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自給自足カレッジ25

今日は、文明の寿命は実は土で決まるという話しを書いてみたいと思います。写真にあるデビット•モンゴメリーの土三部作のうちの一冊=「土の文明史」という本がありますが、デビット•モンゴメリーはアメリカの地質学者で、天才賞と呼ばれるマッカーサーフェローにも2008年に選ばれている人でもあります。
この本で、デビット•モンゴメリーは、メソポタミア、チグリスユーフラテス、エジプト、ギリシャ、ローマ、マヤといった様々な文明は、農耕による土壌の喪失によって徐々に衰退を余儀なくされ、消滅していったと地質学者の観点から述べていて、現代の中国やアメリカも同じ轍を踏んでいると警鐘を鳴らしています。
以下、彼が端的に文明の衰退パターンについて書いているところを抜書きすると、

「おおまかに言って、多くの文明の歴史は共通の筋を辿っている。最初、肥沃な谷床での農業によって人口が増え、それがある点に達すると傾斜地での耕作に頼るようになる。植物が切り払われ、継続的に耕起する事でむき出しの土壌が雨と流水にさらされるようになると、続いて地質学的な意味では急速な斜面の土壌侵食が起きる。その後の数世紀で農業は益々集約化し、そのために養分不足や土壌の喪失が発生すると、収量が低下したり新しい土地が手にはいらなくなって、地域の住民を圧迫する。やがて土壌劣化によって、農業生産力が急増する人口を支えるには不十分となり、文明全体が破綻へと向かう。同様の筋書きが孤立した小島の社会にも、広大で超地域的な帝国にも当てはまるらしいということは、本質的に重要な現象を示唆する。土壌侵食が土壌形成を上回る速度で進むと、その繁栄の基礎ーすなわち土壌ーを保全できなかった文明は寿命を縮めるのだ。」

となります。
アメリカの歴史を見ても、東から開拓が始まり、西部開拓がカリフォルニアまで到達すると、今度は農業の大規模化、集約化が起こりました。近代農業は、チッソ、リン、カリ、さえあれば単位面積あたりの収量が増え、農薬を使えば病気もなくなり、F1種の種を使うと、均一な野菜が取れるという事で、従来の有機農法よりも土を酷使してきたので、今アメリカでは単位面積あたりの穀物や野菜の生産性が落ちてきているので、生産性を上げようと益々大規模化しています。しかし、悪い事ばかりではなく、逆にこのトレンドがサステナブルではないという事に気づいた中小規模の農家は、今単位面積あたりの収量を維持しようと有機栽培や自然栽培、自家採種に切り替えるという動きも活発化しています。また、消費者の方も、健康や環境に対する配慮、食品安全性、味や品質の高さなどから、近年有機野菜を選ぶ人が急増しており、2020年には2015年比でアメリカの有機野菜市場は50%の伸びを示しました。
しかしながら、増えているとは言っても、アメリカの有機農業の比率は、USDA(アメリカ農務省)の最新の統計によると、2019年において、農地総面積の約1.7%にあたる約5.5 millionエーカーでしかなく、土壌の喪失は今現在も急速に進んでいるようです。
特に一部の地域、カリフォルニア等では、土地の劣化や砂漠化による影響や水不足等で、農業生産が低下傾向を示すようになってきているようで、砂漠化から山火事等も頻発しています。
日本の有機農業生産比率も近年増えてきているとは言ってもアメリカ同様1.8%程度で、耕作放棄地の総面積は約36万ヘクタールであり、全農地の約3.3%に相当します。

自給自足カレッジでは、農業を業として行う人というよりも、1/4クォーターファーマー(1日2時間だけ農作業をする)として、まず自分の食べ物を自給するところから初めることを勧めています。
持続可能な社会に向けて、自然農法の普及に努めていますので、応援よろしくお願いします。

次回無料講座=オープンカレッジは、再来週の3/19に行いますので、是非ご興味のある方はご参加ください。
申し込みは、下記のサイトから出来ますので、よろしくお願い致します。

https://self-sufficient-life.jp

そして、いよいよ4月からは本格的に1年を通じた講義(毎月第一週と第三週の週末2回)が始まり、遠隔地の方用には、オンライン講座もスタートします。老若男女問わずに参加者募集をしていますので、こちらも良かったらホームページからお申し込みくださるか、お電話等でお問い合わせください。

自給自足カレッジ
小柴正浩


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