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第20回 #書き出し祭り 第一会場感想(まさかミケ猫)


はじめに

 第20回書き出し祭り第一会場の感想を以下に書いていきます。以前Xで呟いたタイトル・あらすじへの感想(※本文未読時のもの)も一緒に掲載しますので、予想や期待をどのように突き抜けてくるのか、といった部分にも着目していきながら感想を書いていきたいと思います。

企画概要

第20回書き出し祭り 第一会場

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事務局ポスト

タイトル一覧

第20回書き出し祭り 第一会場 タイトル一覧

あらすじ一覧

1-01 私、言うとおりにはなりませんっ!〜じゃじゃ馬令嬢の手綱捌き〜

タイトル・あらすじ感想

 1-1から期待値めちゃ高です。異世界恋愛ですね。サザちゃんがぶっ飛んだ楽しさを見せてくれそう。なんたってじゃじゃ馬ですからね! どんな子なのか楽しみにしてます。

本文感想

 しっかりした世界観の中、サザちゃんが自分の望みのために能動的に動いていくのが、とても魅力的な作品だったと思います! 良かった!
 タイトルの「言うとおりにはなりません」の通り、彼女がしっかりと自立しているのが印象的でしたね。状況に流されるのではなく、自分なりに考えて行動する。貴族関係の小面倒な人間関係がある中、最善を掴むために強かに立ち回るのが頼もしかったです。
 特に好感度が高かったのは「この借りはかならず返しますわ」のセリフですね。親切を受けたままにせず、ちゃんと返そうとする自立心と真っ直ぐさが読んでいて心地良いなと感じました。こんな風に彼女の良さをしっかりと描いてくれると、読んでいて応援したい気持ちになりますね。
 ちなみにあらすじでは連れて来る名馬は百頭でしたが、これからノルマが増やされるってことでしょうか……笑 とても楽しく読ませていただきました。苦労の果てに名馬とオーギュストを手に入れられることを願ってます!

1-02 拝啓、母さん。僕は人類を滅ぼします。

タイトル・あらすじ感想

 SFだ。絶対好きなやつ。千里くんとお母さんのエピソードは泣けるやつかなぁ。世界観も好きなやつですが、月音ちゃんとの話が書き出しでどこまで描かれるのか楽しみにしてます。

本文感想

 ボロボロ泣きました……大好きです。感情のジェットコースターでした。すごく心の深いところに刺してくるやつじゃないですか、もう! とても面白かったです!
 最初のシーンでは、月音ちゃんに話しかける千里くんにキュンキュンとさせていただきました。かと思ったら、そこからロボットの「母さん」とのエピソードがすごく泣かせてきて……私はもうここでガチ泣きしていまったんですよ。彼の「僕は人類が大嫌いになった」ってセリフに、どれだけの想いが籠もっていたのかと思うと、もうね。ロボットという違いはあっても、母を想う子の気持ちに違いはないじゃないですか。もう心がギュッと締め付けられるようで、たまらなかったです。
 そして最後のシーンでは、あらすじの先を読ませていただいたと思います。あらすじ段階では「復讐をやめる」のか「一緒に復讐をする」のか読めなかったんですが……しっかりとタイトルに戻ってきて、千里くんの決意を見せてくれる末尾だったと思います。切ないなぁ。
 ここからどう物語が転がっていくのか、二人のそれぞれの得意分野を活かした作戦になったりするんでしょうかね。他にも仲間や敵ができたりするのでしょうか。とても先の読みたくなる書き出しでした。すごく好きです!

1-03 恋愛小説の当て馬騎士にさせられた

タイトル・あらすじ感想

 え、面白そう。恋愛×推理になるんですかね。アキちゃんも主人公も、たぶん自分から正体明かすことはできないシステムなのかなーと予想。どうやって特定するんだろ。気になりますね。

本文感想

 面白かったです! やー、主人公ちょっと可哀想すぎないかなぁと思いながら読ませていただきました笑 予想していたより、小説世界に入るまでのエピソードをしっかりと見せてくれましたね。
 本作は、主人公を追い詰めるシチュエーション作りが上手い作品だったなぁと思います。いやだって、クロは「下心満々」「逃がした」なんていいますが、彼女の家で二人きりだったら期待しちゃうのが普通じゃないですかぁ。だいぶ可哀想だなぁ(ニヤニヤ)
 アキちゃんは実のところどうなんでしょ。実は「本当に本の中に入るなんて思わないじゃん! しかもこのタイミングで!」とか思ってないですかね。それとも、本気で彼氏をほっぽって「本の世界だやっほー」とみたいなテンションで他キャラといちゃいちゃしてたら……いやー、そのパターンだとだーいぶヤバい女だと思いますけど(ニコニコ)
 どんどん理不尽に追い詰められていく主人公が、無事にアキちゃんを連れ帰れる日を楽しみにしてまーす!

