トイレ 後編

以前、前書きが長いと本編が進まないと学んだばかりでまたやってしまいました。

しかもタイトルが「トイレ」なのに外トイレは汚いって説明だけで、誰一人としてトイレに行かないと言う失態・・・

ぴよりん先生に指導を受けないとダメだな・・・

って事で、シロが行方不明になった所から再開です。信じない人は戯言として軽く流して下さい。


「シロ~!シロ~!」

二人は真っ暗闇な校庭の隅々まで声を掛けながらシロを探した。

「先に帰ったって事は無いよね?」

可能性はゼロでは無いが、シロは友達想いの奴なんで友達を置いて帰る事は無いと信じたかった。

「サチ、送って行くから先に帰りな。俺は戻ってシロを探すから・・・」

俺はサチに優しくそう伝えた。優しくだよ。すると・・・

バシッ!サチのキックはまさるんの股間を捉えた!痛恨の一撃!

「仲間が居なくなって家に帰れる訳無いでしょ!」

さっきまでこの雰囲気に飲まれ、少し怯えてるようにも見えたサチが、いつもの元気なサチに戻った。サチが元気なうちにシロを見つけて帰りたいものだ・・・

一通り校庭を探したが、シロを見つける事は出来ない。校舎は鍵がかかっている為入れない。残されたのは裏庭か外トイレ。

裏庭には学童保育の建物があるだけで、あまり普段行かない場所である。

あとは、暗く汚い外トイレ・・・さぁ、どっち行くか・・・

「あっ!シロ!」

突然サチが叫んだ。話を聞くと薄暗い裏庭に続く道に白いランニングシャツが微かに浮かんで見えたと言うのだ。

俺とサチは走ってその白い影を追いかけた。

裏庭は街灯ひとつなく、明かりと言うと校舎から裏庭に出る非常口の緑色の光だけで、奥にぼーっとプレハブの学童保育の建物と周りには荒れ果てた花壇があるだけだ。

「シロ~ シロ~」

呼んでも返事は無い。

サチが見たと言う白い影って何だろう・・・

「ま・・・まさ・・・まさるん?」

急にサチが震えだす。

「どうした?」

俺が聞くとサチは学童保育の建物を目指した。その先に目線を送ると・・・

「なっなんだ!?」

学童保育の建物の中に、何かが居る。サチににも見えるんだから、霊的な物じゃないけど、あんな形の奴見た事が無い。いやいやいやいやいやいやいやいやいやいや・・・落ち着こう落ち着こう。まず、俺だけでは無く、サチにも見えてる。霊的な物じゃない。だったら・・・何かの影!きっと何かのって・・・動いてないか?いやいやいやいやいやいやいやいや・・・落ち着け・・・ってやっぱり動いてるよね?学童保育終わってるよね?誰も居ない時間だよね?動いてるの何?むにょむにょって動いてるの何?

「・・・逃げよ、さっと逃げよ」

サチは半泣き状態。何か確かめるとかより逃げるのが先決と決めた二人はそーっとその場を後にした。

静かに素早くと何とも説明しがたい逃げ方でその場を後にした二人、どうにか難を逃れたと思ったら、サチが困った顔で小刻みに震え出した。

「どうした?まさかさっきの・・・」

激しく首を左右に振るサチ。段々、震えが激しくなって・・・

「・・・いれ」

サチが小声で呟くも聞き取れず、改めて聞き直すとサチは、俺の顔をビンタしてこう言った。

「バカ! トイレに行きたいの!」

との事。そか💦気が付いてあげられなくてごめん。でも、この時間は外トイレしか使えない・・・サチと話し合った末、外で俺が見張りとしてサチを護衛する事となった。

この角を曲がるとあの汚い外トイレだ。

俺が先に行こうとした瞬間・・・

「キャー!」

暗闇に響くサチの悲鳴。目の前には微かに浮かんで見える白いランニング・・・ってシロかw

「みんなどこ行ってたの?トイレに行って戻ったら誰も居ないんだもん・・・」

シロ・・・何処か行くなら一言かけてな・・・黙って行くから、俺はサチにもう一発ぶたれたよ・・・

兎に角、シロが見つかって良かった。

後は、サチがトイレに寄ったら帰るだけ・・・

外トイレの入口にシロと俺は立って護衛中。電気は薄暗く、奥の方はチカチカしている。換気扇の音が凄く耳障りで中の様子が全く解らない。でも、女の子だし逆に良かったのかも知れない。

「ザバァー カチャ」

流す音と扉の鍵が開く音がした。さぁ、これで帰れる・・・と思った瞬間だった。

背筋が凍る様なゾクゾク感、一瞬にして何かが通り過ぎた。

「キャー!」

サチの悲鳴が鳴り響く。俺とシロは慌ててトイレに駆け込む。換気扇の音が明らかに変わった。歯ぎしりの様な嫌な音だ。

「サチ!どうした?サチ」

「開かない!扉が開かない!何か気持ち悪い!」

ガチャガチャ扉を開けようとする音と換気扇の変な音が頭に響く。トイレの扉は押戸(内側に開く)外から蹴飛ばせば開くかも知れないがサチの居場所によってはサチが怪我をする。

「サチ!そこに行っても大丈夫か?」

サチの状態を確認すると、俺は隣の個室の壁をよじ登り、サチの居る個室に入った。何か生暖かい気持ち悪い空気。何だろう・・・霊的な物なのかも知れないが、感じた事の無い嫌な感じだ。兎に角、一刻も早くここを出たい。俺はサチを扉の当たらない様に壁に押し当てた。

「シロ!ライダーキックだ!」

「待って!まだ変身してない」

「良いから思いっきり蹴れ!」

「ライダ~」

「早く!」

「キックー!」

物凄い音を立て扉が開いた。シロは得意気にライダーポーズを決めている。助かった。

「早く帰ろ!」

余程怖かったのか、サチが泣いている。真ん中にサチ両サイドおれとシロで三人は手を繋ぎ校門を出ようとした。

「また、遊ぼうね」

はっきりとその声は聞こえたが、サチとシロを無事に家まで送って行く事だけを考え家路についた。



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