壊れた船

成福

穴ぼこもりもり&偏った見方もりもりで
超絶長い、配信成福スリル・ミーの各曲に対する
ただのコメント文。

※長文注意
※偏った見方注意
※日本語下手注意
※ネタバレ注意
※ところどころ記憶なし注意


▼総論
どんなに賢くても「好きな人」には勝てない。
彼に陶酔している感が強いと同時に
彼よりも優れているんだろうなと目に見えるのが成河さんの「私」。
基本的に彼に促されないと私は動き出さなくて
唯一私がそのルールを無視して手に入れようとした2人の関係が
あんな形で終わってしまったのが悲しい。


▼「現在」の「私」
成河さんの「私」はずっと微笑んでいて怖い。
遠い昔(昇華した過去)を思い返していると同時に
彼のいない世界に何の意味も見出していない。
審議委員会だろうとなんだろうと
もう心は動かないって感じがする。
多分ここが怖いのは成河さんだけな気がしている。

「あの日、2人見た」と「ゲーム」は笑みが深くなって
とにかく私に高揚を与えたのは彼だけだったんだなと感じる。
「私のもとに戻ってきました」がほんっとうに怖くて
彼には私しかいないんだって思うことで
私は自分の存在価値を認めることができるんだなって感じる。


▼バードウォッチング
ちょっと目まんまるすぎない?と思ってしまう笑
夢中になっているのか、彼に見せるために大袈裟にしているのか
ここはわざとらしい芝居が続く。
彼は抱きしめたあとすぐに距離を置いたり
徹底して上にいようとしているけれど
私が自分たちの関係を特別視していることには
わりと満足げな顔をしていて
私が「わかっている」ことには一定の満足と安心を抱いている。
そういう意味でこの2人は「友達」の延長に存在しているし
辛め仕様の全編の中で彼にとってもまた私が必要だったんだと感じられるシーン。

基本的に彼の感情は目に見える形にあらわれないけれど
求める私に対しては少しだけ冷たい見下したような目をする。
私が求める自分でいようとしているのか、
軽蔑することで自分の優位性を保とうとしているのか。とりあえず顔が良い。
1人なら人よりも優れた思考ができるのに
彼がマッチ箱を投げるまでふらふらとついていってしまう、私。
だから自分を認めて愛してくれない彼=マッチに苦しそうな顔をする。


▼やさしい炎
彼の感情が昂るのは犯罪シーンだけ。
興奮が隠しきれない彼。やっぱり顔が良い。
犯罪をしてる時だけは余裕があって私に対して「返そう」としてくれる。
きちんと手を握ってそのまま抱きしめてくれる
(この時の手の動かし方がダンスみたいで美しい)。
私もまた彼と共に炎に見入っていて
彼の方は割と早めに「重なり」を解いてしまうのがらしさを感じる。


▼契約書
ここの「ありがとう」はどこまでいっても弟に固執する彼に
ちょっと不満げで、自分だけを認めて対等でいてくれたら良いのにと思っていそう。
そして本のやりとり好き。
このやり方が好きなんだろという彼と、またそうやっていじわるしてっていう私。
契約書のやりとりってすごくわざとらしくて
多分「いなかった半年」の間に彼が苦労して(例えば別の人と血の契約をして)
うまくいかなくて戻ってきたんだろうなって。
でも一方で「お前じゃなきゃだめなんだ」って言ってるくせに
反応を見るような顔をする彼は
私の望むものに自分の欲望を混ぜて悟られないふりをしている。そして顔が良い。

基本的にごねる私に対しての彼って
ちょっとバカにしたようなめんどくさいなあって顔するんだけど
きちんと態度には出さずに手順を守って接してくれてるの逆に律儀だよね。
そして多分このペアだけハンカチを貸してあげる。すっごい友達感を感じるシーン。

契約書に対して私は「権利だからな!」って顔するけど
紙を押し付けられるとすっごい嬉しそうな顔するの良いよね。
対等、うれしかったんだろうな・・・。


▼スリルミー
彼に焦りの色が見える=余裕がない。
いつも思うのだけれど私にとってスリルってなんなんだろう?
「怖い」が欲しい、みたいなセリフをすごく意味を持って話すから
大概のことで一般人を上回ってしまう私を
唯一納得感を伴って「征服」してくれるのが彼だったのだと感じる。
恐怖やバカバカしさを上回るほど彼を絶対に感じた時、私がスリルを感じるのだとしたら
彼らのセックスってきっとすごく荒々しくて
愛というよりは存在を感じるためのものなんだろうなと想像をするのがこのシーン。
ちなみにこの時の「ん?」って煽るようにいう彼がとてもSみが溢れてて良い。


▼計画
表情がない分、彼の中で燻ってる弟への嫉妬がすごく際立つシーン。
興奮してる割には淡々と冷徹に計画を練っていく。
(ネクタイを首にかけられた時のまんまるお目めパート2はニコニコしてしまう)
この私は割と殺人にも興味を惹かれていて彼の言葉に理性失ってる感がある。
一生懸命「彼も家族だ」とか反論してみるんだけど
彼の方が説得力を持ってしまっていて、計画に手を貸す、みたいな。
階段シーンですが彼、結局は従う私と新たなスリルの予感に聖母みたいな顔をします。
と同時にこの辺りで私は「計画」を考えつくはずなんですが決定打はありません。