1-04 満ちる世界で、君との奇跡がかけていく

タイトル・あらすじ感想

 男側が人魚って少し珍しいパターンですね。単語選びが詩的で凝っている作者様なので、タイトルの「かけていく」には何か意味がありそうです。切ないのください!

本文感想

 不思議な世界観がとても素敵な作品でした。読み味は幻想的でふわっとしているのですが、なにか静かでシビアな背景が滲んでいるように感じます。
 欠けたものが漂着する島……単に漂流物をそう呼んでるのではなく、現実世界で不要とされたものが到着して、その上で出られない場所なんですね。私はどうも、銀河鉄道の夜を思い出してしまいます。本作は死後の世界へいたる途中にある島のようなイメージを持ったんですよね。いや、ぜんぜん違うのかもしれませんが。
 ハクアには戻れる資格がある。そしてシホはダメなんですね。だけどハクアは自分が戻ることよりも、シホのことが気にかかっていると。本文末尾では過去のシーンに巻き戻り、二人の出会いから見せてくれましたが、これからどんな物語になるのか……切ない物語を見せてくれるのか、ビターだけど本人たちとっては幸せな結末を迎えるのか、はたまたあっと驚く方法でひっくり返してくれるのか。続きを楽しみにしたいと思います。面白かったです。

1-05 ガスマスクの一般化した日常

タイトル・あらすじ感想

 あ、これは好きですね。世界観が秀逸。みんなガスマスクをしてて現実の顔・声が分からないなら、人はどう交流するのか。この仮定の置き方がすごく好きなタイプのSFです。

本文感想

 これはまさに私が好きな作品で、むしろ私が書きたい(もちろん作者匿名なので、これが私の作品である可能性もありますが)くらいの作品ですね。とても面白かったです。
 さて、本作はあらすじで期待していたドンピシャの作品を見せてくれたと思います。待ち構えていたキャッチャーミットにスパンと投げ込んでくれた感じと言いますか。まずガスマスクが普及している社会背景から納得感が合って良いですよね。世代間の軋轢があったりするのは、新しいものについては何でもそうですから。そういった部分をまずしっかり足場を固めた上で、安心して物語に没入させていただけたのが、すごく良いと思っています。
 そんな中、第一話ではこの世界ならではの青春模様を見せてくれたと思います。顔が見えないというのは、コミュニケーションにおいてすれ違いも起きやすいですよね。男女すらあやふやだと恋愛が発展するのも難しい世界だと思いますし……まぁ、井優ちゃんはたぶん女だと思うんですけど笑
 もしも本作の作者が私だったらガンガン続きを書いているところですが、私でなかったら作者様には続きの執筆をお願いしたいところです。これは私、だいぶ好きな作品ですよ。

1-06 ハッカーちゃんの給料日/#0 悪の金庫は簡単に空く/A easy game

タイトル・あらすじ感想

 これはノリと勢で激しく突っ走ってほしい作品ですね。OPENER GANG、覆面の四人組がヤバい発言をしながら、どんなぶっ飛んだ活躍を見せてくれるのか楽しみにしてます!

本文感想

 楽しかったです! ソフィアは無理やり仲間に入れされられた風ですが、性格的にもスキル的にもとても向いているんじゃないかと思います。この楽しそうなアウトロー集団がたまらないですね。
 冒頭からソフィアがすごく良いですよね。このメスガキ感溢れる感じ。ザァコザァコっていっぱいやって欲しいです。そしてOPENER GANGたちのやり取りはまさに期待していた通りのノリノリなやつだったので、楽しく読ませていただきました。このテンションが良いんですよ。
 そして後半の仲間勧誘が楽しみですよね。Rook、Ace、Grand……の中にLaughyとして加わる彼女は、どんな活躍を見せてくれるのか。また、彼女以外のキャラの掘り下げも次話以降に行われることになると思うので、そういった部分も楽しみにしたいと思います。
 この作品はなんというか、洋画とかでノリノリの感じで見たいですね。ド派手に金庫破りとかをして、世間をわっと驚かせる四人組を大画面で見たいなぁと思います。とても楽しい作品を読ませていただきました!

