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夏が来る前に


いつもありがとうございます。
梅雨に入り、夏が近づくと毎年思い出すことがあります。


子供のころ、夏休みになると毎年のように東北にある親の田舎で長い時間を過ごしていました。番地もないとても静かな田舎です。当時から集落は高齢化が進んでいましたが、毎年夏になると同世代の子供たちが集まり、地域の子供たちと一緒になって朝のラジオ体操から日が暮れるまで、クワガタを取りに行ったり、沢蟹を取って食べたり、宿題をやったり、畑作業を手伝ったりしていました。

そして、8月中旬には近くの神社で小さな夏祭りが開催されます。都会の大きなお祭りとは違い、町役場の方が金魚スクイやたこ焼き、綿あめなどのお店を出して、今思うと決してにぎやかでは無いですが夏の思い出として浮かび上がってきます。


私が小学校5年の時だったと思いますが、東北の田舎に行く時期が少し遅れて、夏祭りの前の日にようやく田舎に行くことが出来ました。その日はゆっくりして翌日は夏祭り、1年ぶりに〇〇君や〇△君に会えるのでとてもとても楽しみで祭りの準備しているところを何度も見に行った記憶があります。

そして日が暮れ始めて家族や親戚一同で夏祭り会場に向かいました。私は決して歩くのが速いわけではないですが、早く行きたい、早くみんなに会いたいという気持ちから一人飛び出して神社の階段の下につきました。階段から上を見上げると提灯が階段を照らして何人かが階段を上がっていました。


すると、〇〇君が私の肩をたたき突然現れにっこりとしていました。あーー久しぶり、でかくなったな!と言いながら私も背は高い方だったので、二人で一緒に階段を一気に駆け上がりました。1年ぶりだね、宿題やった?ラジオ体操明日から行くね・・と私が一方的に話をしながら階段を登り切りました。そこには1年ぶりのお祭り会場。小さな出店が並んでいる。何食べる?と聞いても返事がない、あれ・あれ〇〇君どこ行ったの?

登ってきた階段をふと振り返ると、小さな光が階段をスーッと下って行きました。何だろうと思いながら階段の下に家族が見えたので、私はもう一度階段を下り、途中まで上がって来た親戚の人に〇〇君と会ったよ!と言うと
ええ、そうか?夏祭りを見に来たんだろうね?と親戚のおじさんが言ったので、どういう事?と言うと、○○君は昨年末に交通事故で亡くなったんだよ。と言ったので、私はうそでしょ!さっき会ったよ、階段を一緒に登ったよ!・・


遠い昔の出来事をいまだに忘れる事が出来ずにいます。記憶も薄くなりどこまでが現実だったのか?分かりません。今となっては忘れる必要もなく、夏になると思い出す出来事として大事にしています。



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いつも最後までありがとうございます。






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