▼戻れない道
恍惚とした表情を浮かべる私にとっての「理想の場所」は
殺人さえ一緒に犯せばまた元の彼に戻ってくれることというよりも
もうこの時点で彼を手に入れることを決めていたその場所、って感じがする。
いずれにせよ「そう信じてた」が現在の「私」の言葉と重なって重い響きに変わるのが辛い。
一方「車にいろ」という彼は、私のことを「ゲームのコマ」としてしか見ていない。
だから「得意な仕事だろ」を嘲ったように笑う。
他は優れた俺がやるから、お前は言ったことだけやれ的な。


▼スポーツカー
見せ場です!イケメンが火を吹きます!
ちなみにターゲットを見つけて彼が視線を送って私は静かに消える。
この時の私は静かに「計画」を決意したような顔に見えます。
怯えもせず緊張を孕んだ顔で。
にっこにこで話しかけてすごくスマートに子供を夢中にさせる様は
彼が「私」以外に見せる顔なんだろうな。
「家のそばでおろしてあげるから」の彼ですが
目元にだけ光を浴びて、その目を周りを探るように鋭く動かします。
手袋のはめ方が一番シュッとカッコよいのがこの彼。


▼超人達
私は呆然として出てくるのですね。血のついたロープや布にも反応が鈍い。
意外と常人の反応な気がしますが
彼に惑わされてちゃんと証拠隠滅を始めます(結局やらないけど)
何か落としたかも、を少しはっきりと発声するのがいやらしい。
段差から落ちた私の持ち上げ方がすごく荒々しくて興奮している。
それでも手の取り方やそのあとの導き方が
彼らしくてやっぱり丁寧ですごく規則正しいなと感じる。
私もただただ呆然とついていくしかできない。


▼脅迫状
タイプライター打ってる彼、すごく楽しそうですよね。
「私」がヒントを出してるのに拾いあげないからあんなことになるのに・・・。
せっかく満たされた表情をしていたのに
身代金の話ですぐに弟への苛立ちに塗り潰されてしまう彼を哀れむような表情をする私。
なんならそこから助けてあげるね?くらい言いそうな顔をしている。
確かに君は愛を受け取れていないかもしれないけれど
僕はそれを理解しているしだからこそ僕がそれを与えてあげるね、それが対等だよね?みたいな。


▼僕の眼鏡/おとなしくしろ
彼は終始落ち着いていて逃げ道を考えている。
唯一自分が「特別ではない」と言われたときは声を荒げる。
私の取り乱し方が荒々しくて見せるためにやっている感じがする。
要は通常運行の2人。


▼あの夜の事
ここもいつも通りの「彼」で
私を惑わせて言うことをきかせる気満々。
私もわかっていて乗ってあげてるけど「あわよくば」が悉くしくじってるの可哀想。


▼戻れない道
なんか、ここで彼が「よくやった」って家に連れ帰って
いつも通り対価を与えていれば2人とも捕まらない道を用意してた気がする。
私からすれば、彼から搾取されて自己の存在意義が揺らいでいて
それ相応のトゲトゲして痛々しい悲鳴のような「待てよ」で
全てがガッシャーンと割れてしまって、一足先に1人になってしまった感じ。
いいよもう計画を遂行してやるから、みたいな。


▼俺と組んで
自分の考えがまとまるまでは背中を向けていて
私の方を見るときには「いつもの自分」を作り上げている
それを違和感なくやってのける彼のスペックも高いですよね。
「私」は彼から触れられたことにすごく体を硬らせるし
すぐに手を払い除けようとする。
もう騙されないからって強い意志を感じてしまって
そのあとの表情も無っていうか、もうなんにも感じてないのが切ない。壊れてしまった・・・


▼死にたくない
「起きてるか?」って本当に聞かれたくないんだなって。
最後までカッコつけたがる彼。
「死にたくない」が生々しい。男の叫び感がすごい。


▼九十九年
あんな弁護士になりたい、っていう彼に「そうだったの」
っていう私が本当にどうでも良さそうで怖い。
そんな未来は僕が奪ったんだから来ないよって、罪悪感もなく言ってるように聞こえる。

まじでここはホラー映画より怖い。
声が軽くて優しくて穏やかで微笑んでるのがすごく怖い。
ようやく話せる、彼に自分が優れてると認めてもらえる喜びに満ち溢れているようで
どこか心がないような狂ったような顔をしている。
いちいちそういう挙動がまじで彼を怯えさせているし
最終的に彼は「認める」って言ったけど私は全然満足してない。
っていうかそういうのも含めて予測できてたしすごく丁寧に外堀を埋めていくよね。
せっかくいつも通りにやってくれたのにもうそれじゃダメなんだよって伝えてる。
「一緒だね」が手を上に上げて祈るようなんですよね。
一緒なんてもう無理だってわかっていてそれでも形だけ望んだ
その罪をどうか彼に、許してほしい、みたいな。
たまたまかもしれないけど私は半分しか光にあたってなくて
だから多分喜んでいるように見せているその顔の本音は
違うところにあるんじゃないかなって思ってしまう。
彼は圧倒的に敗北して普通の人間が如くこれからの99年を絶望しているし
私はそんな永遠を本当は望んでなくて
なんだよ、この地獄みたいなエンディング・・・。



▼スリル・ミー
釈放されてとりあえず公園にきてみたみたいな感じがする私。
来るまでの間も周りの世界の変わりようとかには全然心動かされなくて
ただ歩いてきたんだろうなって感じがする。
なんか、取り残された感がすごくて
すっかりくたびれて一番年齢相応な顔をしている。
彼が見えたことに驚いて喜ぶのに
結局それはただの幻で彼の「レイ」も人形みたいだし
私も結局現実に引き戻されてこの後の人生からっぽだろうなこの人って
全然救いようのない苦しい終わり方。

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