1-07 この婚約はなかったことに?剣豪老嬢と夢見る令息の諸国漫遊冒険記

タイトル・あらすじ感想

 これは凸凹な異世界恋愛ですね。イザベラの一人称は俺。そして夢見るジョン。典型的なパターンから男女逆にした感じだと思いますが、どうなるんだろう。すごく期待感高いです。

本文感想

 これは素敵な書き出しでしたね。イザベラは男勝りで自立心が強く、自分の生き方を自分で決める。もう一方のジョンは病弱であまり押しの強いタイプではないけれど、一本芯が通っていて大胆に行動する。この二人は良いコンビになると思いますし、良いカップルにもなるんじゃないかと思います。これからどんな旅が始まるのか楽しみです。
 冒頭、ジョン→イザベラの好感度が高いのを見せてくれるところから始まるのが良いですよね。またジョンの考える「美しさ」の中にイザベラがしっかり入っている、素敵な将来像だと思います。
 そこから時間は巻き戻り、まずはイザベラの力強い人柄を見せてくれます。普通の令嬢という枠にはまったく収まらない彼女ですが、しがらみの多い貴族の中で凛として立つ彼女は好ましいと感じます。一方で、ジョンの方もいいですよね。兄たちの毒殺計画を知って、道化を演じながらイザベラを助けるために積極的に行動する。そしてそんな二人が一緒に旅立つときの会話がねぇ、もうものすごく良いと思いました。形は違いますが、それぞれ自分の夢のために人生をかけて歩もうとしていますから。
 ここから先の冒険で二人がどうなるのか……それは「これからの旅次第」となるのでしょう。楽しみにしています。

1-08 悪魔憑きの殉教者~やさぐれ神父は迷える子羊を放っとけない~

タイトル・あらすじ感想

 これは外連味マシマシで格好良いのを書いてくれそう。絶対面白いですよね、知ってます。魔王化したやさぐれ神父が、どんな愛でぶん殴ってくるのか楽しみにしてまーす!

本文感想

 面白かったです! 神父から一転、魔王として赤ちゃん召喚された雪之丞はどうなってしまうのか。すんごいやさぐれながら、いろいろとド派手に冒険してくれそうな気がしています。
 転生前エピソードですが、破門されて孤児院を潰され、子どもたちを連れて行かれる……だいぶ裏のありそうな状況ですね。毒を盛った中年オヤジも、そのあたりの裏事情に関わってくるのでしょう。物語として真実が明かされるのはまだ先だと思いますが、いろいろと想像が膨らみますね。
 そして転生シーンも、悪魔と出会って、そして十字架が大蛇に変わって飲み込まれると。ふむ。いわゆる聖書系の宗教の中で蛇というのは重要な役割を持ってますからね。雪之丞の魂を聖書に入れて持ち去る「儀典の悪魔」と、それを止めようとする聖女たち……いきなりきな臭い感じですね。これは単純に聖女側が善で悪魔側が悪という話にはならないんじゃないかなと想像しています。
 これから雪之丞がどんな育ち方をして、どんな愛を持ってやさぐれ魔王をやってくれるのか。ぜひ楽しみにしたいと思います。

1-09 光る! 鳴る! オト・コノーコ育成計画DX 〜ダメ勇者オリジナ・ルクス完全監修〜

タイトル・あらすじ感想

 第一会場で何やってんですか!笑
 何が光ってどう鳴るのか、説明する気が一切なくてノリと勢いだけで書いておきながら、熾烈な提出争いで第一会場しれっと確保しやがって。大好き。

本文感想

 あー良かった。これは絶対公共の場で読んじゃいけない系の作品だと思って部屋で一人の時に楽しんでいたんですけれど、案の定、冒頭から突き抜けた面白さをこれでもかと叩きつけてきてくれましたね。
 最初のシーンは……もうどこからどう突っ込んだらいいのか私は既に迷子になっているんですが、魔王軍の設定! 勇者一行の二つ名と名前! 春画! のちに犯した大失態ってそもそも存在が大失態なんですが! 下着の内に隠れるようにじゃないんだよ、うまいこと言ったつもりかコノヤロウ! もうね、いちいち腹を抱えて笑わせていただきました。作者様の変態語彙力の高さがめちゃくちゃ面白いです。いいなぁ。
 ダメ男好きなクズナはルクスのことけっこう好きっぽいですよねぇ。しかし一方のルクスは性癖改造の結果として男の娘にしか興奮できないというどうしようもない(しかもどうでもいい)奴になっていると。そうかぁ、変態の性癖というものだけでこうやって競合させる構図を書けるのかぁ()
 そして最後、クモ魔人あたりで「おや?」と期待させて「見てて下さい。ボクの……変身!」てね。もうさぁ、初めてですよ。こんなどうしようもないク■ガのオマージュ。はぁ、超面白かったです。最初から最後まで腹が捩れるほど笑わせていただきました。大好きです。

1-10 この聖女は元暗殺者ですが、本当に宜しいのでしょうか?

