東近江トレイル・歴史を知っている大銀杏

観音正寺裏参道登り口の大イチョウ・階段右横に観音正寺方向を示す道標

 東近江トレイル繖山コースの五個荘側登リ口は、五箇荘川並地区の結(むすび)神社となっています。しかし、観音正寺から西国三十三所巡りの下山道でもある裏参道を下ってくると、もうすぐ麓という地点でT字路になっていて、観音寺口バス停に便利なため結神社へ降りるコース設定になっています。
 このT字路から反対側に降りていく道は、旧中山道を経由して西国33番札所の谷汲山華厳寺へ至るかつての巡礼道です。この登り口には、樹齢は不明ですが大きな雌株のイチョウの木が生えていて、登り口の目印となっています。  
 かつて西国三十三所巡りの巡礼者は、ここから中山道を通って33番札所の華厳寺へ向かったのでしょう・・・。この地域は古い歴史を持っていて、この一帯にも歴史を感じるいくつかの石碑などが建っています。
 観音正寺への登り口を示す碑は文政三年(1820)と刻まれ、谷汲山華厳寺の方向を示す小さな道標は「右たにくみみち、左ざいみち」と刻まれています。また、すぐ近くには南北戦争で西郷隆盛と戦った大山巌の御手植松碑や元三大師の碑も建っています。

冬の大イチョウ・左の小さな道標の向こう側に、「右たにくみみち」と刻まれている

 ここから奥にある紅葉公園はモミジの名所ですが、冬の景色は水墨画の世界になります。最近は、永源寺など近隣にあるモミジの名所に人が集まりますが、ここはコンパクトな紅葉の風景が楽しめます。近くの一帯は文化財の森に指定されていて、檜皮葺の材料を提供しています。乾徳寺もありぜひ訪れてみたい場所です。

 ここを離れて、観音正寺からの巡礼道が旧中山道と合流点まで行くと、「32番くあんのんみち」の碑があり、その上にはご本尊の石仏が立っておられます。ここは立像ですが、現在の観音正寺は丈六の千手観音「座像」がご本尊です。これは平成5年(1993)に本堂と共にご本尊も焼失、平成16年(2004)に本堂落慶、インドのビャクダンによる本尊の開眼、御開帳に至った経緯があるのですが、焼失以前は立像だったことを示しています。  

旧中山道との交差点にある道標・ご本尊


ご本尊は「立像」、立っておられます

 


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?