5枚目のひれ

金魚のひれは何枚か?
っていう授業がありましてね。
小学校1年か2年の時。

 教室に、いわゆる和金を飼っていて、その金魚を観察するっていう、理科の時間でした。
 みんなが少しの時間づつ観察して、先生の問に答えるって授業。
 先生が
「金魚のひれは何枚かな」
みんなは、手を挙げなかったんだけど、俺だけちょっと挙げてみた。
「はい、まるりん君」
「5まい」
大きな声で答えたんだ。そしたら先生は…
「正解!」
…とは、言わなかったんだな。
「ほかに意見のある人はいないかな?」
と、いうワケ。
俺は【5まい】に揺るぎ無い自信を持っていたんだが、ちょっと不安になった。
そしたら、まさかの
「4まい!」
と、元気な答えが叫ばれた。
(そんなわけない…)
ますます不安が増幅したんだけど、いわゆる引っ込みがつかなくなった。
そして先生はまさかの行動に出た…
「じゃあ、4まいだと思う人手を挙げて」
俺以外の全員が手を挙げた。正直泣きたくなった。
先生は何度も聞いて来た
「まるりん君は5まいでいいの?」
正直、「5まいじゃないです。」って言いたかった。けど、もう一人の俺が「言っちゃだめだ」と言い張った。

先生は、「正解は5まいです」と言ったんたけど、嬉しさも達成感もなかったな。

今でもそういう日があるけど、やっぱり嬉しさも達成感もない。あっちにいれば楽なのにな…ってのが、正直なところかなぁ。

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