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上がり続けるポスト・コロナの日本に求められる期待値!

エリアセッション:アジア
「上がり続けるポスト・コロナの日本に求められる期待値」
(インバウンドサミット2021 2021年6月19日)
https://www.youtube.com/watch?v=wyVrTnJlXM4&t=12s

アジア

・薬丸 裕 - 日本政府観光局(JNTO) 香港事務所長
 https://www.jnto.go.jp/jpn/about_us/overseas_network/hongkong/index.html
・永井 初芽 - 日本政府観光局(JNTO) シンガポール事務所長
 https://www.jnto.go.jp/jpn/about_us/overseas_network/singapore/index.html
・木邨 千鶴 - Compass Communications International Limited (香港) Managing Director
https://cinando.com/en/Company/compass_communications_international_limited_132508/Detail
・向井 純 - 向日遊顧問有限公司 (台湾) 社長
 https://juncorp.com.tw/about/

【ホッシーのつぶやき】
このセッションは、香港・台湾・シンガポールに「訪日旅行の再開を待ちわびる方がいかに多いか」、そして訪日できない中、「現地で日本を楽しむ・味わう」商品やサービスが、いかにレベルアップしているかを感じるものでした。
そして「日本のインバウンドは終わったのか?」というキーメッセージに対して、「とんでもない!」これから大きなチャンスが待っている と締めくくられ、「アフターコロナの日本に求められるモノ・コト」は、世界の「期待値を超える必要がある」との、熱いメッセージで語られていました。


薬丸:このセッションは「上がり続けるポスト・コロナの日本に求められる期待値」について、香港、台湾、シンガポールをつないで話を進めてまいります。
私は日本政府観光局(JNTO)の香港事務所長をしております薬丸と申します。90年代後半からJNTOに入り、上海事務所など中国関係を中心に仕事をしてまいりました。香港には2017年の4月に赴任して丸4年になります。本日はモデレーターを務めますのでよろしくお願いいたします。

向井:私は、台湾に住んで47年を超えました。台湾で好きになった女性と結婚し、これからも台湾で生活をしていく中で、台湾と日本のさらなる交流につながるよう貢献してまいりたいと思っています。今、コロナで人の流れは止まっていますが、今のタイミングでやるべきことをしっかりやり、コロナ後、台湾と日本の交流がステップアップできるよう努めたいと思います。

木邨(きむら):コンパス・コミュニケーションズ代表の木邨と申します。香港に住んで15年、会社設立して11年です。主に広告代理業を含むPR事業と、自社メディアである香港経済新聞を発行しており、「るるぶ香港」など観光雑誌などに記事を書くメディア事業とがあります。
日々、香港のいろいろな所、出会う人、企業を取材しており、日本のコンテンツをどう巻き込んでいけばよいかなどを考えています。本日はどうぞよろしくお願いいたします。

永井:JNTOシンガポール事務所の永井と申します。2006年にJNTOに入って以来インバウンド一筋です。コロナ禍で我々の事業も思い通りにいかないですし、パートナーの皆さんのお話を聞いていても胸を痛める話が多いのですが、このようにオンラインで情報交換したり、意見交換したりする機会も、コロナで増えたのも事実なので、前向きに捉えていきたいと思っています。できることを皆さんと一緒にやっていければと思います。

薬丸:香港、台湾、シンガポールの状況について、簡単にご紹介をお願いします。

コロナの状況  台湾・香港・シンガポール

向井:台湾は、今年の5月上旬まで世界的に優等生だったのですが、変異種の感染が増え、5月中旬から国内感染が発生しました。今日も127名の感染が発表されており、緊張が漂っている状況です。
コロナの規制レベルは4段階で設定されており、現在「レベル3」で、期限は6月28日までです。今は、レストランは飲食禁止、全て持ち帰り、デリバリーなので、町は閑散とした状況です。今は感染者も減ってきていますので、6月28日には「レベル2」になり、食事制限が解除になることを期待しています。今は、国内旅行も禁止されており旅行業界にとって厳しい状況です。

木邨:香港は、3月後半以降はコロナ感染も落ち着いており、直近では域内感染はほぼゼロの状態です。ワクチン接種は3割弱でしょうか。飲食店の規制などは残っており、従業員のワクチン接種という条件で、営業時間や人数制限が緩和されるという話がありますが、ワクチン接種を強制する企業は少ないようです。店内飲食は22時まで、一卓4名までという制限を続けるレストランが大半です。域内レジャーは、香港のホテルに泊まるステイケーション、香港の上空を飛行機で回るフライケーションなどがありますが、クルーズ再開と合わせてワクチン接種が条件となる可能性も指摘されています。また、シンガポールとトラベルバブルの話が進んでいましたが、今は延期になっています。

