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第20回 #書き出し祭り 第三会場感想(まさかミケ猫)


はじめに

 第20回書き出し祭り第三会場の感想を以下に書いていきます。以前Xで呟いたタイトル・あらすじへの感想(※本文未読時のもの)も一緒に掲載しますので、予想や期待をどのように突き抜けてくるのか、といった部分にも着目していきながら感想を書いていきたいと思います。

企画概要

第20回書き出し祭り 第三会場

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事務局ポスト

タイトル一覧

第20回書き出し祭り 第三会場 タイトル一覧

あらすじ一覧

3-01 機兵と死なず姫

タイトル・あらすじ感想

 第三会場のっけからSFファンタジーいただきました。ロボットもの好きぃ。人型機動兵器のパイロットが死んでる女の子――たぶん死なず姫と出会うんですよね。え、ワクワクするっきゃないじゃん!

本文感想

 はぁ、これはワクワクですね。とりあえず好きを叫んでいいですか。いやー、ホント大好きです!
 私が本作で良いなぁと思うのが、設定の掘り下げ方なんですよね。まず特徴的なのが人型機動兵器の操作方法でしょうか。本作では神経接続(ニューロリンク)によってまるで自分の体のように操作可能で、戦術支援AIのイータがサポートしてくれると。このシステムの説得力で、すごく私はワクワクしました。
 もちろんそこだけじゃないんですよ。転生前の世界がしっかりと宇宙時代のSFをしてて、シリウス星系へのワープ事故で流れ着くという背景設定がすごく練り込まれてて好きです。ここは次話以降のイータの機能・性能にも関わってくる(例えば陸海空宙どの戦場を想定した機能があるとか、例えばどういった資源からエネルギージェネレーターを動かせるのかとか、例えば搭乗者の遭難用にフードプリンターのような生活機器が搭載されてたら異世界でも使えるよなとか、異星探索時に妙なウィルスとかもらわないようナノマシン薬の構築ユニットが搭載されてたら医療系の活躍もアリだなとか、武装系の装備やシールドやレーダーなんかがこの世界でどこまで通用するかとか、もうなんか色々とありそう)部分だと思うので、ここの掘り下げ方や便利さ・不便さをどう設定するかが今後の異世界生活を面白くしていくんじゃないかと思ってます。
 それと異世界側の世界観についても掘り下げ方が良いと思うんですよね。あえて魔王などのありがちワードを使わず「狂王」ってところがねえ、いいんですよ。色々想像が膨らむじゃないですか。たぶん機動兵器に乗っていれば少女の剣も抜けると思います。そして、おそらくまだイータが対応できていないだろう「ファンタジー込みでの戦闘」というものを、少女や剣が補ってくれるのかなぁと想像してたりします。
 もうめちゃくちゃ好きなので、ぜひ続きを読ませてください。長期連載してくれると私が歓喜します。よろしくお願いしますね。

3-02 光よりはるか遠い群青

タイトル・あらすじ感想

 近未来おいしいです! 本作はあらすじが既に面白いですよね。きっと命を狙われながら真実を追うことになるんだろうなぁ。スヴェンは何を知ってるんだろう。うわー、気になる。楽しみです。

本文感想

 SF来たーって大歓喜してます。超面白かったです。なるほど、あらすじでは想像しきれませんでしたが、そういう話になるのかぁ……まさか過去(現代)へのタイムスリップになるとは思いませんでした。これは色々と想像が広がってめちゃくちゃ楽しいですね!
 まず良いのが、未来世界の当たり前にある技術が本当にさり気なく提示されているところですよね。未来人視点の日常なので、読者的には目を引くんですが語り口は自然である必要があって……そういった部分をすごく良い描き方されてるなぁと思って、私はニヤニヤと読んでいました。技術要素でいえば、網膜デバイスのあたりが私は好きですね。異世界モノで言う「鑑定」にあたる能力をこうやるのかぁと思って。
 そして、色々と謎をばらまきつつ過去世界へとやってくる。これも色々と想像が広がって楽しいんですよね! そもそも歴史改変というのが、この作品世界でどういう定義なのかがまだ分からないじゃないですか。絶対変えられないのか、変えられるけど修正力が働くのか、世界線が分岐するのか、変えたなりに進むのか、変えた結果が認識している未来に繋がっているのか……このあたり、どう扱うのかは作品次第ですからね。今はまだ散りばめられた段階の謎たちが、今後どういった使われ方をしていくのか楽しみにしていたいと思います。ぜひぜひ、続きをお願いしますね!

3-03 灯りの家へおかえり。-ある日、魔女は少女を拾った-

タイトル・あらすじ感想

 童話、児童文学かなぁ。しかも大人を泣かせにくるタイプのやつ。猫に語りかける魔女というあらすじのシチュエーションが既に良すぎるので、私は絶対泣くと思います。すごくすごく楽しみにしてますね。

本文感想

 魔女と少女、それぞれのキャラが素敵ですごく良かったです。あらすじは、未来から振り返っている感じでしょうかね。二人のそれぞれのキャラと関係が好きだなぁと思って読ませていただきました。
 まず魔女がいい味出してますよね。一口に魔女といってもゲームっぽい魔法を使う魔女からハイファンタジーな魔女まで色々といますが、本作では箒で飛ぶ正統派な魔女でとても良き良きです。おとぎ話に出てくる魔女みたいな感じかなと思っています。それで、やはり彼女の強さがいいなと思うんですよね。憎まれ口の裏に滲む優しさみたいなものとか、すごく好きです。狼を前にした立ち振る舞いも格好よかったと思います。私もこういう魔女と暮らしたい……!
 一方の少女はサバイバル精神旺盛で、生き残るために勇気を振り絞って行動を続ける。今はまだ刺々しいだけの彼女ですが、魔女の人柄に触れていけば今後は素敵な関係を築いていけるのかなぁと想像してます。私は彼女のような力強い生きる意志のある子がかなり大好きなので、応援したくなりますね。これから何をどうするにせよ、彼女なりの信念と意思を持って選択していくんだろうなと感じています。
 そんな素敵な二人が出会って、これから少しずつ関係を築いていくと。これはもう良すぎるじゃないですかぁ。二人それぞれ魅力的なので、今後の物語もぜひ読ませていただきたいです。素敵でした!

