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【インスピ日記】 祖父は言った

何かに触発されたら書く雑文。きょうは、若い衆といろいろ話したのがきっかけ。

 幼稚園では毎月、新しい本をくれる。先生は、いつも僕にだけたくさんの絵本を押し付けた。少し分厚い児童文学の本まで持って帰れと言う。みんなにも配ればええのに。

 本は、とうこちゃんのお父さんが運んでくる。お父さんが本屋なので、とうこちゃんは威張っている。「毎度ありがとうございます」。とうこちゃんがふざけると、先生が笑った。意味がわからない。

 帰り道に難儀する。田んぼで祖父が草を刈っている。荒い息で「賢い子になるんやで」と言う。「はいがん」だから優しくしてあげないと。本を置いていくのはやめた。稲刈りに祖父はいなかった。

 最近、両親よりも祖父に似ている自分に気付いた。眼鏡を変えたからだと思う。本の支払いが祖父だったと聞いたのも最近だ。


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