。横並び戦略を助長するカードなので、自然と全体除去の被害が大きくなってしまいます。


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《栄光の終焉》は、このデッキが白マナを使うことになった理由の一つです。トークンが警戒を持っているためX=2でもしっかり盤面を支えてくれますし、奥義であるX=10もこのデッキであれば難なく達成できます。ただ、GP台北の本戦ではそこまで活躍しませんでした。そのため、今は1枚でも良いかもしれない、と考えています。


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《不和のトロスターニ》は、ライフ獲得、全体強化に加え、流行の青緑ランプが使ってくる《幻惑の旋律》や《集団強制》に強い耐性を持っています。現時点のスタンダード環境にとてもマッチしており、メインボードに入れていて良かったと思うカードです。
当然のことながら、赤系のデッキに対して強烈なインパクトを持ちます。ライフが3~5の危険水域にある場合は、チャンプアタックしてでもライフを増やしに行くこともあるでしょう。
《集団強制》を無力化してくれますが、オーナーのもとに帰ってくるのはターンエンドです。アタック前に全てのクリーチャーを奪われて全軍突撃される、というケースはありますので、《否認》をしっかり構えましょう。
たまに、相手がうっかりして《戦慄衆の指揮》で《不和のトロスターニ》を釣ってくれることがあります。他のクリーチャーも含め、ターンエンドに帰ってきますので覚えておきましょう。なお、プレインズウォーカーは帰ってきません。
《シャライ》と同様、全体除去には無力なのでコントロール相手はサイドアウト候補です。


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《不滅の太陽》は一見すると《ニッサ》を封じてしまい相性が悪いように思えますが、《ニッサ》プレイ、1枚の土地をクリーチャー化→次のターン、マナを出してから1枚の土地をクリーチャー化→《不滅の太陽》をプレイ、という動きを取れれば、十分元は取れているので問題ありません。もちろん、常在型能力は引き続き効果を発揮してくれます。
劇的に効く相手とそうでない相手がはっきりしていますので、頻繁にメインボードとサイドボードを行き来すると思います。一度場に出てしまえば、信じられないような効果を発揮して戦局が大きく傾くと思います。その楽しさを堪能してください。
6マナはやはり重いので、大抵のアグロ相手にはサイドアウトして《黎明をもたらす者、ライラ》と入れ替わることになると思います。

④その他のパーツ

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相手のパーマネントに干渉するための重要なパーツです。《軍勢の戦親分》《再燃するフェニックス》、相手の《ニッサ》、そしてイラスト通り《ニコル・ボーラス》を捕らえることもあるでしょう。このカードがサイドに抜けることはほとんど無いと思います。忘れがちですが、占術もこのデッキには大変嬉しい能力です。追加のマナ、もしくはパワーカードを探しに行くことができます。

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《時を解す者、テフェリー》は《不滅の太陽》が入っている都合上、1枚のみ採用されています。相手の展開を著しく遅らせるため、追加があっても良いと思います。相手のターンエンドに放たれる《栄光の終焉》は、文字通りゲームの終焉をもたらします。
なお、アグロ相手には良きサイドアウト候補です。

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《翡翠光のレインジャー》はデッキの潤滑油となるパーツです。マナブーストとは異なる性格を持っていますが、ちょうど手札の土地が枯れ始めて不安になるタイミングに現れて追加の土地を供給し、相手の攻撃を受け止め、プレインズウォーカーに対する圧力をかける万能カードです。
サイド後も、特にコントロールとの対戦で渋い働きをします。長期戦になりがちなゲーム展開で重要になるポイントは「毎ターン土地を置くことができるか?」なので、《レインジャー》は地味ながら想像以上に活躍していると思います。
ミラーマッチのようにスピードが大事な場合、のんびり土地を探しに行くタイミングはありませんのでサイドアウト候補となります。

