見出し画像

第20回 #書き出し祭り 第二会場感想(まさかミケ猫)


はじめに

 第20回書き出し祭り第二会場の感想を以下に書いていきます。以前Xで呟いたタイトル・あらすじへの感想(※本文未読時のもの)も一緒に掲載しますので、予想や期待をどのように突き抜けてくるのか、といった部分にも着目していきながら感想を書いていきたいと思います。

企画概要

第20回書き出し祭り 第二会場

https://ncode.syosetu.com/n6060in/

事務局ポスト

タイトル一覧

第20回書き出し祭り 第二会場 タイトル一覧

あらすじ一覧

2-01 口無しのサナギとトリコは忘れない

タイトル・あらすじ感想

 第二会場一発目から怖くてゾクゾクします。晴矢は何者なのか。乃明はどうなるのか。結理は歪められてしまうのか、それとも……こんな真冬になんてもの読ませようとするんですか。最高です。

本文感想

 こわっ。そしてあらすじの続きを読ませていただき、ありがとうございます。なるほど、こうなっていくのかぁ……だいぶ、だいぶ怖いですね。最高でした。
 本作はホラーの中だと何系って言えばいいんですかね……あえて系統を考えるなら虫系の嫌悪感や違和感とともに恐怖を押し付けてくる作品なのかなと思うんですが、青春&幼馴染を使って主人公を追い詰めるえげつなさ。ゾクゾクしますよね。大好きです。
 タイトルのトリコはTrichoplusia(蛾)ですかねぇ、それでそれで、蛹の中でドロドロになっていく幼馴染の結理ちゃんは、今後どこかのタイミングで羽化するんでしょうか……こわっ。あまりに怖いのでちょっとだけファンタジックに妄想を語ると、蛾の妖精さんである晴矢たんは人間に対する何かの思い(タイトルの「忘れない」だと思うんですが)を抱えて、ちょっとしたイタズラをしちゃったのかなって思いました。こわっ。「口無し」の部分はまだちょっと分かんなかったんですが、絶対なんかえげつない仕掛けを考えてんだろうなーってドキドキしてます。楽しみ。
 シーンとして良いなと思ったのが、夢の中で甘酸っぱい青春を回想していく乃明の視点から、徐々に夢が侵食されていって目が覚めて、現実の結理ちゃんの現状に切り替わるシーンですよね。ここはすごく引き込まれたなと思います。ここから乃明の必死さが伝わってきて、ポロリがあったりしつつ、「どうして、俺じゃなくて結理なんだ」というセリフが読者のハートに突き刺さるんですよね。この流れが非常に綺麗で引き込まれました。
 ラストのシーンでは、晴矢たんの怪しさをこれでもかとめちゃくちゃ魅力的に描いてくれたなと思います。飄々としててえげつないですね。すごく怖くて素敵だったので、ぜひぜひ続きを書いてください。よろしくお願いしまーす!

2-02 独房に咲くマンドラゴラ

タイトル・あらすじ感想

 幸せならOKです!(こーぞーちゃんの叫びを無視しつつ)
 え、超楽しそうじゃないですか。人外との恋愛は大好き派ですが、腕に生えるのかぁ。楽しみすぎる。たくさん産んでください。

本文感想

 こーぞーちゃんがんばれー!!! 本作はとても可愛い人外ヒロインが主人公にベタ惚れして愛を育むというとても素敵でハートフル()な作品だったと思います。美人博士のキャシーなんかも素敵なキャラ()で、大変素晴らしいと思いました。
 はい。というわけで感想を書いていこうと思うんですが、本作の見どころは色々ありますよね。まずはマンドラゴラちゃんがすごく可愛いってところだ思います。なんだろう、けっこうヤバい生態をしていると思うんですけれど(繁殖方法とか)、どうしてこんなにホッコリしちゃうんでしょうね。これみんな何気なく受け入れてますけど、私たぶんこの設定でマンドラゴラちゃん書いたらもっとえげつなくなっちゃうんですよねぇ……なんでこんなに可愛いんだろ。庇護欲かなぁ。うーん……これは後でもうちょっと掘り下げたいところです。とにかくめちゃくちゃ可愛いです。
 で、マンドラゴラちゃんを可愛くしている要素の一つがこーぞーちゃんとの関係性だと思ってて、こーぞーちゃんの愉快さで作品全体の雰囲気がすごく楽しくなってますよね。それで彼のすごいところは、めちゃくちゃ可哀想だし応援したくもなるのに、もっと酷い目に遭ってほしいと読者に思わせるキャラだってところなんですよ。本作の設定って主人公の置き方を変えるとグロめのホラーすら書けると思うんですが、こーぞーちゃんだからこそ「やれやれもっとやれ」と冷やかして見てられるんですよねぇ。可哀想なほど映えるキャラといいますか。これはいいなぁ。
 そんな風にこーぞーちゃんとマンドラゴラちゃんの関係性が楽しくてホッコリするからこそ、作品全体の読み味はとても軽くて愉快に読めるんだと思います。作者目線ではキャラの描き方として見習いたいなーと思いながら、読者目線では可哀想なこーぞーちゃんの姿をもっと読みたいという思いを込めて、続きを期待したいと思います。とても面白かったです!

2-03 村上さんちの軽トラゴン!~軽トラを貰ったら最強のドラゴン♀でした~

タイトル・あらすじ感想

 メイ――ごほんげふん、軽トラゴンかぁ。「割と」壮大な冒険、かなりコミカルで楽しい話になるのかなーと期待してます。楽しみです!

本文感想

 すごく面白かったです!
 なるほどなぁ、日本ごと転移してきたパターンで30年ほどが経過して、動物が魔物化している世界と。野生動物の方が強くてもともとの魔物が駆逐されてる設定面白いですねぇ。そんな世界だから、お爺ちゃんから貰った軽トラが喋ってもわりとすんなり受け入れられるのかぁ。メカメカしいドラゴンに変形するギミック、めちゃくちゃ好きです。
 それと本作で良いなと思ったのは、涼馬くんと雲雀ちゃんの会話ですよね。すごく気安くて楽しい会話を土台にしてますが、うまい具合に互いの知識に偏りがあるじゃないですか。だから普通に会話をしているだけで読者への情報提示にもなってるんですよね。こういう形で説明臭さを取り除きつつ、楽しく読ませてくれるのは上手いなぁと思っています。
 二人の性格の噛み合い方もけっこう好きで、装備をいちいち値段を付きで語るような涼馬と、ポンコツ気味だけど高性能な雲雀ちゃんは今後も良いコンビになるだろうなと思います。絵的なインパクトも強いですし、とても面白い&人気が出そうな作品だなと思いました!

2-04 『蝕みの魔女』は『星読みの聖女』となり、異世界に既望をもたらす

タイトル・あらすじ感想

 さらっと「ショタ沼にはまり」じゃないんですよ笑
 世界観はファンタジーですがパニックSF味があるので私の大好物です。色んな意味で面白そうなので期待してまーす!

