親愛なるBUCK-TICKへ

まず初めに言いたい事は、35年間絶える事なく1つのバンドを続けるというのは、本当に凄い事なのだという事。バンド結成以来、絶え間なくずっと同じ熱量を注いできた証明でもあります。
星野君と話した時、頑張っていなかった瞬間は無いと、キッパリ言い切っていました。

BUCK-TICKがどんなバンドなのか、僕がここで語る必要など全くないのですが、彼らがスペシャルなのは音楽家としてよりもむしろ、その関係性にあるのかも知れません。ずいぶん前になりますが、恵比寿を歩いていた時、ばったりとBUCK-TICKのメンバーと遭遇した事があります。これからメンバーの親族のお店にみんなで行くところだと、僕もそのまま拉致されるように連れて行かれました。
バンドを組んだばかりの少年たちが練習帰りにみんなでご飯を食べに来たように、某メンバーが若いころのジャッキー・チェンに似ている、似ていないで大はしゃぎする。バンド結成から変わらない彼らの関係性こそが、BUCK-TICKそのものであり、どんなにバンドが大きくなろうと、誰に対しても、ふんぞりかえって偉そうにする人はいない謙虚でひたむきなバンドの姿勢は、誰よりも控えめなフロントマン、櫻井敦司そのもののように思います。

そして訪れた昨夜、喜び、悲しみと不安が入り混じった複雑な心境でライブに足を運んだのは、僕だけではないはずです。
櫻井君の葬儀の時、今井君が「続けます」と言ってくれたのはとても嬉しかったのですが、昨夜のライブを観て再度安堵したのです。皆さんも聞いたでしょう。「俺が最後の一人になると思うけど」…つまりBUCK-TICKは最後の1人になっても、続けるという今井君の決意表明です。
こんな悲しい状況すら、わくわくする瞬間に変えてしまう今井寿という偉大な魔法使いは、必ず僕たちに新たな景色を見せてくれます。

終わらないParadeが、新たなスタートを切った。

愛と敬意をこめて
土屋 昌巳

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