3-04 リケジョ転生令嬢

タイトル・あらすじ感想

 科●研の女 in 異世界みたいな私好みの作品だったらいいなって期待してます。リケジョ良いですよね。ファンタジー的な舞台なのに科学的に謎を追うアニエルカ……楽しみすぎる。どんな理論を展開してくれるんだろう……! 待ちきれない!

本文感想

 面白かったです! 前世の記憶として科学知識を持つパターンじゃなくて、夢として並行して現実世界(前世)の記憶を追体験することでリケジョになっていくんですね。これは予想できませんでした。なるほどなぁ。
 本作は視点が面白いと思ってまして。大きな構造としては異世界転生モノなどに近いのですが、主人公の軸足がファンタジー世界側にあるのが面白いところですよね。ファンタジー側が主になって、現実世界側を覗きながらその知識を活用していく、というのが新しいなと思って読んでいました。
 また、アニエルカの好感度がすごく高くて応援したくなる子だなぁと思って読んでいました。家族を失った悲しみという背景がありつつ、世話になった王や王子のためという真っ直ぐな動機で行動する子なので、ストレートに応援したくなる造形といいますか。こういったあたりは私も書き手として見習いたいポイントだなと思います。
 全体として、とても読みやすくて面白かったです! 科学知識の部分をどう語らせるかって部分は難しいと思うのですが、本作はアニエルカがすごく分かりやすく話してくれるのでスルスル読めました。異世界で科学革命を起こすアニエルカの姿を、今後も楽しみにしています!

3-05 風呂を沸かせばオケアが助かる

タイトル・あらすじ感想

 ほう、これは粋な会話劇を繰り広げてくれる期待が持てますね。あらすじの掛け合い、これ自体が落語みたいです。世界観はファンタジーですが転がし方はSF的ですし、愉快な作品になりそう。期待してます。

本文感想

 バタフライ・エフェクト!!!!!
 すみません、叫びたかったんです。なるほどなぁ。ザントは異世界からの干渉を跳ね除けて世界消滅を防ぐために、桶谷に現実世界で様々な行動をしてもらう。たぶんそれは直接的な解決というよりも「風が吹けば桶屋が儲かる」的なバタフライ・エフェクトの結果としてザントの望む結果が得られるって物語になるでしょう。あーこれは好きです。世界観は一見ファンタジーですが、この転がし方はSF的だなと私は思ってます。つまり私が大好きなやつなんですよ!
 桶谷がまた、本作の主人公にうってつけの等身大で状況にあたふたする人物なのが良いんですよね。これがクールでハードボイルドなナイスガイだったりしたら、簡単に状況を乗り越えてしまいそうですから。ホテルの部屋で童心にかえったり、フロントへの電話で不審な挙動をしてしまうくらいがちょうどいいです。状況に面食らいながらも自分なりに考えて行動する、という塩梅がいいと思います。もう彼には作者様の手のひらでゴロンゴロン転がされてほしいです。
 あらすじで示されているエピソードも読みたくなりますし、これはすごく楽しい物語になるんじゃないかなぁと思います。ぜひぜひ続きを楽しみにしていますね!

3-06 神々の饗宴〜或いはDOTCHの料理グランプリ〜

タイトル・あらすじ感想

 大丈夫!? 怒られません!? 私はやれやれもっとやれって思ってますが、身の安全はしっかり確保してくださいね。分かる人には分かるってネタが盛り盛りだと嬉しいです。だいぶ愉快そうなので、楽しみにしてます!

本文感想

 想像してた何倍も神様たちがわちゃわちゃしてて、とても楽しかったです! 愉快でほっこり!
 私も神話って好きなんですけど、そう言われてみると料理の神様って言われてピンと来るのってあんまりいないような……? たしかに竈の神様とか豊穣の神様とか酒の神様とかはいますけど、料理は神の領分じゃない感じなんですかね。どうなんだろ。その視点で神話を見たことがなかったので新鮮でした。
 それでねぇ、神様同士の会話がすごく楽しかったんですよね。世界の神様を集めてきたからか、それぞれのキャラが凄く立っていて、で多神教の世界観ってそういう違いにわりと寛容じゃないですか。そういう空気感を凄く感じられて、人の世界を超越しながらも凄く人間的で、楽しい気持ちで読ませていただきました。
 愉快な作品だったなぁと思います! 七番対決の行方が気になるので、ぜひぜひ続きをお願いしたいです。どんな料理が飛び出すのやら、混沌としていて面白そうですね。

3-07 嘲笑された令嬢と王子の婚約〜王太子の座、奪い返してみせましょう〜

タイトル・あらすじ感想

 あ、これは私が好きなやつ。ハズレ者二人が婚約して状況をひっくり返す……変わり者同士のカップルって良いですよね。どんな作戦でどう行くのか、第一話ではどこまで見せてくれるのか楽しみにしてます!