本文感想

 おおっと、これは予想を超えてきましたね。私はもう少しパニックSFみたいなの(日食!? てーへんだ、てーへんだ、って民衆が右往左往するようなの)をイメージしていたんですが、そもそも世界観からして想像を遥かに超えるぶっ飛んだファンタジー世界だったとは! 予想外ですごく面白かったです!
 本作の舞台となる世界は、物事が抽象的というか象徴的というか、すごくフワフワしてるじゃないですか。住んでいる人からして違う。眠ることがないし、外見と実年齢が伴わない。そもそも太陽が五つあるのが天文物理的にどういう状況なのかも気になります。それで雲を食べたりだとか、マンドラゴラのパフェ、書籍館で本を捕まえる、なんかの独特な世界を見せてくれたりしするわけです。
 日食とともに、ラディの変化、六つ目の太陽、髪色の意味なんかが関わってくるわけですが……予想できないですねぇ笑 ここまでぶっ飛んだ世界だと、変なことが起きても後付けで何とでも説明できそうな世界だと思うんですよね。先の展開が想像すらつかない! こんなヘンテコ(褒めてます)な世界をどうやって作り出したのか、作者様には公開後にぜひ語っていただきましょうかね。
 めちゃくちゃ不思議な方向に突っ走った作品だったと思います! ぜひぜひ、予想もつかないようなびっくりする続きをお待ちしてます!

2-05 遣らずの庭の魔女

タイトル・あらすじ感想

 重くるしいミステリを期待してます! 面白そう。年の差の友人の最期の願いって、すごい心を刺してきそうですね。いろんな謎をばら撒く第一話になるのかなと予想してます。

本文感想

 これはこれは……! あらすじ段階ではミステリかと思っていたんですが、本文を読んでみるとホラーの方だったかなぁ。謎を解き明かしたいというよりも、不思議さにゾクゾクさせられる方が強かったなと思っています。面白かったです。
 冒頭から私はゾクリと来たんですよね。白骨死体を見つけてやることが、警察への通報ではなく、庭に埋めるですから。なかなかの状況なんですが、ユリの語り口調がとても淡々としているので、本作はとても不思議で静かな空気の中進んでいくことになるわけです。
 ヨウコさんから『オシロちゃん』をもらうエピソードはちょっとほっこりしますよね。乱暴な子どもには伝説になるほどの鬼婆対応をする中、ちゃんと花を見にきたユリにはめちゃくちゃ優しくしてくれる。ここは緊張→弛緩をしっかり描いていて、読者がほっとするような話運びなのが上手いところだなぁと思います。
 それで、お母さんとのエピソードはだいぶユリにとって辛い状況ですよね。熱が出てしまう……それもよく分かります。世の中こういうことって意外と多いんですよね。さすがにこのお母さんはだいぶ厳しい人なので、読者としてはユリが心配になるわけです。
 すると、ヨウコさんが不思議なことを言うと。「大丈夫だよ。あんたはオシロちゃんに気に入られてるだろうからね」という言葉とともに、末尾でお母さんが失踪すると……なるほど? これはゾクッとしましたね。
 第一話全体を通して見ると、冒頭でゾクッとさせてからヨウコさんとのストーリーを微笑ましく読ませて、からの末尾でゾクッとさせると。うわぁ、すごく怖い話運びをするじゃないですかぁ、ほんとすごく良いです。引き込まれるようにして背筋をゾクゾクさせるような文章の書き方が、本当に上手いなと思います。これは先が気になりますねぇ、ぜひ続きを書いて下さいね。期待してます。

2-06 どっちが正しいのかわかんなくなっちゃったので、もう暴力で決着つけよう暴力で!

タイトル・あらすじ感想

 これは絶対楽しいやつ(´ω`)
 タイトル通りのヤバい騎士学校に編入するリアちゃん……まぁシリルもいるし大丈夫大丈夫。頑張ってね!(ニヤニヤ)

本文感想

 面白かった! リアとシリルの出会いからしっかり読ませていただけて嬉しかったです。なるほどなぁ……あらすじ時点ではわりとコミカルな話になるのかなと想像していたのですが、実際はけっこう熱い作品になりそうだなと思っています。
 リアとシリルのキャラクターがそれぞれ良いなと思うんですよね。リアについては、彼女のような芯の強いヒロインは個人的にすごく好きなのもありますが、読者としても安心して彼女に共感できますよね。理不尽に対してしっかりと自分の意見を述べることができる(しかもなかなかの口撃力!)のは良いです。一方で、シリルが格好いいですよね。リアが騎士をけちょんけちょんに悪く言っても気にすることなく、リアに親切に接してくれる。基本的に彼は穏やかな性格に見えますが……実は内心に熱いものを秘めているんですよね。彼の「そういう人を、何が何でも勝たせるために、まだ騎士がいる」って言葉に信念が見え隠れしていて格好いいと思いました。これはヒーローとして憧れる、痺れるやつですね。
 この二人がキャラとして力強く振る舞ってくれるため、すごく安心感のある話になっているのかなと感じました。また作品の主題である「決闘裁判」は小説でもよく見かけますが、中世で実際行われていたんですよねぇ。まぁ当時と今とでは常識が違うので単純に批判できるものではないんですが、正直あまり頭の良い文化ではないようなごにょごにょ。でもなんかロマンはありますからねぇ。本作ではその決闘裁判について、リアにバンバン批判させながら代闘士としてシリルに活躍してもらうという、中々面白い作品になっていくんじゃないかなと思っています。
 文章も読みやすく親しみやすく、けっこうな状況でもハードになりすぎずに読者が世界観をすんなりと受け入れられるのが良いなと思っています。リアもシリルも魅力的なので、素直に応援したいなと思いながら続きを待ちたいと思います。楽しみにしてますね!

2-07 学校も親も助けてくれない中、僕に手を差し伸べたのはアメリカだった

タイトル・あらすじ感想

 タイトルからして良い尖り方! 架空の自伝形式ってことは主観的な記録なので……いろいろ仕込めるなぁ。面白くなりそうです。あとコ●ダ珈琲!笑

本文感想

 上島珈琲への熱い風評被害はさておき、本作はすごく面白い作品だったと思います。とにかくめちゃくちゃ爽快感があって、ワクワクしました。SFやファンタジーの要素を使わずに現代舞台でここまで壮大にひっくり返す作品ってなかなかないなと思うので、素晴らしいと思っています。
 本作はいわゆる「ざまぁ」としての質が高くて、アメリカが助けてくれるまでの流れが本当に素晴らしいと思うんですよね。ギフテッドの主人公がイジメを受ける。担任は見て見ぬふり。父親は亡くなっていて、母親も何の役にも立たない。日本の法律にも期待はできない……という全方位的に追い詰められた状態からの、アメリカ「全力で助けるぜ」が鮮やかですよね。もちろん盲目的な米国賛美ではなくて、国益を鑑みてWin-Winな感じで取引みたいな感じになるのが最高にクールで良いと思います。
 現代舞台でこういうイジメへの対処などを書こうとすると、もっと小規模な仕返しであったりだとか、逆にもっと悲惨な状況に追い込まれてから「ここまでされたら主人公が法律無視してやり返しても納得できるな」というところまで読者を連れていく方がはるかに簡単だと思います。が、本作はあくまで法律を飛び越えない範囲で、かつ物語を小さく収めることなく大きく広げる一手を打ってくるんですよね。そう、アメリカです。こんなアメリカの使い方をする作品、私これまで見たことないですよ。すげぇ。
 本作はぜひ続きを書いて書籍化してもらって、英語翻訳版がアメリカ人のところまで届いて「OMG、ジャパンがまた変な作品出してるぜ」とザワザワさせるところまで行ってほしいなと思っています。タイトルのインパクトから発想の広げ方、展開のさせ方までとても面白い作品だったと思います。

