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夕凪チャージ

2羽のカラス
7階建の白いビルの上
避雷針を背に
風景を眺める
片方が右を見て左を見る隙に
もう片方がすり寄って来る
何かを耳打ちされた後
片方はビルの角へ向かう
そしてまた右を見て左を見る
今度は広角だから
首振りの時間もいくらか長い
もう片方がまたすり寄る
耳打ちする
片方は飛び立ち
今度はもう片方が右を見て左を見る
連れ添った関係性は
彼らにしか分からないけど
ほんとは彼らの間にだって
認識のズレはあるのだろう

西日が炊く
ぬるい気温の街
フェルトに包まれているような心地
きっと本物を知らない僕たちは
ポリエステルでしか
そのことを語れない

家路を急ぐ人
急がない人
夜を愉しもうとステップを踏む人
夜に還ることに苛まれる人
地下鉄へ繋がる連絡通路に
独自製法の心が揺れる
幸せに眠った次の日が
思いもよらぬコントラストだった時も
きっとあるだろう
そうだと分かったとて変わらない自分に
ライナスは毛布を貸してくれないかと
嘆願したい気持ちも分かる
今はただ
私生活に戻っていく
このタイムラインに身を任せて
落ち着いてゆっくり呼吸する
あそこの納豆が美味しいと聞いたり
今日は早い時間だからと
ドーナツが店頭に
たくさん並んでいたとしても
想定外の行動はしない

柔らかい陽の光を適量に浴びた後は
夜空にそれが抜けるまで
ゆっくり
ゆっくり
呼吸する

エスカレーターの角度が
少し高いんじゃない?
いたずらにそう考えてみて
平穏に沈もうとする自分を揺らす
コンビニの自動ドア
意外とうるさいね
そんなことはない
コンビニのフライヤーから
辛いやつを買った
それもいつものこと
右手に見える公園では
遊具を正しく使う親子が歩く
小さくスパイラルする虫も
葉を擦り合わせる癖の木々も
何もかもが当たり前

ロードマップは基本変わらない
このままいったん
心拍をスロウに流し
明日のこと
考えたフリをする
未来のことを想うのは苦手
苦手なりに
下手の横好き
音のない花火
頭ん中に打ち上げて

今のところサポートは考えていませんが、もしあった場合は、次の出版等、創作資金といったところでしょうか、、、