Justice Day Chapter #6

Rearmament

MOMO「『君たちの考えに関する長いメールを読ませてもらったよ。実に示唆に富んだ素晴らしい内容だった。君たち個々の目標はともかくとして、物事の進め方については150%賛同する。具体的方策については一緒に考えてゆこう。近々にParから連絡が行くと思うが十分に議論を尽くしてもらいたい。
君たちのような人ばかりであれば、世界はもっと素晴らしい場所であるはずなんだが、残念ながらこちらでは少し忙しくなってきてね。クローン魔族の増殖に加え、騒ぎに乗じて領土的野心を露わにする馬鹿共(人間)が動き出したので、両面への対応に追われているんだ。君たちの国の伝統的なコメディで「にんげんこわい」という話があるらしいけれど、まったくその通りというか、情けないよ。
さて、以前に預かった君たちの武装に関する要望だが、課題の分析と対応策の検討、そして要素技術に関する基本設計をこっちで行った。SOYOとKANOの武装についてはOliverから沢山ヒントを貰ったよ。ただ、君たちの使い勝手を反映した設計の細かい詰めや補修部品まで含めた生産は日本でしたほうがいいだろうから、図面と実験データは再建を果たしたADA-JPHQに送っている。新しい司令官のYoshiから君たちにコンタクトがあるはずだ。楽しみに待っていてくれよマイフレンド!』…だって。」

GUMI「助かるぅ〜。」

SOYO「でも火事場泥棒みたいなんがおるんやな。ムカつく。」

MOMO「…あ、続きがあった。『友情の証に我々のバトルスーツを送ったよ。気に入ってくれると嬉しいな。』らしい。」

KANO「バトルスーツ…ねぇ。」

MOMO「まぁ確かに今までの赤黒やったら目立ちすぎるか。」

GUMI「私は革パンだから大丈夫だけど、スカートじゃパンツ見えちゃうしね。」

SOYO「きゃっ。」

〜♪〜

MOMO「はーい。」

???「どもー海外から小包でーす。」

MOMO「ちょっとお待ちくださ〜い…って、えーっ?」

GUMI「どしたの〜?」

MOMO「まぁ、どうぞ。散らかってます…ケド。」

???「お邪魔しま〜す。…ども。皆さんお久し振り。」

一同「サ…サタケさん?」

***

MOMO「…で…サタケさんがADA-JPHQの一番偉い人っていうこと…なんですか…」

サタケ「まぁ何と言うか…行きがかり上そうなっちゃいまして…」

GUMI「ん?それって、さっきヨアキムさんのメールで言ってた『Yoshi』がサタケさんなの?」

サタケ「確かに、組織の海外メンバーからはそう呼ばれてます。今日は欧州本部のブローデン司令から要請を受けてお邪魔したんですけどね。実際にお届けものもありましたし。」

SOYO「ブローデン司令って…あ、ヨアキムさんのこと?」

サタケ「そうですけど…他にもサンドストローム首席参謀や英国のサイクス首席分析官からも色々と…」

GUMI「パーさんとオリィさん?みんな結構仲良しだよね?」

サタケ「一体何なんですかあなたたちは?…まぁいいや。今日は皆さんの装備品について詳細設計方針がまとまったのでその連絡と確認のためにお邪魔したんですが。」

MOMO「サタケさん忙しいのにわざわざ来てくれなくてもメールとかリモートで良かったのに。」

サタケ「まぁ詳しくは言えないんですが、この事は超極秘事項なので念のため…ということです。今日は図面だけなのでお邪魔しましたけど、試作品ができたら我々の拠点までご足労いただくと思います。」

