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ageHaのプロデューサー・小張正暁が選んだ2010年代を代表するサイケデリックトランス 10選

2000年代中盤以降、サイケデリックトランスシーンの凋落と停滞は世界的な潮流でした。それが2010年代に入り、OZORA、BOOMに代表されるビッグフェスティバルの隆盛と共に復活を果しました。

そして日本ではageHaにおいて、2012年にWAKYOとの共催でJUNO REACTORが来日。2013年にSOLSTICEが復活開催したTWISTIVALでのHALLUCINOGEN。そして2015年のOZORA One Day in Tokyoの実現。と、起爆的なパーティーが続き、サイケ・リバイバルの発信源として中心的な場所となったことは間違いないと思っています。

個人的にも2012年以降はサイトランスが僕たち夫婦を旅に連れ出してくれたようなもので、国内・国外の多くのフェスティバルを訪れ、踊り倒し、世界中のアーティストと繋がり、青春が戻ってきたような数年を過ごしてきました。しかし、2020年代の始まりと共にコロナがやってきて、2010年代を振り返る暇もなく、私たちはこのおかしな世界に足を踏み入れてしまいました。

そこで、そんな輝ける2010年代のサイケデリックトランス・シーンを代表する楽曲10選を選んでみました。僕らの2010年代の音楽の旅がどんな景色だったのか?想像しながら聞いてくれたら嬉しいです。

そして来年こそは、世界で踊るためにまた旅に出たいと思います。
サイケデリックトランスは心の旅人のための音楽だと僕は思っています。

Zentura - Sonic Masala

Ace VenturaとZen MechanicsのユニットZenturaの曲。

2012年初めて聞いて以来の我が家のベストトラックです。OZORAへはこの曲をあの場所で聞くために行ったと言っても過言ではありません。

「ほんにゃら、ほんにゃら♫」っていうボイスサンプルがめちゃくちゃ癖になって、、、Zen Mechanicsが来日したときに「あのボイスサンプルは何て言っているの??」って聞いたら「知らない。どっかで拾ってきたサンプルで、意味はわからない。」って言ってました。 それでいいんだ!?w と拍子抜けしました。

動画は僕ら夫婦がOZORAに初参加した2013年のアフタームービーでSonic Masalaが流れるシーンです。

♫ LOUD - Small Talk (Ozora Edit)

LOUDはイスラエルの二人組で、オーソドックスなサイトランスとはかなり違う、音楽性の高さ、ディープなトラックから、盛り上がり必至のキラートラックまで、振れ幅の広さが魅力です。
動画は2015年のOZORAで、セットのラストにかけたSmall Talkです。

僕が追いかけてきた中でも特に重要なアーティストで、2015、2016と日本に呼びました。残念ながら方向性違いから二人での活動は終わってしまいましたが、最後にリリースした「5 Billion Stars」というアルバムは非常に完成度の高いコンセプチュアルなアルバムで、「2010年代を代表するサイケデリックアルバム」とい過言では無いでしょう。是非聴いてもらいたいです。
https://www.nanomusic.net/playlist/loud-5-billion-stars-lp/

♫ AJJA - Shamanic Tea (Ajja Remix) 「アルバム / Oddular」

プログトランスが好きな僕たち夫婦にとって、AJJAはいわゆるHITECHというチョッ早BPMのジャンルのイメージがあったので聞かず嫌いみたいなところがあったんですが、ポルトガルのBOOMフェスティバルで昼のAJJAを聴いて完全にイメージが覆されました。

動画は僕が撮ったBOOMのセットのラストで、翌年のOZORAまで毎回フェスのラストはこの曲で締め括っていました。

ちなみに、AJJAは翌年2017年のOZORA Tokyoに呼ぶことが決まっていたので彼を追いかけてこのステージまで辿り着いたのですが、AJJA本人ともこの時が初対面でした。途中から本人に声もかけず撮り始めましたが、ステージから追い出されなくてよかったなと思います。AJJAはフェスの動画が少ないで非常に貴重な動画だと自画自賛しています。
そんなわけで非常に印象深いトラックになっています。

♫ Astrix & Captain Hook - Bungee Jump

Captain Hookもイスラエル人で、LOUDやPerfect Strangerに通ずるテックでディープな音と世界観が特徴的なアーティストです。

動画は2017年のOZORAで、ステージ上に僕もカメラを持って映ってます。

Captain Hookは他にも「Perfect Stranger - Six Feet Under (Captain Hook Remix) 」
https://www.youtube.com/watch?v=NKlIXbf3erU
など、我が家のお気に入りが何曲かあるんですが、この曲なんかは最早サイトランスではないですよね??
彼のようなアーティストもトップDJとして独自の位置を占めているのが現代サイトランスシーンの振れ幅の広さ、面白さだなと思ってます。

♫ Perfect Stranger - Time Warp (Joujouka Remix)