3. キープ・マリガンの判断基準

バントランプのマリガン基準は比較的単純で、2つのチェックポイントがあります。

①1~2枚のマナブーストが含まれているか?
この条件が満たされていない場合は、感情を殺して即マリガンしましょう。
「マナクリーチャーを引けばブン回り・・・!」という気持ちはわかりますが、当たりはデッキの中に13枚ですから、失敗するケースの方が多いはずです。マナクリーチャーを引くことができなかった場合、その時点でゲームが終わってしまいますから、6枚引き直して勝率を上げましょう。
なお、《翡翠光のレインジャー》はマナ加速ではないため除外してください。例えば下のような初手はとても危険です。

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②パワーカードはあるか?
こちらも重要な項目で、膨大なマナはあるものの使い道がないまま負けてしまった・・・という経験は誰にでもあると思います。大会に出ていれば必ず1度は遭遇する局面ですが、そのリスクを考慮してマリガンすべきか?それともドローに期待してキープか?という2択は、バントランプを使う上で最も難しい判断かもしれません。

ただ、②の条件は①よりも若干優先度が低くなります。
ここで悩ましいのはマナクリーチャー3枚、土地4枚、といったハンドです。《培養ドルイド》が含まれるとさらに基準は低くなり、マナクリーチャーを複数展開→《培養ドルイド》を順応→大量のマナから何かをプレイ、というマナの使い道が確保できますので、キープしても良いでしょう。

実際にGP台北で体験した初手から、いくつか事例を紹介します。初手の画像と私の解答の間にスペースを開けていますので、少し考えてみてください。

ケース①
1本目、相手のデッキ不明
後手、1マリガン後

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これは仕方なくキープした事例です。6枚連続で土地を引いてすぐ死にました。結果論で言えばマリガンすべきだったわけですが、トップが《ハイドロイド混成体》や《ニッサ》であれば話は違いますから、一概に断定できず難しいところだと思います。

ケース②
2本目、相手は青緑ランプ(ネクサスなし)
後手

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これは即キープした初手です。土地は足りないものの、展開には問題ありませんし2ターンの間に土地を引ければブン回りになるためです。
実際には1ターン土地を引かずにもたつきましたが、そこから順調に土地と追加の《否認》を引き勝つことができました。

ケース③
1本目、相手のデッキは不明
後手

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これは、今にして思えば危なかったと思う例ですが、①と②の条件はギリギリクリアしているのでキープしました。幸い、と言うか本当に都合よく、1ターン目のドローで《ラノワールのエルフ》を引けたのでブン回りに近い展開となり、勝つことができました。

ケース④
1本目、相手のデッキは不明
後手

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なぜキープしてしまったのか、理解に苦しむ初手です。相手がどんなデッキであっても、この初手から勝つイメージができませんね。よりによって最悪の赤単に当たり、1本目は一瞬で落としました。ちなみに後手番ばかり紹介していますが、ダイスロールは13回戦のうち3回ぐらいしか勝てませんでした。

4. サイドボードプラン

赤単
アウト
先手
-2 《不滅の太陽》
-1 《時を解すもの、テフェリー》
-2 《翡翠光のレインジャー》
-2 《栄光の終焉》

後手
-4 《ラノワールのエルフ》
-2 《不滅の太陽》
-1 《時を解すもの、テフェリー》

イン
+3 《不可解な終焉》
+2 《黎明をもたらす者ライラ》
+2 《勾留代理人》

先手、後手でサイドプランが異なる点に注意してください。
《ラノワールのエルフ》は後手だと確実に死ぬためサイドアウトします。
《ゴブリンの鎖回し》が相手の手札にあった場合、《楽園のドルイド》と一緒に討ち死にという最悪のケースも発生するため、そういった初手が発生しないようにサイドボードを行うことが重要です。

序盤の脅威は《遁走する蒸気族》と《軍勢の戦親分》の2枚です。これらを《不可解な終焉》、《牢獄領域》、《勾留代理人》で抑え、5マナのカードに繋ぐことができれば逆転が可能です。《勾留代理人》は非常に短命だと思いますが、時間を稼いだ上に火力を一発分引きつけてくれるので優秀です。