KANO「なんか身近に情報漏れちゃマズイ人がいるって…そういうことですか?」

サタケ「まぁご想像におまかせします…で、本題ですけど、ちょっとTVお借りしますね。」

***

MOMO「…凄い。アタシたちの想像の斜め上行ってるというか…」

SOYO「確かに、これやったら今までとあんまり違和感ない動きができそうやわ。」

GUMI「ってか、攻撃もそうだけど索敵機能がありがたいよね。」

サタケ「欧州と英国からは基本設計とともに直近の戦闘で得た膨大なデータをシェアしてもらっています。索敵に関してはそのデータの力が大きいですね。」

GUMI「そのヒント出したのがSOYOなんですけどね。」

サタケ「は、はぁ…」

MOMO「あの、05式20mm MMH…でしたっけ?の軽量化はすごく有難いんですけど、これって発射の時にかなり跳ね上がりませんか?」

サタケ「確かに、そこはトレードオフですね。対処としては発射時のガスを後ろに強制排気するか…」

MOMO「それってRPGの原理と同じですよね?それはマズイかも。構え方が変わっちゃうし、アタシたち基本ペアを組んで相手に背中預けるから出来れば避けたいです。」

サタケ「そうですか…じゃあ跳ね上がるの前提で照準に対して射線を下にずらすかな…そこは試作品が出来たら試射してもらって詰めましょう。」

SOYO「あの〜ウチのなんですけど…ちょっと見た目がグロいしデコったらあきません?」

サタケ「デコる…ですか…うーん、それは想定してないというか…機能的に邪魔しない部分であれば…と言いたいところなんですが、正直SOYOさんとKANOさんの装備についてはこちらも完全に原理が解っているわけではないもので…難しいですね…」

SOYO「じゃあどっかでオリィさんに相談してみます。」

サタケ「実現性は低いと思いますけど情報漏洩リスクがあるので面と向かってやってくださいね。」

GUMI「あと、索敵機能に使われている超音波検知機能ですけど、この音波って何に使われているもんなんですかね?それと、周波数が一定なら逆位相の音波をSOYOの耳元で出せないですか?それでこの子の頭痛が抑えられるんじゃないかなって。」

サタケ「周波数は今のところ入手しているデータだと一定なんですが、目的まではまだ分かってません。SOYOさんへの影響についてはここではその音を再現できないのでやはり試作品完成時にうちで確認しましょう。逆位相の音波を出すのは技術的には容易いことなので。」

KANO「KANOも武装するんですか?別にいいのに。」

サタケ「まあ一応。こちらも原理は不明ですが、筋繊維の変異を衝撃波に変換できる装置らしいので筋トレの効果は反映されるのではないかと…それと、着脱は比較的簡単にしておきますので…やっぱりブローデン司令の言う通り試作の前に意見を聞いてよかったです。じゃあ、試作の目処が立ったらまた連絡します。」

MOMO「ありがとうございます。あと、お届けものって…?」

サタケ「あぁ、忘れるとこでした。これです。欧州本部からです。…と、その前に。日本の組織について少し説明させて下さい。」

SOYO「ADA-JPHQのことですね?」

サタケ「そうです。前回の戦いのごく初期段階で組織のメンバーは全滅したので現在再建中だということはお聞きと思います。あ、そうだ、再建においてはGUMIさんのお父様とお祖母様に沢山の助言を頂いています。組織を代表してお礼申し上げます。」

GUMI「お役に立てているなら良かったです。」

サタケ「皆さんのお考えや達成したいことについては欧州本部を通じて聞いていますし、我々としても大いに共感するところです。とは言え、私としては皆さんには組織に加わって貰う必要はないと思っています。」

KANO「それはさ…KANOたちが邪魔ってこと?」

サタケ「その逆です。有事の際には皆さんの力は大いに必要です。ただ、我々が皆さんの行動の足枷になってはならないということです。勿論、今やっている装備の開発や弾薬、補修部品の手配など兵站の整備については全力で協力しますし、我々の部隊との共闘は望むところです。なので、皆さんは皆さんの信条に従って戦ってもらいたいということです。この事は欧州・英国からも強く要望されています。」

MOMO「それはありがたいです。情報共有はちゃんとさせてもらいます。何よりサタケさんがトップの組織なら安心だよね。」

SOYO「そやね。唯一信用できる大人やし。」

サタケ「恐縮です。…じゃあ、これ、開けてみてください。」

MOMO「…バトルスーツ…よね?」

SOYO「…多分」

KANO「有難いんだけど…ね。」

GUMI「微妙…ってか、デカ過ぎるわ!このパンツなんかSOYOとGUMIさん片足ずつに入っちゃうじゃん。」

サタケ「ペアで戦うんだからいいんじゃないすか?…知らんけど。あ、スンマセン。取り敢えず渡しましたんでこれで失礼しまーすっ!」

***

KANO「で、どーするこれ?」

MOMO「リメイク案件だね、これは。」

GUMI「そうだけど…誰がやんのよ。」

KANO「KANOは無理だよ!」

MOMO「アタシも。」

SOYO「ウチ?いやこれ仕立て直しレベルよ?」

GUMI「ってか、お腹空かない?今日は外に食べに行こうよ。」

SOYO「良かった…今日は休める…」

MOMO「その分リメイクよろ〜。」

KANO「ねぇ。KANO、焼き鳥食べたい。セセリ大好き!」

SOYO「タイムリーにザワつくコメントやがな。」

***

Chapter #7に続く。


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