LIFE IS NOVEL #28

時間は20時を過ぎていた。
待ち合わせ場所はわかりやすく、あのファストフード店にさせてもらった。
指定した時間どおりに彼は店にやってきた。
無言で僕の前の椅子に腰掛ける。

「さて、単刀直入に言わせてもらうけど。僕はあなたに非常に怒りを感じている。
彼女を巻き込んだことを僕は許せない。」
「巻き込むだなんて、そこまでのことはしていないだろう。俺がイグチカナエにしたことと言えば、メールをしただけだ。まだ何も手を出しちゃいない。
しかし、期待通りの展開で嬉しいよ。」
「期待通り?」
「ああ、俺は君と一対一で会ってみたかった。交渉担当に立候補したのに、上からは却下をくらったからな。」

店内に注意を払うが、夕方に連絡し、わずか数時間でどこまで根回しができているのだろうか。

「今日も、この店の中にはそっちの仲間がいるのか?」
「いいや、今日は俺ひとりだ。ここに来ることも報告していない。報告したとしても、上から止められるだろうしね。」

「随分勝手をしているみたいだけど、いいのか?そんなことじゃ組織に居られなくなるだろう。」
「関係ないね。」
テーブルの上で手を組んで、僕の方をじっと睨みつけている。
「そもそも、俺があなたを受け入れていていたら、こんなことにはならなかった。
ウラベタケヤスではなく、俺になっていれば、万事がうまく収まっていたはずなのに、
そうならなかった。カノウからの報告で一層その後悔を募らせた。」
「それを悔やんでいるって?どうにもならないだろう。僕が選んだわけじゃない。くじ引きみたいなものさ。」
「だとしてもだ。あの時俺は覚悟を決めて、あなたに近づいた。一歩でもウラベタケヤスを止めていれば、俺が選ばれていた。そう思わないか?どちらにしてもミスを犯したのは間違いない。
だから上も俺をあんたから離そうとしているし、サポート役程度の仕事しかくれないのさ。」

「それでどうしたいんだ?嫌がらせをする暇などないんだろう?
君たちがやろうとしていることが、いつ、どこであるかはまだ知らないけれど。
悠長にしていられないのは、カノウの様子からもわかってる。」

「ああ、時間はない。でもタイミングの問題だ。今お前を殺しても、それではだめだ。あの日には、時間がありすぎる。でも、すでにその日は決まっている。教えてやろうか、ウラベタケヤス。
お前は7日後、また憑依をすることになるんだ。つまり…」

「つまり、7日後、僕はお前達に殺されるわけか。」

ウラベタケヤスとしての余命宣告。僕はそれを冷静に聞いていた。おそらく避けることのできないことはわかっていた

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