タイでMBAを考えている人向け大学院情報2020年版

ざっくりと私が調べたうえでの情報(私観あり。ほどほどにご参考を)と、生活パターンや性格に合わせた個人的おすすめの大学の紹介をします。

尚、この記事はタイが好きでタイに住みたい!からのタイの大学院選びをしている人、または何か他の理由でタイに住むことになった人(駐在員やその家族など)がタイのMBAを選択肢に入れ検討する際の情報になればと思って書いています。MBAを海外で取得したいと思っている人のための様々な国の比較には向いていません。私は欧米の大学を出たことがないですし、アジアの他の国を調べていないため比較して答えることができないからです。そして残念ながら日本においてタイの大学のMBAの知名度はそれほど高くないと思われるので、仕事を辞めてまでの私費留学という人は事前によく検討されてくださいね。

ではまず大まかな大学院別の解説からはじめます。MBAとは?あたりの話はここの本題とそれるのであえてとばしておきます。(わからなかったらググってね・・・)

金額と期間

先にお金の話から言っちゃいますと、日本国内でMBAを取得するよりも安く、そして早く卒業できることが多いです。バーツのレートにもよりますがトータルの学費は80万円~からあり、また学期ごとの支払いが可能なので十数万単位からはじめることができます。尚、タイ学生あるあるなのですが、入学したあとに途中でやめて他の大学に入学しなおすなども珍しくないため、最初の学期の最初の授業の数週間だけ出ていなくなる学生もたびたびいます。なので、ダメだったら考え直してもいいしとりあえずやってみようというスタンスでも悪目立ちしません(日本人という点で珍しがられて目立つ可能性はあります)。そして大学によっては入試がないところもあり、通年入学を受け付けているところであれば書類さえ集めれば3日で入学できたりします。尚、成績はB以上でないと卒業できないところがほとんどなので、入ったあとにしっかり勉強することが大事です。良い成績がとれなさそうであれば、成績の平均点数を下げないために途中で辞退する人もいます。数週間だけ出ていなくなる生徒がいるのはこのためです。日本とは色々文化が違いますね。

タイの国立大か私立大かについて

違いは端的に、入学試験でふるいにかけられるのが国立、だいたい全員受かる(または入試がない)のが私立大学です。

大学のレベルとしては国立大と私立大に圧倒的な差が(タイ人の中で)あるので、タイでの就職を考えているならできるだけ国立の名門大が良いです。ですが、無名の大学だからといって簡単に卒業できるほどMBAは簡単ではないです・・。なのでどこの大学に行っても勉強はしっかりすることになります。授業の質は教授によるというのが本音ですが、やはり優秀な先生となると国立大の方に軍配があがるでしょう。ですが教授の裁量を知るのは、主にレポートの評価やテストの採点くらいかもしれません。というのも授業は座学よりはケーススタディをもとにレポートを提出したりプレゼンしたりとグループワークが多くなるので、勉強が充実するかは一緒にいる学生のの質に依存するためです。(正直、YouTubeを検索するとMBAのチュートリアル動画がたくさん溢れているので、座学を聞いているよりも家に帰って動画を見る方がわかりやすかったり・・・)入学試験がちゃんとしている国立のほうが学生が厳選されているかもしれませんが、タイ人が多すぎるとタイ語が飛び交うことも増えますし、個人的にはダイバーシティに富んだ環境も良い経験になると思います。
ちなみに国立大の入試は、CU TEPやCU BESTというセンター試験のようなタイの大学で共通に使われるテスト組織の試験をうければIELTSやGMAT不要です。しかもCUBETの方がGMATよりはるかに簡単で、日本人なら中学数学レベルで解ける内容です。
ということで、日本人にとっては英語さえクリアすれば国立大への入学もハードルは高くないですし、ペーパーテストそのものは大学による差もあまり感じません。どちらかというと面接でその大学で何をしたいかを言えることの方が合否につながるように思います。推薦状2通は大学ごとに簡単なフォーマットがありメールでの送信に対応しているので、昔の上司や大学時代の恩師などへ気軽に依頼できます。

以上のことから、タイのMBAに興味があるならば、先におすすめ大学の結論を行ってしまうと、ぜひチュラロンコーン国立大学のMBA(MBAチュラ)を応募だけでもしてみてください。最初から私立一択にするのは勿体ないです。(どうせ受かるので。)

では大学別解説スタート!

