淫靡なスナック

こんにちは、俺です。

キャバクラにも飽きてきて(この後、歌舞伎町っていうステージに替わると復活しますがw)、当時一緒に働いていたミュージシャン崩れのオジサンに連れられてスナックの扉を開けました。

スナックって店内が見えないので、ホント入りずらいんですよね。

当時キャバクラの煌々とした照明の階段を一人で入っていけた若者もちょっと間口が薄暗く、扉越しに響く演歌や歌謡曲の1枚の扉を開けるのって凄い勇者感やインディージョーンズの気持ちになっていたんですよ。

で入ると、薄暗いし、ボラれそうだし・・・w

良く喋るママに寡黙なマスター。

歌唄っている人たちもうちの親父が歌うような曲だし、BGMも演歌がムード歌謡曲ですよ。

ベロアの椅子にベロアのソファ。良く知らない演歌歌手のサイン入りポスター等、もうそこは昭和感満載な訳です。

ほぇーって感じでカウンターに座らせてもらって、同僚のオジサンから一緒に働いている仲間って紹介されるんですよ。
飲み物はレモンサワーか焼酎水割り、ビールか日本酒、ウィスキーって感じですw

カルピスサワーとかグレープフルーツサワーとかは無いんですよ。コーラとジュース、ウーロン茶ならあるわよって言われて、普段のまないお茶割とかウーロン割とか飲むわけです。

で最初は彼はいくつなの?って聞かれてみて二十歳ですっ!って答えたら、うちの息子より歳下だわって笑われてww
もう緊張し過ぎて酒飲んでも酔えないんですよね。

ちょっと会話で盛り上がってくると、どうぞってカラオケの本渡されて(当時デンモクなんか無いからね。本で探して、番号入れるのね。オケもレーザーディスクだからねww)

昔の曲の方がいいんだろうな~って思って歌ってみると、あら上手いじゃないって言われてここでやっとポジション作れるわけです。
1杯飲んで、カラオケ1曲までがご挨拶替わりってやつな訳ですよ。

あくまで自分主体でサービスが動くのではなく、一挙手一投足を見られながらサービスが解放されていく。そして解放されたサービスを使ってポジションを作っていくのがスナックの楽しみ方だし、信頼のされ方なんですよね。

カラオケ館のような自分から歌入れて率先していく人はあまりスナックでは好まれません。そういう奴に限ってカラオケ下手だったりするので、店としても下手なのは聞くの辛いんですよ。それに合わせて合いの手入れたり、拍手入れたりするわけで。
当の本人は店も盛り上がってくれているって思って一層テンション上げて歌うんですけど、それって周りからすると拷問みたいなもんなんですよねw
それでも水商売。そういう人達をすっかり盛り上げて、お金を頂き、気に入って毎日来てくれるようにする訳です。さすがプロの世界だな~って思うんですよ。

でね。スナックっていうと深夜までやっている店が多いので、他の店が閉店してからホステスの方が飲みきたりする訳です。
すげー酒癖の悪い女の方もいるんですが、それでも仲良くなってくると色んなことが起こる訳です。

・お酒おごってくれる。
 → これ凄く多かった。寂しい人って凄く多いので、一人で飲むより一緒に飲んで欲しいってことあるみたいです。なので良く付き合って飲んでました。

・チップくれる。
 → 近くに社長知っているホストクラブがあって、よく一人でカウンターで飲んでたんですよね。そうするとお客様のおば様方たちも知り合いになるので、良く席に呼ばれるようになるんですよ。それで一緒にデュエットしてあげたり、歌ってあげたりするとチップくれましたw
 → スナックのホステスや女性チーフなんかと飲む時には良く遠征で他の場所に飲みに行くことも多くて、帰りタクシーでお姉さま方を送った後で帰りのタクシー代とかもらっていました(まぁ別に要らなかったんですけど気持ちねって言われると断れなかったんですよね)

・ボトル入れてくれる。
 → 店で他のお客に気に入られたりするとノリで新規のボトル入れてくれたりしていました。ありがたい。

・会計ディスカウントしてくれる。
 → ママやマスターが面倒くさいお客さんを会話対応してたりして、いざ自分の会計して帰ろうとしたらすげー安くなった時があったんですよ。
 あれ?ママ金額少ないけど、間違ってない??
 あぁさっきのお客に付けておいたから。俺くんはこれで大丈夫よ。あれだけ酔ってて散々俺くんと話したんだから、このくらい当然でしょ。
・・・ありがたい。というか、さっきのオジサンごめん。

こんな事になる訳です。ここで世間の大人の世界の中で存在する信頼を得る方法みたいなのが勉強できるんです。
友人でも無い他人から信用得ることの難しさや信頼を得た後の喜びなんかをスナックって体験できるんですよね。

危ないこともありました。

・食われそうになる。
 → 女性の酔った時のアグレッシブさは若干引いたりしました。

・ホモに狙われた
 → 某有名出版社のオジサンに俺くんハグしようって真面目に告られた時には引きました。

・酔ったお客からいきなりボトル投げられる。
 → ブルーカラーのべろべろになったおじさんが何が気に入らないのか、いきなりボトル掴んで投げられましたw
  後日談ですが、そのお方酔っていて全く覚えてないそうですし、その後そのお店出禁になっておりました。ほんと酒癖悪い人って昔から嫌いです。

さすがに当時場末の町だったので、色んな人が居ましたね。あとは不倫現場とか普通に見ていましたよ。マスターの彼女って紹介された女の人が隣町のスナックのママだったり、まぁ色んな倫理観を試される空間を体験させていただきました。

今でもスナックは行きますし、今一緒にいる内縁の妻も元スナック譲ですわ。

スナックが僕に与えてくれたものは、人生の半分くらいで得られるものでした。ほんと、色んな店に感謝ですし、これからも身体の続く限り寄与していきたいですね。


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