本文感想

 わー、好きだなぁこれ。私はもう、こういう疎まれ者同士のカップルって大好物なんですよね。スピカもアルバスも周囲に疎まれているじゃないですか。それでこれは期待混じりの予想なんですが、スピカはアルバスを助け、アルバスもスピカを助けてくれる存在なんだと思います。最初に二人のどん底を示してくれたので、あとは困難を乗り越えて徐々に上がっていくのだろうなと期待しています。
 冒頭から、星読みの魔女と呼ばれるスピカが周囲からどのように思われているか描写が入ります。コミュ障なのもあると思うのですが、彼女は彼女なりの理屈でもって自分の行動を決めているのがとても良いなと思ってまして。凄く主人公的で良いんですよね。物理的にでなく精神的に強いというか、コミュニケーションという弱点はあるものの独自の特技もあって、その行動も真っ直ぐで応援したくなる主人公ですよね。
 アルバスのキャラクターはまだ読み切れないのですが、スピカの独自判定基準では光るものがあるみたいなので、次話以降でどうなるか楽しみにしています。描写的に素質はあると思うんですよね。プロデュースすればイケメンになる素質は十分あると思うので、あとは彼自身が強い意志をもって立ち上がってほしいところ。
 そして鳳雛選定……これが本作の大きな山場になると思います。今のままでは一票も集まらずに敗北するのが目に見えていますが、ここからどんなエピソードを重ねて勝利までもっていくのか。スピカ、アルバスの成長も含め、楽しみに続きを待ちたいと思います!

3-08 お爺ちゃんは悪役令嬢

タイトル・あらすじ感想

 お爺ちゃああああああん!笑
 タイトルでぶっ飛んだところから「つる子大変じゃ」で大爆笑。転生してしもうたぞ、じゃないよ。えー、絶対笑っちゃうやつじゃん。公共の場で読んだら変な笑いが漏れて、周りから白い目で見られそうな作品です。閲覧注意! 超楽しみです。

本文感想

 お爺ちゃああああああん!笑
 これはもうね、期待して構えていたキャッチャーミットのど真ん中を突き抜けてくるような面白い作品を読ませていただいたなぁと思います。いやーこれは面白かったぁ。笑わせていただきました。
 まず最初の前世シーンは、少ない文字数の中でお爺ちゃんのキャラクターをしっかり見せてくれたのかなと思います。どんなお爺ちゃんなのかすごく良く分かりますもんね。長々と説明せずにエピソードを通してキャラを理解させてくれるのは嬉しい!
 お爺ちゃんが乙女ゲーの内容を理解している理由もしっかりと回想で示されていますし、お爺ちゃんなりの価値観でイライザの状況に疑問を持っていたというのもすごく納得ができます。こういった土台がしっかりしているからこそ、お爺ちゃん目線での悪役令嬢ものというぶっ飛んだ作品でも楽しく読めるのだと思っています。
 とても軽く楽しく読めますし、キャラ文芸として見習いたい部分が多いなと感じました。お爺ちゃんのキャラが強いからなぁ。こんな風に強いキャラを主軸にして切り込んでくる作品は、とても強いと思います。タイトルもバシッと決まってますからね、強い。面白い作品をありがとうございまーす!

3-09 梔子の花は朽ちれども~復讐の令嬢・ジュディス

タイトル・あらすじ感想

 はぁ、これは楽しみ。濃い感情を読ませてくれそうな期待をしています。自分や両親を嵌めたのは誰なのか……悲しくて暗くて辛い、心の底をかき混ぜられるような痺れる復讐譚を超期待してます。良いのきたなぁ。

本文感想

 あああぁぁぁ。これは痺れますね。とても深い恨みの感情が伝わってきて大好きです。追い詰めて追い詰めて、ここまで追い詰めなくても良いんじゃないかってくらいジュディスを追い込んで、深い深い恨み辛みを積み重ねてからのルカスの登場。これは良い。期待を突き抜けて、めちゃくちゃ暗い作品を読ませていただきました。あぁ、これはもう大好きです。
 冒頭から、ジュディスの感じている苦しみが生々しくてすごく良いんですよね。最初の数段落で一気に引き込まれたのですが、様々な感覚が麻痺しているのは防衛本能なのか。幸せだった生活が一変、本当に酷い状況の中……さらに上げて落とすじゃないですか。
 希望からの絶望。婚約者のアーロンへの温かい感情や又従姉妹のマリエールを信じたいという思いを描いておきながらの、裏切り。ケイトは味方なのだと思わせてからの、ケイトの死の真相。ここまで深い絶望を描き出すなんて、小説家というのはほんと酷い奴らの集まりですよね(この絶望のさせ方はめちゃくちゃ勉強させていただきます。ほんと良いですねぇ)
 それで最後の書き方もすごく上手いんですよ。今度は逆に、極限まで絶望させて恨み辛みの感情をしっかりと煮詰めたところから、ポンと希望を出すと。ルカスの登場シーンなんて大興奮じゃないですか。これはもう、痺れる復讐劇をめちゃくちゃ期待できると思います。
 本作はもう、ライトノベルじゃなくてヘヴィノベルだなぁと思って。いやそんな言葉はないんですけどね。こう、映像化しちゃうと表面的なグロさに引っ張られてしまって少し味が変わってしまうので、本作は小説のまま感情の濃い部分を味わいたいなぁと思わせられる作品でした。大好きです!

3-10 猫の殺し方

タイトル・あらすじ感想

 なにせ私もミケ猫なので、タイあら感想を打つ肉球が震えてるんですが……怖いニャあ。これは生命倫理についてすごく考えさせられそうな作品ですね。脱法ペットショップって切り口が鋭い。楽しみです!