チュラロンコーン国立大学

チュラロンコンは言わずと知れたタイにおける東大と言われるような国立大です。確かに歴史を見てもトップ校だと思います。あなたがタイ人なら迷うことなくチュラロンコンを目指すべきでしょう。そして外国人に対しても門戸は開かれている大学ですが、それよりは優秀なタイ人がこぞって集まっている印象です。
でもこの大学のMBAには2種類あり、通称MBAチュラとSasin schoolと呼ばれるものがあります。Sasinはレベルと学費が桁違いでタイにおけるトップMBAスクールと言われています。

このnoteを読んでいるのが日本人であるという前提で、先にも述べていますがおすすめはMBAチュラです。MBAチュラは国立大らしく学費が抑えられ、でも教授陣はチュラお墨付きでレベルの高い授業を受けられます。
サシンは金持ちのタイ人が通う、人脈作り目的でもあるスクールです。もちろんトップレベルの授業が受けられますが、でも学費が高い。人脈を必要とする日本人となると、タイに完全移住して起業するケースになりますが、学費も100万THBとお高め。本当にタイ?!という価格。これならシンガポールの大学院やFMCU(※)と学費が変わらないです。
※チュラロンコンにはFMCUというメディカルスクールがあり、これはどの学部からでも入学できる医学系インターナショナル大学院(授業は全部英語)で、ここを修了すると外国人でもタイの医師免許を取ることができます。同じ額を投資するならMBAより医師免許かなと思います。入試難易度は外国人にとっては同等と思われます。SasinのMBAをとりタイ人との人脈を作って起業するより、FMCU出てサミティベやバムルンなどで日本人医師として働いた方がリスクが少なく、遥かにステータスと需要があるでしょう(個人の意見です)。

尚、MBAチュラは平日週5の授業で1年半コース、フィールドトリップ込みで40万THB台です。このクオリティの授業を受けられてこの学費は本当に安い。それに日本でも知ってる人は知っている名の知れていたトップ国立大です。コスパと質を求める人にはおそらく一番適していると思われます。ただし、入学試験が年イチなので、そこだけ気を付けましょう。期間も1年半はかかるので、本帰国時期も見極めたうえでの計画をした方がよいと思われます。

タマサート国立大学

タマサート大は「バンコクにおいて」チュラロンコンの次に有名な国立大で、日本の大学で例えるなら早慶のようなイメージです。

タイの有名国立大学はコンケンなど地方にもあり、いわゆる京大や阪大的なポジションのような首都以外にある名門校と比較すると、タマサートは大学ランキングが下になります。しかしここの根強い知名度と評判の良さには高いブランド力を感じます。
また、意外にもタマサート大学にはかなりの数の日本人留学生がいます。交換留学先として日本の大学と数多く提携されてますし、TOEFL基準に達してなくても受け入れてくれたりと結構ゆるく、短大や専門学校からの留学も多く受け入れてくれることで有名です。それが安心につながるかもしれませんが、日本に帰国したあとに海外MBAで差別化をと思っている場合には、タマサート大学に留学経験ありという日本人がゴロゴロいるためレア感は薄いかもしれません。もとい、一番タマサート効力が発揮されるのはタイ人の友人と会話するときかもしれません。タイ人間では、タマサート大学生はステータスを感じます。早慶のようだと先に述べたのは、お金のあるタイ人や知名度のある人の卒業校としてよく耳にするからです。
そしてタマサート大はアクセスがチュラより微妙です。駅からも遠いし、暑いので歩くのも。。タクシー必須かな。タマサートを悪く言っているわけではないですが、だったら立地的にも名声的にもMBAチュラのほうが非の打ちどころがないかな、と思ってしまいます。試験内容はほぼ同じですから・・・。


マヒドン国立大学

マヒドン大学は欧州からの交換留学生も多く、逆に日本人は少ないので知られてないことも多いですが、タイの大学ランキングで1位をとった年もありますし、もともと医療系で強い大学なので研究実績も多いです。日本の大学で例えると筑波大学や、文系にしぼると一橋あたり。CMMU(College of Management Mahidol University:日本語ではタイ国立マヒドン大学経営大学院)は学生の口コミも凄く良いです。個人的には、もし周りと差別化をしたいとか、本気の外国人留学生との交流にも期待したいと思っている場合にはここが一番よいと思います。研究実績も多く、世界大学ランキングでのこれからの上昇も見込めます。またダブルディグリーの提携校も欧米の有名校が多々あります。
マヒドン大学のMBAプログラムとCMMUのプログラムは別で、キャンパスも違いますし入学要項も違ったはずですが(実際に見に行ってないので曖昧ですが)、もしどちらか選ばれるならCMMUが経営大学院として特化しておりバンコク市内に近く、よりインターナショナル生を受け入れているように思います。
ちなみにマヒドン大学キャンパスの方へはバスも出てますが、それを使って移動できるのはフルタイム学生メインとのこと。CMMUのバンコクキャンパスなら最寄り駅まで地下鉄で行ってそこから歩きやタクシーでも通えそうです。