永井:シンガポールは、昨年4月から「部分的ロックダウン」しており、その後、徐々に規制緩和して、市中感染はほぼゼロが続いていたのですが、また感染が増え、5月上旬から規制が厳しくなりました。5月中旬から6月中旬はレストランでの飲食禁止、外で同居家族以外と会えるのは2名までという厳しい規制になりました。そこから少しずつ緩和に向かい、今週の月曜日から外で会える人数が2名から5名に増えました。本当は来週の月曜日からレストランでの飲食も解禁される予定だったのですが、直近7日間の平均感染者が19名となり、飲食は開始するけれど2名までとなっています。ワクチン接種は、アジアの中では比較的早く進み、現時点で1回以上のワクチン接種者は40%を超えています。政府もワクチン接種を強力に推進しており、8月までに接種希望者全員が接種できるようです。

薬丸:本日のセッションの狙いは3つです。一つ目は、香港、台湾、シンガポールの訪日市場は成熟していますが、今は日本に行けないので、それぞれの都市の「日本体験」が進化しており、日本への期待値もドンドン上がっています。その「日本体験」のレベルの高さなどを知っていただきたいと思います。
二つ目は、「ポストコロナの日本に求められる商品・サービスは何か?」です。今後、求められるサービスとして、こういうものをやっていくべきではないかという勘所や、ヒントを感じて頂ければと思います。
三つ目は、現地で受けられる「日本体験」のクオリティが高くなったので、日本に行った時にガッカリされないよう、「さすが日本」と、お客様に言わしめる商品づくりに着手して下さいというメッセージを聞いて頂きたいと思っています。
まず一つ目、『各市場で進化し続ける「日本体験」』について、ご紹介をお願いします。

向井:台湾の日本系ショップも、ユニクロ、ニトリ、MUJI、DAISO、マツモトキヨシ、紀伊国屋もあり、買い物をしようと思えば台湾でもできます。ラーメン屋さん、天ぷら屋さん、カツ丼屋さん、お寿司屋さんも増え、台湾でも日本食を食べることもできます。しかし、やっぱり「日本で食べたい」という声を沢山いただいています。
「今は、日本に行きたいけど、行けない」という中で、台湾でできる最近の「日本体験」を紹介します。
台湾にも「温泉」があります。国内の温泉を楽しみ、日本に行っても楽しむというものですが、代表格なのが台北から約20分で行ける「加賀屋」さんです。
「加賀屋」さんは、スバリ“日本のおもてなし”のサービスを提供されています。面白いのが「赤ちゃん限定イベント」です。24,000元から3万3000元(7万円から10万円)と高額です。付加価値を付けて、日本を楽しんでもらおう、子供たちの大事なイベントに使ってもらおうとの狙いです。

加賀屋

2019年、台中の温泉地に「星のや グーガン」が誕生し、5万円から13万円という金額ですが、それに値するホスピタリティを提供されており、それを楽しむ台湾のお客様で一杯です。
2020年、台北から約30分の所に「八景島X -parc」という水族館ができています。“日本で最も美しい水族館が台湾にできた”と、現地の新聞に大きく取り上げられ、オープンから満員が続いています。
2021年には、ここの近くに「三井アウトレットパーク林口」ができ、家族やカップルに人気です。広場には桜や鳥居が設置され、台湾の方が写真を撮ってSNSに投稿しています。

弊社もイベントの企画運営をしていますが、「レベル3」の今は、屋内5名、屋外10名までに制限されています。今年3月、台北市内の居酒屋で1ヶ月させていただいた山口県主催のプロモーションでは、山口県の食材や日本酒で日本を楽しんでいただく企画が非常に好評でした。
日本航空さんの「日本体験」は“eフライト”でした。ホテルで座席の配置を変えて、飛行機に乗った気分になって機内食を食べ、青森県がテーマだったので、りんごジュースが提供され、青森県の観光案内もしました。お客さんは「行きたいけど、今は行けないから仕方がないわ」と言い、この瞬間を楽しんでいました。エバー航空さんは台湾一周の企画で、オンラインで「ねぶた祭り体験」を楽しんでいただきました。