タイトル・あらすじ感想

 ほほう。これはあらすじで語られていない部分がどう補完されるか楽しみな作品ですね。どういった経緯で偽聖女を頼まれるのか、ミラはなぜ受けるのか。第一話を楽しみに待ちます!

本文感想

 面白かったです。婚約破棄をベースにどう捻ってくるのかと思いましたが、これはなかなか裏の読めない展開になってきましたね。異世界恋愛としての面白さにミステリ要素を加えた感じでしょうか、色々と想像の膨らむ第一話だったと思います。
 婚約破棄ってそうですよね、本来なら暗殺者を差し向けられてもおかしくない所業ですから、大人たちの血管ブチ切れそうになるよなぁと思いながら……皇子の残念さに笑っちゃいました。たぶん冒頭の婚約破棄も彼なりの事情があってのことかと思いますが、どうなんだろうなぁ。まだ明かされていないミモザ周辺の怪しげな事情が気になりました。
 ミラを聖女にするというのはどういうことなのか……単にミモザを排除して終了という話ではないんですよね。皇子にはわざわざミラと婚約破棄をした上でミモザと結婚し、その上でミモザを聖女にさせるわけにはいかないと考えている何かしらの理由があって……となると、聖女というのには明確な役割があると思うんです。それが今後の物語にどう影響してくるのかなぁ、うーん、これは気になる。
 ミラの立場では特に皇子の提案に乗る必然性がないとは思うんですが、そこは第二話あたりでもう一波乱あって巻き込まれる感じなんでしょうかね。この先どんな展開が待っているのか、楽しみです!

1-11 地蝕の影、黄昏の境界

タイトル・あらすじ感想

 ヒーローもの×青春みたいな期待をしてるんですけど、合ってたらいいなぁ。影と戦う男女バディみたいな予想をしてます。熱いやつだといいな。世界観もすごく面白そう。

本文感想

 いやぁこれはこれは、期待していた格好いいバトルものが来ましたね。しかも男女バディでそれぞれの得手不得手があり、相手は宇宙人と影の病、二人が協力して戦う必要があると。ワクワクするやつ!
 綾川くんがSF的なバトルを繰り広げる一方で、藤白ちゃんがファンタジー味のあるバトルをしてて、それがちゃんと噛み合わさってるのが凄いですよね。それぞれ早苗さんと狐という相棒の置き方の違いもいいです。で、ちょっと天然っぽい藤白ちゃんにさっそく惚れる綾川くんと。これは面白いですねぇ。
 ドッペルゲンガーの設定をちゃんと説明しようとすると少し煩雑だと思うんですが、それをバトルの中で提示して、読者が苦労なく理解できるようになっていたのも良かったポイントだと思います。
 二人のこれからの戦いや恋模様の移り変わりなど、ぜひとも続きを読みたい作品でした。というか、二人の恋愛関係が地球の命運にわりとガチで影響しそうですからねぇ。楽しみにしています。

1-12 勇者ですが魔王に色仕掛けをしかけることになりまして

タイトル・あらすじ感想

 これは楽しいやつですね。煽られて「できらぁ」って簡単に乗っちゃうエマちゃんが既に見え隠れしてます。色気はなさそうですがめっちゃ楽しそう。超期待してます。

本文感想

 あはは、めちゃくちゃ楽しかったです。これは残念なエマちゃんと残念な魔王様の素敵な物語が期待できそうですね。ついほっこりしちゃいました。
 まずは前半、勇者パーティの人間関係が良いですよね。少ない文字数の中で各々のキャラがしっかりと立っていて、気安い掛け合いがとても楽しかったです。アドルフとの喧嘩友達みたいなやりとりがまた良いんですよね。そんな会話の中で、エマちゃんのけっこう残念な性格をしっかりと見せてくれたなと思います。
 後半では魔王と出会うことになりますが……彼もまたずいぶん残念な感じで、チョロくていいですね。エマちゃんの色仕掛け(と言っていいのか?)もけっこうガチで効いちゃいそう。というか、この二人ぜったい相性バツグンでしよ。ご機嫌で可愛いなぁ。
 あらすじで期待していた通りにバシンと面白い作品を投げて来たなぁと思ってます。エマちゃんの色仕掛けが成功するのか、魔王がどうなるのか、楽しみに続きを待ちたいと思います。