本文感想

 猫である私にはとても辛い作品だったニャ……という戯言はともかくとして、本作は想像していたよりずっと純文学味のある素敵な作品だったなと思います。文章が綺麗で読みやすいんですよ。それから、割り切れない感情が渦巻いてる感じが、すごく人間を描いてるなと思いまして。
 もちろん、真梨ちゃんには言いたいことが山ほどありますよ。現実に目の前で猫をこんな目にあわせてたら説教です説教。たぶん猫好きの人にとっては読むのが辛い作品になっていくと思いますし、だいぶ暗くてうじうじした感情が描かれてるんですが……そこがね、良いんですよ。本作の売りはこの暗さの中でぼんやりとシルエットだけ浮かび上がるような、この生々しい感情だなぁと思ってます。
 あえて直接的な表現を避けながら、修平さんへの想いやなんかはしっかり伝わってくるじゃないですか。猫を殺すことへ罪悪感を抱きながら押し殺しているのも伝わりますし。それと、語り口がものすごく主観的なのも良いんですよねぇ。冒頭のペラ男だってそんな言うほど悪いやつじゃないと思いますし、修平さんは客観的に見たらろくでもない人間です。ただそういった諸々を、彼女の目を通して歪んだ世界を描き出していることに純文学味を感じるわけですよ。すごく良いですよね。
 こういうのを私も書きたいんだよなぁ(猫は殺しませんけどね! そこはやっぱ辛いので!)と思いながら、この高い文章力と人間感情の描き方に拍手を送りたいと思います。すごかったです。勉強させていただきます。

3-11 力持ちのメアリ

タイトル・あらすじ感想

 力持ちのメアリと思慮深いセレスのコンビ、これは面白そう! そして舞台の闇が深そうですね。救国の勇者と聖女の娘が辺境村育ちですかぁ……巨人王あたりの歴史にもまだ裏があるのかな。どんな冒険譚になるのか楽しみにしてますね!

本文感想

 ほほう、これは良いハイファンタジーですね。色々と裏の設定について妄想が膨らみますし、そんな中でメアリという一本柱が強い作品だと思います。
 メアリの出自についてはあらすじ段階で少しだけ予想してたんですが、その予想よりだいぶ闇深いですよね。聖女の娘ではあるものの怪力で、領主として暮らす勇者・聖女とは別に叔母に預けられ、田舎で家畜とともに奴隷のような生活を送っていると。とんでもない怪力かぁ……父親は誰なんだろうなぁ。
 さてさて、背景はともかくメアリはすごく魅力的な子です。生きる力がとにかく強い。虐げられてもものともせず、飄々と生きている感じ。バレない程度に自分の欲求を満たしたりとか、主人公にふさわしい能動性を持っているなと感じています。また、強い力を持っていますが、周囲全員皆殺し! とならないあたりに、彼女のなんだかのんびりとした性格が見え隠れしていますよね。
 それで、本作が魅力的なのはまさにそこのギャップだと私は思うんですよ。背景とする世界観はものすごくシビアで、主人公の置き方によっては暗い話になりがちだと思うんです。が、本作のタイトルが「力持ちのメアリ」であるように、作品全体の空気をメアリという一本柱がしっかりと明るくしてくれている。別にハイテンションで引っ張るだけがキャラの強さじゃないですからね。メアリのしっかりと芯の通ったキャラ造形が本当に力強くて、本作の独特の雰囲気を支えていると思います。
 本作は、少しデフォルメしたら童話ジャンルでも出せそうだなと思えるくらい、素敵なハイファンタジーだと思います。今後のメアリの活躍を楽しみにしています!

3-12 ロストメモリア ─記憶を失った僕は、周りから72通りの名前で呼ばれている─

タイトル・あらすじ感想

 VRと記憶喪失、これは興味深い組み合わせですよ。どちらも脳関連ですからねぇ。しかもヒューマンドラマ中心ぽいので楽しみ。最後までこの一杯を……てことは、続きの構想も既にあるんですかね。ワクワク。

本文感想

 これは相当気合の入った電脳空間モノですね。世界観がとにかく良いなと思ってまして、電脳空間が俗に言うVRとは次元が違うなと思ってます。それがよく現れているのが「リソース」って考え方だと思うんですよ。少しだけ好き勝手に語りますが。
 VRって基本的に仮想的な空間なのでだいたい何でもできると思うんです。だから本来は制限なんていらないんですよ。しかしそこに、この作品での電脳世界では「頭だけになった主人公が周囲のモノを吸収してリソースを確保し肉体を構築」するところから始まるじゃないですか。きっとアルカディアはこの「リソース」というルールに則って構築された世界なのだなと冒頭から分かるわけですね。世界観の中にこういうのを一つポンと置けると、そこから派生して様々な物語が広がっていきますし、本来なら何でもアリな仮想世界の中に強力な制約として設定できるので、まず舞台とする世界の置き方として有能だなと思います。
 そんな世界の中、物語は十年後からスタートする。72個の名前(ソロモンの悪魔モチーフでしょうか)を持つ「ロスト」が電脳世界の中でどんな日常を送るのか。おそらく様々なエピソードを通して色んな人と関わりながら、少しずつ自分の手がかりを見つけていくんだろうなと思います。良いですねぇ、ワクワクさせてくれるじゃないですか。
 舞台となる世界がしっかり設定されているので、ここで起こる事件なんかも色々と面白いものが描けそうですよね。連載を楽しみに待ちたいと思います!

3-13 後宮の牡丹の影で師匠は赤く染りゆく

タイトル・あらすじ感想

 これは楽しみ! 後宮が舞台ですが、後宮モノってより恋愛ファンタジー味ですかね。赤く染りゆくの意味はたぶん二つ。恋愛的に赤面する美玉と、バトル的に返り血を浴びる美玉かなと期待してるんです(バトルの匂いを感じてます)

