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認定調査の特記の例文

<認定調査の概況調査:調査対象者の主訴、家族状況、居住環境、日常的に使用するる機器・機械の有無など>


主訴:右膝の曲げにくさがあり、そのため自宅のトイレ、玄関の框、玄関先の段部に手摺りを設置している。
家族状況:戸建て住宅で夫婦2人暮らし。夫は転移性癌で在宅治療を受けており、長女は他県に住んでいるが、定期的に通院の際に訪問し介助している。
住環境:戸建て住宅に居住。
日常的に使用する機器:手摺りの設置がある。

本人は認知機能の低下に自覚がなく、認知症に関連する支援を話題にすると怒り出すため、その話題には触れない状態です。しかし、人との関わりは好きであり、ヘルパーや訪問看護の援助は問題なく受け入れている。


「心身の状況」

調査対象者は妻、長女、そして孫と共に昔ながらの日本家屋で三人暮らしをしています。家には玄関、縁側、畳の部屋など、多くの段差があります。しかし、現在の対象者はガン末期で、日常生活能力が著しく低下し、通院が難しい状況です。訪問診療を受けつつ、介護サービスを活用しており、特に特殊寝台と介助式車椅子をレンタルしています。医療サービスの訪問看護は週に3回行われ、対象者の状態が経過観察されています。また、ホスピスに入院を申し込み済みであり、空床待ちの間は自宅で過ごしています。

「意欲の減退」

意欲や気力が低下し、自発的な目的を持った行動や持続的な活動が難しくなりました。身の回りの事や家事に関しても意欲や気力がなくなり、周りのことに興味や関心が持てなくなっています。さらに、集中力や処理能力も低下しています。

妻、長女、孫と共に昔ながらの日本家屋で生活しています。家には玄関や縁側、畳の部屋など、段差が多く存在し、ガン末期のため日常生活能力が著しく低下し、通院が難しくなりました。訪問診療を受けており、介護サービスでは特殊寝台と介助式車椅子を利用しています。医療サービスの訪問看護は週に3回行われ、対象者の状態が経過観察されています。また、ホスピスに入院を申し込み済みで、空床待ちの間は自宅で過ごしています。

家屋は昔ながらの日本家屋で、土間が動線上にあり段差を避けて通ることが難しいです。2階には長男夫婦が住んでいますが、介護にはほとんど関与しておらず、仕事のために日中は外出しているため、被介護者は日中は独居の状態です。日中は1階で過ごしていますが、寝室は2階にあります。外出時(散歩、通院、デイサービス)は玄関を使用しますが、庭の手入れが生活の楽しみで、時折勝手口から庭に出ることもあります。

妻、娘、孫との6人暮らしで、脊椎狭窄症、変形性股関節炎、加齢による下肢筋力低下により歩行が不安定で、室内では伝い歩き、室外では車いす全介助で移動していました。通所リハビリを受けながら在宅生活を続けていましたが、脳梗塞の疑いで2021年10月22日から入院中です。現在は右半身麻痺の後遺症で寝たきりの状態で、自力で寝返りが困難です。電動ベッドの背上げ機能とクッションを使用しています。

次男との二人暮らしで、次男は持病があり介護力が不十分です。近くに住む長男が必要に応じて訪問し支援しています。歩行や立ち座りの際にふらつくため、玄関框に置き型の手摺りと特殊寝台を使用しています。調査時は長男と次男が立ち会っています。


  1. 麻痺(有無)

自動での動作確認ができる場合、どこまで動かし、静止した状態で保持できるかを記載します。確認動作ができない場合はその原因を説明します。基準まで挙上できない場合は、静止できても「ある」とします。また、拘縮がある場合は、他動的に最大限動かせる高さまで挙上でき、静止した状態で保持できれば「なし」とします。
例文:

