見出し画像

『「武蔵野市住民投票条例案」に対するよくあるお問い合わせ』に対する一武蔵野市民の反論

現在、武蔵野市長により提案されている外国人に投票権を付与する武蔵野市住民投票条例案(以下で、「本条例案」という。)について、武蔵野市のHPでは「よくあるお問い合わせ」として20問の質問に対する回答を掲載し、市の見解を公表している。しかしながら、その大半は、素案における従来からの説明と殆ど変わりがなく、従前同様、説得力に欠ける。

しかも、市民アンケートに記載されていた「よくある質問」や素案に記載されていた「説明」と同様、市側の一方的な結論のみを述べるものが多く、その結論に至った具体的な理由(例えば、外国人に住民投票権を付与していない現在、市政において具体的に発生している問題(いわゆる立法事実)や、当該問題を解消する施策として外国人に住民投票権を付与することの必要性や相当性など)や、考慮した反対意見の理由とそれに対する市側の見解などを記載しないものが殆どである。本条例の適否について、市民が合理的に判断するために役立つあらゆる情報を提供しようとの姿勢が全く感じられないどころか、むしろ、市側の提案に賛成することを誘導しているかのようにも感じられ、全市民の利益を考慮すべき市の対応としては不公正(アンフェア)と感じざるを得ない。外国人に住民投票権を付与することについては、市民アンケートの結果でも2割の住民が反対していたばかりか、賛成の意見の中でも在留期間等の要件が必要として市側の提案には反対している意見もあった。さらに、素案に対するパブリックコメントの結果では、反対意見の方が賛成意見よりも大幅に多かった。

武蔵野市の自治基本条例第7条は市長等の責務として、第1項において「市長は、武蔵野市の代表者として、市政を総合的に調整し、公正かつ誠実に運営しなければならない。」、第4項において「市長等は、市民の意見を把握し、市政に適切に反映させるよう努めるものとする。」と規定し、第8条は職員の責務として、第1項において「職員は、市長、議長その他の任命権者の監督のもとに、法令を遵守し、誠実に、公正に及び能率的に職務を遂行しなければならない。」、第2項において「職員は、自らが自治の担い手であることを自覚するとともに、市民の信頼に応え、様々な公共的課題に対して、市民全体の利益を確保する観点から職務を遂行するよう努めなければならない。」と規定し、第12条は説明責任として、「市は、政策形成の過程を明らかにするとともに、政策、施策、事務事業等の立案、決定、実施及び評価の各段階において、その内容について市民に対して分かりやすく説明するよう努めなければならない。」と規定している。市長、職員からはその責務及び説明責任を十分に果たそうという意欲が感じられないどころか、市民を無視しているのではないかとも感じざるを得ない。

また、そもそも市議会に本条例案を上程した現段階において、このように多くの問い合わせがあること、それに対する回答を市のHPで公表せざるを得ない状況に至っているということ自体が、市民に対する周知不足の証左であり、このような周知不足の本条例案については一旦撤回して再検討するのが、市民全体の利益を考えるべき市長としての取るべき道である。ただ、現時点では、市長からそのような方針は聞こえてこず、むしろ今月の市議会での成立を目指しているようである。そこで、以下において、現在市のHPで公開している「よくあるお問い合わせ」の市側の回答のうち、重要と思われる幾つかについて、「よくあるお問い合わせ」に掲載されている問い、市の回答を挙げた上で、反論を述べたい。

なお、反論の多くの部分は、下記のnoteで既に述べたところと重なるところであるため、適宜そちらも参照していただきたい。

問1:外国人へ参政権を与えることにならないか?

市の回答:
本市の住民投票制度は、外国籍の住民が市長や市議会議員、国会議員の選挙へ投票できるものではありません。
参政権のうち、もっとも一般的で重要なものは選挙権とされていますが、本市の住民投票制度は条例に基づき実施されるものであり、投票結果に法的拘束力を持たず、「意見を表明するため」の制度です。投票結果に法的拘束力があり、「代表者を選ぶため」の選挙権とは明確に位置付けが異なるものです。
よって、本制度の確立により、外国籍住民へ選挙権(市長や市議会議員選挙等へ投票する権利)や被選挙権(市長や市議会議員等へ立候補する権利)を与えるものではありません。