1-13 伯爵令嬢ザマァちゃんはイケメン第三王子に婚約破棄されたいのに溺愛されています

タイトル・あらすじ感想

 名前名前! なんてこった! これは楽しくなる予感しかしませんね。ザマァちゃんにはぜひ残念な感じで打ちひしがれながら溺愛されて欲しいです。

本文感想

 ザマァちゃん可愛いなぁ。いやぁ、とても楽しい作品でしたね。天然脳筋娘のザマァちゃんと腹黒世話係のメドウの掛け合いが小気味よくて、最初から最後までずっと楽しかったです。
 読み始めると、もうまず最初の一文から掴みはバッチリですよね。これは良い入り方。そして軽く楽しい読み味なんですが、文章力が非常に高いので、背景説明から入ってもすごく楽しんで読めるんですよね。こういった書き方は見習いたいというか、積極的に真似していきたい部分だなと思ってます。
 それで、二人の会話のテンポがまたすごく良いですよねぇ。立場を逆手に取ってメドウの語彙力でぶん殴ることによって、二人の関係性や性格もよくわかりますし、ザマァちゃんの愉快な考え方を楽しく理解することができました。これは良いアホの子だぁ。
 本作についてはタイトルで未来が示唆されているので、安心して期待しながら続きを待てるなと思っています。引き続き、楽しい楽しい第二話を書いてほしいなぁと思ってます!

1-14 宇宙の歩き方 〜Welcome to universe!〜

タイトル・あらすじ感想

 ふむ。あの名作を超える覚悟で書いてくれたんですよね。挑戦状として受け取っておきましょう。楽しみにしておきまーす。

本文感想

 とても楽しかったです! 本来なら感想であまり別の作品について語るべきではないと思うのですが、私は銀河ヒッチハイクガイドが大好きなSF民で(たぶん作者様も大好きなんだと確信しているので語ってしまうのですが)、あの愉快な世界観をオマージュした上で独自の設定を盛り込み、真新しく楽しい作品を読ませていただいたなと感激してます。
 本作でニヤニヤさせてくれるのは、やはり西園寺サクラとのラブコメ要素ですよね。気を失ってる時の発言から、彼女はやはり破壊される地球からどうしてもタロウだけは連れ出したかったんだなぁと分かります。その感情がこの先どこかで明らかになるのか、また宇宙人である彼女がどんなきっかけでタロウに好意を持つに至ったのか、そういった要素も楽しみにして続きを待ちたいと思います。
 ぜひとも二人のぶっ飛んだ宇宙旅を読ませていただきたいと思っています。またタイトルにある「宇宙の歩き方」の内容がどのようなものなのかも気になりますので、第二話以降が書かれるのを楽しみに待ちたいと思います。

1-15 私が私を救わなきゃ。ループする日常からの脱出

タイトル・あらすじ感想

 これは面白そうなSFミステリですね。一定のルールの中で真実を見つけながら死の回避手段を探す。第一話ではどんなギミックを仕込む気だろう。楽しみにしてます。

本文感想

 とても面白かったです! タイムリープ……というと少し違うので、なんと呼べばよいか分からないのですが、色々と想像の広がる第一話だったと思います。これは面白いのを書いてきてくれたなぁ。
 先の展開を言い当ててしまうのは野暮なのでぼんやりと語るんですが、主人公は何周も何周もしていくうちに色んな人の立場で事態を見ることになるんですよね。だから、葉山さんが本当に救うべき人なのかとか、彼女を刺したのが「私」にとって敵なのかとかもまだまだ怪しい段階だと思います。さらには車がいくつか描写され……これはひき逃げの真相に迫るためのキーになりそうな予感がしますね。とにかくいろんな可能性がたくさんあって、楽しみな第一話でした。
 たぶんまだ真相に迫っていくというよりも、どんどん不思議な情報を提示されて謎を広げていく段階なのかなと思っています。はたして第二話からどう話が転がっていくのか。色々と楽しみにさせていただきたいと思います。とても面白かったです!

1-16 灰々の積もらぬ

タイトル・あらすじ感想

 孤独の中、寄り添う三人組。みんな癖がありそうですね。これは良いハイファンタジーを見せてくれそう。ハードなやつだとすごく嬉しいやつです。

本文感想

 語彙が幻想的で素敵なんですよねぇ! 私もこういうのを書けるようになりたいなりたいと思いながら、逆立ちして激しく振っても出てこないような表現力に慄いていました。凄く良いんですよねぇ。
 私が特に良いと思ったのが「隔てられた虚無の中では自身の要素すら見失い、成らず――やがて虚ろへ溶けていく」ってところなんですよね。これは幻想的な世界観における妖精の定義として非常に面白いと思いましたし、ラャミの術が人外特効なことにとても説得力のある部分だと思います。でも、私はこんなふうに素敵には書けませんからねぇ! ついつい、もうちょっと理科的な説明になっちゃうんですよ。本作のそれはすごく詩的で素敵で良いなぁと、羨ましく思ってます。こういう風に書いてみたい気持ちだけはあるんですけど、なかなかねぇ……。
 さてさて、この三人が本作の主軸となり、ファンタジックな世界の中で、愉快な物語をどのように紡いでいくのか。とても楽しみにしております。