それでは私立大に移ります。

アサンプション大学

私立大の中でのトップはアサンプション大学です。ここは中学・高校も附属がありますが本当に裕福な家庭出身のタイ人だらけです。無理やり日本と結びつけると青山学院か立教大学というところです。お金持ちで育ちの良いタイ人はだいたいアサンプションの中学・高校を出て、実力のある人は大学で国立大に行きます。某タイ人セレブもここの中高を出てタマサート大学(前述の早慶っぽい国立)に入学していました。有名ですし規模も大きいので、私立大で検討されているならここが良いです。ちなみに日本人でタイでMBAを取った人のブログを見るとなぜかほとんどがココ。実名出してる人もいますしそうでない人もキャンパスの場所を見るに明らかにアサンプション大学です。
本キャンパスは郊外にもありますが、サイアムのZENの中にもシティーキャンパスがあります!これはスクンビット周辺に住む日本人としてはありがたいのではないでしょうか。大きなモールにあるビルなので電車でアクセス簡単、ランチ・夕食の場所にも困りません。テストのみホーマックキャンパスへ受けに行くことになりますが、普段の授業はすべてサイアムで完結します。平日昼間クラス、平日夕方クラス、週末クラスのそれぞれのキャンパスでの開校があるので規模も大きく、受け入れ生徒数も多いです。もしあなたが平日昼間でサイアムのキャンパスを選ぶとしたら、授業は週三回の10:30-15:30となります。ちょうど良いと思います!ただ、この平日昼間は多くが本業学生となるので、時間が無限にあったり夜更かしタイプが多いですのでグループワークの際には自分が参加できない時間などをあらかじめ伝えておいたり、なんなら自分が仕切るくらいのほうが良いでしょう。
ちなみに学費も国立大よりすこーし高いかなくらい(55万バーツ)ですし、フィールドトリップ費用も混みなので妥当な価格です。

しかし、タイ人の高学歴の友達(国立出身で欧米名門校へ留学済)に言わせると、"私立大は全部外国人のための大学"と言い放つくらいでしたので、私立大の扱いはそんなもんなんだと思います。なのでアサンプションに関してはトップ校でありその後のキャリアにプラスに働くと期待するよりは、授業料を払う価値のあるプログラムを受けられる私立大学である、と思ってよいかと。
(私立大の中にはあきらかに授業コマ数と比べて授業料割高というところもありますし、そこは何に重きを置くかでかわってきそうです。)

スタムフォードインターナショナル大学

STIUは何年か前に中華系のオーナーが買収したらしい私立大学で、主に外国人留学生向けです。でもMBAに関してはタイ人も意外といて、その理由はおそらくアクセスの良さと電車から見える大きな看板に惹かれるからでしょう。アソーク駅直結のエクスチェンジタワー内にMBAのキャンパスがあり、仕事帰りにも簡単に通えます。1年の中で入学できるタイミングはかなり柔軟で、アドミンに相談すると最速でいつから開始できるかを教えてくれます。
スクンビットに住む日本人からする歩いていけそうな場所でもあり、サイアムやサトーンに比べると渋滞リスクもないため近場で済ませたいならここがおすすめです。ちなみに学部生向けのメインキャンパスはラマ9やホアヒンにありますがMBA生は学生ビザを発行することがないかぎり行くことはないでしょう。
立地以外の魅力は1年のファストトラックがあること。平日に週2で2コマずつとれば1年で終了できます。ここのMBAを選んだタイ人は1年で修士が取れることが良いと言っていました。週末クラスであれば週に1.5コマで最速1年半で卒業できます。働く社会人でできるだけ手間をかけずにMBAを取りたいと思う人にぴったりの大学です。ただ、アソークキャンパスは小ぶりなこともあり生徒数も多くありません。学校案内に載っているコマでも人数が集まらず開講していないということもありえるので、希望する時間に授業をしているかは入学前に確認する方が良いです。平日昼間はインターナショナルクラスのみ、週末はインターナショナルクラスとタイ語でのクラスがあります(平日夜のオンラインMBAもありますがそれはタイ語でのみです。)選択科目も少なめなので、自分は週末しか通えないけど取りたい選択科目が平日昼間しかやってないということが起こりうるかもしれないので、事前にしっかり確認しましょう。修了までにかかる学費は42万バーツです。