反論:
① 住民投票は、直接民主制の一つであり、選挙権等の間接民主制と同様に、政治に参加する制度の一つであり、参政権の一種である。


現在の地方自治体においては、住民が選挙により選んだ首長と議員が住民の代表者として地方自治体の政治決定を行う二元代表制が採用されているが、この間接民主制の他に、住民が選挙により選んだ二元代表を通さず、住民投票により、首長・議員のリコールや議会の解散などの直接請求を行う直接民主制の制度が地方自治法上存在し、これも重要な参政権の一つである。すなわち、住民投票は、直接民主制の一つであり、選挙権等の間接民主制と同様に、政治に参加する制度の一つであり、参政権の一種である。しかも、住民投票は、民意を地方政治に反映する制度としては選挙よりも直接的な制度である。よって、住民投票においても、参政権(選挙権)と同様に、あるいはそれ以上に、その参加者を国民に限定するのが原則であるべきである。参政権ではないとの市の説明は不正確であり、また、選挙権ではないことが、外国人を参加対象とする合理的理由とはならない。


② 住民投票は、実質的な拘束力があり、二元代表による政治決定に重要な影響力がある


また、本条例に基づく住民投票は、法的拘束力がないと説明している。しかしながら、法的拘束力はないとしても、それはあくまでも形式論にすぎない。実際、条例上、市長と議員は住民投票の結果を尊重する義務を負うものとされており、本条例の素案の説明では、『法的拘束力を持たない「諮問型」と呼ばれる住民投票制度ではありますが、投票資格者数の4分の1以上(約32,000件)という署名が集められ、議会の議決を要せずに実施された住民投票の結果については、市長と議会は重く受け止めたうえで、最終的に市長と議会が決定するものと考えます。』とされている。さらに本条例の元となっている住民自治基本条例の市が作成した逐条解説では『現行の制度上は、住民投票の結果に法的な拘束力を持たせることはできないため、投票の結果については、市長及び議会は「尊重する」という規定となります。とはいえ、住民投票の結果には実質的な拘束力が生まれるものと考えられる(後略)』と解説されている。

住民自治の推進のために、常設型の住民投票制度が制定され、投票資格者の4分の1以上の署名が集められて発議され、投票資格者の2分の1以上(投票率50%以上)の投票により成立した住民投票の結果について、市や議員が実質的に拘束される、あるいは少なくとも重要な影響を受けると考えるのは当然であろう。このように考えれば、法定拘束力がないからという形式論により、住民投票の投票権者に外国人を含めてよいとすることは説得力に欠ける。また、そもそも、住民投票の結果をそのように軽いものとする考えは、住民自治の推進という住民投票制度の導入目的という市の説明にも反するものであり、市の説明には、その導入目的と導入する政策の内容・効果に矛盾があるとも言わざるを得ない。


問2:なぜ投票資格者に外国籍住民を含めるのか?

市の回答
本市では、第六期長期計画において「多様性を認め合う支え合いのまちづくり」を基本目標のひとつに掲げています。その実現のためには、市民参加を推進し、様々な立場にある市民からの意見を積極的に把握し、適切に市政に反映することが求められています。住民投票制度は、これまで本市が市民参加の手法として行ってきた意見交換会やパブリックコメント、アンケート、市民意識調査などに新たに加えられるものであり、本制度においても外国籍住民を含めることは合理的であると考えています。


反論:
① 外国人に住民投票権を付与することを合理的とする理由の記載が一切無い


多様性の実現のために、「市民参加を推進し、様々な立場にある市民からの意見を積極的に把握し、適切に市政に反映すること」が求められることから、住民投票制度を、これまで市が市民参加の手法として行ってきた意見交換会やパブリックコメント、アンケート、市民意識調査などに新たに加えることとするとしても、最後の「本制度においても外国籍住民を含めることは合理的である」との説明については、従前と同様、その具体的な理由やデメリットを含む検討過程等が全く記載されておらず、その結論のみを述べるものであり、本Noteの冒頭にも述べたが、市民に対する説明としては不公正かつ不十分である。外国人に住民投票権を付与することについては、従来からのアンケートやパブリックコメントなどにおいても、反対意見がその理由も含めて上がってきているのであるから、少なくともそのような反対理由があることを明記するのが、全市民の利益を考慮するべき市の対応であるはずである。