本文感想

 え、美玉めちゃくちゃ可愛くないですか。残念ながら私には絵心がないんですが、赤くなってゴロンゴロンする美玉を描けるもんなら超描きたいです。え、めちゃくちゃ可愛くないですか。
 いやあの、表向きは武術の師匠として威厳を保てるよう振る舞いながら、年齢や出自を気にして恋愛面で積極的になれないって二面性がさぁ。可愛いすぎて鼻血が出そうなんですけど。で、龍武がかなりグイグイ来るじゃないですか。それでタジタジになって、赤面して、ゴロンゴロンして、草くっつけながら涼しい顔を取り繕うの超可愛いんですが。龍武がどのくらい美玉の内面を察してるかは分からないんですが、この二人の関係がすごくいいなと思って、私はもうずっとニヤニヤしながら読んでました。マジ可愛い。
 さて、少し冷静になって作品のことを考えましょうか……ふむ。ひとまず物語の主軸となる要素は「龍武の母親を殺した犯人を見つけてぶん殴るぞ」と「美玉のkawaiiを愛でるぞ」の二軸になるかと思います。後宮モノでありラブコメでありミステリでありアクションでもあると。復讐譚というよりはもう少し前向きなエネルギーに満ちていると思いますが、いろんな要素を持って多くの読者を惹き付ける作品になってるんじゃないかと思います。
 すごく素敵な作品だなと思うので、私はただひたすら赤面する美玉を「これがJapanese KAWAIIか」とニヤニヤするために続きを所望しておきます。草ゴロゴロ美玉、誰か描いてくれないかなぁ。

3-14 その一族、豪胆につき

タイトル・あらすじ感想

 うわー、この赤ん坊、絶対やっかいな身の上の子じゃないですか。それで、居酒屋店主、修道女、夜勤明けのシド……これは愉快な掛け合いを見せてくれる第一話になりそうだなと期待してます。どんな展開になるんだろ。面白そう。

本文感想

 面白かったです! いや、文章が愉快で私好みというか、私がニュートラルな状態で書きそうな文章にすごく近いなぁと勝手にシンパシーを感じたんですよね。なんて言ったら作者様に失礼かもしれないんですが……この、ちょいちょい挟まれるシュールな単語選びがすごく好きです(ちなみに匿名企画なので私が作者かもしれません。分かりませんよー?)
 さて、冒頭の豪族はタイトル・あらすじにある「一族」という理解で良いんですよね。私はこの「なんやかんやあって」が好きです。端折りすぎでしょ。
 そこから、シドが居酒屋を訪れるシーンへ。大将との会話がすごく気安くて良い感じです。そんな会話の中で、今後のキーになりそうな強盗事件や修道院・シスターのことなんかが話される。読みやすい会話の合間に情報提示があるので、すんなりと状況を理解できて読者フレンドリーだなぁと思います。
 シスターの登場は、100人中120人とかの言い回しは私も今度使おうと思います。こういう言い方で「まさにド直球なシスターですよ」を表現するのって楽しいですよね。語彙力美味しい。
 三人の関係を楽しく描写してからの、捨て子から始まる物語と。良いじゃないですか……! これは、これから三人の楽しい会話を読ませてくれながら、様々な事態に巻き込まれていく混沌とした作品が読めそうだぞーと、すごく楽しみになります。良いですねぇ! ぜひぜひ続きをお待ちしております。

3-15 月極万太郎一代記

タイトル・あらすじ感想

 はい! 私もアンサイクロペディア大好きです!(みんな好きだよね!)
 ライバルにはぜひ、あらゆるテレビ番組を提供する「ゴランノ・スポンサー」や、多くのビルを建設してる「定礎ビルディング」なんかも出してほしい。絶対面白いやつでしょこれ。

本文感想

 ひぃぃぃぃ、苦しい苦しい。待って待って。いやぁ、ここまで期待を突き抜けてくれるともう楽しくて仕方ないです。本作を感想で語っていくのは野暮中の野暮かもしれませんが。人に勧めるときは、とりあえず読め!って言っときますね。あー、おかしい。楽しいなぁ。
 実は私も事実をそれっぽく捏造するのが趣味みたいなところがあるので、この作品をとにかく楽しんで書いた作者様の様子がもう憑依したかのようによく分かります。なんなら私も似たような感じの別の作品を書きたいくらいです。というか二次創作(なんの二次だろう……?)しても良いですかね。これはちょっと面白すぎるでしょう。捏造大好き!
 もうちょっとちゃんと感想を書くと、本作は起点となる語彙から派生する背景の歴史の捏造具合が本当に素晴らしくて、微妙に事実も織り交ぜながらコロコロ転がしてくれるじゃないですか。紙の本にしたらマジで信じる人が出てきそうなやつ。もうこれが本当に楽しくてね……ほら、みんな大好き民明書房だって初期はリアリティありすぎてみんながガチで信じそうになったから、トンデモ路線に変更したって話をなんかで読んだくらいですから(←という話が本当かどうかも分かりませんけどね。ぷぷぷ)
 この発想の広げ方とリアリティの出し方がめちゃくちゃ面白かったので、ちょっと真似して似たような感じで色々と書いてみようと思います。公開するかは分かりませんがめっちゃ真似します。マジでホント、めちゃくちゃ楽しかったです。最高の捏造をありがとうございます!

3-16 I.D.E.A

タイトル・あらすじ感想

 独特の世界観のやつ来ましたねぇ。私はこういうの読むのすごく好きなんですが、天才の尖った感性をモロ出しされると私はうまく感想を語れないんですよね。真似どころか解析もできない、すげーやつ期待してます!

本文感想

 わー、面白かったです!
 あらすじ時点では全く内容が読み切れず、こりゃセンスでぶん殴ってくる系の作品だぞと戦々恐々としていて、作者様にご納得いただける感想を書けるかめちゃくちゃ不安だったんですけどね! いや、やっぱりセンスでぶん殴ってくるのはそうだったんですけれど、物語としての面白さの側面からだったら私にも少しくらい語れそうだぞと思い直しました。
 さて、冒頭から世界がだいぶ不穏な感じになっているのですが、冒頭から表現力がすごいんですよ。ホラーなんかの書き方に近いんですかね、事態を浮き彫りにするような文章というか、絵を描くように文章を書いてる印象があります。リズムも良いですし。こういうの書きたい書きたいって思ってても、センスにだいぶ不安のある私にはどうも真似るのが難しくて。
 それで、主人公の独白がまた良いですよね。モノローグひとつとっても、絵の具への拘りもそうですし、化け物のピンク色の肌を歯茎に例える感性(ここはあえて歯茎にすることで読者に与える印象が全然違うじゃないですか!)もそうですし、一つ一つの単語選びが芸術的ですげぇ、と思って読んでおりました。
 さて、襲撃から助けられて末尾。最後に明らかになるのは彼女の特異な能力であり……これは裏がありそうな気がしています。イデアって彼女が生まれる前からあるじゃないですか。彼女が絵に描いたモノが現実世界に現れる、という事象にはまだまだ隠された仕組みがあると思うんですよね。などと世界観を妄想させてくれる作品でした。本作はとにかく表現力が抜群に高くて、とても面白かったです!