グルール
アウト
-2 《不滅の太陽》
-2 《不和のトロスターニ》
-1 《時を解すもの、テフェリー》
-2 《栄光の終焉》

イン
+3 《不可解な終焉》
+2 《黎明をもたらす者ライラ》
+2 《勾留代理人》

赤単と戦い方は似ていますが、軽い火力が少ない分マナクリーチャーが生き残りやすく比較的戦いやすいです。《ゴブリンの鎖回し》を恐れなくてもよい、という点も大きいですね。《培養ドルイド》が順応して地上を受け止めるといった展開もしばしば見られます。
頭を悩ませるのは《再燃するフェニックス》と《スカルガンのヘルカイト》という大型の飛行クリーチャーなので、《栄光の終焉》で地上をガッチリ固めても効果は薄く、サイドアウトして差し支えないと思います。

《不和のトロスターニ》はライフ獲得手段として優秀な一面もあるのですが、グルール側は《溶岩コイル》を複数サイドインするのが通常であるため、5マナのカードを2マナで効率よく除去されることを嫌って外すようにしています。赤単のときと違って、1/1の絆魂持ちにほとんど価値がないためです。

エスパー(ミッドレンジ、コントロール)
アウト
-2 《不和のトロスターニ》
-2 《栄光の終焉》
-4 《培養ドルイド》

イン
+4 《否認》
+1 《時を解すもの、テフェリー》
+2 《イクサランの束縛》
+1 《殺戮の暴君》

構成が多岐にわたるため一概に言えないのですが、《第一管区の勇士》が減ってきているのでコントロール寄りの相手を想定しています。放置できないパーマネントが多いので、《イクサランの束縛》も追加投入します。
大量のクリーチャーを《ケイヤの怒り》によって一掃されるという、壊滅的な被害を受けないようなサイドボーディングが重要です。そのためマナクリーチャーの中でも非力な《培養ドルイド》を外し、代わりに《否認》を入れるプランにしています。《殺戮の暴君》は頼みの綱になるか?!と思いましたが、《ケイヤの怒り》で倒された上に《戦率衆の指揮》で裏切るという、ストーリーに沿ったような展開で負けました。

シミックネクサス
アウト
-2 《不滅の太陽》
-2 《不和のトロスターニ》
-1 《豊潤の声、シャライ》

イン
+4 《否認》
+1 《時を解すもの、テフェリー》

私がシミックネクサスを諦めた主たる要因は、バントランプが広がりだしたことにあります。バントランプ側は普通に展開していくだけでも非常に有利な展開が期待されますが、そのためには序盤のマナ加速が必須です。少しでも初手にもたつきを感じたら、強気にマリガンした方がいいと思います。

青緑ランプ/バントランプ
アウト
-2 《不滅の太陽》
-2 《翡翠光のレインジャー》
-2 《栄光の終焉》

イン
+4 《否認》
+1 《時を解す者、テフェリー》
+1 《勾留代理人》

とにかく初速が命です。後手の場合、最初の2マナクリーチャーを《幻惑の旋律》で取られる可能性がとても高いので、《楽園のドルイド》を優先して出しましょう。《否認》があって《培養ドルイド》しか手札に無い場合は、あえて動かないという選択肢もあります。

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なお、ミラーマッチでとんでもない活躍をするのが《時の一掃》です。今回、あと3つ勝てばトップ8!というところでトドメを刺されたのがこのカード。圧倒的有利な場だと思っていたのですが、この呪文によって相手は被害なし、こちらはニッサでクリーチャー化した土地も含めて4体の大被害を受け完敗でした。是非一度お試しください。

