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濱田窯 塩釉窯の窯焚き

濱田窯では塩釉窯の窯焚きが一昨日の夜から始まりました。
小さな窯なので今日の夕方には終わってしまいますが…
最近は「ねらし」と呼ばれる余熱の段階のみ、夫が仮眠をとっている間に私も窯の番をするようになりました。夜中一人で薪をくべるのはなかなか贅沢な時間です。薪の爆ぜる音を聴きながら本もゆっくり読めました。


窯焚き飯はカレーを作りました。職人たちの給食も担当しています。


塩釉とは、燃え盛っている窯に塩を投げ入れるとガラス化するのを利用した施釉の技法で、ドイツの髭徳利などが有名です。濱田庄司もそれらに影響を受けて益子で再現しました。多分日本の個人作家で塩釉を作品としたのは濱田が初めてなのではないかと思われます。



三代続く濱田窯では、今もその技法を行なっています。濱田に影響を受けた佐久間窯さんや明石庄作さんでもしばらく塩釉をやられています。ここ数年、益子の陶芸家さんたちにもぽつりぽつり見かけるようになりました。よく本人に訊いてみないと分かりませんが、もしかしたらソーダ釉の人の方が多いかも知れません。ソーダ釉は塩釉と焼き上がりが少し似ていますが違う技法です。

塩釉の技法は、素焼きしたものに好みで絵付けや泥絵などで装飾したあと、施釉せずに窯に詰め、薪をくべて窯内部の温度がおおよそ1200度以上となったところに、塩(濱田窯ではオーストラリアの海の塩)を大量に投入します。
温度が高いのと、塩を入れた時に温度が急激に下がり窯と作品に負担が大きいのもあり、リスクの高い技法です。さらに薪窯でやっているので手間がかかります。そのためこの技法をされる方は非常に少ないです。ドイツの窯元でも今は何年に一度か公的なお祭りの際のみということを聞きました。そんな塩釉窯ですが、濱田窯ではなるべく昔ながらのやり方にこだわってやっています。やはり作品に趣きが違ってきます。

今回焼き上がった作品は「民芸店ましこ」さんで開催の「濱田窯展2021」にて出品します。その後6月の「うつわのみせ佳乃や」さんの濱田友緒作陶展など、徐々にお出しします。

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