3-17 はびりすってなんですか!? - 聖女の治癒にも穴はあるようで -

タイトル・あらすじ感想

 沙夜ちゃんは言語聴覚士ってことで、異世界でもスキルを活かして活躍してくのを期待してます! 医療技術の遅れてる世界で、科学的素養のない人々の民間療法をひっくり返すのにはだいぶ苦労しそうですよね。すごく楽しみ!

本文感想

 おぉ、これは良い職業モノだと思います! 言語聴覚士として働いていた沙夜ちゃんが転生した先にいるのが、嚥下に難のあるお婆ちゃんというのがバッチリな状況ですね。これはしっかりとした職業無双を見せてくれそうだぞと期待しています。
 作品によっても違うと思うんですが、ファンタジーの聖女の魔法って外科医の仕事に近いのかなという印象を持ってます。それはそれで便利だと思うのですが、ファンタジーにおいてリハビリなんかの概念ってそういえばあんまり見たことないですからね。私は言語聴覚士って介護福祉施設なんかのイメージが強いんですけれど、少し調べた感じだと(詳しくなくてすみません)小児とかも色々あるのかぁ。これは幅広い活躍を期待できそうです。
 沙夜ちゃんのキャラはとても親しみやすく、読者の等身大に近いのかなと思います。そして、ベルさんは味のある優しいお婆ちゃん。これは、現代社会で疲れ切った沙夜ちゃんに効くと同時に、現代社会で疲れ切った読者も一緒に癒やされるようなキャラ配置だと思います。転生した時の黒猫なんかも出てこないかなぁってちょっと期待してるんですけれど。
 ここからどのように聖女と関わるようになっていって、どんな物語になっていくのか。厳しい環境でも、言葉尻から優しい雰囲気の滲んでいる素敵な作品だと思いますので、職業無双と同時に心がホッとするような続きを読ませていただきたいなぁと勝手に期待しています。面白かったです!

3-18 悪徳祓魔師・羽々木音依の巡礼

タイトル・あらすじ感想

 祓魔師って悪霊からすると虐殺者ですもんね。あらすじは悪霊側からですが、タイトルは人間側っぽいので、本文がどっち目線なのか楽しみにしてます! いずれにしろ阿鼻叫喚の面白い話になりそうです。

本文感想

 ほう、ガッツリ人間側目線ですねぇ。これは面白かったです。羽々木音依のキャラがすごく格好良くて、わりとダメ人間みたいな部分があるんですが、バチバチに格好いいバトルを繰り広げてくれそうな姉さんですね。これはいいなぁ。
 それで、本作は理介の置き方が良いんですよね。ホームズの横にワトスンを置くような、読者の等身大として音依にツッコミを入れてくれるような良いポジションですよね。今回は被害者枠ですし、下手したらこの事件だけで退場ってこともありえるんですが、個人的には彼の存在が音依の面白さを存分に引き立てていると思うので助手として続投してほしい限りです。
 それで、ここから世界観が広がっていきそうな情報が散りばめられてるじゃないですか。教会と折り合いが悪いってことは、少なくとも教会が存在して祓魔師と何かしらの関係があることが分かります。魔術、堕天使(グリゴリ)なんてワードも出てきますから、背景の魔術世界をどう広げていくのか楽しみになりますよね。
 このあとは悪魔とのバトルものになっていくのかと思いますが、理介にとってはかなり切ない状況ですからね。彼は姉の死を消化しきれるのか。悪魔の狙いは何なのか。そういった点も含め、続きを楽しみに待ちたいと思います。

3-19 オソガル少年の嫁取り物語 ~乳のデカい女をもとめて~

タイトル・あらすじ感想

 その勇気、胆力を高く評価します。企画後の作者公開まで見据えて、本当にこのタイトルで良いんですね? やるんですね? やるからにはぶっちぎってくださいね!(書きコロの作品的に他人事ではないのでめっちゃ応援してます)

本文感想

 ヴァジナさん……! いやー、やりましたねぇ。超面白かったです。私はもう本作が大好きで、ゲラゲラ笑って読んでしまいました。めちゃくちゃ楽しい作品でしたね。あー笑った笑った。
 本作はやはり、ヴァジナさんがキャラとして強いのと、オソガルくんもキャラとして強いのと、その二人のズレた噛み合わせで事態が変な方向にどんどん転がっていく展開がとても愉快なのとで、めちゃくちゃ面白い構図になっているなぁと思ってます。私もこういう設計で一作書いてみようかなぁ。
 あとは言葉選びですよね。ヴァジナさんのやましい感情いっぱいのセリフにはめちゃくちゃ笑わせてもらいましたし、セリフや地の文の随所で笑わせてくるのがズルいなぁと思って。ずっと面白かったです。三人称の語り口すら面白いんだもんなぁ。最初から最後までずっと笑ってました。
 さて、何百年も男育成に失敗し続けているヴァジナさんが報われるビジョンは今のところ全く見えませんが、オソガルくんもすごく変なやつ(褒め言葉)なのでどう転がるのかホント読めませんよね。次話では武術大会ってことですが、絶対大変なことになるじゃないですかぁ。楽しみにしてまーす!

