Justice Day Chapter #4
Profiling
SOYO「ヨアキムさんこんにちは。この間は素敵なサプライズをありがとうございました。もうめっちゃシアワセでした!」
Joakim「やあマイフレンド。楽しんでくれたのなら何よりだよ。…ところで、みんな一緒で良かったのかい?」
SOYO「正直ちょっと悩んでんけど、この3人やったら大丈夫かな思て。」
Joakim「君の判断を尊重するよマイフレンド。ただ、こちら側には今回の話に相応しいメンバーがいるんだが構わないかい?」
SOYO「ヨアキムさんの提案やったらウチは大丈夫です。」
Joakim「OKじゃあ始めようか。紹介しよう。」
Oliver「やぁお嬢さん。俺はオリヴァー・サイクスだ。オリィって呼んでくれ。」
SOYO「こんにちは。SOYOです。」
Joakim「オリィはADA-UKHQの首席プロファイラーなんだよマイフレンド。」
Oliver「肩書や所属はどうでもいい。恐らく君にとって重要なことは、俺は魔族と人間のハイブリッドだということさ。」
KANO「ハイブリッドって…ミサイルのこと?」
GUMI「それは特定の車種と特定の年齢層の組み合わせだけじゃん…って、ちょっとブラックジョークが過ぎやしませんか?」
MOMO「ハイブリッドって元々『雑種』っていう意味だから…まぁ『ハーフ』ってことなんじゃね?」
Oliver「あぁ、そういうことさ。勿論俺も君たちの事は聞いているよ。そして前回のJoakim達との会話で、君が少し屈託を抱えているようだということもね。SOYO。MOMOやGUMIは知らないと思うが、魔族は人間が文明を持つずっと前からこの星にいた生命体でね。知性も身体能力も一般的な人間より遥かに優れているんだが、個体数が圧倒的に少ないから人類発展の影に隠れて普段は目立たないよう人間の行動範囲と被らないように暮らしているんだ。」
GUMI「そうだったんだ…パパに教えてもらう暇もなかったからなぁ。」
MOMO「でも、それじゃあ人間を襲撃するのってすごくリスクが高いってことですよね?じゃあどうして…」
SOYO「それはな、魔族かてこの世界の住人やってことやねん。だから、人間がやろうとしてることが、ウチらの生存する環境を脅かすようやったら命を懸けてでも抵抗するってことなんよ。実際、過去にも何回かそういう事はあったし。」
MOMO「それは…そうだよね。でもさ、例えば戦争で核兵器を使うかもしれないとか言うならわかるよ。でも、何で日本であれだけ大変なことになったの?何もしてないじゃん。」
Oliver「確かにここヨーロッパと違って日本では戦争はしていないし核兵器が使用されるリスクもごく低い。ただ、環境破壊はどうだい?」
MOMO「あの震災以来原発はほとんど稼働してないし、再生可能エネルギーを沢山使うようになったじゃん。」
GUMI「だよね。風力とか太陽光とか…あっ!…そういうことか…」
Oliver「そういうことさお嬢さん。山を丸裸にしてソーラーパネルを置いたり、山の中や海底に風車の支柱を立てるだろ。確かにそこには人間は住んではいないが、基本人間にしか配慮しないよな。」
SOYO「少なくともここではそれがウチらが立ち上がる理由ではあってん。ただ…」
GUMI「ただ?」
KANO「やり方が極端だって言いたいんでしょ?KANO最初は見てるだけだったから分るんだけど、今までとやり方が違ってたよね?結構無茶っていうかさぁ…」
SOYO「人間が武器の開発するみたいに、魔族も自分らが殺されるリスクを抑えて戦う工夫をしたわけやねんけど、そのやり方が…KANOが言うみたいに極端やったんよね。せやからウチはアホらしなって単独行動するようになったんよ。」
MOMO「で、アタシに出会った…と。でもどんなことしたんだろ。」
Joakim「彼らは戦闘にかかわる個体の身体能力をより高めて、恐怖心を取り去る『細工』をしたってわけだよ。」
GUMI「そんな…酷い…」
Oliver「とは言え似たようなことは人間もやっているだろ。パワードスーツもそうだし、ウエアラブルデバイスで脳波に働きかけて恐怖心や痛みを鈍らせる実験も進んでいるらしい。」
SOYO「で、ここから先はウチの想像なんやけど、そういうことを進めてる奴らの一部が過激化して、戦闘マシーンみたいな個体を作って、更にこないだのMOTHERみたいなのを作り出したんちゃうんかなって思ってるねん。さっきオリィさんが言わはったように元々一般の魔族ってそこそこ知性が高いんよ。でも、渋谷の地下から湧いてきたんの動き見ても凶暴なだけで結構頭悪いなぁって思ったんよね。」
MOMO「一般の魔族の強化じゃなく、能力を戦闘に全振りした個体を物凄い数量産できる体制を作ったってこと?確かに数的劣勢は覆せるかもだけど、そんなことしたら一部の人間は対抗して核兵器使っちゃうかもしれないのに。それじゃあ本末転倒じゃん。」
Oliver「全く君たちには驚かされるよ。俺のチームの連中より的確にプロファイリングするんだからな。君たちの想像はほぼ合っている。こっちでの状況分析と…あまり詳しくは言えないんだが魔族側からの情報も踏まえるとね。…ところでこのくらい状況の認識がシェアできたのなら、そろそろ本題に入ってもいいんじゃないかい?SOYO。」
SOYO「オリィさんは察しが良いですね…参りました。」
Joakim「そしてここから先は君たち四人だけで議論したほうがいいんじゃないかいマイフレンド。」
Oliver「あぁ、俺たちが口を挟むべきことじゃないな。」
Joakim「ただ、一つだけお願いがあるんだが、議論の時にはあまり主語を大きくしないことだ。『日本人は』とか『人類は』とか『魔族は』じゃなく、『自分はどうしたいか』を第一に考えてもらいたい。じゃあなマイフレンド!」
Oliver「またなお嬢さんたち。上手くいくことを祈っているよ。」
SOYO「…このまま続けてかまへん?」
KANO「いいんじゃない。」
***
Chapter #5に続く。
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