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異邦人の拝礼

駅から歩いて20分、
鳥居をくぐってから10分、
太陽に照らされ続けた体には、
少し疲れがみえてきた。

顔を上げても、振り返っても、
都市の形相は緑に遮られ、喧騒も届かない。
すれ違うのは旅行者ばかりで、
耳に入ってくるのは
外国の言葉とセミの声だった。

ここは東京の真ん中で、
まさに日本と言える場所を歩きながら、
時間からも空間からも、
はじき飛ばされたような気分になる。

広い道を進み、
さらに拓けたところに鎮座している
鈍く赤い屋根。
手水場で身を清め、屋根をくぐり、
二礼・二拍手・一礼を
前の人に習って行う。

月曜日の午前中、
異邦人が境内で見上げる初夏の空は、
手が届きそうに濃く、
遥かに遠い青色だった。

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