3-20 52Hzの呼び声

タイトル・あらすじ感想

 あらすじがないので妄想で期待します!
 52Hzで鳴く孤独なクジラに呼びかける装置を開発した男。彼のもとに、ある日女性が現れるんですよ。彼女は……めちゃくちゃ身長がデカくてですね。52Hzで男に話しかけるんです……嫁にしろォォォ、って。キュン。

本文感想

 はい、クジラの話ではなかったですね。ごめんなさい。本作はすごく不思議なお話で、設定の随所はSFなんですけどリセ視点(というか〈歌うたい〉視点)からだとファンタジックな世界観じゃないですか。未来舞台の新しい話なのにノスタルジックな雰囲気もあって、素敵な空気感のある不思議なお話だなぁと思って読んでました。とても面白かったです。
 本作はなんといっても〈歌〉の設定が面白いですよね。こんなのどうやって捻り出したんだろう。イメージは精霊使いみたいな感じなのですが、その力を〈歌うたい〉と表現しつつ、始祖を「人型兵器」と表現してSFチックに設定を広げていくのがたまらなく私好みです。目の色がまた良いんですよね、ネオンブルーの瞳。絵を描く能力があったらFA描くのにな。
 そしてそして、世界の始まりを〈歌〉で表現するのがまたねぇ、いいんですよ。原初の〈歌〉のあたりです。あそこにすごく私はロマンを感じていて、ほら宇宙論ってなかなか証明できない(仮説は色々ありますけどね)ものだと思うんですけれど、そういうのをこの切り口で語ってくれるのがすごく大好きでぶっ刺さります。世界とは原初の〈歌〉の残響である。すごくいい言葉じゃないですかぁ。文字数制限あるのであれですが、もっと語ってほしいくらいです。
 さて、偶然か必然か、リセは不思議な〈歌〉に出会って人探しを頼まれるといったところで、第一話の末尾になるんですが……良いですよねぇ。これは良いものです。この不思議な空気感が本当に大好きなので、ぜひとも続きを読ませていただきたいところです。よろしくお願いしますね。

3-21 Counter terrorism warfare 2030

タイトル・あらすじ感想

 ガチのミリタリに極フリしてんのめっちゃ良いですね。私は書けないジャンル(主に知識不足)なんですけど、読むの自体は大好きなんです。近未来の特殊部隊 vs テロ組織の攻防。めちゃくちゃ楽しみにしてます!

本文感想

 極フリ! 趣味に極フリしてきましたね! これは思いっきりやったなぁと思いますよ。知識不足ながら私はこういうの読むの大好き(書けるほどの知識はない)なのでいけますが、それにしても作者様の趣味への極フリっぷりには脱帽です! これはクール。
 ほら、のっけから軍事用の強化外骨格を着てるじゃないですか。あー私これ好きだなと。それでセリフがいきなり「ポイントG(ゴルフ)」ですよ。みなさん分かります!? 無線通信でアルファベットを聞き間違えないように、ABCをアルファ、ブラボー、チャーリーって呼ぶやつですよ! 軍とか自衛隊で! こういう細かいとこから趣味を叩きつけてくるの最高じゃないですか! それでバイザーにマップを表示したり、さらっと光学迷彩を起動しながら……「光学迷彩の効果が消えないよう歩いて移動していく」ですよ。芸が細かい! そう、素早く移動すると敵に違和感を与えてしまうくらいの技術レベルの時代背景なんですよ! みなさん分か(略)、それで敵を射殺するところなんですけど、これ距離によってちゃんと銃を使い分けてるの分かりますか!? 私は分かんないです! 銃器関連はホント全然詳しくなくてごめんなさい! でも光学スコープの倍率とかがいい感じに調整されているのと、射撃統制システムが洗練されているのだけはなんとか分かりました! そして物語は、救出対象が既に死亡していたこと、彼らの回収前に敵がやってくるというピンチの中で第一話を終えるわけです。
 ひゃー、これはもう趣味に極フリしましたねぇ。大好きなものをこれでもかと叩きつけてくれたと思いますので、私はこれを美味しくムシャムシャ食べて自作に流用できる技術ないかなーと分析させていただくわけです。ドキドキとワクワクがめいっぱい詰まった面白い作品でした! ロマン!

3-22 雑用が足手纏い…嘘だろ?

タイトル・あらすじ感想

 例によってあらすじがない作品は妄想します!
 冒険者クランで剣士をしている男は、雑用をしてる女性の仕事ぶりにめちゃくちゃ感心していたんですけど。ある日、理不尽にクビになった彼女を追って、彼は辺境までついてっちゃうんですよね。キュン。

本文感想

 これは予想以上に楽しかったです。雑用係が有能なのはもう鉄板ではあるんですが、本作の良いところはそのバッグくんが自分に自信がないところ、仲間の言動が一見すると彼を蔑ろにしているように見えてしまうという勘違い構造、そして何より仲間からバッグくんに対する愛ですよね。
 この構図で作品を書き出してくれたのがすごく良いなと思っていましてね。というのが、バッグくんの勘違いを起点にしていろんな物語が考えられるじゃないですか。仲間四人とバッグくんの関係にそれぞれフォーカスしたエピソードだったり、恋愛や友情なんかの絡んだ熱いエピソードもいいですし、他のパーティが絡んでの脱退や引き抜き未遂でも事件を作れます。この世界での雑用係の扱い自体に関わるような大きなエピソードも置けそうですよね。もちろんパーティ自体の活躍も書けると思います。
 バッグくんがある程度の自信を持てるようになるのが作品全体の大きなターニングポイントになると思いますので、そういった全体の大きな波も含めて、今後が楽しみな作品だなと感じました。文字数制限のある中で仲間のキャラもそれぞれ明確だったと思うので、彼ら彼女らがどんな物語を作っていくのか楽しみにしています。

3-23 特騎隊事案記録「ホワイト・ワン」

タイトル・あらすじ感想

 めっちゃ格好いいやつじゃないですか!
 特騎隊の竜騎兵なんてロマン増し増しでしょう。あらすじ時点ですでにワクワクが止まらないので、本文読めるの超楽しみにしてますね。あと、ホワイト・ワンの設定めちゃくちゃ強そう過ぎて勝ち方が分かんないです!

