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妖精

皆さんの学校にはクラスの花壇ってありましたか?理科とか家庭科かな?そういうので花壇を作るんだけど、どのクラスもその場限りで放ったらかし。しかも、全部飼育係に押し付けるのだが・・・


朝、誰よりも早く学校にくる女の子が居る。名前は「咲ちゃん」彼女は、いきものや植物が大好きだと言うので、飼育係になったんだが、残念ながらペットは居なく、あるのは校舎横のみんなに忘れられた花壇だけだった。それでも、咲ちゃんは誰よりも早く学校に来ては、雑草を抜き、水をやり唯一綺麗な花壇を保ってくれていた。

そんなある日・・・咲ちゃんが花壇の手入れを終え、教室に戻ってくると事件が起こった。

「咲ちゃんって頭おかしいの?」

クラスメイトからの信じられない一言。これには咲ちゃんより先に・・・そうです・・・サチが反応。

「咲ちゃんが頭おかしかったら、あんたはもっと頭おかしいわよ!!」

フォローにも何もなってない・・・よくよく事情を確認すると、何故、そこにクラスメイトが居たかは置いておいて、朝、花壇の手入れをしている咲ちゃんを見ていたら、花に向かってずっと話しかけて居たと言う。理由を聞いても咲ちゃんは話してくれない。それより

「まだ話するなら良いじゃない!シロなんで黙ってる方が多いのよ!」

サチ・・・お前も黙れ・・・と言いたいが言えないのが辛い所、どうにかしないと咲ちゃんが可哀想だって事何だろね・・・翌日、いつもより早い時間に呼び出され俺とサチは学校に向かった。

教室に向かうと、咲ちゃんの机にはもうカバンが置いてあった。俺達も急いでカバンを置き花壇に向かった。

「あっ!まさるん!ほらっ!」

サチが指差した先には、咲ちゃんがしゃがんで確かに何か話して居る。何と話してる・・・

「咲ちゃん!!」

元気良く声をかける空気の読めないサチ。

「えっ?!」

急な出来事に驚く咲ちゃん。それより驚いたのは、咲ちゃんが話しかけていた花からキラキラと輝く様な光の線が飛んでいった。

「サチ、まさるんくん二人してどうしたの?」

理由は解って居たと思う、でも、咲ちゃんは敢えて俺達に聞いてきた。

「昨日のが心配で・・・」

「見たでしょ?私花に話しかけてる頭のおかしい人なの」

咲ちゃんの目が少し涙ぐんでいた。サチも見てしまった以上嘘は付けないし、どうしたらいいの?って感じに俺を見つめてもねぇ・・・それにしてもあの光・・・もしかして・・・

「咲ちゃん!正直に答えてね」

軽く頷くのを確認し、俺は質問続けた。

「花の妖精でしょ?」

驚いた顔で彼女は俺を見ている。

「サチが話しかけたから、驚いて飛んでっちゃったね」

嬉しそうな顔で咲ちゃんは答えた

「見えるだね?」

俺は頷いた。やっと話が通じる人に出会えて嬉しかったのか、咲ちゃんの話は止まらない。咲ちゃんが初めて花の妖精に出会ったのは、かなり前だったそうだ。種を蒔いたり、球根を植えるのは良いが世話しないで荒れ果てる花壇を1人で世話してる姿を見て妖精が出てきた?見えるようになった?そうだ、それからと言うもの毎日、学校が休みでも花壇の手入れに来てるうちに花の妖精と仲良くなり、お話する様になったそうです。ただ、最初見えなかった様に普通の人には見えないので、誰かに話しても信じて貰えないからずっと黙って居たんだそうだ。それをまさか、クラスメイトに見られるとは思っても居なく悔しかったけど我慢するしか無かったんだって・・・

「どうする?妖精なんて言ってもみんな信じないよね?」

何かいい案が無いかな・・・

3人で戻ったのがまずかった、クラスメイトがここぞとばかりに突っかかってくる。

「言った通り、花に話しかけてる頭おかしい奴だったろ?」

サチが馬鹿な事言い出す前に何とか・・・そだ!

「うん!咲ちゃん花に話しかけてたよ」

咲ちゃんもサチも唖然とする。

「でも、頭おかしいんじゃなくて、また綺麗な花を咲かせてねってお願いしてるだけだった」

俺の言葉に納得いかないクラスメイトは

「そんなの意味あるのかよ!!」

といきり立つ。

「花が咲く時期になれば解るさ」

珍しくカッコよく決めてみた。

ひとまず、咲ちゃんを馬鹿にするのは収まった。

翌日、机の引き出しには、咲ちゃんからのお礼の手紙とプレゼントのハンカチが入っていたので、サチのご機嫌がナナメになったのは、言うまでも無い・・・






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