2-08 極北のアンビリカル・コード

タイトル・あらすじ感想

 私はSFジャンルで人間を描くような作品が大好きなので、これは絶対好きなやつですね。タイトルがへその緒と命綱のダブルミーニングなのも素敵。もう絶大なる期待しかないです。

本文感想

 ごめんなさい、好きすぎてあんまちゃんとした感想書けないかもしれないです。本作は私の好みド直球なので。いやですね、ちょっとだけ話題が脇道にそれますが、今書き出し祭りと並行して走ってる #サンタさんお年玉書いてください の企画で「月面のメリークリスマス」という作品を書いたのですが、本作はそこで私が妄想していた世界観のさらにその先を見せてくれたなーと思って大興奮していまして。何と言っても、宇宙港の業務に対する解像度がめちゃくちゃ高いんですよね。宇宙舞台の作品を考える時って、小型宇宙船だと重力圏を脱するのに必要な推力を得るのが難しいのが一つ大きな課題だと思うんです。で、そこを解決する方法っていろいろあるとは思うんですが……軌道エレベータを実現してもいいですし、宇宙港を宇宙空間に作って惑星との間は専用輸送船で往復するって手もあると思います。が、本作ではそこを解決するために、宇宙港の設備として電磁投射式の発射台を用意する設定なのがもうねぇ、すごく面白くて納得しました。他の宇宙港ではプラズマ薬室連動式を導入してて作業員目線だと音がうるさいとか、こういうディテールの掘り下げ方がほんと良いですよね。なるほどなぁ、これは大好きだぞ。自作でもこっそり似たような仕組みを導入しよう。
 それで、発射直前まで宇宙船がアンビリカル・ケーブルが繋がっている設定が本作のフックになっていて――これがユリヤの心情とリンクしていて、冥王星探索で行方不明になった母親のことがトラウマになっているユリヤの感情がすごくよく伝わってくるんですよね。こういう設定と人間感情がうまく繋がっているような書き方はすごく大好きですし、今後の展開に期待の持てる部分だと思っています。だってね、これはきっと先の展開になるのでしょうが、例えばユリヤが今後自分の宇宙船で旅に出るとするじゃないですか。その時にやはり、出発直前でアンビリカル・ケーブルが外される場面が来るわけで……それでトラウマがフラッシュバックしてもなお出発を決意する瞬間のエモさを想像しただけで、私は悶えられます。これ絶対面白く転がせる部分ですよね。良いなぁ。
 また、ここにアマンダを置いたのがいい味出てるんですよね。作者目線ではこういう「会話をしているだけで自然と世界観を掘り下げられる/主人公が内面を吐露するキーとなる友人役」みたいなキャラが一人ポンと置けるとすごくやりやすいなと思います。読者目線でも、彼女自体が味のあるキャラなので今後どういった友情を育むのか楽しみになりますよね。
 すみません、ちょっと興奮のあまりあまり良い感想を書けていない気がするのですが、めちゃくちゃ好みど直球な作品で、世界観も空気感もストーリーも最高だったと思うので、もちろん続きを読ませていただきたいのと。あと作者公開後に裏設定なんかをたくさん教えて欲しいです。個人的にちょっと聞いてみたいのは、宇宙船の推進燃料や推進機関って何が最適かという部分での作者様のご意見ですよね。いや、電気にも液体燃料にもガスにもいろいろメリット・デメリットあると思いますし、その世界の技術発展具合によっても違ってくると思うんですが……発射時と慣性航行中とでも最適解はだいぶ違うと思いますし、補給の容易さとか遭難時のリスクヘッジなんかも考える必要があるので、方法は一つじゃないと思うのですか。そのあたり、ちょっと語ってほしいなぁと一読者として非常に期待してます。もう好き勝手語っていただけると、私としてはひたすら美味しくムシャムシャ食べますので。あと宇宙船の中には長期間の宇宙旅行での生活のためにフードプリンターなどの設備がいろいろと整っていたりすると個人的にはさらに大喜びすると思います。

2-09 没落薬師と追放聖騎士に育児は向いていません!まぁ、少しは頑張りますけど…

タイトル・あらすじ感想

 エモエモの匂いを察知してます。いい感じにキュンキュンさせてくれるんじゃないかと思って……しかも二人で育児するんですよ。キュン死しないよう心の準備しときます!

本文感想

 面白かったです! いいですねぇ、こういうしっかりと地に足の付いたファンタジーってすごく良いなと思います。細部までよく練り込まれた世界観だなと思っていまして、この世界の社会・常識・技術なんかがしっかり設定されているように感じられるので、足場が安定していて安心感を持って作品に没入できたと思っています。
 本作はセチアもフォイルも好感の持てるキャラだなと思っています。世界観同様、メインキャラの背景もいろいろと練り込まれているのだろうなと感じていました。セチアについては元王宮薬師で今は辺境で培ってきたスキルを活かしながら不遇な生活をしていることが示されており、フォイルについては第一話ではまだ不審者認定が外れたばかりというところですが、あらすじで示されている通りだとまっすぐな人物なのでしょう。二人ともすごく共感性の高いキャラ造形だと思うので、いろいろときな臭い情勢の中でぜひ幸せを掴み取ってほしいなと、そんな風に感じさせる構図だと思います。
 この後は赤ん坊の世話にいろいろとドタバタしながら、国全体を引っ掻き回すような騒動に巻き込まれていくのかなと思っています。子育てをテーマにした作品はあるんですが、ファンタジー作品だと「お手軽な子育て」から「苦労する子育て」まで世界観によっていろいろと書けると思うんですよね。ただ、本作はリアリティのある世界観なので、けっこう苦労する系統の子育てを見せてくれるのかなと思っていて、そういった面も楽しみにして続きを待ちたいと思います。セチアもフォイルも真面目そうだから、けっこう苦労するんじゃないかなぁ。とても面白かったです!

2-10 マテリアルカナ

タイトル・あらすじ感想

 何ですかこの圧倒的ロマン。工房名はマテリア+アルカナで、錬金世界名が第一質料かぁ。アルカナ作っちゃうのかなぁ。熱々のロマンで火傷しそうです。好きぃ。

本文感想

 素敵でしたね、いやぁロマンがあって大好きです。あらすじ段階ではもう少し無機質な感じの作品を想像していたのですが、読んでみるとキャラクターがぐりぐり動いてて楽しい作品に仕上がってるなぁと思いました。
 それで、本作はまず何を置いてもまずは錬金術のワクワク設定について語らないとですよね。この錬金術の歴史まわりの掘り下げ方がすごく良いなと思っていまして、古代錬金術は万能だけれど人依存で結果のブレが大きいため安定せず、各種産業の発展についていくために現代錬金術が派生していった……という過程の書き方がすごく良いなと思いました。確かに現実世界でも、産業革命で機械化するのにあわせて職人仕事ってどんどん追いやられていったじゃないですか。それがラッダイト運動みたいな機械打ち壊し騒動みたいなのに発展することもあって、でも歴史の流れは止まらないと。便利なものは結局時間とともに受け入れられていく運命なのでしょうね。そんな感じで錬金術も廃れていく中、どうにかこうにか現代錬金術として生き残っているという流れがとてもおもしろいと思っています。
 さて、そんな面白い世界観の上で、物語自体はキャラ中心に動いていくのがすごく読者的に嬉しいですよね。ポンコツ錬金術師の叶奈ちゃんのお店だから「マテリアル・カナ」なんですねぇ(※有の名前も含んでいるのでダブルミーニング、トリプルミーニングになっていくのかは今後次第かなと思いますが)……それで、物語は有兄目線で進んでいきます。叶奈ちゃんはけっこうあざとい感じの甘えん坊キャラですが、ドジで憎めなくてコロコロ転がってくれそうなかわいいキャラクターだと思います。その面白さを支えるように有はけっこう冷静なツッコミだと思うのですが、この二人のかけあいがほっこりと楽しくて魅力的だなぁと思っています。
 最後はプリマ・マテリアに行く二人。妖精にちゅってされたの叶奈ちゃんに見られなくてよかったね笑 ここから古代錬金術の知識・技術・素材なんかをもって活躍していくことになるわけですが、これはだいぶ楽しみです。面白い世界観を楽しいキャラクターで読ませてくれる素敵な作品だと思いますので、ぜひぜひ続きをお願いしますね。読ませて下さいませ!

