LIFE IS NOVEL #34
「本当に体調はもう大丈夫なんだよね。無理は禁物だよ。」
「ですから、大丈夫ですって。心配しすぎです。今日の仕事も特に問題なかったでしょう?」
イグチカナエとバイト上がりが一緒になることは珍しいことではなかったし、食事をしてから帰宅、というのも始めてではなかった。
いつもとりとめのない会話をしたり、バイトの愚痴をいうだけだけど。
「でも、その、見ちゃったんでしょう?あの駅前の交通事故。ほらトラウマになってるとかない?なんだっけPTSDってあるじゃない?」
「まあ、そういう人もいるでしょうね。何かあれば病院に行きますよ。僕が何を勉強してると思ってるんです?」
「それもそうだよね。この前のウラベくんがちょっと変だったから、気になっちゃって。
ごめんね。余計なお世話だよね。」
「ですね。むしろ僕の方がカナエさんを心配してますよ。なんだかお疲れみたいです。」
「え?そうかなぁ。うーん。ちょっとね。
あ、あの迷惑なメッセージが理由じゃないよ。ゼミの課題の方が忙しくて。」
「へぇ、どんな課題なんです?」
「ウチのゼミね、先生が『政治は生き物だ』って考えらしくて、今の社会問題を私らに予測させるの。答えがないから、色々リサーチしないとレポート通らなくてさ。」
「カナエさんでも大変なんですか?」
「『でも』ってところは気になるけど、うん。今回の課題がいつもと勝手が違うのよ。社会問題ではあるんだけどね。」
イグチカナエはため息を吐いて、呟いた。
「国際問題は違う学部の領域だと思うんだけどねー。」
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