田中宇さんのサイト

 何年前?10年前?もっと前か?有料化以前はよく田中さんのサイトを覗いてた。田中さんは、なんだろう、国際政治分析家といったところだろうか。地域覇権(ヘゲモニ)の世界3分割見立てとか、USAの軍産官が結託した「影の政府」見立てとか、けっこう微妙で危なかしい感じだけれど、公開情報たるニュースをベースに「分析」しているということは、どうやら今も崩していないらしい。
 ということでメディア露出が増えたあたりから疎遠になっていたのだけれど、今月になって「どうしてるかなー」と覗いてみたら、けっこう面白かった。
 相当昔から田中さんは「チャイナの勃興」と地域覇権をいずれ掴もうとする点(日本が地域覇権を掴もうとしない&USAが邪魔をするから……という分析も当時してたかと思う)を主張なさっておられたわけで、まあ自分で自慢してないらしいうようだからそのあたりもちょっと好感を持っているのです。

 もちろん、全部を全部真に受ける気は当然ありません。ただ、ひとつの「見立て」として、わたくし自身を磨くための「砥石」として、わたしは面白く感じたなあ、というお話です。トランプさんの分析とか、本邦の安倍退陣、菅総理に対する能力評価とか。
 断っておきますが田中さんが「分析」と言っているけれど分析という割には屁理屈の捏ね方が足りないように私は思います。どちらかといえば受けた「印象」から論を組み立てている。多くの記事に目を通されて労を払っているとはいえ、確固たる定見(観念)から作文をなさる傾向は否めない。……、まあ私もひとのこたぁ言えませんが(苦笑)。なんらかの定見なくして書いた作文はおそらく背骨のないものになってしまうことでしょう。なんでしょう。たわ言の羅列?子供がその日起こったことを親に伝えるときに、物語性が欠落していて事実を脈絡なくいうような?そんな感じに、おそらくなるのではないでしょうかねえ。だから、定見とかシナリオとか見立てとか「なし」って訳にはいかない。問題になるのは集めた資料が、定見を批判批評して「糺せ」と主張してくる場合でしょう。
 子供の頃、「正直に生きよ」と言われたものです。嘘をつくな、と。定見や見立てが私自身の内から出る「本当」であるとして、集めた資料や記事の「本当」とどちらを優先すれば「正直に生き」たことになるのか。自分を押し通すのも正直、事実に寄り添うのも正直。でそこで問われるのは「これ、おかしいかも?」と思った気持ちに対して、自分の気持ちに正直に振る舞えるか、ということなのでしょう。客観的には刑事の「見立て」が物証を蹴散らかして隠蔽に向かえば冤罪の原因となることでしょう。刑事や記者の倫理と仕事忙殺との均衡の問題も考慮が及ばざるをえないでしょうか。今回そこまで風呂敷広げる気はないので、適当に畳みます(適当かよ)。

 まあ、あれですよ。私も間違う。誰それも間違う。人間は(どの道を辿ったとしても)間違うように出来ているのだ。くらいの心持ちで万事にあたるべき、なんでしょうね。たぶん(ほんと、適当だなぁ苦笑)。

 補足。あーべつに田中宇さんの記事に致命的な間違いがある!とかいう指摘ではないです。懐かしいなーって気持ちが7割。お、なかなか面白い記事があるなあーって気持ちが2割。今でも続けて偉いなあーって気持ちが1割でしょうか。この比率も「いいかげん」ですが(苦笑)。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?