2-11 痛いの、痛いの、甘くなれ

タイトル・あらすじ感想

 本作は凪沙の心の痛いのと、蒼真の心の痛いのが、甘くなれ! ってお話なのかなーと思ってですね。第一話時点ではビターだけど甘さを予感させてくれる……というとこまで妄想して勝手に悶えました。超期待!

本文感想

 ほうほう、これは予想していない方向に転がっていきましたね。なるほどなぁ。完全な現代文芸を想定して読んでいたので、吸血鬼が出てきたのにはびっくりしました。これはなかなか面白い展開だと思います。  甘みを痛みとして感じる――主人公が子どもの時から度々その症状に苦しんできたにも関わらず、洋菓子店を経営しているあたりの背景事情が何かあるんだろうなと感じています。ストレスが原因で甘さが痛みになるのだったら、普通なら職業としては避けると思いますからね。物語として書かれるのはもう少し先になるのかなと思いますが、このあたりのバックストーリーはいろいろと想像が膨らむところです。
 蒼真の口調が僕と俺で変化するのは、彼の二面性ですかね。吸血鬼モードになると「俺」になる――これも先の話になるのかもしれませんが、この時に彼がどの程度の内的な変化をしているのかもかなりポイントになってくるんじゃないかなと想像しています。もう人称が変わるくらいですからね、相当いろいろと価値観が変わっているはずで……それでもシームレスに吸血鬼モードと人間モードを切り替えられる程度には自我は連続していると。これのあたりの仕組みについても、裏でどうなっているかとても興味のあるところです。
 痛みが甘さに変わるまで……つまりはストレスが解消されてちゃんと甘みを感じられるまで、味見に付き合ってくれるようですが。二人の関係も甘くなるのかどうなのか、そのあたりも先が気になる引きだったと思います。面白かったです!

2-12 偽のルビーは恋を繰り返す

タイトル・あらすじ感想

 悲恋をループさせてハッピーエンドを掴み取る話とって、すごく良いと思いませんか? 私はめちゃくちゃそう思います。なので本作は期待しかないです! 楽しみすぎるぅ!

本文感想

 面白かったです! ループミステリ+恋愛モノ。お嬢様の身分差恋愛の行方だけでも作品としては成立すると思うのですが、そこに想い人の翔の死体を転がしながらループさせるという鬼畜の所業で物語を展開させていくのが非常に面白かったと思います。最高じゃないですか。
 本作ではおもちゃの指輪というのが物語にとって一つキーアイテムになってきますよね。タイトルにある「偽のルビー」というのはこの指輪であり、それは麗華の恋心の象徴でもあり、翔の秘めた想いを表現してもいるような気もしています。なので、この指輪をどのように扱っていくのか=恋心をどう扱っていくのかというシンボルになっていると思うので、いろんな展開が考えられるなぁと。こういうアイテムの置き方がすごくいいなぁと思って読んでました。
 また、本作では麗華の成長も見どころの一つなのかなと思っています。現時点では家の方針に流されるだけの「弱い」キャラとして描かれていると思うんですよね。メイドから「お断りすればよろしかったのに」と言われますが、それはそう。これ見よがしに指輪を弄って誘い受けを狙ったって、翔の立場から「結婚しよう」なんて言えるわけがないんですから。ある意味でお嬢様としての「お淑やかさ」ではあるのですが、そこに「強かさ」が加わらないと、なかなか自分の思う人生は歩めないと思うんですよねぇ……というのが、この物語の中でループしていきながら彼女が成長していく部分なのかなと思っています。たぶんループを経てなりふり構わず強くなった彼女は、目的のために能動的に動けるキャラになっていると思うので、そうなってきて初めて翔との未来を期待できるようになるのかなぁと感じました。
 ループそのものの真実についてはまだ謎だと思うので、そういった部分の真実の開示も楽しみにしながら続きを待ちたいと思います。面白かったです!

2-13 極光の怪

タイトル・あらすじ感想

 本作はあらすじがないので好き勝手に妄想して期待します。
 まさかオーロラ(極光)の中から全裸のおじさんが薔薇を咥えて出てくるのは予想外でした。絵面のインパクトで優勝……!

本文感想

 はい。全裸のおじさんは、出てこなかったですね。ごめんなさい。
 本作はとてもドキドキしました。怪奇系のホラーという感じでしょうかね。冒頭から末尾まで緊迫感があり、張り詰めた空気の中で物語が展開していったと思います。面白かったです。
 舞台のイメージは北欧でしょうか、オーロラが見えてクリスマスにグロギを飲むのはたぶんあのあたりだと思うんですが。それで、本作はキャラの名前が分かりやすく工夫されていたと思っていまして、アドルフ、イーヴォ、ウスコ、エリヤとアイウエオ順なのはさらりと混乱を避ける意図があったのかなと思っています。細やかな気遣いかなーと思いました。
 緊迫した空気の中、少しでも気分を和らげようと会話する彼らの絶妙な空気感だったりだとか、様々な現状を把握していきながらの心の動きだったり、感触だったり、そういったものの描写にとても臨場感があって上手い作品だなと思って読んでいました。また、動作の描写が端的でスピード感があり、アクションとしての描き方も良いなと思います。ずっと緊張を保ちながら没入感を阻害せずスピーディに展開していくのが素晴らしかったです。
 最後の化け物の顔については実はちょっと冒頭から予想してしまっていたのですが、ここに至るまでの持っていき方が素晴らしかったので最後の一文で「ほほう」となりました。また、とりあえずの襲撃をなんとかしましたが、噛まれたウスコがこの後無事(いろんな意味で)でいられるかも一つ大きなポイントだと思いますし、彼らを派遣した側がどこまで事態を把握していてどんな意図で送り出したのかも物語の重要な点になってくると思うので、この先どんな展開や種明かしがされていくのか楽しみにしています。

2-14 喰生荘と消えた家族

タイトル・あらすじ感想

 ホラーですよね。もうタイトル・あらすじから意味深な文章で読者を転がそうとしていて、私なんかは綺麗に転がされましたよ。超気になる。どういうことなの。怖い怖い怖い。すごく……怖くて楽しみぃ。ゾクゾクなの期待してます!

