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意外な落とし穴

日々、訪問のリハビリに出ています。
そんな中、ある利用者様からこんな話題の提供がありました。

— エアコンが壊れたから、新しい物を買ったんだよ。
  自分じゃ分からないから、姪に選んでもらったんだよ。
  だけど何だか使い勝手が悪くてね…。 ―

そんな事を話す、80代後半の女性の利用者様。
さほど広さはない、市営の団地に住んでいる。
今まで使用していたエアコンが、故障して新しい物に買い替えたという。

そこで何が落とし穴かというと…

Panasonicの最新機種に買い替えたという女性。
それも、店員に言われるがまま高性能のエアコンに買い替えたという。

人感センサー、ナノイー、自動お掃除機能など様々な機能がついている、高性能エアコンを購入したという。
ただこの利用者様は、人工的に生み出された風が苦手とのこと。

そう、エアコンから噴出される風が苦手。
エアコンの風に当たることで、すぐに体調を崩してしまう。

そして風が当たるのを嫌がり、サポートセンターへ毎日のように電話をしてしまっている。
そして、コールセンターからは厄介者というレッテルを貼られてしまう。

そう、家電量販店としては、家電の事が良く分からないことを良いことに、いい鴨として最新機種を売りさばく。
そして、高機能について行かれずに、体調を崩していしまう高齢者が増していくという図式が生まれる。

さらには、使い方が解らないから使わない。
そして、使わなくなる。
さらに体調を崩す。
そして臥床時間が増える。
介護認定を受ける人が増していく。
こんな図式を浮き彫りにしていくのではないだろうか。

私は生活を見ていく作業療法士という立場から本人の風が当たらないようにしてほしいとのニーズを叶えるために、風向きを変えるなどする。
ただエアコンの特性としては、風が回らないことでは室温が上がらないという欠点がある。

高機能で様々なことができるが、リモコンまた説明書の文字が小さい。
店頭ではよいことばかり並べているが、実際に生活の現場では全ての機能を使うことのできる人は極少数。
暖かい風により室温を上げるが、人工的な風が苦手な高齢者が多い。

売り手としては如何に高額の品物を売るかが課題となる。
ただ実際の消費者は使いこなせていない現実がある。

これからの日本社会は、高齢者が増える時代となる。
時代が進むにつれ便利になる世の中だが、それについて行かれない人も増えていく昨今。

高機能な品物が増える一方で、使うことが難しくなく人が増えるもの事実であって、新しい世界に足を踏み込むことを拒み、その場で立ち留まる人も増えている世界になりつつあると思う。

新しいことに抵抗がない世代であれば

高機能 = 使い勝手が良い

と考えることができると思う。
ただそれを受け入れることも難しくなる世代もいるということ。

利益の為に、親切で高機能で高額な物を紹介することは
受け手にとっては大きな落とし穴になるのではないかと思う。

小さな親切、大きなお世話

そんな言葉を痛感した出来事でした。



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