本文感想

 ホワイト・ワンが強すぎて勝ち方が分からないんだよなぁ……しかも削り取るたびに大きくなるんでしょ。もうこれゴジラと一緒じゃないですか。しかもシンゴジ。これ竜騎兵で勝てるんですかねぇ……いやー、分かんない。これは先が読めないですよ。これ「実は作者も続きの構想ないんです」とか許されませんからね! なんとか続きを捻り出して読者を安心させるのも、小説家の役割の一つですから、頑張ってくださいね!
 さて、本作はとてもロマンあふれる竜騎兵を見せていただいたなと思います。基本はジョブありのファンタジー世界で特にSF的な要素はないのですが、竜騎兵の職業描写にリアリティがあって解像度が高いので、ついついSF味を感じてしまう(SF好きの性です)なぁと感じています。設定の広げ方がいいんだよなぁとしみじみ。また相棒が「流星号」ってところがポイントで、ここで横文字の愛称なんかじゃないのが竜騎兵のシビアな職業観が出てて良いんですよ。フワフワしてないところにロマンがあると言いますか、この世界の中ですごく硬派で良いですよね。
 実は今の私はちょうど本作みたいな世界観の掘り下げ方を練習しているところなので、勝手に参考にさせていただいて手元でこねくり回させていただこうと思うんですが、もうこういう作品をホントに書きたくてですね。もちろん続きもお待ちしておりますので、よろしくお願いしますよー!

3-24 アトラスの踵

タイトル・あらすじ感想

 きたきた、これはハードな世界観の巨大ロボットものが来ましたね。ロマンだ。しかもこの終末世界でのアトラスを軸にした戦いを、整備士という「踵」から描いていくというね。これは熱い。どうしよう、大好きなやつです。

本文感想

 これは熱い! 良いですね! すごく緊迫感のある場面の中、ゴイサギちゃんの我が身をかえりみずに必死に人々を救おうとする思いと、それをうけたウツギの整備士としてのプライド。そして「正しく問いを投げることだ」の言葉がもう、熱くて最高でした。これは良い。もう真正面から熱いロボットものを読ませていただいたなと思います。
 それで本作はアトラスがいいですよね。めちゃくちゃハイテクなロボットというわけじゃなくて、むしろ人間が苦労して構築した感がすごく出てるのが良いと思うんですよ。フレームが歪んで脱出できない時用に爆破解放機能がついてるあたりのディテールがすごく良くて、使い方によってはすぐに武装も腕も駄目になってしまうような不安定さがある。決して万能メカではないから……だからこそ整備班の仕事が光るんですよね。それがもう、すごく良いなと思います。
 そして何より、ゴイサギちゃんの捨て身で使命を果たそうとする心意気にヒロイックな格好良さがあってすごく良いですよね。一緒に熱くなるウツギの気持ちもわかるなぁ。これはどうにか協力したくなる。巨大ロボットと女の子の組み合わせが強いのもありますが、やはりこの熱さが本作の一番の魅力だなぁと思ってます。
 さてさて、一話末尾では大ピンチな状況になりますが……強大な敵とボロボロの機体、このまま戦うなんて無茶も良いところですよね。換装パーツとか武装とかどこかにあるのかなぁ。機体自体を乗り換えられればベストだと思いますが、果たして。とても続きが気になるので、楽しみにしてますよ! 

3-25 あなたにこの子はわたしません!

タイトル・あらすじ感想

 アメリーの妊娠は勘違い案件だろうなぁ。そもそも何をどうしたら妊娠するのか、理解してんのかだいぶ怪しいぞぉ。この個性は、絶対ちょっとじゃ済まないヤツですよねぇ……うん、分かった。これはだいぶ面白いやつ。周囲も読者もガンガン振り回してください!

本文感想

 いやぁ、超楽しかったです。これはアメリー強いですねぇ。もう笑うしかないや。期待を大きく超える豪速球をズバンと投げていただいたので、とても楽しい作品だったと思います。強いなぁ。もうキャラを描くのがとにかく抜群に上手いんですよねぇ。
 冒頭からアメリーのふわふわ世界にどっからどうツッコミを入れれば良いのか迷子になっちゃうんですけど、とりあえず「願い続ければ、夢は、叶う!」じゃなくてね! 世の十五歳はもうちょっとしっかりしてるぞ! 「こんなに多かったのね、人類!」じゃないんですよ! 黒髪の男性がベッド端に引っかかっている……? 『クラリスと恋の花束』と、同じ状況ではないかしら? お父様の政敵の息子? 妊娠いたしました? 待て待て待て待て。ツッコミがまったく追いつかない……!
 えーとね、はい。思考も発言もすべてがぶっ飛んでるので全部ツッコミ切れないんですけど、とにかく最初から最後までずっと面白かったんですよ。それなのに! それなのにですよ! こんなぶっ飛んでる変な子なのに、すごく好感度が高いんですよねぇ……みんなアメリー好きになっちゃうもんなぁ。私も大好きです。
 というわけで、これは強いなぁと思いました。強すぎますよね。アメリーという軸がめちゃくちゃ強力でしたから……もうなんか、すごく平和に笑いながら読ませていただきましたよ。あー、頬の筋肉が攣りそう。こういうの書けるのはホント武器だなぁ。続きもぜひ読ませてくださいね!

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