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朝から空が おんおん号泣しているから 今夜ばかりは何を叫んでも 誰の耳にも届かないだろう 雨がやんでしまったから、もう私の嘆きを掻き消すものはない。こんな日だけなのに。特に最近は空気が澄んでいるから、私の声は空を切り裂いてどこまでも飛んでいくだろう。だからこんな雨の日くらいだったのに。空ですら、私が嘆くことを許してくれないなんて。 慰めてくれるのは、初めて一人暮らしをしたときに買って、長い時間をかけて私だけのにおいが染み込んだ、鈴蘭柄のタオルケットだけだ。それに顔を埋め、
来る日も来る日も わたしのステージに わたしは群衆として立つ 起伏のない物語に 拍手喝采のカーテンコールはない 誰も群衆を褒めない スクランブルの群れに埋もれたわたしを 見つける人なんていないのだから けれど、でも、わたしは、わたしも……嗚呼、
頑固なわたしは きみがいない日常に 絶対慣れてやるもんかって ずっと思っていたの けれどもうきみはいなくって どこを探してもいなくって いないことが普通になってしまって いつも通りの日常を過ごしている その乖離は 頑固なわたしにとって耐え難い どうしようもなく耐え難いの……
不思議、ほんとうに…… きみの選んだ道を、理解して、納得していたはずなのに きみのいない日々が、ちゃんと日常になったはずなのに ごくたまに 例えば深夜に部屋の寒さと静けさを感じたときに 選んだ道の正しさを考えてしまうの なんとも言えない感情が沸き上がるの 心の中の柔らかい部分を とても大きな分銅でゆっくりと押しつぶされているような そんな感覚があるの 不思議ね、ほんとうに……