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SDGsを達成するための国連改革

<世界の飢餓は拡大>
 
国連食糧農業機関(FAO)は、ケニア北部からソマリア、エチオピアの大部分まで広がる地域で2022年に最大2000万人が飢える恐れがあると発表しました。過去40年間で最悪の干ばつが原因で、ロシアによるウクライナ侵攻で自体が一段と悪化しています。サハラ砂漠以南アフリカでは20カ国以上で、小麦輸入に占めるロシアとウクライナのシェアが10%以上です。IMFは、サハラ以南のアフリカで消費者物価が2022年22.2%上昇すると予想しており、ほぼ20年ぶりの高インフレです。エチオピアでは食料価格が2022年4月に前年同期比で43%上昇しました。 
 
FAOなど国連5機関は、2020年に世界で飢餓で苦しんだ人は最大8億2800万人と推計しています。紛争や気候変動で農作物の不足が相次いだことに加え、アジアやアフリカなどでの人口増加も背景にあります。FAOが算出する『食料価格指数』も2022年に入り過去最高の水準まで上昇しています。もともと2020年からのコロナ禍で世界の物の流れが混乱していたところにロシアによるウクライナ侵攻が加わり、食料の供給不安が深刻化しました。 
 
国連世界食糧計画のビーズリー事務局長は2022/7/11、ロシアによるウクライナ侵攻を受けた世界の食料危機について前例のないものだと強調しました。ウクライナの主要港オデッサからの穀物輸出の再開や食料が不足する国への支援強化が急務だと訴えました。世界36カ国以上が、穀物の6割超をロシアとウクライナに依存します。ロシアやベラルーシからの肥料供給も滞り、2023年にかけて食料価格が一段と高騰する恐れがあります。 
 
<SDGsの目標No2『飢餓をゼロに』>
 
国連は、SDGsの目標No2『飢餓をゼロに』に、以下のターゲットを示しております。
 
2.1 2030年までに、飢餓を撲滅し、全ての人々、特に貧困層及び幼児を含む脆弱な立場にある人々が一年中安全かつ栄養のある食料を十分得られるようにする。 
2.2 5歳未満の子供の発育阻害や消耗性疾患について国際的に合意されたターゲットを2025年までに達成するなど、2030年までにあらゆる形態の栄養不良を解消し、若年女子、妊婦・授乳婦及び高齢者の栄養ニーズへの対処を行う。
 
また、上記に対応するKPIは以下の通りです。
2.1.1   栄養不足蔓延率(PoU)
2.1.2   食料不安の経験尺度(FIES)に基づく、中程度又は重度な食料不安の蔓延度
2.2.1   5歳未満の子供の発育阻害の蔓延度
2.2.2  5歳未満の子供の栄養不良の蔓延度
 
現時点の世界における上記KPIの数値は分かりませんが、明らかにロシアのウクライナ侵攻前に比べて悪化しているものと思われます。それは上記の飢餓人数が8億人を超えていることからも容易に想像できます。
今はすでに2022年です。ターゲット2.2の目標は、2025年達成を目標としています。残りあと3年しかありません。
 
国連、G20を含め、戦後に構築された国際機関は現在ロシアと中国を中心とした反発により機能不全に陥っています。ほとんどの会議が非難の応酬となり、誰もこの目標に対してどうやったら達成できるのかを真正面から議論していない状況です。
目標とは達成する可能性があるからこそ意味を持ちます。達成されない目標を何度か掲げてもそれは意味がありません。美しい言葉を並べてもそれはお題目で終わってしまいます。SDGsの前身であるMDGsも理念としては素晴らしいものがありましたが達成されなかったため、SDGsに引き継がれました。仮に2030年までにSDGsの目標の大半が達成されなかったとしたら、国連はまた2045年の目標とするXXGsを作るのでしょうか。多分それではほとんどの人が相手にしないと思います。目標を立てても達成しなくていいのであれば、目標を立てる意味がないからです。
 
<原因は権限と責任の不一致>
 
私見ですが、原因は権限と責任の不一致にあると思います。国連安保理の常任理事国であるロシア、中国は拒否権は発動しますが責務は追っておりません。拒否権という権利は行使するのですが、SDGsという責務に対しては責任を負っていないのです。
ウクライナのゼレンスキー大統領が2022/3/23に日本の国会でスピーチをした際に、国連改革を日本に依頼しました。岸田首相はこの話を受けましたが、具体的な案は何一つ上がっていません。参院選が終わった今、出てくるのでしょうか? 
 
私がもし岸田首相なら国連改革の柱として常任理事国、非常任理事国に責任と権限の一致を求めます。具体的には常任理事国にSDGsのターゲット及びKPI達成の為に必要な責務を分担してもらいます。17目標を常任理事国5カ国であれば一カ国3つといった感じです。この目標を達成するために常任理事国は国連加盟国に対して必要な指示を出すことができます。ただし達成できなかった場合には、自分の国のお金を使って何が何でも達成しなければなりません。非常任理事国は常任理事国のサブとして各目標の達成をサポートします。達成できなかった場合は常任理事国の半分の責務を負います。
仮にロシアが常任理事国として、上記SDGs目標No.2『飢餓をゼロに』を担当していた場合、すぐにウクライナとの戦争はやめるのではないでしょうか?そしてウクライナとロシアの穀物を使って、より多くの国に2025年までの目標を達成するように仕向けるのではないでしょうか?2025年までに達成できなかった場合、ロシアの国家予算を使ってこの目標を達成しろと言われたらロシアは破産するからです。 
 
多分こんな制度ができたら、国連の常任理事国、非常任理事国になる国はほとんどないと思います。それぐらい今の国連には責任がないのです。約80年前の第二次世界対戦後の戦勝国で構成されている常任理事国は、今の時代には合わないのかもしれません。『権限あって責任なし』はどの組織にも共通する悩みではありますが、やはり人間は易きに流れやすいものなのです。
 
上記の制度は極端かもしれませんが、そのぐらいの強硬策でないとSDGsは達成できないと思います。達成できなくてもいい目標であれば問題はないのですが、達成できなかった場合に人類が地球に存続していくことが難しくなります。人類が地球に住みたいのならば達成しなければならない目標なのです。私も含め一人一人がもっと真剣にSDGsに向き合う必要があると思っております。 


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