脳出血後遺症のため寝たきり状態。両上下肢ともに動かすことはできるが上げられない。左足は「く」の字に曲がり伸展できない。右足は動かそうとすると痛みが生じたため確認動作を行うことができない。左下肢と左腕は規定の高さまでは上げられず、姿勢保持もできない。右下肢は、水平まで挙上できず、静止した状態も保持できない。

  1. 上肢の前方及び側方拳上・静止できる可動域の確認

例文:

右上肢は前方で1/3(=30°)、側方で1/2(=45°)拳上・静止ができた。左上肢は規定動作が行えた。

  1. 下肢の拳上・静止できる可動域の確認

例文:

右下肢は全く拳上できなかった。左下肢は水平位まで拳上できたが、静止ができなかった。

  1. 上肢・下肢の麻痺に関する追加情報

例文:

両下肢については、踵と膝関節を結ぶ線が床と水平になる高さまで挙上し、静止することができた。左上肢ついても肩の高さまで挙上し、静止保持ができた。右上肢については、肩の高さまでもう少しの位置まで挙上保持ができた。規定の高さまでは挙がらないが、可動域制限の高さまで挙上保持ができていたので、「なし」とした。

  1. 上肢・下肢の活動量低下に関する情報

例文:

加齢による寝たきりや筋力低下による活動量の低下があります。肢と下肢を動かすことはできましたが、状態を維持することはできません。

  1. 加齢による筋力低下の影響

例文:

加齢による筋力低下はある。上肢、下肢の挙上確認はできず、静止した状態で保持もできない。肢と下肢には軽度の可動域制限があり、「ない」としました。

  1. 上肢・下肢の可動域制限

例文:

上肢・下肢に軽度の可動域制限があります。関節の動く範囲まで(上肢・下肢)を挙上し静止した状態で保持することができません。自動と他動が同じ角度の場合は「ない」、明らかに違う角度の場合は「ある」と判断しました。

  1. 股関節の可動域制限

例文:

股関節に軽度の可動域制限があり、「ある」と判断しました。膝が閉じた状態から見て、膝の内側を10cm程度しか開くことができなかった。

1-2 拘縮(有無)
他動運動により目的とする動作確認ができるかどうかにより選択します。痛みを訴えられる場合は、動作確認を中止し、危険と判断される場合も動作確認を行いません。
例文:

他動での上肢の前方及び側方拳上できる可動域の確認
例)右上肢は前方、側方ともに自動可動域と同じだった。他動での下肢の拳上できる可動域の確認
例)右下肢は水平位にやや足りない位置まで拳上できた。

自動運動と他動運動の可動域方程式の適用:

パターン3: 他動可動域<水平位 かつ 他動可動域=自動可動域 → 麻痺なし・拘縮あり

例文:

2 右膝関節痛みで確認動作ができない。頸部と体幹に制限がありベッド上での体位変換に支障をきたしている。
他動で確認したが、右肩に拘縮があり肩より水平の位置までもう少しの位置まで挙上することができた。
規定の位置までの挙上保持はできなかったため「肩」を選択した。
股関節
片足の外転に制限はあったが、もう一方の足の外転によって25㎝開かない。
膝関節
他動で(右・左)膝を伸ばすことができなかった。立位時(寝ている時)も真っすぐ伸びていない。
膝関節「ある」膝関節をほぼ真っすぐ伸ばした状態から70度程度しか他動的に曲げることができなかった。
肩関節「ない」円背のためあごの高さくらいまでしか腕を上げることができなかった。
両上肢とも横方向から挙上しようとすると肩に痛みを訴えられ確認動作ができない。
右肩脱臼にて確認動作は出来ない。両膝ともに痛みの為、伸展できなかった。
その他「ある」腰椎や頸椎などの可動域の制限がある。
その他「ある」両手指が握り拳のように固縮し、食事、排泄、着脱などは全介助されている。

1-2 拘縮(有無)

  • 定義:

    • 拘縮あり(ある): 関節や筋肉の制限により、通常の動作範囲が狭まり、他動運動(他人による動かし)や自動運動(自分で動かし)において、身体の一部が十分に動かせない状態。

