NR民に捧ぐ「独自レギュレーションはどうあるべきか」


はじめに

この記事は結構真面目な話になります。
私自信の考えを整理する事が主な目的なので、読みやすさや需要はあまり気にしていません。
なぐり書きですし、かなり私の主観や価値観が全面に出ている文章になりそうです。
それでも良い方だけお付き合いください。

経緯

私は遊戯王マスターデュエル専門のVtuber活動をしている傍ら、NoRichesJapan(以下NRJP)という大会の運営をしています。
その活動が認められてか、この度NRJPにも採用させて頂いている「NoRichesレギュレーション」の改訂メンバーに加わる事となりました。
9月22日改訂版から参加しています。
NoRichesは海外の有志が作成し運営しているNRレギュレーションで、かなりの人気を持っています。

そこでは様々な議論が交わされており、「このデッキの勝率がやばい」「このカードの性能が高すぎる」「このカードが不健全だ」みたいな話を期間中ひたすら繰り返し、色々な有識者の意見を参考にしながら1つのレギュレーションを作り上げます。

そして時は流れ10月12日、こんなデッキが優勝しました。

アッチャンさん作

その名も「溟界ヴェンデット」
9月22日改訂のNoRichesで《ヴェンデット・チャージ》が制限カードになり、「今までTier1だったヴェンデットデッキも、これでは弱すぎて使用者はいない」とまで言われていましたが、見事優勝しました。凄い。

このデッキから私が何を思ったのかというと、

  • 人が強すぎだろ

  • デッキ分布変わらなすぎだろ

大きくこの2点です。
まず優勝したアッチャンさんですが、以前からヴェンデットで結果を残している方で、「ヴェンデットの王」なんて巷では呼ばれています。
NRヴェンデットは今まで誰もが恐れる最強デッキだったので、そんなアッチャンさんもヴェンデットの付与効果や強力なテーマ性を活かしたデッキを組んでいました。

しかし今日持ち込まれたこのデッキは、今までのヴェンデットの面影が全くありません。

決勝配信を観てくれたら分かりますが、先攻でスレイヤーに効果付与もしないし、ましてや展開系だったヴェンデットが罠を構えて盤面を捲っています。正直「強いデッキ」と言えるか怪しいと思いました。

花札衛とメタルフォーゼがTier1で暴れているため、ランク8と魔法罠の除外が搭載できるこのデッキは、充分「Tier1デッキへのメタ」に成功していると思います。

しかし、参考にする情報も少ない中でこのデッキを作り上げられるのは、もはや人が強いとしか言いようがありません。愛の力ですね。
ここまでメタを張ったデッキが作成されるほどメタル・花札衛の環境が9月末から変化していない事に、やはり課題意識を感じています。
そして、「あの」ヴェンデットがここまで構築を変化させている事に、少しの罪悪感というか「寂しさ」みたいなものを感じたのでした。

色々と考えを巡らせているうちに、次のNoRiches改訂に向けて考えを整理してみたくなったので、この記事を書きます。

真佐まつりの主張

結論から言うと、「特殊レギュは分かりやすいほど良い」です。
さらに言うと、

  • 規制リストが少ないほど良い

  • 規制理由が簡潔なほど良い

⇒「殿堂入り」の導入

  • 誰がどう決めたのか明快な方が良い

  • 次いつ改訂なのかハッキリした方が良い

⇒大型大会とレギュ更新の紐づけ

以上2点についてまとめました。皆さんからのご意見も頂ければ幸いです。

特殊レギュの存在意義・目的

Vtuberとして活動していくうえで動画や配信の伸びは命に関わります。
そこで私は特殊レギュ全体について色々と考察してみました。
考えれば考えるほど前提として「特殊レギュレーションは流行らない」という結論に至ります。

理由は

  • 規制を行うのが同じ「プレイヤー」なので、必ず不公平感や環境に作為感が生まれる

  • 研究が進むほど新しい参加者が入りにくくなる傾向にある

  • 狭い界隈なので構築やプレイの参考資料が少なく、一部のプレイヤーは研究が捗らない

  • その結果「身内大会」が増え、環境が変化しないので飽きやすい

詳しく解説すると暗い話になるので抑えますが、全て致命的だと思います。

ではなぜ私が特殊レギュである「NR限定構築」の主催をずっと行っているかというと、
「遊び方を増やし、遊戯王マスターデュエルを発展させる」
この一点です。

古くから親しまれているトランプや花札には、色々な遊び方があります。
最近知りましたが、将棋でさえも多くの戦術書があり、毎回違う展開になるのであれば飽きる事はないでしょう。