本文感想(暗号 ※原文も↓にあります)

 ⌒∽∨*± ∝*¶△*∞¶⊇*∮≠◆>*¥ ¥*=$∨∴∽и≠∨*>∴▽¶∽∋*и≠÷*、⊆*¶△*¶■●∴÷●∋★∽(≧)。
 ∽◆★∝¶、>*∴△*+и△⌒*⊆∀<♭$=$÷∴★∽∨*……□¶⌒∈◎×∵*∨*●●∈÷¥÷■⊇∮⌒=∀∨*∴≠∞и ●■∀Я∴⌒∈◇¶>*=$>¥●■∴★∽。♪∈●■∴=∴>×ぁ¥●■∮¥¥*∮∀*±、♪∈♭з∋=$>×ぁ¥●■=$÷∴★∽。■<Я¶ ∞¶⊇*∮∴∨*∴≠△*△*¶■∽⊇*∈●■∀Я∈÷、∽⊇*∈⊇+∴△*△*¶■∞=$>≠÷*、∴Я∴Я¥∨>=$÷∴⊇∮¥●■∮≠÷*∽∨*。
 □¶⌒∈◎∀*♭$¶и(-)∋(▲)и≠∨*▼∽*∨∀∈÷、×∵*(-)⊇∮⌒=∽и¥∴∮♪∮∵>*¥◆∽÷з≠♪∮±●■☆★∽∀、∀*∀*♪$∮◎+∨Д×∴÷*∽∨*¥±∨∈⊇+∴(±⊆*÷!÷*∽∨Д(≧))≠÷*□Дー=$■※∈■∞з★∀>。
 ∵Ф÷*(≧)、+>∀◎★∽*□*∮¥∮≠∴<△*¶∨*∴∴¥●■∮¶÷*∽♪。×±■∨+Д(≦)±<∀*♪$∮=$÷∴∴×∨*Д、и◇*±∴∀*♪$∮∀∨×∴≠∨*∀♯$ーи÷*●■∀Я∽∋*и×=$÷。∵≠∀*÷¶★÷*+>∀◎∽★□÷*♪¶÷*∴>¶÷*∽∨*、◆※∴∀∴±∋з∨☆÷(▲)■(-)¥з×∨*Д♪◆∽∽(▲)и⊇¥±∀>+⊆÷*∽。☆☆、⊇*∀*♯$∮●¶◇♪$∮(-) =∈=$÷■∀*(-)+з∞÷×∨*Д<♭$¶¥♪◆★∀>¥■。>△*¶⌒∈∀♭$⌒★◎⊆∴>∴÷*¶+≠∀ー¶★÷*±∴Я∴Я×■∀*(-)>*∵∮¥∀÷、□□*♪◆¥Фи∀*♪$∮>∴±★÷*■=$÷∴=$÷∈Ф>≠∨*±∈∴¥⊇Я>*×¥●■∴★∽(∴<■∀*>*⊆∞¥>*∀∀÷★∀>∨*и∴∽∴÷*∋иФ▽*и÷*∀>∨Д(≧))
 ⌒÷、⌒∈◇¶≠×∴♪∮±△◆⊇¶÷*∴∈≠÷*∽∨*、□*∮¥∮∨Д∽⊇*∈△●¶÷*∽♪(≧)。△=∮≠∨∵*∈∝∴∨=∀ー¶÷*×◆>*(-)×∨*∀×∨*Д≠∴∽*∨*∋⊇☆и∀♯$∀*¶⊇∮。∞∨з<♭$¶◎×★☆÷∋±∴■∮¥÷*∀♪$∮∨。∵∀÷、÷*¶+≠▼⊇∮∨Д◎「±⊆*÷」∨Д◎∀*★и≠∴∽*……=★з(≧)。□¶⌒∈±●∴÷◎≠∴∽*≠□∮∨*∀♪$∮∋÷*、±□¶⊇*±◆☆÷и□∮∨*∴∀*♪$∮>*¥●■∮¶÷*∽♪。∵∀÷∞Д∽∀*÷*◎「▼≠∋♪$∮<±>=$∝ДФи」¥∨∨∴÷∞з★∽∨*、÷*¶+≠▼⊇∮≠∨≠∀*♪$◎「⊇⊇÷*◎∽▽*÷÷∨*▼±∨☆и」=$÷∴=$÷и¶÷*∽♪(≧)。±÷∴и♪∮÷*∝*¶∝*¶<∨*∮¥……∵∀÷∨≠∀*♪$≠∋●∈±◇=$★※ДФи♪∮±、∨∵*∈∨*□¶■≠÷*◎×∴¥∴∮⊇¥(-)⌒¥и+⊆÷*∽。
 ∵∀÷⊆*¶∀*=±∨☆=$÷∋>、¥●■=$>∀♯$∀*¶⊇∮׶÷*∽∨*……⊆∴>∴÷*¶+∨Д◎『◎♭∈⊇⊇∨Д÷*÷』¥∴∮⊇¥◎*(-)∀♯$∀*¶⊇∮◎≠∴∽*¥∀÷±¶∀∋∀÷∴и。+>∀◎■∮⊇⊇÷*、⊇Ф∨*□¶¥∮±⊆*¶∀*=∝∨∴±■¥*=$÷∋÷и≠∨★∴⊇*±×з★∀>。∵⊇∨Д⌒∋(-)♪▼¥⊆*¶∀*==$■※∴⊆¥*、∞∈▼≠×∨×≠∨¥*∮×≠∨、♪(▲)×∴×¥●■∴★∀÷。÷*、¥∋∨*★∋■¥*=$÷и¥∴∮◎×∀÷*∽∨*、△∈∨*>*□*=∴÷∴и∞>з∝∴∀¶÷∋±>*⊆∀*♭$×∈÷±∈>∴÷∋±■★∋■¥*=$÷∴и=$÷∨∴∀♭$∈±×и¶÷*∽∨(≧)。
 ★>*□¶⌒∈≠∴+∨¶(-)∵∀♭$∈∀∋Ф÷∴×∴¶÷*∽♪(≧)ぇ……¥*∮׶>*Я∮。⊇Ф◎<♪$=$¥、◎∴⊆∴(-)з∨∴∀∋=$÷∨Д♪◆∨☆∽¥、★><∨*=$>∨¶∵∮∨*出÷∈и∨■∀Ф×∴×¥●■∴★∀>。∀¶∀*=∨*+∨и¥⊇+∴=$÷⊆∴¥∮≠◎×∀׶∀*♭$×∴∨×ー=$÷●■∴★∀÷。
 ∽⊇*∈●■∀Я∨=$>÷*∽∀、>(≧)∞∨∀▽¶■∝*◇♪★∝÷∴>>*∋>∴÷*∽! ==*∋♪Я∀∈●(≧)∨*∴∀★∽!

