LIFE IS NOVEL #34

早くも週末がやってきた。ウラベタケヤスにとって最後になるかもしれない1週間も終わりが見えてきてしまった。

何も対策を打てないまま、いつも通りを過ごし、久しぶりのバイト先に向かう。スポーツ店に併設した簡易ジムが僕の職場だった。

思えばここには客としてを含めて5年くらい通い続けていた。家以外て最も長い期間過ごしたホームだった。

「タケが休むなんて、受験以来か?もう体調はいいのか?」

店長は僕をタケと呼ぶ唯一の人物だった。進路の相談にも乗ってくれた。部活を断念する際も悩みを聞いてくれた。しかし、今現在の悩みは相談するわけにはいかない。

「もう大丈夫です。ご迷惑かけてすみませんでした。」

さすがに一週休んだだけで環境に変化は見られなかった。仕事をしているときは今後についてあれこれ考えることを忘れることができた。

休憩中一人になると不意に考えてしまった、明日か明後日には、この場からいなくなってしまうのだろうか。いなくなるということは、みんなを悲しませることになるのだろうか?両親は姉は、友人や知り合いは、僕がいなくなったあとどうするのだろうか?

シンドウシンタロウほど何かを残すことはできないし、何も成し遂げてはいない。ウラベタケヤスはまだ何者にもなれていない。人生にクライマックスというものがあるのなら、辛うじてプロローグが終わりというところだろうか?
それとも今がクライマックスなのだろうか?

シンドウシンタロウは数々の事件を解決し、何人もの犯罪者を捕まえた。その前は少しばかりではあったが、逸品と呼ばれる製品を作ることができた。もっと前では何人もの子どもたちを指導し社会に送ることもあったし、何人もの患者の命を救い、逆に奪うこともあった。
歴史に名を刻むことはなかったと思うが、自分が生きた証は残すことができた。

「そうか、これまでが幸運だったのか。」

人が生きる理由を久しぶりに考えた気がする、いつ終わるかわからないし、終わりがないのかもしれない。でもウラベタケヤスは終わりを迎える。もちろん望んではいない。すべてを受け入れたわけではない。

しかし、彼らの言葉が本当ならば、僕にしかやれないことがある気がしてきていた。

「ウラベくん?聞いてる?」

声をかけられ我に返った。いつの間にか、イグチカナエが休憩室に来ていた。

「そろそろ交代だよ。でも大丈夫?ぼーっとしてたけど、体調悪いなら早退する?」

「いえ、問題ないです。そうですか、じゃあ戻らないと。
そうだカナエさん、あれから変わったことありましたか?」

あの男は謹慎をくらっているから、何もあるはずはないのだが、聞いておかないのも不自然だろう。

「うん。特に何も。犯人がわからないのは、気持ち悪さが残るけど、このまま何もなければいいね。」

「そうですね。目的もわかりませんし気をつけた方がいいですね。何かあればすぐ連絡ください。」

「たしかにまだ注意した方がいいよね。
じゃあさ、今日一緒に帰らない?駅まででいいから送ってよ。」



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