2021年3月、台湾パイナップルの中国の輸入規制があった時、東北では「東日本大震災の時に台湾から義援金をいただいた」ということで、花巻温泉さんが1カートン購入して、一緒に頑張ろうというイベントをしました。宮城県でも大量購入し、日台交流も高まりました。
半年前に「もし解除されたらあなたはどこに行きたいですか」のアンケートをした所、日本が77%と圧倒的な支持を受けていました。6月4日、日本国政府から124万回分のワクチンを無償提供され、台湾では想像以上の反響が起こっています。今、アンケートしたらこの数字はもっと増えると思います。

台湾と東北の交流

日本からワクチン提供に感謝

2021年3月は「東日本大震災10周年」があり、東北で「ありがとう台湾。大好き台湾」というイベントがありました。それに対して台湾で、ワクチン無償提供へのお礼ができないかと企業や個人から相談があり、「ありがとう日本。感謝」というイベントをしようとクラウドファンディングをした所、1日で目標額7万元(200万円)を達成し、1週間で倍の400万円を達成しました。このお金で、東京駅と大阪駅で感謝の気持ちを表すイベントを開催する予定です。私も企画した者としてとても感動しました。

木邨:香港は感染者が少ないですが、ワクチン接種には慎重です。現在、1回接種を終えたのは人口の27%で、申し込みを含めて約40%です。
ワクチン接種を促すために、1億円以上するマンションや、6万枚の航空券、テスラなど高級車が当たるキャンペーンを、大手財閥を中心に仕掛けられているのも話題になっています。

ワクチンの景品

「日本がどのように取り上げられているか」を説明します。
2月以降だけでも、多くのショッピングモールで日本のイベントが繰り広げられていました。一つは、青森をテーマに郊外のモールに本物の「金魚ねぶた」を青森から持ってきて泳がせて、青森の商品の販売していました。他にも、飛騨高山の街並みを再現して週末に朝市を開催したり、鳥居をモチーフにしたイベントも展開されていました。また、日本が大好きな香港人2人が主催して、自分たちのお金と時間を使って、日本の地名が入った提灯を作ったり、香港人が大好きな空港のゲート表示を作ったりして、日本に行けないパワーを使ったイベントもありました。

香港で日本イベント

続きまして、香港に登場した日本関連ショップです。京都の純喫茶「ソニアコーヒー」が先月オープンされ、日本各地の缶詰を取り寄せて日本を丸ごと楽しもうというコンセプトで「缶詰バー」もスタートしました。日本の陶器や雑貨を扱う店が増えているといい、47都道府県のものを全て置きたいという思いでスタートした「47日和」というお店や、箱根の寄木細工との出会い、寄木細工を香港人に伝えなくてはいけないという義務感が生まれたという「ORION」というお店もオープンしました。他にも、スーパーで日本のライフスタイルをメインにしたコンセプトショップを出したり、香港の建設会社が、日本のストーリー性のある商品を宣伝したいと、「聴香体験」ができるスペースを作って、宮崎県とオンラインで教室を開いたり、エンタメでは「呪術廻戦」の期間限定ショップが7月にオープンします。

香港の日本関連ショップ

アクティビティでは、コロナ感染で山に登る人がとても増えたことから、いろいろなアクティビティが生まれました。SUP、キャニオリング(川遊び)なども出てきましたし、スキーやスノボの室内練習場もオープンしました。
SUPは日本でやりたいので練習するとか、約60メートルと短いZIPラインも、日本でやりたいので体験しておくという話もお聞きしました。

アクティビティ

日本に似ている香港の撮影スポットの「香港で日本小旅行」も人気を集めています。テレビでも同じような動きで、日本に行ったつもりで、お抹茶をいただいたり、香港の農場でフルーツ狩りする放送もありました。
その他、「マンダリンオリエンタル香港」の最上階に居酒屋スタイルの「和食レストランバー」がオープンしました。ここは日本酒や焼酎の種類が豊富で、昨年度、香港が日本酒輸出額で世界一になったことが頷けるお店でした。他にも大きく輸出を伸ばしたのが「日本産鶏卵」で、1パック800円するブランド卵も出ています。また、日本の生活空間を持ち込みたいという人も増え、自宅の1部屋を畳部屋に改装したり、コロナでペットを飼う人が増え「柴犬」が人気し、価格が3年前の3倍になったと言われています。

「omakase」という言葉が一般的になってきています。
週刊誌や携帯を見れば、1日に2回から3回「omakase」という言葉を見ます。「omakase」は、寿司にとどまらず、焼肉、串揚げ、天ぷらは勿論ですが、カクテルやシンガポールの1万円の「omakase」が出てきたりしています。まだまだ日本と関係のあるお店など上げるとキリが無いのですが、香港で、日本がどれだけ浸透しているかというお話しをさせていただきました。