本文感想(原文)

 さすがに全部暗号のみだと読解するのが大変すぎるので、原文も置いておきますね。
 すみません、だいぶ悪ふざけしちゃっていますが……本作は謎が多くてとても考察しがいのある面白い作品だったと思います。よく思いついたなぁと思うと同時に、よくやりきったなぁと思っています。もちろん暗号以外の部分もすごく面白くて、すごく怖い部分もあったので、いろいろと語っていこうと思うのですが。
 本作はジャンルを決めるのが難しくて、謎を考察するという要素だとミステリのように思えますし、事情は分からないですがとにかく怖い(逃げて!ですからね)のでホラーっぽくもありました。
 それでね、私はまず冒頭の一文がいいと思うんですよ。何も変わらぬ日常って言いながらルビに異常しかないのがシュールで面白すぎるなって。その時点まで私はスマホで読んでいたんですが、PCに切り替えてメモを取りながら読み進めることにしたわけです。ええ、五十音表を作って文字を割り当てながらちゃんと読みましたとも。たぶん作者様は携帯電話のシーンまでにいろいろな文字を出そうとして、ほぼ読み取れる状態にまで持っていってくれたのがニクイところだなと思います(一文字だけ後出ししてましたが類推できるレベルでしたからね)
 さて、作品の内容に踏み込んでいくのですが、冒頭からすごく不穏ですよね。普通の家族生活シーンで涙を流しながらノイズが聞こえる主人公。あかりちゃんは名前的に妹でしょうか。そして、電話の向こうからは「逃げて」から始まるノイズ……つまりね。本作においてはノイズの方が正気で、日本語に見えてる方が異常だと思うんですよ。そしてあらすじでは「無の境地に達せられる」とか書いてありますが、電話の向こうの彼女は「ここでは全てが無にかえる」って言ってるんですよね。似ているようでぜんぜん違うと……そして彼女の記憶に引っ張られるように、家族が本物ではないということを悟るわけです。
 そして現実世界に帰ってきた、と思った主人公なんですが……携帯電話からは『早くここから出て』という言葉を主人公はノイズとして認識している。私はもうここで、これが本当に現実世界に戻ってきてるのか迷子になりました。そこから先を読むと現実っぽいけど、悪夢の中なのかどうなのか、読めないなと思いまして。で、時が巻き戻ってるという話ですが、服がダボついているあたり精神的にだけじゃなくて肉体的にも巻き戻っているって解釈になるんですかね。
 まだ本作の違和感を咀嚼しきれていないんですよねぇ……どうなんだろう。これはちょっと、背景を理解しきってから読み返すと、また違った感想が出てくるかもしれないなと思いました。真実が分かるとめちゃ怖いって系統の話なんじゃないかなーって思いまして。
 すごく面白かったですし、種明かし編もぜひ読ませていただきたいです! 続きよろしくお願いします!

参考:変換表

喰生荘暗号変換表

2-15 小学四年の少年少女、二人で一か月一万円生活

タイトル・あらすじ感想

 うわぁ……四年生なのが絶妙ですね。もう少し上になるとちょっと生々しくなるし、もう少し下になると生活能力的に微妙になってくるじゃないですか。これは面白くなりそうです。あーでも親は許さん!

本文感想

 めちゃくちゃ面白かったです。すごい作品だなぁ……タイトルで期待していた通りに直球のすごい球を投げてもらったなぁと思います。ものすごく大好きですね、これは。
 まず本作はコンセプトから明快で、タイトルでもちゃんとその通りに期待させてくれるじゃないですか。それで、あらすじでいい感じに期待感を高めたところに、その期待を突き抜ける面白い作品を提供してもらえたので、すごく良かったです。
 キャラクターについてですが、メインとなる二人が小学生なのにすごく納得感があってうまいなと思うんですよね。いや、小学生らしくない変な子だったら割とみんな書きやすいと思うんですけど、ちゃんと読者が求めている「普通の小学生」の範疇で智樹くんも沙菜ちゃんもちゃんと小学生してて、智樹くんの一人称視点での語彙が細部までちゃんと柔らかいんですよ。それぞれキャラもきっちり立っていて性格も明確に書き分けているのに、それでも二人とも小学生の枠を飛び出ることなく書かれているので、これは本当に上手い人が書いてるぞと震えながら読んでました。これは普段から児童文学とか書かれてる方でしょうか。スキルフルですよねぇ。
 それで、作品コンセプト時点から読者のツッコミが予想される「二人が公的機関を頼らず生活する」というシチュエーションなんかも、本文の中でしっかり納得させてくれるじゃないですか。もちろんそれが世間一般的に正しいというわけではなくて、彼らが彼らなりの判断基準で持って考えた結果として、二人で生活するのが良いというところに落ち着くと。このあたり、説明臭くならないように会話を織り交ぜながら、読者の疑問点をしっかりフォローするような書きっぷりをしていてすごく良いと思いました。こういうところが上手いなぁと思います。
 ストーリーについては、二人生活をしていくにあたって待ち受けているイベントなんかもちゃんと先を見すえて期待させてくれますよね。お金のやりくりはずっとついて回るポイントかと思いますし、アイドルの試験、誕生日なんかのこの先待っているモノをどう乗り切っていくのか(理性的にバッサリじゃなくて、限られた予算の中で何かを見つけていくんだろうなと思います)など、いろいろと期待が膨らむなぁと思います。今は智樹くんがしっかり担当で、沙菜ちゃんは引っ掻き回す感じになっていますが、この関係も徐々に変化していくんだろうなぁと期待できます。
 最後は先生に遭遇してゲーム的に「最初の戦闘だ!」と考える智樹くんで締めとなりますが、これからどうしていくのか楽しみですね。ぜひぜひ続きの供給を心待ちにしております。あと親にはきっちり説教しておいてください。

2-16 酒呑童子の蔓延る夜

タイトル・あらすじ感想

 分かってますよ。これは超上手い人のミステリですよね。すごいワクワクするもんなぁ。欺瞞に満ちた夜の街を駆け抜けろ、ですよ。絶対面白いでしょ。姿勢を正してじっくり読まなきゃ。

本文感想

 面白かったですし、文章力も高くて読ませるものだっだなぁと思います。直球のミステリ(だと思って私は読んでます)で、第一話からしっかりと謎をばらまいてくれたなぁと。気になる情報がいろいろと残っている状態だと思うので、ぜひとも続きを書いてほしいところです。
 冒頭、水瀬のシーンは設楽とアルバイトを始めた後のどこかのシーンになるかと思うのですが、設楽には見せたくない何らかの秘密にかかわるものを探していると。それが何なのかは明かされていませんが、少なくとも机の引き出しに入るようなもので……そして、部屋の主が死んでいる、となります。水瀬自身は殺した者ではなさそうですが、その他の情報は全て謎のまま。しっかりとミステリ的な冒頭だと思いますので、この先の話の中でこの謎も明らかにされていくのでしょう。
 場面は変わって設楽と伊良部のシーン。ここの二人の会話がちゃんと推理チックになっていて今後の展開にも期待させてくれると思っています。また、手紙の内容も今はまだ理解が及びませんが、後々重要になっていくんだろうなと期待できますね。そして、水瀬と一緒に事件を追うことになると。その後のことはあらすじに概要が乗っていますが、果たしてこの物語がどう転がっていくのか。
 まずは謎が盛り盛りになった状態の第一話だと思っておりますので、今後の物語の中で一つずつ明らかにされていくのを楽しみに待ちたいと思います。面白かったです。

2-17 怪盗陛下の大勝負 〜女王様は帝国の隠し財産を狙う〜

タイトル・あらすじ感想

 盗んじゃえばいいのよ、じゃないです笑
 これはあらすじから既に面白いし、こんなん本文でさらにぶっ飛ぶヤツじゃないですか。もう期待しかないですね。楽しみにしてます(´ω`)フヘヘ