1-17 酎ハイとボンネット

タイトル・あらすじ感想

 純文学の匂いを感じて超楽しみにしてます。絵的にもロリータと地雷系を並べるの強いですねぇ。グチグチ喧嘩しながら腐れ縁みたいな友達やってほしいです。

本文感想

 あ、すごくいい。これは、あらすじから期待していた通りの作品を読ませていただいたと思います。長編でのんびり読みたいやつです。
 上京して来たけど服装の趣味で周囲から浮いてしまい、友達のいないまま過ごす一子。同じように浮いていて我が道を行く乃々。なんかもう、すごく似た者同士のように見えるんですが、服装の趣味が合わなくてバチバチになる――というところからの共同生活ですからねぇ。これは二人がどんな関係を築いていくのか、とても楽しみになりますね。
 自分の「好き」を貫くのって勇気がいるじゃないですか。一子も遠巻きにされながら過ごしているわけで……しかも服装だけでなく「ガッツリ系の料理」は女子的になかなか難しい趣味だと思うんです。なので読者としては、乃々と料理を食べるとこ(めっちゃ毒々しい色してますけど!)とか、二人の相性はすごく良いと思うんですよね。
 これからどんな風に関係を築いていくのか、じっくりと読ませていただきたい作品だと思いました。

1-18 お姉ちゃん無双〜最愛の妹が聖女さま!?お姉ちゃん、先に行って現地を見てくるね!〜

タイトル・あらすじ感想

 あらすじだけで既に面白い。シバ子大好きです。これは強いなぁ。上位入賞する姿を既に幻視してるんですけど、これ絶対上手い人でしょ。

本文感想

 やっぱり面白いじゃないですか! 異様にすばしこいシバ子の勢いに笑いました。これは最高ですね。すごく楽しかったです。あー笑ったぁ。
 冒頭の語りや聖女召喚に勝手に割り込むところからツッコミどころ満載なんですが、そうやって現れて堂々と「姉です」と名乗り、姉チェックを始めるの最高ですね。「確かめるために来たのだ」じゃないんですよ笑 もうのっけからベイリアさんが苦労人になるの確定してて笑いました。
 そして、さらりと文章力が高いのも見習いたいポイントです。話運びから単語選びの端々まで、読者が面白く読みやすいような文章を心がけて書いていて、すごくいいなぁと思いました。読み味は軽いんですが情報はしっかり詰まっていて、するする読めるのが流石だなぁと思います。
 女神様が出てきてシバ子ピーンチ、な末尾なんですが、心配する気持ちがこれっぽっちも起きないのはなぜなのか。シバ子ならどうとでもするだろうという妙な確信があるんですよね。続きを激しく待ってます!

1-19 退魔de子育て!〜凡人師匠と天才弟子〜

タイトル・あらすじ感想

 ほんわかタイトルですが、あらすじを読むとけっこう心にぶっ刺してくるんじゃないかなーと予想してます。沙織の割り切れない葛藤をいっぱい読みたいです!

本文感想

 いやー、とても楽しかったです! これはいいですね。ジンが想像よりもだいぶ可愛いくて最高でした。退魔師のドタバタ子育て奮闘劇、続きがすごく気になります!
 冒頭から、師匠との会話がすごく愉快で、二人の間にある家族のような信頼関係をしっかりと感じさせてくれて、尊敬と気安さの入り混じった温かい感情を楽しく読ませていただいたと思います。こういう会話を私も書きたいものです。
 そしてジンの可哀想な背景と守りたくなる姿。これは沙織のキャラクター的に見捨てられないでしょうし……色々と教えなければならないことの多い中、愛を持って接すると同時に、自分自身の人生や才能を思って鬱々としてしまうような。あらすじで示唆される葛藤にも期待ができて、すごく色々と想像を広げていました。このキャラの置き方が良いですよね。
 母性というか子育て欲求というか、うまい言葉が見つからないんですが、愛を感じさせてくれる素敵な作品だったと思います。ジンはこれまで辛かったぶん、人間的な愛をたくさんうけて育ってほしいです!

1-20 絵描き皇子、帝国を塗り替える

タイトル・あらすじ感想

 いいですね、没入感の高そうなハイファンタジーの予感がします。種族敵対、陰謀バチバチの帝国、戦姫メイナデス……これは架空戦記が来ますか。超期待!