しかし、遊戯王はつい最近(もう25周年らしい)生まれた現代のゲームです。
レギュ変更や新弾の実装がなければ、普通に飽きます。

遊戯王をより長く、より多くの人と遊ぶためには、「いかに色々な遊び方ができるか」、「いかに飽きない遊び方ができるか」を考えていく事が非常に重要なのです。

特殊レギュの存在意義はそこにあります。

  • 普段のランクマッチやフレンド対戦とは一味違うデュエルを提供する

  • ランクマッチやフレンド対戦に満足できない人を満足させる

特殊レギュを運営している人にはあたりまえの事かと思いますが、
前提として、これは明確にしておきたいところです。

そして、独自レギュを運営する人間は何かしらの工夫によって、独自レギュの抱える課題を解決するよう努める必要があると考えています。

NR限定構築戦の歴史

では今までのNRがどうだったのかというと、「NR」というレギュレーションは以下の点で優れ、人気だったと思います。

  • 安いので新しいデッキが試しやすい

  • 色々なデッキが組めるので飽きづらい

  • 規制内容が覚えやすくて参加しやすいし、作為感がない

  • デュエルが長引きやすいので負けても理不尽感が少ない

詳しくは過去のNoteに書いてあります

そんなNRは2022年3月のリリース当初から多くの人が遊んできましたが、2022年後半頃からある課題にぶつかり始めました。

「メガリス強すぎじゃね???」

NRプレイヤーなら誰もが知っているこの認識は、大会環境を青一色に染め上げるのに充分でした。

NRは公式様が作り出したレギュレーションではないため、新パックが実装されても環境が変わる事はあまりありません。
2023年1月に《スカー・ヴェンデット》が実装されてTier1デッキが1つ増えましたが、それでもなおメガリスは強いままです。

独自レギュの界隈は狭いので、研究速度もあまり速くありません。
モチベーションの高いプレイヤーは基本的に普通のレギュで満足するので、NRプレイヤーにはそれ以外のプレイヤーが集まっています。

そんな人がずっと変わり映えしないメガリスばかり見ていたら、さすがに飽きてしまいます。

海外でもそれは同じだったようで、競技大会が低頻度だった日本よりも早く「NoRiches」が作成されました。

私も「このままではマズい」という危機感を抱いていたので、2023年1月から「真佐杯」というNoRichesを採用した大会を開催し始めました。

NR限定構築戦の現在

NoRichesは日本でもけっこう好評で、今では有志で「NRJP」が立ち上げられ、ほぼ毎日大会を開催しています。
安定して10人~20人が参加してくれていて有難いです。

しかしこの記事を書いた経緯にもある通り、最近の環境が再び固定化を始めています。

改めてになりますが、環境が固定化するとプレイヤーは普通に飽きます。独自レギュレーションは飽きないための工夫なのに、飽きてしまっては本末転倒です。
さらに界隈も狭いので飽きやすく、スタンダードよりも特に気にしなければいけません。

今環境が固定化しているのは、単に花札衛デッキが強い割に構築の自由度がない事と、規制が甘かったので前期から引き続きTier1に残っている事も大きいと思います。

当然それに関しては改訂の段階で花札衛を抑える事ができました。しかし、理論上可能である事と、実際に行動可能かは別問題で、正直改訂者も蓋を開けてみないと改訂がどうなるかは想像がつきません。どうなっても結果論です。

それよりも今私が一番気にしているのは、環境考察が進んで花札衛以外の新デッキが開発されづらくなっている事です。
今回こそ【溟界ヴェンデット】が勝ちましたが、他に【しめじ】が出たくらいで、なんだか雑多なデッキが減っているような気がします。

以前は結果を残した【機界騎士オルフェ】や【インフェルノイドラビュリンス】、【ドラメティアラ】のようなデッキの他にも、【ジズキエルビート】や【エクゾディア】、【地属性ラビュ】みたいなデッキがポコポコ現れていました。

これらはヴェンデット等が規制されパワーが落ちた環境で新しく開発されたデッキです。

「X」(エックス!!!)のタイムラインを見ていると、今でも水晶機巧やロックバーン等のデッキが開発されているようです。しかし、大会で持ち込むにはあと一歩足りない様子。

遊戯王には1万種類以上のカードが存在し、NRには少なくとも5000種類以上のカードがありますが、強いカードはあまり多くありません。

プレイヤーの努力で新しい環境デッキが生まれる事は非常に偉大で喜ばしい事ですが、それが成功するのはNRカードプールの研究が進むほどに難しくなるように思えてしまいます。

であればどうするか。
メガリスやヴェンデットを規制した時のように、現在の環境TOPを規制してパワーダウンを行い、新しく開発されている「芽」が育つ環境を作っていけば新デッキが生まれるでしょう。

やはり独自レギュらしく規制を行うしかないのだと思います。

しかし、独自レギュレーションは「○○デッキが嫌いだから」「〇〇環境が悪だから」という理由で禁止してはいけないと個人的に思っています(少なくとも運営側は)。
それは今まで楽しく遊んできた自分達自身への否定となり、誰も幸せになりません。
それよりも、「これを規制したら新しいデッキが活躍しそうだから」という理由の方がなんか清々しい気がします。
もっと言えば、「このままだと飽きるから規制を行います」ってハッキリ言ってやった方が良いのではないか。そう思い始めています。