本文感想

 本作はとても面白かったですし、とても上手かったなぁと思っています。私は個人的に主人公は善でも悪でもどっちでも良いと思っていて、大事なのは動機やヘイトコントロールだと思っているんですが、その点で本作はとても上手く書いているなと感じました。
 冒頭、このグランデル帝国のシーンがすごく重要だと思っていて。ここがなくていきなり怪盗を企むカロリーナから始まると「いや真面目に払えよ」という意見を持つ読者が少なからず出てくると思うんですよ。なのでこの冒頭でしっかりと皇帝に対する読者のヘイトを向け、こいつがひと泡吹かせられるところを見たいぞとしっかり思わせておいてから、カロリーナのシーンに入っていくのが大事なんだなと思っています。
 それでカロリーナのシーンの良いところは、この世知辛さなんですよね。すごくカツカツでもう売るものが何も無い、馬鹿な兄のせいで追い詰められながらもどうにかこうにか国民のために知恵を絞らなきゃいけない、となっているからこその「怪盗」という選択を読者が応援できるようになっているわけですね。ここのカロリーナの追い込み方が甘くてもやっぱり「怪盗は良くないよ」という読者が出てきそうなので、この追い詰められた苦肉の策感が大事なんだと思いました。
 そして、ぶっ飛んだ「怪盗」という手段について読者が感じるだろう疑問に対してちゃんとフォローしているのも上手いところだなと思います。盗んだ財宝で帝国に文句を言われないのかという点は「隠し財産だから」で切り返せますし、なぜ財宝のありかを知っているのかについては手帳が出てくる。そして、仮面舞踏会というイベントが用意されているのでそこに向けて盗みの計画を立てていくことが期待できるようになっています。
 そんな感じで、本作はぶっ飛んだアイデアを起点にしてどのように読者を納得させるかの広げ方がすごくうまい作品だなと思いましたので、いっぱい見習わせてもらおうと思いました。ぜひぜひ、皇帝の「ぐぬぬ」を読ませてくださいね。続き楽しみにしてます!

2-18 こちら、獏喰庁AI特課ーばくろうちょう えーあいとっかー

タイトル・あらすじ感想

 人に悪夢を見せるAI「アイム」を、かつて詐欺師だった九郎が消滅させる任務……毒をもって毒を制す感じですかね。政争や技術要素を盛り込んだ頭脳戦になるのかなぁ。すごく期待してます!

本文感想

 面白かったです。これはまた独特の未来世界だと思います。アイムはAIというかナノマシンに近いようなイメージを持っていますが、人間に悪夢を与えるような未来技術が広まった時代を舞台に、アウトローな主人公が自分の望みのためにアイムとの戦いに巻き込まれていく。これはなかなか荒廃的な未来世界だなぁと思いました。
 このくらい技術が進んだ世界観でも、貧困・病気・天災・戦争からは人類は解放されていないんですね。なるほど……ここは個人的にけっこう掘り下げて考えてみたいポイントだと思うんですが、体内で線虫に変化するようなナノマシンを構築できるほどの技術力がある一方で、病気なんかで苦しむ人のまだまだ多い世界観なのは、たぶん『上』との格差の大きな社会だからなのかなと想像しています。天災は分かりませんが、たぶん貧困・病気については解決する技術要素自体はありそうな時代背景だと見受けられるので、それを阻害するほど上が搾取しているような社会情勢なのかなと想像しています。戦争となると要因がたくさんあるので想像の域をでませんが。
 そうして、描写からするとおそらくは個人主義がだいぶ進んだ世界で、主人公は恋人を助けるために詐欺を働いていたわけですが……恋人はお金でなんとかなる状態なんでしょうかねぇ。今のところ、恋人が現状維持のまま人質として扱われ続ける未来しか見えていないのですが、これを救出することも主人公の目的の一つに入ってくる感じでしょうか。私としては、従いながらも腹の底でチャンスを伺っている系の主人公を読みたいなぁと思っています。ここからどんな風に主人公が行動していくのか、楽しみにしています。

2-19 絵の中の特別な真理子

タイトル・あらすじ感想

 絵の中の世界で記憶を消されるミステリに挑む。瑠衣自身の記憶も失われていることが明示されてますし、これは面白い話になりそうですね。亀名純がヤバい人だと嬉しいです。楽しみ!

本文感想

 これは面白かったです。私は本作のジャンルを決めかねているんですが……絵の中に取り込まれるという設定もゾクゾクしてホラーだなと思いますし、瑠衣が真理子の能力に気づくきっかけにもなるほどと思ってミステリ味も感じます。奇妙な真理子とともに不思議な冒険をしていくことになるので、この冒険の内容によってはファンタジーやSFもありえて、もちろんヒューマンドラマも含まれていて、色々な楽しみ方ができる作品だと思うんですよね。
 また、瑠衣の過去を考えると、確かに真理子の記憶改変能力に対する強力なカウンターとして納得感がありますよね。真理子特攻、とでも言いましょうか。可哀想な過去ではあるのですが、その違和感を冷静に突き詰められる瑠衣はすごいなと思います。これは彼女の特技と言って良いものかと。
 そうして、絵である真理子は母を探して、瑠衣は失った記憶を探して、協力して絵の世界に挑んでいくと。いやぁ、面白いじゃないですか。この話を起点にして色んな方向に転がしていける物語だと思うので、ぜひこの続きがどうなるのか読ませていただきたいです。面白かったです!

2-20 Diverse verse 『全ての夜より深い闇から全ての朝より寂しい君へ』

タイトル・あらすじ感想

 SFだ、ポストアポカリプスおいしい(´ω`)
 ハードな世界観だからこそ、眩しいくらいの人の輝きを! 青春の熱を! 見せてくれると信じてます! この世界観でアイドルかぁ、めっちゃ楽しみ!

本文感想

 ほうほう、これは予想してなかった方向に転がっていきましたね。面白いなぁ。本作をうまくジャンル分けする言葉が、私には上手く見つからないんですけれど……ファンタジックでもありSF的でもあり、ヒロイックでもあり青春も感じさせるじゃないですか。もう独自路線で面白いなぁと思って読んでました。
 さて、私は何といっても本作での「アイドル」について掘り下げたいんですが、私の読解力不足でなければ陽助の「アイドル」と純の「アイドル」って意味がすれ違ってますよね。読者にとってもこの世界の一般人にとっても純と同じく、歌って踊るみんなの人気者である「アイドル」を指してると思うんですが……陽助と芸能事務所だけは「砂の魔法使いに対抗できる特異点」としての「アイドル」について話してる気がするんですよね。これが、実は「この世界においてはアイドルはみんな歌って踊る陰で戦ってるんです」なのか「特異点はアイドルに擬態しつつ裏で砂の魔法使いと戦うんです」なのかによって、今後の展開が色々と変わるかなぁと思ってます。面白いなぁ。
 あと、配信者(ライバー)もなんか役割持ってたりしませんかね。それと片耳ずつイヤホンはめるのめっちゃ青春じゃないですかね。で、M1Vは今後何らかの形で出てくる感じでしょうか。といった楽しみな要素を色々と挟みつつ、事態は進行し。
 いやー、まさかジ●イアンやるとは思わないじゃないですかー! これは面白いですね。色々と想像が広がるんですが、歌の種類によって効果が変わったりだとか、楽器によって強化されたりとか、そういう熱い展開を色々と持ってこれそうな気がします。しかも修行=ボイトレみたいになるんでしょ、たぶん。これは面白い設定を最後に持ってきたなーと思いました。続きも気になるのでぜひぜひ読ませてください!

2-21 死因:○○死

タイトル・あらすじ感想

 あらすじがないので妄想で期待しますが、まさか死因「妹死」とは思わなかったです。父親の度重なる離婚再婚により妹が100人できるのに第一話四千字のみで全員書き分ける文章力は圧巻!