永井:シンガポールでも「omakase」は流行っています。
2021年は、日本とシンガポールの外交樹立55周年であり、JNTOとシンガポール政府観光局がお祝いキャンペーンをやっています。今は旅行商品が売れないので、シンガポールで日本を感じられる機会を、「SJ55」という共通ロゴを用いてプロモーション展開しています。
「SJ55」には、自治体や旅行会社、eコマース、レストラン、食品関係、それにシンガポールの観光施設や美術館など40社団体以上が参加してくださり、12月末まで取り組んでいきます。

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小さなシンガポールはコロナで閉じ込められ、「大好きな日本に行けない」中で、日本のコンテンツに触れる機会を増やして、自分たちの施設にお客さんを呼ぶフックにしようとされています。
シンガポールのセントーサ島にはユニバーサルスタジオやカジノがあり、セントーサ島と本島を結ぶケーブルカーの中では食事を提供されていますが、ここで日本をテーマにした取り組みが7月から開始される予定です。コース料理には各自治体の食材を使って、観光情報も合わせて発信していく組み立てにしています。また「無寄港クルーズ」も人気です。船内の装飾を日本風にして、日本食だけでなく“ゆるキャラ”も登場するアトラクションを楽しむイベントで約3ヶ月運航されます。
また、シンガポールの人気商品に「ステイケーション」があります。シンガポールのホテル「パンパシフィック」では、日本のアメニティーで飾り付けをして、ディナーでは会席料理をいただき、朝食は弁当にする。部屋着には浴衣を用意するというものです。また「ラッフルズホテル」でも、日本をテーマにしてアフタヌーンティを楽しむ企画をしたり、「ザ・フラトンホテル」でも、日本関連の展示をしていただきます。
JNTOとしても、ホテルへ売り込みをかけて、日本関連のステイケーションを増やそうと思っています。
次に、「シンガポールで楽しむ日本2泊3日」という特集もありました。1日目は、カプセルホテルに泊まって、温泉に入って、お寿司を食べて、ドンキで買い物。2日目は、アニメカフェに行って、抹茶を飲んで、浴衣ショップに行って、鳥居のあるレストランでディナー。3日目は、お弁当を食べて、日本人墓地を回る。これが、シンガポール人が考える日本という感じのプランになります。

シンガポールで楽しむ日本2泊3日

この企画にはJNTOも絡んでなくて、シンガポール人が考えた“日本”は、これが限界のようなので、シンガポール人がせっかく「日本のことを何かしたい」と思っているのであれば、JNTOから仕掛けて、地域に即した内容にしなければと思っています。
JNTOや自治体が連携して、シンガポールにいても“面白い日本体験”をしていただくことはできるので、コロナ禍の今、やって行かなければならないと思っているところです。

薬丸:3市場のお話をお聞きいただいて、「日本の好きな方がどれくらいおられるか」は伝わったと思います。私のいる香港でも、日本食ブームというか、高級レストランほど予約が取れないということが起き始めています。食材も「最高級レベルの食材はむしろ香港に来ている」というようなことも起きています。香港のレストランも、「日本に皆んなが行けなくて困っているのだったら、食事だけでも本物の日本を目指そう」とか、「日本を超えてやろう」との勢いになっています。
次は、「ポストコロナの日本に求められる商品・サービスとは何か?」の話に移りたいと思います。

木邨:香港では、朝採れたものが夕方にお寿司として食べられるほどスピードが速くなっていて、鮮魚への期待値がどんどん上がっています。そうすると今後、日本に行けるようになった時、「せっかく日本に来たのだから、一杯お金を使って、美味しいものを食べたい」という発想になるのではないかと思っています。
また、「朝採ったものを夕方に食べられたとしても、明日の採れたては食べられない」というような話もあり、これが一つのキーワードになると思います。