その上で、外国人住民投票権を付与することが合理的との市の説明に対しては、以下のとおり反論する。


② 外国人住民投票権は、国民の一票の価値を毀損し、二元代表制による民意を歪めることになる


そもそも、上記の通り、諮問型の住民投票であっても二元代表による政治決定に重要な影響力があるとするならば、本条例に基づく住民投票の投票権についても、リコールなどの住民投票のそれと同じく、国民たる住民に限定するべきと考えるのが自然である。また、市長や議員を選挙で選ぶ有権者の範囲よりも住民投票の投票権者の範囲を広げ、外国人を含めた場合には、その外国人の数の多寡にかかわらず、投票権者がずれることから、理論的に、外国人を含む住民投票により表される民意は、選挙により表された国民たる住民の民意とは異なるものとならざるを得ないし、国民たる住民一人一人が有するべき一票の価値が毀損されることになる。そして、上記のとおり住民投票の結果を二元代表は尊重する義務があることからすれば、二元代表の選挙により示された民意が住民投票により示された民意に歪められる結果となりかねない。特に、住民投票の結果が僅差の場合には、外国人の数が全体に占める割合が少なかったとしても、その投票行動が結果を左右するリスクもある。

③  市の在住外国人を増やすという政策目的を市民に説明しないことは、市の説明責任違反である

外国人が大量移住することはないとの主張もあるが、大量移住がなくとも、住民投票の対象事項についての賛否が僅差の場合には、少数の外国人の投票行動が結果を左右する、つまり、外国人にキャスティングボートを握られるという状況はあり得る。さらには、そもそも、仮に現在の外国人の数の割合が僅かであったとしても、それは今後将来においてもそうであるという保証は一切無く、市や住民が在住の外国人の数をコントロールすることは不可能である。

さらに言えば、外国人との共生という理念の下、外国人に住民投票権を付与する政策は、合理的に考えれば、外国人が住みやすい市に変えるという政策目的があるはずであり、在住の外国人を増やすことに資する政策であることは間違いない。特に、在留期間や定住という要件を必要としない、異例の、他の自治体とは差別化を図った、外国人への住民投票権の付与は、在住期間が僅か短期の外国人をも増やすことが政策目的であると考えるのが論理的帰結である。そのような政策目的が、二元代表制による民意を歪めるというデメリットを上回るメリットがある、あるいは、そのような政策目的を達成するためには、外国人への住民投票権の付与が必須であるとは、到底思えないが、それと同時に、外国人への住民投票権の付与により、実際にその政策目的が達成できるかどうかは兎も角として、少なくとも、そのような政策目的があること、それが市民に具体的にどのようなメリットがあり、逆にどのようなデメリットがあり得るのか、そして、そのメリットはデメリットを上回るものであることにつき、市長は市民に説明する責任を負っているはずである。このような説明を一切することなく、現在の外国人の割合が僅かであることを一つの根拠として、外国人住民投票権を認めることの弊害が少ないとの説明は短視眼的な発想であるばかりか、市民を欺瞞するものとさえ感じる。このような制度を一旦導入した後に改正することは困難である可能性が高いことも考慮すれば、将来を見据えた市の政策としては配慮すべき点の配慮が不十分であると言わざるを得ない。

④  外国人住民投票権は、地方自治を害し、地方政治の決定プロセスへの信頼を害する


武蔵野市市長は、住民投票の投票権者を有権者よりも広げ外国人を含むものとすることは、広く民意を問うことにより住民自治の推進に役立つものと説明している。これは一見正しいように思えるものの、上記のとおり、選挙による民意を歪めることとなりかねないことを考えれば、短絡的な考えと言わざるを得ず、住民自治の推進に役立つどころか、むしろ、住民自治を害しかねないものであり、地方自治における政治決定プロセスへの信頼が失われるリスクがあるものと考えるべきである。


⑤   外国人住民投票権の制度目的を達成する他の手段はいくらでもある


確かに、外国人のニーズや意見を聞いた上で、市政に反映することは大切なことである。しかしながら、住民投票の投票資格を外国人に広げることでしか、そのような目的を達成できないとは到底考えられない。他方で、住民投票の投票資格を外国人に広げることにより問題は、上記のとおり地方政治の決定プロセスへの信頼性を害するという地方政治の根幹にかかわる問題をはらむことにならざるを得ない。外国人の意見を聞く手法としては、アンケート等適宜の方法があることを考えれば、そのような問題を甘受してまで外国人に住民投票権を付与すべきメリットがあるとは到底考えられず、むしろデメリットの方が圧倒的に大きいと感じざるを得ない。したがって、住民投票の投票権者を外国人に付与することは合理的な政策と考えることはできない。


問3:投票資格者に外国籍住民を含めるのは、平成7年2月28日最高裁判決の趣旨に反するのではないか?