私は普段のNRJP決勝配信で、NoRichesの事を「強すぎるテーマが規制されたレギュレーション」と説明しています。

「強すぎるテーマ」ってなんでしょうか。

正直、私はメガリスミラーも好きでしたし、ヴェンデットコアも嫌いじゃありませんでした。閃光の追放者+舞台も死ぬほど笑いました。当然花札衛も好きです。

なぜかというと、いつもTier1を喰おうとするデッキが横で開発されていたから、ドラマがあったからです。
終焉の悪魔デミスの有無、ギルティア-ソウルスピア、数々の罠デッキ、聖なるあかりetc…。

強すぎるデッキも、対策されれば対等なゲームになります。
本当の意味でどうしようもない「強すぎるデッキ」は存在しないと思っています。

ただ単純に、強いデッキがTier1として分布数が増えて固まってしまった。その対面ばっかりになって飽きるから、規制をして変化を加えたい。
ただそれだけの事なんじゃないでしょうか。

しかし、ここで1つだけ注意したい事があります。

「禁止リストが小さくて読めなぁい!」

新デッキや新環境のために規制を繰り返すと、NRの良さである「規制が覚えやすくて参加しやすい」が失われてしまう事です。

少し振り返ってみます。
上が第1回真佐杯(2023年1月)時点のリスト。
下が現在(9月22日改訂)のリストです。

これでもちょっと多い
画像は見やすくなってる。ありがとうAlfardさん



増えすぎだろ!!!!!!!



もはや許容できないレベルでリストが増えています。
これでは新しく興味を持ってきてくれた人も、裸足で逃げ出します。
このままではさらに増えるでしょう。

そこで、こんな事を色々考えてみました。

NR環境への提案

「殿堂入り」の導入

デュエルマスターズでいう所の禁止カード。
つまり「優勝しすぎたデッキ、分布の多すぎるデッキは最も重要なカード1枚を奪って、名誉を与えましょうね」という事です。

NoRichesは「1枚でデュエルを終わらせてしまうようなメタカード」と「活躍しすぎたデッキ、カード」、「アンケ―トで不人気だったカード」の3つを基準に改訂を行っていると認識しています。

この中でも特に「活躍しすぎたデッキ、カード」を規制する事は、明確に環境を変える事が目的のはずです。

今までは、例えばTier1のヴェンデットを規制する為に「コアがなければ大丈夫」とか「バースが強すぎる」とか色々議論を重ねて、可能な限り既存のデッキは存続させられるような工夫を施していました。
それで1強だったデッキがTier2に落ちれば、理論上Tier1が2つになるので環境は群雄割拠します。

しかし、これはあまりにも難易度が高いです。「誰がどのデッキを使うか」「新しいギミックが発見されるか」は完全に操作しきれない領域なので、Tier上位で想定外の事が起きた瞬間に、運営側の想定は瓦解します。

いっそのこと、「強すぎて皆が飽きちゃったテーマ」はどんなに健全な良いテーマであっても、強い規制を与える方が確実です。

そしてそのデッキの第一人者とそのカードに殿堂入りの称号を与えて、崇め奉って許してもらおう。という事です。

強い規制でデッキが崩壊するのであれば禁止リストは1つ埋まるだけで済みます。
環境に変化を与えて弱体化するのが目的なので、規制が強すぎても目的は果たせていますし、そのデッキが引き続き結果を残す場合でも大幅な変更が加えられているはずなので、もはや別のデッキです。

少し過激な発想なのでご意見頂けると嬉しいです。
ただ、そこまで的外れな意見ではないと思っています。

大会とレギュ更新の紐づけ

もし「殿堂入り」を実装するなら、定期的な大会ごとにレギュレーションを更新した方が良いです。

レギュレーション更新をする度に環境が大幅に変化するので、今までの環境が気に入っていた人にとってはタイムリミットが欲しいと思います。
今までの環境が気に入らなかった人も、いつまで我慢すれば良いのか目安になります。

そして、定期大会で結果を残したデッキや、分布数の多かったデッキに一定の基準を設け、そのラインを超えていたら殿堂入りです。
それなら運営側の作為が入る余地もありませんし、殿堂入りをモチベーションにして大会頑張ってくれたらな~なんて淡い期待も持てます。

どの大会でどういう基準を設けるのかとかはこれから考えます。
現在NRJPではデッキ分布の集計を取っている事もあり、それほど苦労はしないと思います。

おわり

いかがでしたでしょうか。
頭の中を整理しながら書いたので読みづらかったかもしれません。
画像とかもないし。思い出してハズキルーペに頼りました。

レギュレーションについてはかなり意見の分かれるところです。
皆さんの大切な遊び場に手を出す行為なので、責任感も感じています。

是非忌憚のない意見を頂きたいところですが、
正直皆に何を言われるかビクビクしています。お手柔らかにお願いします。

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