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短編集

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短編小説、超短編小説をまとめています。恋愛おおめ。
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#失恋

短編小説|うましか

 十五歳、高校一年生。一年五組。彼とわたしは一年間、この教室で共に過ごした。出席番号が近く、同じ班でもあった。  班での活動は、授業のあとの掃除と、たまに総合学習の時間にグループでの調べものや発表があるときだけで、そこまで接点があるわけではなかった。  それでもわたしは、彼に恋をした。  四月の末の、体育館掃除のときだったと思う。出入り口の階段で足を引っ掻けて転んで、膝を擦りむいたとき。前方を歩いていた彼が振り向き、すぐにポケットから絆創膏を出して「大丈夫?」と声をかけ

詩|おめでとう、

 その報告を受けたとき、わたしは人目も憚らず飛び跳ねて大喜びした。  長い時間を一緒に過ごしてきた幼馴染みと、職場で一番仲が良い友だちという、わたしの人生においてなくてはならない大切なふたりが、付き合い始めたのだ。飛び跳ねたくもなる。 「おめでとう、お幸せにね」  張り上げた声は、風船みたいに膨らんで、上擦っている。  感情が溢れそうな声に、ふたりは目を丸くしたあと顔を見合わせ、フフと笑った。とても幸せそうに。とてもそっくりな笑顔で。まるでわたしには見えない、ふたりだけ

超短編|埋まらないパズル

 小学生の頃、好きな男の子の家でみんなでジグソーパズルで遊んだとき。わたしは、みんなが集中している隙に、見つけた真ん中のピースをポケットに忍ばせ、こっそり持って帰った。  またあの子と遊ぶきっかけにしようと思った。  でも翌日、欠けたパズルのピースのことで激怒するあの子を見たら、返せなくなってしまった。  直前までは「昨日帰って見たらポケットに入っていたよ、だから今日またおうちに行ってもいい?」なんて何食わぬ顔で言うつもりだったのに。もはやそんなことを言う雰囲気ではなくて、