LIFE IS NOVEL #33
「それでですね、彼はしばらく謹慎ということになりました。ずいぶんといろいろと上の意向を無視して動き過ぎたと言うのが理由です。
私としては、大勢には影響ない程度の自己主張だと思ったりもするのですが、今回は相手が悪かったですね。ケンコー君以外ならもう少し効果があったでしょう。」
昨日のお詫びという主旨のもと、カノウから電話がかかってきたのは、夜になってのことだった。これまでの迅速極まりない組織活動を考えると、時間ははるかにかかっている。
つまりそれはイレギュラーが起きたから、と見るのが正しいのだろうか。そうであれば、彼らにとってのイレギュラーとはなんだったのか。あの男の暴走だろうか?それとも今朝僕が送った『有名人リスト』の効果だろうか?カノウから答えを引き出すことはできなかった。
「そうか、できればウチの姉へのフォローはして欲しいな。機嫌が悪くなって一番八つ当たりを受けるのは、僕だから。」
「それくらいはさせてもらいますよ。お姉様のことは任せて下さい。あっちの方は大丈夫ですか?」
「あっちって、誰のこと?」
「彼女ですよ。イグチさん、イグチカナエさんのことです。今日は問題ありませんでしたか?」
「いや、そもそも学校ではあまり会わないからね。彼女き報告できることでもないし。」
「消極的ですねー。チャンスじゃないですか。せっかく同じ学校で、会話のきっかけもお持ちなのですから、活かさないとダメですよ。」
「それをあんたが言うか?来週の今頃はどうなってるかわからないのに。」
「だからこそですよ。後悔しないように、今できることはすべてやっておきましょうよ。
って、あれ?ずいぶん前向きになりましたね。」
前向き?そうだろうか?袋小路に入りつつあるだけではないだろうか?
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