本文感想

 はい。妹死ではなかったですね。
 いやー、そう来ますかぁ。妹死より全然ファンキーで面白いじゃないですか。いや、最初はショーコの前世の死因について色々あるのかなーと思って読んでいて、途中からは今世の死因について書くのかなーとこ的はずれなことを考えてたんですが、最後の最後でこう来るとは思わないじゃないですか。笑っちゃいました。ほんと面白かったです。
 本作はショーコちゃんのキャラがすごく良いですよね。だいぶ悲惨な状況なのにめちゃくちゃ笑わせてくるの最高です。テンションかなり高いんですが意外と冷静だったりして、行動の読み切れない子だなーと思います。こんなだから転生させられるんだよ笑
 ライトに読めますけど世界観はかなりハードですよね。転生者死亡率のすごく高そうな世界です。ショーコちゃんが高額賞金首になるくらいだからなぁ。さて、そんな中でハンドとのやり取りが凄く良いなぁと思って。お互いに変な者同士が上手いこと噛み合ってる状況が好きだなぁって。これは完全に私の好みの話にはなるんですけどね。こういう組み合わせがすごーく好きなんですよ。
 とりあえずショーコちゃんには「それは君、18になったらOKてことかい?」とセクハラオヤジみたいな発言をしつつ感想を終えたいと思います。面白かったです!

2-22 ブラック企業にケンカを売った限界社畜、ダンジョンの底で美少女配信者を拾う

タイトル・あらすじ感想

 流行りのダンジョン配信モノ、私も書いてみたいんですよ。美少女ヒロインとはいえ、本作はだいぶ限界なやつを見せてくれそうですね! これは楽しい感じでも険しい感じでも面白そうです(´ω`)

本文感想

 良いですねー、ダンジョン配信もの。本作の第一話ではそこまでに至りませんでしたが、やはり一般視聴者のコメントが入る仕組みって独特の面白さがありますよね。掲示板ものにも近いんですが、配信コメントだともっと会話チックにポンポン軽口が飛び交う感じが私はわりと好きだったりします。あらすじによると、このあとバズることになりそうなので期待大ですよねぇ。
 さて、本作は冒頭ざまぁから入って、加賀美さんの活躍を見せてくれる回になります。題材についてもそうですが、サクッと有能さを見せつけてくれるのは、ストレスフリーな作品を読みたい読者層を狙ってのことだと思うので、こういうスピード感で作品を作っていくのも大事だなと思いました。夜乃ちゃんの枕が未遂なのは少しホッとしましたかね。あらすじだと既に枕してる風だと思ってて、まー別にどっちでも書けるとは思うんですけど、作品のライトな話運びには阻害要因になるかなーと思ったので。その点は杞憂で良かったです。
 さて、社長はまだまだ踊ってくれそうですし、可愛い女の子と世間を味方につけて、ここは盛大に世の中をひっくり返してほしいところです。ぜひぜひ愉快な続きを期待してます! 

2-23 512回目の転生

タイトル・あらすじ感想

 あらすじがほとんどないのでほぼ妄想ですが、512って数字にSF味、デジタル味を感じるので、ロボットに転生したと予想しておきます。で、死なないロボットになったから最後なのかなと!

本文感想

 面白かったです! 主人公最強モノなんですけど、もうだいぶ擦り切れちゃってるじゃないですか。それでもう、作業みたいに世界を救ってマスコミ対応も当然のようにこなすと。そこに次から次へと襲い来るピンチですが、いやーもう負ける姿がぜんぜん想像できないですよねぇ……! これは強い。これまでいっぱい世界を救ってきたから、そりゃーね。
 さてさて、本作の主人公はハッピーエンドのその先も何度も何度も経験して来ているので、正直死が一番の救いのように思っちゃうんですよ。神様には何か思惑がありそうだなぁとは思いますが、もう普通のハッピーエンドなんて知り尽くしてる身だと思うんですよね。これはこの先どうなるんだろうなぁ。神格を得て神様の仲間入りとか? これまで救ってきた世界から何かの恩恵があるとか? 報酬としてはかなり大きくしないと釣り合いが取れなさそうだなとは思うので、作者様の構想が気になるところです。
 今まで磨いてきた能力を継承してきているのもいいですよね。これからことあるごとに過去を広げていって語ってくれるのを期待してます。万能なので安心感もありますし、色々と楽しい想像が膨らんで期待できますよね。
 また、これだけ感情が擦り切れてても世界を救うのだけは即座に選択するのが彼の良いところだと思っています。ぜひぜひ、彼にとっての真のハッピーエンドがおとずれることを願っています!

2-24 落ちこぼれ王女の神殺し

タイトル・あらすじ感想

 これは作風を予想できないので、どうなるか楽しみに待ちたいと思います! ほんわかでもハードでもミステリ風味にもSF風味にも書けそう。どう来ても面白そうなやつ……! フローライトちゃんのキャラに期待ですね!

本文感想

 これはハードなハイファンタジーが来ました。冒頭からの神様存在論争はけっこう現実にも似たようなのありますよね。時と相手をわきまえず、相手の事情を無視して理屈だけ押し付けてくるだけの宗教家って、本当にいるんですよねぇ……あまり深くは語りませんが、やめてくれーと思います。
 それはさておき、フローライトちゃんが生首の魔法使いと出会うまでの流れが良いですよね。彼女の追い詰められて鬱々とした状態がよくわかりますし、そりゃやってらんないよなと。逃げたくなるよなーと感情移入してしまいます。
 そこから、願いを叶えようと現れたのが、生首だったと。これがもうインパクトありますし、怪しさ満点ですよね。私だったらダッシュで逃げる自信ありますけど、フローライトちゃんは話を聞いてあげると。良いじゃないですかー!
 最後の「絶対に許さない」はどうとでも転がせる言葉かなぁと思うので、今後どういう方向に物語が進んでいくのか興味があります。続きを楽しみにしてます!

2-25 春待ちウサギ、冬の章

タイトル・あらすじ感想

 ひゃー、これはかなり没入感のあるハイファンタジーを読ませてくれそうで楽しみです! 12歳にして辺境伯を任せられたシュニーの英雄譚、しかも世界は雪と氷に閉ざされようとしてるんですよね。これは読みたい……! ぶっ飛んだ活躍を期待してます!

本文感想

 これは楽しくなってきましたね。流刑地のような辺境領主に任じられて、ふてくされる12歳のシュニー。これまで貴族として育ってきたのなら当然かもしれませんが、今はまだ傲慢さが伺えると。そんな彼を変えたのは、一目惚れだった……いやー、良いじゃないですか。本作は色々な面で期待できますよね。
 まず何と言っても領地運営モノという側面の面白さ。これは改めて語るまでもないですが人気高いですよね。私も大好きです。そして追放要素。最悪の場所に追放されて再起を図りますから、これはもう応援したくなります。あとは恋愛という軸がやはり強力にあって、シュニーを変えていくと。
 このあとの転がし方は色々とあると思うんですよね。もちろん、ほのぼの領地運営でも良いんですが、あらすじにある「雪と氷に閉ざされようとしているこの世界に抗い続ける英雄」というのがどう物語に効いてくるのか私はけっこう楽しみにしてるんですよね。架空戦記みたいにはあんまりならない感じなのかなとは思いますが、どうなんでしょう。
 総括して、本作はシュニーの成長面を色々と期待できるような素敵な第一話だったと思います。ぜひともこの先のお話を詠ませてくださいね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?