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名取で感じたこと(2011年11月13日)

忘れたくないこと

12月11日(日)この日私は名取にいた

わずか6時間で感じたのはどこにもぶつけようのない

「無力感」だった


仙台空港近くの土地で、ゆりあげ朝市に参加するためだった

私が何をしにいったのかというと、お米をお配りするためだった

青森の農家さんのご協力で作っていただいたプロモーションとしての米を

困っている人に届けたかった


当初は仮設住宅に、と思っていたのだが、仮設住宅のニーズは

食べ物より暖房器具や防寒具が必要とされているということだった


では食べ物を必要としている人はいないのか?

何人もの人たちに助けていただいてわかったのは、

仮設住宅に入らず、賃貸住宅に暮らす人たちがいるという

その人たちには支援物資も回りづらい状態らしいとのこと


ゆりあげ朝市のNPOブースでは、そんな人たちのために毛布や洋服を

配布している

正確には「きもち」という名の募金をとってだけど・・・


そのブースの傍らで、米と米に入れて炊くと栄養が摂れる商品を

セットにして配った


ここまで、自分の心の中には何もなかった

ただ少しでも役に立てばと思うだけだった


6時を過ぎて配り始める

みなさん「ありがとう、ありがとう」と言って

持っていってくれた

しばらくすると行列ができてしまい、朝市で配布する予定数が

1時間も持たずになくなってしまった


並んでいる方々にお詫びをし、店じまいする

残りは賃貸住宅にお住まいの閖上地区のみなさんに家庭訪問でお渡しする予定


残りの時間はNPOブースのお手伝いをした

この日は長野からの支援物資の衣類とLEDの懐中電灯、カイロ、食器が

届いていて、それを並べながら話していると、そのブースにいる

すべての方が被災者で、悲しい経験をしていることを知った


8時頃に南相馬からやってきたという人たちに

ブースに残っているものをほとんど預けた

オムツ、衣類、おしりふき、毛布、大量のハンガー

ハンガーを入れるときにブースの人が言った言葉


「だってさ、洋服ダンスがないんだからハンガーもあげなきゃね」


この言葉を聞いて、ず〜んと心が重くなった


朝市を店じまいして、民生委員の方と一緒に賃貸住宅へ訪問

最初にお会いしたのは、杖をついているおばあちゃんだった


「ありがとう、ありがとう」


ここでもお礼を言われるが、心の中の重さはとれない

次にお会いしたのは、働き盛りであろう40代の男性

そして50代のご夫婦、70代の男性、20代の女性・・・


訪問したのは、一人暮らしでちょうど良さそうなアパート

玄関も狭く、入り口から階段もたくさんある

その中で杖をついて生活しているおばあちゃん

おばあちゃんが通るのに精一杯な廊下

家さえ流されていなければ、この人たちは自分たちの家で

ゆっくり生活していたんだろうと思った


自分のサイズではない服を重ね着して、

その部屋で毎日を過ごしている

車がないから朝市にも来ることができない

行政からの支援もなかなか手が回らない


確実に目の前の人は困っているけれど、

自分が渡したこの米と商品は

どのくらい役にたったんだろうか

そして、困っている人全体のどれくらいをお手伝いできたのだろう


今回に行ったのは「少しでも役に立てば」という思いだけだったが

自分がやっていることは「本当に少し」で「本当にちっぽけだ」


朝市でも実は同じ人が何回かもらいにきていた

でもその人たちは外側の服を着替えて受け取りにくる

その気持ちを思うと、渡すことに全く抵抗を感じなかった


でも本当に困っている人たちは、

動く手段を持っていない人たちなのではないか・・・

圧倒的な不平等


そんな不平等を前に、立ちすくむしかなかった

もっと米があれば、とも思ったがそれでも足りない・・


自分は何をしにきたんだろう

帰りの新幹線ではそればかり考えていた


ホテルが全くとれず、前日はウエスティンに泊まるしかなかった

一人には広すぎる部屋、ふかふかのベッド

翌日にはアパート訪問でみた現実


私は何をしにきたんだろう


いろんなことが一緒くたになって、

今でも整理することができない


でも絶対にこの現実を忘れてはいけないと思った

その上で自分がこれから何ができるのかを考えようと思った

少しでも、ちっぽけでも、ゼロではない

ゼロではないってことは、やる意味があるってことだ

一人でできないことならば、知恵を使おう

何をどうしても自分がやれることなんて限られてる

でもそれはやらないことの理由にはならない


これからも、できることを探してやっていこう

東北を忘れてはならない

風化させてはならない


そんなことを勝手に思った朝

まとまってないが、ここに残す

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