本文感想

 これはこれは、期待ど真ん中のやつが来たんじゃないでしょうか……! めちゃくちゃいいですね。
 ファンタジー世界での人間勢力と魔族勢力の戦いを、蒼人と紅人にすることで「魔族=悪役種族」という読者のレッテルを剥がしつつ、蒼人側から世界を見せてくれる。その上で「百年程度」「81歳の若造」というあたりでしっかりと人外味があり。一方で人間側には銃器が現れ始め、きっとこれから情勢が変化していくのだろうと期待させてくれます。なんてワクワクする、ロマンのある世界観……! これは良いものです。
 また、ドミニクとレオセットの思想の違いを、ボードゲームを通すことによってしっかりと面白く見せていただいたのがすごく良かったです。兄弟の関係も……物語が進んていけば、どこかで主義主張が衝突する日が来るのかもしれませんが、お互いの考え方の違いをしっかり理解していて良い関係を築いているなと思います。中でも「お前とは言い争いたくない」「僕も兄さんと喧嘩をするのは嫌だよ」という会話が、将来的に伏線として使われるんじゃないかと思うと……私はもう、切ない将来を考えてしまってグッと来ました。
 しっかりとした没入感のあるハイファンタジー世界で、ワクワクする魔法戦記を読ませてくれそうだなと想像してすごく楽しみにしています。ぜひ、続きを読ませてください!

1-21 因習村に爆弾魔はやってこない

タイトル・あらすじ感想

 ほほう、これは怖そう。キャラは楽しそうに見せかけて舞台が不穏ですし、あらすじ最後の一文が意味深。うわぁ、すごく読みたい。楽しみにしてます。

本文感想

 うわぁ、ぞわぞわしました。超面白かったです。こういう作品だったんですね……怖いなぁ。最高。
 まずね、主人公の描写にすごく違和感があってゾクゾクするんですよ。一人称が僕なので男の子かなぁと思ったんですが、口調が女の子っぽくて髪も長い。顔には何か呪われた特徴があるらしく、それでも美人であり、下品な妹(ここも意味深)が気になるような特徴を持っていると。そして村にはなにやら因習があり、主人公はそんな村をぶっ壊してほしい……それも自分ごと断罪してほしいと思っている。このうっすらと見え隠れする怪しい感じが、もうすごく背筋をぞわぞわさせるんですよねぇ。怖い怖い怖い。
 たぶん探偵役になるのだろう少女は、死んだ魚のような目をしながらひたすら短編を書き殴っている。彼女の頭の中ではどんな論理が組み立てられているのか気になりますが……たぶん頭のいい子なんで、読者が思っているよりも色々なことを察しているように感じました。
 蛇神と鬼女の伝説になぞらえて、この村にどんな伝説があり、主人公にはどんな背景があるのか。怖いなぁ、怖いなぁと思いながら(まんじゅうと同じくらい怖いです……!)とにかく続きを楽しみに待ちたいと思います。

1-22 ハレムのオオカミ姫、奴隷部屋から愛とざまぁを叫ぶ

タイトル・あらすじ感想

 後宮モノかなぁ。全く書けないけど読むのは大好きなジャンルなんですよね。アセナちゃんにはドロドロした舞台でつよくいきてほしいです。ヒーローが宦官かぁ……! ほほう。

本文感想

 タイあら感想では「つよくいきてほしい」なんて生意気な口をきいてしまい本当にすみませんでした。アセナさんめっちゃ強いじゃありませんか。サソリや蛇を適切に取り扱い、犬のような嗅覚で犯人を特定、堂々と自分を貫く颯爽とした姿がとても素敵だったと思います。面白かったです!
 本作はまず世界観がいいですよね。私はあんまり世界史関連は詳しくないんですけど、中国以外に宦官って制度あったんでしたっけ。たぶん帝国はスルタン制だからオスマン帝国モチーフなのかなぁと想像してるんですけどね。とりあえずあっちの方(すごく雑な理解)のイメージを持って読んでました。
 それでねー、ハレムの様子がすごくドロドロしていて、あらすじで想像していたよりずっと厳しい世界観で痺れました。利害関係の絡んだ女の戦いが繰り広げられ、陰謀も暗殺も盛り盛り。そんな舞台の上で、遊牧民族出身のアセナがたくましく活躍すると。とてもワクワクします。
 そしてヒーロー役の男が実は後のスルタンであり、アセナは正后妃になる未来が示唆される、といった末尾。これはすごく期待感を煽ってくる作品でしたねぇ。この先のアスナの活躍を読みたくなります。面白かったです!