市の回答
上記の裁判は、定住外国人は、憲法上、地方公共団体に関する選挙の選挙権を保障されているかどうかが争われたものです。
判決では、地方公共団体に関する選挙の選挙権を有することが憲法によって保障されているのは、日本国民に限られているとの判断が示されています。
本市の住民投票は、市政に関する重要事項について賛否の意見を表明していただくものであり、選挙権や被選挙権、参政権を与えるものではありません。
したがって、この判決の趣旨に反するものではないと考えています。


反論:
直接民主制の一つである住民投票の権利は、選挙権よりも政治決定プロセスにおける民意を反映する方法としてはより強力な制度であることに鑑みれば、選挙権に関する最高裁判決の趣旨は住民投票によりあてはまると考えるのが合理的である。


外国人の地方選挙権の憲法上の有無が争点となった平成7年2月28日最高裁判決は、以下のとおり述べている。


「憲法一五条一項にいう公務員を選定罷免する権利の保障が我が国に在留する外国人に対しても及ぶものと解すべきか否かについて考えると、憲法の右規定は、国民主権の原理に基づき、公務員の終局的任免権が国民に存することを表明したものにほかならないところ、主権が「日本国民」に存するものとする憲法前文及び一条の規定に照らせば、憲法の国民主権の原理における国民とは、日本国民すなわち我が国の国籍を有する者を意味することは明らかである。そうとすれば、公務員を選定罷免する権利を保障した憲法一五条一項の規定は、権利の性質上日本国民のみをその対象とし、右規定による権利の保障は、我が国に在留する外国人には及ばないものと解するのが相当である。そして、地方自治について定める憲法第八章は、九三条二項において、地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が直接これを選挙するものと規定しているのであるが、前記の国民主権の原理及びこれに基づく憲法一五条一項の規定の趣旨に鑑み、地方公共団体が我が国の統治機構の不可欠の要素を成すものであることをも併せ考えると、憲法九三条二項にいう「住民」とは、地方公共団体の区域内に住所を有する日本国民を意味するものと解するのが相当であり、右規定は、我が国に在留する外国人に対して、地方公共団体の長、その議会の議員等の選挙の権利を保障したものということはできない。


上記最高裁判決では、日本の政治決定プロセスにおける国民主権の原則の重要性、そして、地方公共団体が国の統治機構の不可欠の要素であることを述べている。そして、上記の判決は選挙権に関するものであるが、そもそも、直接民主制の一つである住民投票の権利は、選挙権よりも、政治決定プロセスにおける民意を反映する方法としてはより強力な制度であることに鑑みれば、地方自治体における住民投票の権利については国民主権の原理がより強く働くと考えるのが合理的である。実際、地方自治法上の直接請求を行うための住民投票の投票権は日本国民に限定されている。そうであるならば、住民投票が選挙権ではないことを理由として、上記の最高裁判決の趣旨に反しないとの説明はあまりに浅薄な議論と言わざるを得ない。


問4:日本国憲法の「国民主権」の趣旨から、外国籍住民に住民投票権を与えることは不適当ではないか?

市の回答
「国民主権」とは、政治について、最終的に決定する権利が国民にあるということであるということであると認識しています。
本市の住民投票制度は、投票結果に法的拘束力がありません。投票結果がそのまま市の意思決定となるものではなく、投票結果を踏まえ、国民である有権者から選挙で選ばれた市長と市議会議員が市の政治を決定する二元代表制の仕組みに何ら変わりはありません。
したがって、国民主権の趣旨に反するものではないと考えています。


反論:
上記の法的拘束力がないとの市の説明については、既に問1、問2で反論した内容により反論済みである。


問5:少なくとも外国籍住民は、「市内在住3年以上」や「永住者に限る」などの要件を設けるべきではないか?

