アベグジットとドル円
ドル円現在105.92〜105.93
レンジ予想105.30〜106.30
ゲストシティグループ証券 高島修さん
昨日は英国市場が休場だったのだが、米国が底堅い中、全体としては対ユーロ中心にドル安だった。ドル円は先週金曜日の安倍首相辞任の報道での円高の反動という事だと思うが、買い戻し優勢だった。本日はアジア時間にRBA、オーストラリアの中央銀行の政策発表があり、欧米時間はISM景況指数が発表されるが、全体的にはリスクオン的なドル安が継続しながらドル円は106円台では上値が重いと、そういう風に見ている。
キャ)アベグジットという造語はアベノミクスの終焉という意味合いか?
そうだ。市場の一部ではそういう表現が使われているのだが、基本的には円高材料だと見ている。というのは、アベノミクス自体は地殻変動的な円安が起こった時期と見ており、長期的にはその反動が起こってくると考えている。ドル円の生産者物価でみた購買力平価は、70年代から上値抵抗線になってきたわけである。例外が80年代のレーガノミクスの時であったわけだが、FRBの超引き締め策を受けたドル高だ。しかし、アベノミクスでは金利差が事実上0%のまま生産者物価を越えるドル高円安が発生している。
キャ)レーガノミクスの時は金利はあったのか?
その時は日米金利差は10%位開いていた。
キャ)アベノミクスの時は金利差はほぼゼロと仰ったが、どういった要因があったのか?
底流にあるのは、高齢化や国際競争力の低下等日本の構造問題だとみているが、やはりアベノミクス、黒田日銀のバズーカ緩和抜きではここまでの変化は起こらなかっただろうと思う。
キャ)今回アベグジットという事は反対の動きであるから、やはり円高方向という事か?
とは言え、ヘッジファンド等の海外勢は金融政策に注目しがちで黒田総裁の任期が2年半残っている為、短期的には材料にし難いと思う。財政政策も重要だが、菅官房長官が引き継いだ場合は大きな変化は無いだろうし、石破氏、岸田氏の場合は、少なからず緊縮バイアスはかかると思うが、株安になる程、ひいてはリスク回避的な円高が発生する程の政策変化は無いと思う。足元では、対ユーロ等で全般的に米ドル安だが、リスクオン的な円安圧力が根強く、ドル円の下落を妨げている。この外部環境が変わらない限りではアベグジットでの円高が現在の105円位まででは無いかと考えている。