僕にとって最重要アーティストであるPerfect Strangerの数ある曲の中から1曲を選ぶのは非常に難しい問題でした。
いろいろな思い出の中から、ツヨシさんがこの曲を最初に聞いた時にすごい衝撃を受けた。という話と、そして後にJoujouka名義でリミックスをした。という経緯からこの曲を選びました。

動画はPerfect Strangerでもなく、Joujouka Remixでもなく、LOUDがプレイするTimewarpの(LOUD Remix)ですが、このオレゴン皆既日食の動画には僕が撮っている映像も含まれていて、オレゴン皆既日食自体が2010年代のサイトランスシーンをするトピックだったなと思います。
LOUDはこのオレゴン皆既日食を最後に活動停止しました。

♫ Hilight Tribe - Free Tibet (Vini Vici Remix) 「アルバム / Free Tibet」

2010年代のサイトランスシーンにおいて、最も広く一般の音楽シーンに名前が知れ渡ったのは間違いなくVini Viciです。
Armin van Burenとの共作で、もはやEDMアーティストとして認識されるところまで行ってしまいましたが、それもHilight Tribeという素材があってのことでした。

動画は世界中のフェスでかけられたFree Tibetの動画を集めたものです。

Hilight Tribeも2回ageHaに来日してもらいリーダーのGregにはソロセットでもプレイしてもらいました。ちなみに、世界初のHilight TribeとVini Viciのオンステージ共演を実現したのはageHaでした。せっかくなので、その動画も貼っておきます。

♫ ASTRIX - Deep Jungle Walk「アルバム / HE.ART」

ASTRIXといえば、日本人のファン層に良く無いイメージがあって、正直、昔は全く興味なかったのですが、2016年にリリースされたアルバム「HE.ART」で完全にそのイメージが払拭されました。その収録曲の中でもDeep Jungle Walkはベストトラックだと評価が高いです。実際、OZORAは硬派なラインナップが特徴で、Vini ViciもAstrixにも門戸を開いてこなかったのですが、このアルバムが出た2016年にAstrixは始めてOZORAに出演が叶っていました。

動画はその2016年のOZORAでプレイしたDeep Jungle Walkの時のものです。
ageHaでも2019年の17周年、Alpah Portal / ASTRIX。そして先日の2021年の19周年でパフォーマンスしてくれ、圧倒的な人気と楽曲のクオリティーを見せつけてくれました。何故ASTRIXがかけるとあんなに凄い音が出るんでしょう??

♫ Tristan and Raja Ram - The Beautiful Garden

僕は普段家ではIboga系の、プログレトランスを聞いていることが多いのですが、NonoのトップアーティストTRISTANは日本でも圧倒的な存在感と人気を誇っています。特にRaja Ramと共作したこの曲は、TRISTANのリリースの中でもストーリー性に富んで非常に印象的なトラックになっています。

この動画は富士山の麓で開催されたGreen Magicという野外でThe Beautiful Gardenをプレイした時の動画で、この動画も僕が撮っています。
この時はTRISTANのアテンド、ドライバーもやって、富士の麓でTRISTANが餅つきをしたのが忘れられない思い出です。フロアのオーディエンスもエネルギッシュで感動的なパーティーでした。

♫ Electric Universe - Bansuri (Original Mix)

Electric UniverseもTRISTAN同様、1990年代前半から活動している息の長いアーティストですが、彼も現代のサイトランスシーンにおいて非常に重要な位置を占めているアーティストです。この曲、Bansuriは2018年のリリースから未だに日本の若いDJたちも頻繁にかける定番曲になっていて、そういう意味で皆の印象に残る何かがあるんだろうな。。。と思っています。

Electric Universeはレーザーハープコンサートという平沢進やStephan Bodzin使っている楽器でのパフォーマンスをやっていて、本当は去年の4月にageHaに来る予定だったのが延期になっていて、年明けの1月15日、最後のOZORA Tokyoに来日できるよう、今も可能性にかけてVISAの申請など進めています。

♫ Ace Ventura & Juno Reactor - Ingonyama

最後の10曲目はAce Venturaの楽曲から。。。
これまた1曲に絞るのが難しいアーティストですが、あえて選ぶならということで、2010年代のAce Venturaのベストアルバム「Paradise Engeneering」から、Juno Reactorとの共作・Ingonyamaを選びました。

動画はBoom Festival 2018でのIngonyama
Juno Reactorの世界観と、Ace Venturaの現代的なサウンドプロダクションの融合。完成度がすばらしいです。

最後に

冒頭で僕は2010年代の世界のサイケデリックトランスシーンを「輝ける2010年代」と評しましたが、何よりもそこで出会うオーディエンス、ダンスフロアのエネルギーがキラキラと輝いていたのが印象的でした。

リリースされ、愛されてきた楽曲は、そんなダンスフロアのBGMであり、テーマソングでもあります。

次の2020年代にどんな曲がリリースされ、僕たちを旅へと連れ出してくれるのか?楽しみにしながら来年を待ちたいと思います。

それではageHaで、そして世界のダンスフロアで会いましょう!!

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