グリクシス
アウト
-2 《不和のトロスターニ》
-4 《培養ドルイド》
-2 《栄光の終焉》

イン
+4 《否認》
+1 《時を解す者、テフェリー》
+2 《イクサランの束縛》
+1 《殺戮の暴君》

苦戦を強いられることになると思います。脅威となるパワーカードは《思考消去》で取り除かれます。盤面を構築するマナクリーチャーには《煤の儀式》、《肉儀場の叫び》といった全体除去が襲いかかり、《ニッサ》や《不滅の太陽》には《魔性》が突き刺さります。そのため、《否認》は大変重要な役割を担います。
しかし、グリクシスの除去や妨害呪文ばかりに意識を向けていると《軍勢の戦親分》が対処できず1枚で敗北、というパターンも出てくるのが辛いところです。受けに回るとこういった展開になりがちなので、バントランプ側が先にプレッシャーをかけられるような構築ができれば理想です。(現状のサイドボードではちょっと弱いと思います)

4Cプレインズウォーカー
アウト
-2 《不和のトロスターニ》
-2 《翡翠光のレインジャー》

イン
+4 《否認》

このデッキのプランを書いても、もうほとんどマッチングしないように思います。MCQのときは一番人気だったのですが、、、諸行無常ですね。
4C側にはマナブーストが入っていないので、バントランプ側の展開が2ターンほど早く、概ね有利だと思います。だからこそ、このデッキが数を減らしているのでしょう。

5. 今後の変更案

GP台北を制したバントランプが、今後ますます注目を集めるのは間違いありません。そうすると、各プレイヤーは「このデッキを使うか?あるいは対策するか?」という2択を考えます。
私は天の邪鬼な性格なので、一番人気になったデッキを使う側ではなく対策する側に回ることが多いです。そのため、もし今週末のMCQに出るのであれば、バントランプに有利なグリクシスコントロールを選ぶでしょう。
おそらく、私と同じような人は一定数いると思います。バントランプを使おうと思っている人は、まずグリクシスコントロールに対する明確なサイドボードプランの作成と、プレイテストを十分しておきましょう。下記のようなカードは試す価値があるかもしれません。

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エンチャントなので対処されづらく、手札破壊によって反転も早まります。


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《アングラスの暴力》以外ではほぼ対処不可能で、《ニコル・ボーラス》にも止められないので、活躍の場はありそうです。


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奇襲性抜群。《聖堂の鐘憑き》相手にも使えるので範囲は広いです。
ただ、《ニッサ》や《否認》が使いづらくなるので微妙かもしれません・・・

6. 最後に

バントランプは今のメタゲームにとてもマッチしており、ほとんどのデッキと互角以上に戦えるところが強みだと思います。また、パワーカードを連打するゲームプランは非常に爽快で、長丁場も楽しみながら進めていけるのではないでしょうか。暫くの間はメタの筆頭に居座ると思いますので、ミラーマッチの練習もお忘れなく。

この記事が少しでも皆さんの助けになれば幸いです。
記事に対する感想やご要望があれば、masashiro.41236@gmail.comまでメッセージをお願いします。ここまで読んでいただきありがとうございました。

7. 追記

記事を読んでいただいた方からの質問にお答えする、おまけの部分です。

Q1:《集団強制》、《幻惑の旋律》を使わなかった理由は何かありますか?
A1:複数の青マナを確保するのが非常に困難で、安定性を著しく下げると判断したからです。
1ターン目に《ラノワールのエルフ》を安定して出すためには、アンタップインの土地が最低でも14枚必要で、《内陸の湾口》や《島》を入れたくなかったのでこのような構成になりました。

Q2:今このデッキを使うとしたら、何を変えますか?
A2:GP台北で2日間使って、「せっかく大量のマナブーストが入っているのに、4ターン目にやることが少ない」と感じました。《シャライ》か、《栄光の終焉》X=2か、《ハイドロイド混成体》X=2ですね。そのため、《栄光の終焉》1枚と、《不滅の太陽》1枚を抜いて、《薬術師の眼識》、《エリマキ神秘家》、《シャライ》の追加、などを検討するのが良いと思います。