    • 拘縮なし(ない): 関節や筋肉に制限がなく、通常の動作範囲が確保され、他動運動や自動運動が通常通りに行える状態。

  • 選択基準:

    • 拘縮あり(ある):

      • 他動での動作範囲が通常よりも狭くなっており、自動での動作も制限されている場合。

      • 痛みを伴い、通常の動作が制限されている場合。

    • 拘縮なし(ない):

      • 他動での動作範囲が通常通りであり、自動での動作にも特に問題がない場合。

      • 痛みや制限がなく、通常の動作が確保されている場合。

例文

  • 右膝関節痛みで確認動作ができない。頸部と体幹に制限がありベッド上での体位変換に支障をきたしている。

この場合は、右膝関節の確認動作は行えません。また、頸部と体幹に可動域制限があるため、ベッド上での体位変換に支障をきたしています。そのため、「その他」を選択します。

  • 他動で確認したが、右肩に拘縮があり肩より水平の位置までもう少しの位置まで挙上することができた。規定の位置までの挙上保持はできなかったため「肩」を選択した。

この場合は、右肩の確認動作は他動で行うことができました。しかし、肩より水平の位置まで挙上することができず、規定の位置までの挙上保持もできなかったため、「肩」を選択します。

  • 股関節 片足の外転に制限はあったが、もう一方の足の外転によって25㎝開かない。 膝関節 他動で(右・左)膝を伸ばすことができなかった。立位時(寝ている時)も真っすぐ伸びていない。

この場合は、股関節の外転に制限はありますが、もう一方の足の外転によって25㎝開くことができます。また、膝関節は他動で伸ばすことができず、立位時や寝ている時も真っすぐ伸びていません。そのため、「膝」を選択します。

  • 膝関節「ある」膝関節をほぼ真っすぐ伸ばした状態から70度程度しか他動的に曲げることができなかった。

この場合は、膝関節の可動域制限はありますが、70度程度曲げることができます。そのため、「あり」を選択します。

  • 肩関節「ない」円背のためあごの高さくらいまでしか腕を上げることができなかった。

この場合は、肩関節の可動域制限が非常に大きいため、「なし」を選択します。

  • 両上肢とも横方向から挙上しようとすると肩に痛みを訴えられ確認動作ができない。

この場合は、両上肢の確認動作は行えません。また、痛みを訴えているため、拘縮の有無を判断することができません。そのため、「その他」を選択します。

  • 右肩脱臼にて確認動作は出来ない。両膝ともに痛みの為、伸展できなかった。

この場合は、右肩は脱臼しており、確認動作を行うことができません。また、両膝は痛みのため伸展することができませんでした。そのため、「その他」を選択します。

  • その他「ある」腰椎や頸椎などの可動域の制限がある。

この場合は、腰椎や頸椎などの可動域制限があるため、「その他」を選択します。

  • その他「ある」両手指が握り拳のように固縮し、食事、排泄、着脱などは全介助されている。

この場合は、両手指が握り拳のように固縮しており、食事、排泄、着脱などは全介助されています。そのため、「その他」を選択します。

解説

拘縮の有無の判断は、他動運動により目的とする動作確認ができるかどうかにより行います。痛みを訴えられる場合は、動作確認を中止し、危険と判断される場合も動作確認を行わないことに注意が必要です。

拘縮の程度は、可動域制限の程度により判断します。可動域制限の程度は、自動運動と他動運動の可動域の差により判断します。

自動運動とは、対象者が自分の力で行う運動です。他動運動とは、対象者の力を借りて行う運動です。

拘縮の程度は、以下の3段階で判断します。

  • 軽度:可動域制限があっても、日常生活に支障がない程度。

  • 中等度:可動域制限があり、日常生活に多少の支障がある程度。

  • 重度:可動域制限が大きく、日常生活に著しい支障がある程度。

拘縮の有無は、要介護認定の重度度判定にも影響します。拘縮が重度な場合は、要介護度が高くなる傾向にあります。


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