薬丸:香港で美味しい日本食を食べるのであれば、4万円、5万円のコースは当たり前で、豪快にお金を使う方が多いです。食材を見ると、日本の高級店に負けない所まできており、どこで勝負するかというと、「日本に行かないとできない価値」「日本で食べるからという価値」が重要になると思います。
そういう観点では、生産地で食べるとか、採れた海の前で魚を食べるとかが重要です。後、どんな高級店でも実現できないのは「素晴らしい絶景」です。ニーズがあるのに実現できていないものに「絶景の貸し切り」があります。例えば、日本庭園など時間貸ししてくれるとお金をいっぱい払ってもいいという人たちもいます。「時間貸し」を実現するのにDXを駆使すれば、かなりスマートにできそうです。
絶景の切り売りですが、リゾートホテルの「プライベートビーチにテーブルだけセット」して、通常のランチを出して、セッティング料金200ドルというサービスであったり、ビーチに穴掘ってダイニングをセットして、キャンドルを点けてディナーを食べて、500ドルというサービスも可能です。知恵と工夫次第で、お客様は喜んでくれますし、ビジネスになり、しかも環境負荷が少ないので、サスティナビリティが求められる中で「やっぱり日本は素晴らしい」という感じになるのではないかと思います。

スペシャルランチ

スペシャルディナー

向井:台湾では、ともかく「日本に早く行きたい」「日本にいる人に会いたい」「友達に会いたい」ということで、今まで以上にこれらの気持ちが強まると思われます。先ほど紹介させていただいたような「交流」も深くなってくると思いますので、今まで連絡していなかった人に連絡するなど、アフターコロナに向けた準備をしていただきたいと思います。

永井:シンガポールでも状況さえ整えば「必ず日本に戻る」と思います。そうなった時、シンガポールでは味わえなかった季節感とか、日本での朝採りの食材とか、日本のシェフが作ったとか、日本のこの地域でしか飲めない日本酒とか、そういうものが凄く魅力になると思います。
今は大変な時期ですが、「今から、プロモーションを仕掛けないとアフターコロナに間に合わない」ので、プロモーションの手を緩めないことだと思います。
また、消費額を上げることを考えた時、コロナでの切り替わりは大きなチャンスかもしれません。香港、台湾の話もありましたが、現地で日本食に高い金額を払って食べているので、本格的な日本食を3万円で食べられると凄く安く感じると思うのです。それらの価値をどれくらいの価格で提供するかも見直しても良いのかもしれません。

向井:タイミングと温度差があると思います。先月までは台湾でいろいろなプロモーションができましたが、日本では逆にできなかった。だけど今、日本側は少しずつワクチン接種も増え出し動きたいタイミングに来ていますが、今の台湾はそのタイミングではない。この現地との温度差も感じ取っていただきたいと思います。

薬丸:我々がいる所は亜熱帯で”四季”がありません。春と夏はあるという気もしますが、秋と冬は全くありません。そうすると、秋と冬がキレイな所は、今まで以上にそれを価値として売っていただければ良いと思います。暖かな地方は、日本の季節を感じる草花などをうまく使っていただくと良いと思っています。

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そろそろ時間になりましたので「まとめ」に入らせていただきます。
『「さすが日本!」と言わしめる商品・サービスを企画する上での留意点』ですが、我々からは、「とにかく究極の商品サービスというものを作ってみて下さい」。目一杯の頂点を上げるトライをしていただきたいと思います。頂点が上がると、頂点を買える人は限られますが、2番目、3番目のスタンダードを買う人は、頂点を見ながら、サービスの基準というものを決めます。結果として全体の底上げになり、単価アップにつながると思います。
香港人は、そういう値付けをする人が多くて上手です。そして「価値と価格の限界を、自分や身内の人間で決めない」こと。これは凄く大事です。
「払ってもいい限界」「ここまでしか払えない」を決めるのはお客さんです。
「自分が提供できるパフォーマンスに対してお客さんが満足してくれる価値」というのはいくらなのだろうということを考えて、「その値段で売れるのならばその値段で設定する」、それに合わせて「次に何ができるか」を考えていくやり方が良いのではないかと思います。
「日本の商品・サービスの値段の付け方は、製造業的な値付け」だと思います。原価があって、販売コストや人件費とかを載せて、それに申し訳ないなぁと思いながら利益を載せるような値付けをする方が多いですが、海外の高級店ではそのような値付けをしません。私の店に来てくれるお客さんだったら5万円、10万円のコースを食べる人だという所から決めて、商品を作るという値付けをしますので、そういう観点でインバウンドを捉えていただければと思います。

ラスト前

本日のシンポジウムは、「日本のインバウンドは終わったのか?」というキーメッセージから始まりましたが、我々から言わせると「とんでもない」ことです!
ポストコロナのインバウンドに関しては、もう伝わっていると信じていますが、より大きなチャンスを皆さんに掴んでいただいて、成長し続けている世界の消費者を相手に、新しいビジネスを始める飛躍の一歩だと、ポストコロナを捉えていただきたいと思っています。皆さんありがとうございました。

ラスト


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