バンコク大学

次にバンコク大学。ここは平日夕方(週三日)または週末開校の1年半~2年コースです。キャンパスはエカマイにあり、トンロー在住であればタクシーですぐの距離すね。ここのメリットはなんといっても安い!20万バーツ台だったのでスタムフォードの半額、アサンプションの1/3!(でも週5の終日授業をやるチュラに比べると週3や週末のみとなり講義時間も少ないため、この授業料は妥当なのかもしれません。他の私立がコマ数のわりに高すぎるのかも。)平日夜や週末コース完備という点でも社会人を対象にしており、あとはとにかく安い!ので駐在員の方などが忙しくて途中で断念するかもしれないものの何かはじめてみたいという場合にも非常によいと思います。学費はターム払いにすればもっと小刻みにできますし、無理となったらそのときやめたらよいのです。でも2年通って20万バーツであれば、もはや英会話学校レベルの学費では?というくらい安いですね。
個人的には英会話学校に通うくらいなら大学院に入った方が学歴にもなるし、死活問題で英語を使うので伸びるように思います。また、MBAの話からはそれますが、もしあなたが専門卒や短大卒でいつか大学卒の資格を取りたい…と思っているとしたらバンコク大学への編入をぜひ問い合わせてみてください。ここは他の大学に比べて比較的ゆるい印象があり、働きながら在籍している人や芸能人もたびたび聞きます。英語がそこまで得意でなくてもはじき出されない懐の温かさを感じます。(というか、タイ人全体的に英語のできない日本人に優しいので、そこは本当に感謝でしかないのですが。)
ちなみに、学費の話ばかりしていますがバンコク大学も知名度はありますし、卒業した有名人がキャンパスイベントに現れたりするなど華やかなイメージもあります。MBAよりはマスターオブアーツの出身者を聞くことが多く、私の中のイメージは日大です。

ウェブスター大学

最後に、ウェブスター大学。これは今まで紹介した中で唯一の米国大学。アメリカの大学のタイ分校です。授業は全部英語ですし、学生もほぼアメリカ人または豪州が少し。タイ人や他アジア人の比率は他と比べて圧倒的に少ないです(5%ほど)。ホアヒンに大きいキャンパスがありますがシティキャンパスはサトーンのチョンノンシーにあります。MBA/ビジネス系の講義はすべてシティキャンパスで事足り、学部生でもビジネス専攻ならサトーンで完結。ホアヒンにいかなくて大丈夫です。おそらく、仕事帰りのタイ人もここの夜コースでMBAを取得しているのでしょう。学費は50万バーツ越えなのでアサンプション大学と変わらないくらいですが奨学金を申し込めるかをぜひアドミン担当の人に確認してみてください。というか、米国大で50万バーツだとしたら激安じゃないですか。しかも生活費はタイ価格。
ここのメリットは、ネイティブの英語環境に行きたいという人、そして米国大というステータスが欲しい人。これに尽きます。クラスメートもほぼ欧米人になるのでアメリカ留学環境のように思えて楽しいと思います。また英語でのオンライン授業もあるので、もし日本への本帰国が途中で決まったとしても、日本で細々と単位を取り続けて無事卒業できます。(何気にこれは大きいと思う。タイの大学でオンライン授業を提供している大学は多々あるもののそのほとんどがタイ語クラスのみなので、途中で帰国してしまう可能性がある駐在員やその家族にもおすすめ。※2)

※2 ただし、コロナ禍においてインターナショナルプログラムもオンライン化している大学が増えたようなので最新情報は要確認です。

※3 授業の曜日やコマ数もコロナで変わっている可能性大なので、興味のある大学には事前に問い合わせてみてくださいね。

以上、ざっくりと知っている大学情報を記載しました。あくまで主観と個人的に仕入れた情報によるNoteなので、補足・コメントあれば教えてください!