現代アート「My fair prisoners!?3」の米原万里さんの調書とエッセイ※全文掲載
この方は、ロシア語の同時通訳と作家で活躍されていた日本国籍の女性です。僕は、この方の本をほぼ全部持っています。この方の文章のファンなんです。名前は、米原万里さんです。ロシア語同時通訳とエッセイストをやられていました。
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My Fair Prisoners!?調書
囚人番号:20201113165836
名前:聖母
懲役:56年
服役した刑務所:東京都中央区 聖路加病院
音楽:美空ひばり
映画:「2001年宇宙の旅」「時計仕掛けのオレンジ」
本:ドストエフスキー「白痴」
罪:父親に処女を奪われ、男性恐怖症になった
喜:初めて自分の本が本屋に並んだ時
怒:糞親父、戦争、レイプ、重犯罪、銃犯罪
哀:処女を守れなかった事
楽:文章を書いている時
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「聖母」さん
「聖母」は、幼稚園の時は、幼稚園の先生になろうと思っていた。しかし、幼稚園の先生には、魅力的な人はいず、考えを改めた。
小学校では、国語の授業が楽しく、いつも待ち遠しく感じていた。逆に、身体を使った授業が、意味が無いと思っていた。 小学校6年の時に、事件が起こった。実父の糞爺に、処女を奪われた。泣くに泣けず、誰にも言えず、本当に殺意しかなかった。あいにく糞爺は早く死んだし、ここ「学園Heaven」では、レイプ犯や息子の童貞を奪った糞婆は、絶対無になる事が決まったので、永遠に別れられるので安心している。
海外生活は、当初不便ばかりだったが、海外の言葉が分かるに連れて、日本語の素晴らしさを痛感した。数年の海外生活だったが、自分には外国語だと強く思った。
舞踊で食べて行こうと思っていたが、現実の舞踊は、自分が思うモノとは違ったので、外国語で勝負しようと思い、東大大学院に入学。そこには、自分が求めるものがあった。修学後、ロシア語同時通訳兼翻訳家としてデビュー。経済的には困らなかったが、やはり子供を産みたかった、そう悲しそうに「聖母」は言う。「でもね、ここでは処女なの!」と、「聖母」は気持ちを直ぐに切り替え、教えてくれた。 人間の上(かみ)同士が性恵交しても子供は産まれないが、大天使と人間の上が性恵交をすると、子供が産まれるが、育っても見た目は二十歳くらいだそう。
とにかく、「聖母」の笑った顔が素晴らしい。ここと「学園Heaven」は住む世界が違うので、写真は撮れないが、色々な話が聴けて良かった。(了)
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※この方も刑期を終えました。
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