市の回答
他の自治体では、外国籍住民の投票資格の要件として「日本での在留期間3年以上」としたり「特別永住者と永住者のみに限定」としている事例があります。
しかし、本市においては、日本国籍住民の場合に3カ月在住で投票資格を得られるところ、外国籍住民に限って在留期間等の特別な要件を設けることには明確な合理性がないと考えています。


反論:
外国人に在留期間等の要件を設けることに合理性がないとする理由の記載が一切無い

上記回答については、外国人に住民投票の投票資格を与えている他の自治体43のうち、実に41(95%以上)の自治体においては、在留期間や永住者などの要件を設けていることの説明が一切なく、かつ、それらの自治体でそのような要件を設けている趣旨、理由などを記載せず、要件を設けることに合理性がないとの結論のみを記載することに終始している。これは、上記の95%の他の自治体の政策に、理由をあげることなく、合理性がないと言っているのに等しく、余りに乱暴な議論と言わざるを得ない。これまでの市の説明と同じく、市民に対する回答として誠実なものとは到底言えず、不公正かつ不十分な回答と言わざるを得ない。


問10:外国籍住民の意見を聴きたいのであれば、アンケートで十分なのではないか?

市の回答
アンケートやパブリックコメント等は、市が提案する政策等について市民の意見を伺うものですが、本制度は住民からの請求により、意見を表明していただく制度です。
武蔵野市自治基本条例(令和2年4月施行)において「住民投票」が規定された経緯や趣旨を踏まえ、これまでの市民参加の手法とは別の制度として、一人一票同一の条件で賛否を投じてもらうことで、より多くの住民から意見をいただくことができる本制度を確立する必要があると考えます。


反論:
外国人に投票権を付与する住民投票制度を「確立する必要がある」とする理由の説明がない


問2の反論と同じであるが、住民投票制度を、これまで市が市民参加の手法として行ってきた意見交換会やパブリックコメント、アンケート、市民意識調査などに新たに加えることとするとしても、外国人に投票権を付与する住民投票制度を「確立する必要がある」との説明については、従前と同様、その必要がある具体的な理由(アンケートなどと異なり、現在、外国人住民投票権が付与されていないことにより、具体的にどのような重要な問題が発生しているか、外国人住民投票権を付与することによりその重要な問題をどのように解消することを意図しているかなど)やデメリットを含む検討過程等が全く記載されておらず、その結論のみを述べるものであり、市民に対する説明としては不公正かつ不十分である。特に、外国人に住民投票権を付与することは、本来、国民たる市民が有するべき住民投票権の価値を毀損し、国民の権利を侵害するものであるにも拘らず、かかる不利益を国民たる市民が甘受しなければ、国民たる市民が得られない利益が一切記載されていない。上記の説明では、国民たる市民が不利益を受けてまで、外国人に住民投票権を付与すべき必要性、合理性があることに納得することは到底できない。

その上で、外国人に投票権を付与することは、これまでに述べたとおり、国民主権、民主主義の観点からの弊害が大きく、他方で、外国人の意見を聴取する方法は他にも存在するのであるから、外国人投票権を含む住民投票制度は合理的な政策とは言えない。

問17:結果に「法的拘束力はない」とあるが、市長や議会は結果を無視できないのではないか?

市の回答
本制度は、住民投票の結果がそのまま市の意思決定となるものではなく、その取扱いを有権者から選ばれた市長と議会が決定するという二元代表制の仕組みには、何ら変わりのないものと考えています。そして、その取扱いにおいては、多数意見と異なるものとなることも妨げられないと考えます。
投票結果の受け止め方は、市長や議員一人ひとりそれぞれであり、単に賛成や反対の結果だけではなく、全体の投票率や得票率なども踏まえた、結果全体を尊重するものと考えています。


反論:
拘束力がないとの説明は形式論にすぎず、実質的な拘束力や影響力は当然ある

市長や議会は、住民投票の多数意見と異なる取扱いを行うことは法的には妨げられないとはいえ、尊重義務があり、投票資格者の4分の1以上の署名が集められて発議され、投票資格者の2分の1以上(投票率50%以上)の投票により成立した住民投票の結果を完全に無視することができるとは常識的には考えられない。上記の回答は質問に対する回答としては形式論のみを述べているのみであり、実質的な拘束力、影響力に触れないという点において、不公正かつ不誠実な回答と言わざるを得ない。






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?