Q3:この盤面、どう動きますか?
これは私がTwitterでアップした実際の盤面です。反射して見づらいので改めて画像取り直す予定です。

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相手が先攻で、
1ターン目:《ギトゥの溶岩走り》
2ターン目:《遁走する蒸気族》プレイ。《ギトゥの溶岩走り》で1点。
3ターン目:2体でアタック。ブロック無しの確認後、プレイヤーに《ショック》+《稲妻の一撃》プレイ、合計10点。
という、とんでもないスタートでした。この時点で私のライフは9。相手は手札を1枚持っています。

画像は私の第一メインフェイズで、土地は置いていません。
手札は《培養ドルイド》、《不和のトロスターニ》、《翡翠光のレインジャー》、《栄光の終焉》、《寺院の庭》、《繁殖池》です。絶望的な場ですが、このターンどう動けば勝ち目があるでしょうか?先程と同様、スペースを空けますので考えてみてください。
対戦相手がここで火力を使い果たすとは考えにくいので、もう一枚の手札も火力であると想定するのが妥当でしょう。






A:土地をアンタップインして《栄光の終焉》をX=2でプレイ
B:土地をアンタップインして《翡翠光のレインジャー》をプレイ
C:土地をタップインして《翡翠光のレインジャー》をプレイ
D:土地をタップインして《培養ドルイド》をプレイ

考えられる選択肢は4つですが、私の取った選択肢は「D」です。

ここで最優先すべきは「死なずに5マナを揃え、《不和のトロスターニ》をプレイする」ということです。手札に除去がないので、《遁走する蒸気族》の脅威が非常に大きく、1~2ターンしか猶予がありません。一刻も早くブロッカー&ライフ獲得手段の《不和のトロスターニ》が必要です。

相手の手札を火力と想定しているので、このターンに《楽園のドルイド》をタップすると除去されてしまい、5マナ到達が2ターン後になります。盤面のクロックを2回受け止めることはできません。そのため、A、Cは選択肢から外れます。

残りのB、Dですが、Bの場合はアンタップインでライフが7。《レインジャー》が火力で除去されても《楽園のドルイド》をブロックには使えないので、4/4になった《遁走する蒸気族》と《ギトゥの溶岩走り》の6点を受け、残り1となる見込みが高いです。
残りライフが1と3では大きな違いがあり、3であれば《稲妻の一撃》と《魔術師の稲妻》以外は大丈夫ですが、1は《ショック》、《狂信的扇動者》、《 ヴィーアシーノの紅蓮術師》など当たりがかなり増えてしまいます。何よりも、今手札にある土地はどちらもギルドランドなので、次のターンに5マナ出そうとするとアンタップインしなければいけません。そのため、ライフが1になる選択肢はどうあっても取れないのです。

一方、Dであればライフを9に保ったまま、《培養ドルイド》をチャンプブロッカーとして用意することができます。《培養ドルイド》を火力で除去されて攻撃を受けると残り3ですが、ここで《稲妻の一撃》か《魔術師の稲妻》まで揃っているパターンはどうやっても無理と判断し、割り切ることにしました。

実際はどうだったかというと、《培養ドルイド》を《ショック》で除去され、《遁走する蒸気族》と《ギトゥの溶岩走り》で攻撃され、残り3。ここでドローが感動の《森》!!このおかげでライフを減らすことなく《不和のトロスターニ》が着地しました。

相手のドローが《狂信的扇動者》だったため、ライフが1であれば負けていたのですがどうにか凌ぐことができ、逆転することができました。
ただのラッキーで《森》を引いただけじゃないか!という意見もあると思いますが、《培養ドルイド》を出すという選択肢は一番最後に思いついたアイディアで、それ以外の選択肢であれば負けていたと思います。難しいパズルの最後のピースが埋まったような、達成感のある1シーンでした。

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