1-23 生まれてくるものは

タイトル・あらすじ感想

 怖い怖い、これはホラーっぽいけど「人間が怖い」方のホラーじゃないですか? あらすじで既にゾクゾクできそう。六十歳かぁ。超楽しみにしてます。

本文感想

 怖い怖い怖い怖い。続きください。
 いや、これは予想していた「人間が怖い」のホラーではなかったです……いや、人間の怖さもあるんですよ。恨みの感情がすごく濃くて、狂気という言葉で表現するのも軽くなってしまうような、恐ろしい何かを滲ませてくれるじゃないですか。そしてその上で、何やら悪魔的なの要素……しかもかなり生々しい奴が、恐ろしいシルエットを浮かび上がらせてくれるじゃないですか。私はもう怖くて怖くて、続きを読まないと化けて出そうなので、ぜひお願いしますね。
 本作は冒頭から、何が良いって「夫が現実から目をそらし続ける」のが生々しくて良いんですよ。ここで真実を求めて思考を巡らせたり探ったりするとミステリ寄りになりますが……本作では彼が仕事に逃げたり違和感を放置したりして、事態が悪化するのをただ眺めているのが、もうすごく「人間だなぁ」と感じさせてくれて良いと思うんです。ぼんやりとしか見えない怖さというのが、夫の煮えきらない&リアリティのある人物像の視点から描かれるのが良いんですよね。
 とにかくめちゃくちゃ怖かったので、ぜひ続きをください。よろしくお願いします!

1-24 胸の灯、消さぬために

タイトル・あらすじ感想

 あらすじがない作品は勝手に想像して期待するんですが、私はウ●トラマンの話だと思ってます。胸の灯を消さぬために三分で怪獣倒すヤツ。

本文感想

 はい。ウ●トラマンではなかったですね。ごめんなさい。本作はとても熱くて手に汗握るハイファンタジー作品でした。シリアスな舞台の上で繰り広げられる人間模様が熱くて、とても魅力的な作品だったと思います。
 舞台となるスーシェン島のネーミングは四神の中国語読みで、キャラ名などもどことなく中華風な印象を受けますが、神様の顔ぶれは四属性説から来ている感じでしょうかね。炎神(火)、流神(水)、地神(土)、旋神(風)と。そしてその四神に見放された毒華の里というのが、大枠の勢力図になると思っています。すごくワクワクする舞台ですねぇ。
 そんな中、四神の代行者たちが一枚岩ではないのが良いですよね。炎神の代行者であるフォンは王位第一継承者。流神の代行者であるハイリュウは一見するとフォンの友人という立ち位置なのですが、実は内心にいろいろと歪みを抱えていて「理想のフォン」を盲信している。地神の代行者であるリャンシィはハイリュウ視点でしか描写されていないため正確には読みきれませんが、悪女枠でしょうか。そして、白狼フパオは人間を嫌っていると。この構図がとても面白くて、この先の展開をすごく妄想させてくれますし、それぞれ簡単には行かなそうな癖のあるキャラクターたちなのが素敵です。
 本作はそんな今後をいろいろと期待させてくれる第一話だったと思います。とても面白かったです!

1-25 嘘の蛇――別れさせ屋の女子高生――

タイトル・あらすじ感想

 恨みが濃くて、だぁい好き。正義も倫理も捨て去って、バチバチにやっちまってくださいね。めちゃくちゃ期待してまーす!

本文感想

 ひゃー、大変好きでございます。これは良いなぁ……いやまぁ、やってることは恋愛詐欺だし、正義か悪かと言われれば確実に悪でしょう。お金をもらって若者の青春を弄び、淡い恋愛関係を軒並みぶっ壊していくんですから。ただねぇ……だから、良いんですよ。悪いから痺れるんです(微笑)
 彼女の動機については、まだあらすじでしか語られていませんが、家族愛に根ざしたとても濃い感情じゃないですか。それをベースに歪んだ価値観を持ち、今はたぶん女に復讐するための準備をしている段階だと思うんですよね。金を集めるのと、スキルを磨くのと。だから少年漫画でいうと修行編みたいなものなので、彼女が男に現を抜かすわけがないんですよ。
 それでさぁ、別れさせ屋のディテールが素晴らしいじゃないですか。架空職業モノってけっこうあると思うんですけど、ここまで需要やキャッシュフローがちゃんと考えられているとすごくリアリティが出ますよね。まるで本当にあってもおかしくない(あったらとても困るんですが)と思わせてくれるほど、裏稼業の解像度がとても高くて素敵だと思いました。もう涼子ママとのやりとりが良いんですよねぇ。悪くて最高。もっと読んでたいです。
 菅野君とのエピソードは結末だけでしたから、栄太郎君とのこのエピソードはぜひ恵子ちゃんが失恋する過程の青春模様を最初から最後までしっかり見せていただけるのかなと期待してます。すごく楽しみです(微笑)

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