【芸人考察】春とヒコーキが天才コント師として評価される方法
この記事はYouTubeにアップした動画「春とヒコーキが東京03・バナナマンに並ぶ天才コント師になる方法」の台本です。動画で見ることを前提に書いたものなので記事としては読みづらい部分があると思いますのであしからず。
動画はこちらのリンクからどうぞ。
前回までのあらすじ
キングオブコントをはじめとした賞レースの役割は
①ライブシーンから業界内に名前を売る
②芸人の格を上げる
この2点だという結論になりました。
結論
ではこの理論を、具体的な戦略に落とし込んでいきましょう。
モデルケースは、今、僕が最も注目している若手コンビ「春とヒコーキ」。
彼らが東京03やバナナマンと並ぶような天才コント師として評価されるにはどんな作戦を立てればいいのか?それは、
5年後2028年に「春とヒコーキ・コントフェスを行う」
こんな作戦です。この結論に向けて順を追って考察を進めましょう。
春とヒコーキの現在地と課題
今回の目的地は「天才コント師」です。では、春とヒコーキの現在地はどうなっているでしょうか。
映画の主演やドコモのタイアップなど大きな仕事が続々と決まっていて、
ぐんぴぃさんの名前は、業界内で既に売れている。
しかし、春とヒコーキのコント師としての評価はまだあまり高くない。
にもかかわらず、土岡さんの書く脚本は面白いし二人の演技力も抜群で、評価と実力が釣り合っていない状態。
これが2023年時点の春ヒコの現在地でしょう。
なので直近の課題としては、業界の内部で「バキ童はYouTubeが話題だよね」「童貞キャラで売れてる人だよね」というイメージよりも「春とヒコーキはコントが面白いよね」というイメージを先行させること、これが重要になります。
戦略①コント修行ライブを開く
その為に打てる具体的な一手。それは?
「春とヒコーキ・KOCへの道」というコント修行のライブを月に一回開くことです。
KOC決勝経験者1組と春とヒコーキ、そして、ライブシーンで頭角を現しているまだ無名の若手の合計3組でネタを披露しあうライブです。
会場のイメージは席数178、渋谷のユーロライブ。2015年頃から上質なコント芸人を集めたライブを開き続けている東京コント界の新たな聖地です。ここで、月替わりで違った先輩・後輩そして春ヒコの三組が出演するコントライブを開くんです。
ぐんぴぃさんの才能の一つに、「人を褒める」技術の高さがあります。ぐんぴぃさんは若手のネタに常にアンテナを張っていて、「ライブシーンでいまこの若手が面白いんだよ」という話をラジオやイベントで度々されているので、毎月1組、有望株の若手を呼ぶのはぐんぴぃさんの得意分野だと思います。
そして、ネタ終わりには必ずトークゾーンを作って、決勝経験者から、春ヒコと若手それぞれにコントのアドバイスをしてもらうことでコント技術の向上を図るというのがこのライブの概要です。
後輩のメリット
この作戦は、春ヒコ、先輩・後輩、3つの立場でそれぞれメリットがある企画になっています。
まず、後輩の立場のメリットを解説します。
芸歴が浅く、まだ小さなライブにしか出ていない若手にとっては200人弱の会場に立てるのは大きな経験になります。それも、何十組のうちの一組としてショートネタをやるのではなく、注目の若手としてしっかりしたネタ時間をもらえるのは滅多にないこと。
その上で、決勝経験者からネタのアドバイスがもらえる。これだけで大きなメリットになるはずです。
先輩のメリット
次に、先輩芸人のメリットです。
先生役の決勝経験者は、現在YouTubeを熱心に更新している人たちから選んでオファーをかけます。そしてこのライブに出てくれたお礼として、ノーギャラで相手のチャンネルに春とヒコーキが出演する流れを作る。いわば、ライブとYouTubeのコラボです。こうすることで先輩達には、自身のYouTubeを伸ばせるというメリットが生まれます。
また、向こうのチャンネルでは、トークをするだけでなく合同コントをしても面白いかもしれません。
そして、そのコラボ動画が公開されてから一週間、バキ童チャンネルの動画のエンディング、晋平太さんのラップがかかっているバックで「春とヒコーキ〇〇チャンネル出演中!」と告知を流します。こうすることで向こうの再生数・登録者数の向上に、より一層貢献できるはずです。
バキ童チャンネルの弱点
なぜこんなまわりくどい方法を提案するのかというと、バキ童チャンネルには「相性が合う芸人さんが限られる」という弱点があるからです。これはぐんぴぃさん自身がよく仰られていること。特にコント師の方の多くはコンビの世界観やイメージを大事にする方が多いので、「下ネタ」や「自分語り」といったバキ童チャンネルの色に合わせるのは難しいかもしれません。
しかし、ライブに先生役で出演して、自分のチャンネルでは合同コントをやる、そして100万登録のチャンネルでは告知だけを流す。この方法であれば、イメージを守りつつ自身のチャンネルを伸ばすことも出来ると思うのです。
先生役の候補
その先生役の候補は、TKOさん、アキナさん、コロチキさんなどのコント師に声をかけていくのがいいでしょう。特にTKOさんは今、YouTubeとコントに活動の軸を置いているため真っ先に声をかけるべき存在です。他にも、コットンさん、ラブレターズさん、や団さんなども更新頻度が高いので春ヒコとのコラボには価値を感じてくれるはず。歴代ファイナリストで更新頻度が高い方は、20組近くいらっしゃるので月一でも充分続けられる人数でしょう。
先生役候補(敬称略)
TKO、バンビーノ、アキナ、コロチキ、ななまがり、ラブレターズ、にゃんこスター、ゾフィー、GAG、ハナコ、うるとらブギーズ、ネルソンズ、ビスブラ、かが屋、ニューヨーク、コットン、や団、ザ・ギース(タカサ大喜利倶楽部)、カゲヤマ、メトロンズのメンバー(しずる、ライス、サルゴリラ)
春ヒコのメリット
そして、このコラボは春ヒコにとってのメリットでもあります。
というのも、このコラボが実現すれば、実力派コント師のチャンネルを1周できるからです。
前々回の知名度の解説でも言いましたが、名前を売るには他業界への地道な営業が必要。バキ童チャンネル初期にAV女優さんのチャンネルを1周して、「バキ童=エロ」というイメージがついたように、1年2年とこの企画を続けるうちに、「春とヒコーキ=コント師」のイメージがついていくはずです。自分たちにコントのイメージがついていないと感じるなら、コント業界の中心人物たちと交流し続けることが重要。だからこそ、相手のチャンネルに出る時には「バキ童」としてではなく「コント師・春とヒコーキ」として出演することが大切なんです。
佐久間さんや爆笑問題さんと絡むときに童貞キャラで出演するのは仕方ないのかもしれませんが、これから「バキ童」のイメージを払拭していくなら、規模の大小は関係なく自分たちが欲しいイメージの業界と交流し続けるのがいいと、個人的には思います。
さらに、春ヒコにとってのメリットをあげるなら、無名の若手を青田買い的にキャスティングすることで、伊集院光さんのように「若手を見る目がある先輩」というイメージもつくでしょう。そして何より、決勝経験者からネタのアドバイスをもらえることだけでも、本気で決勝を目指す身としては大きなメリットのはずです。
賞レースは勝ち負けでなく利用する
はじめにも言いましたが、今回の目的地は「天才コント師」として評価されることであり、そのステップとして「春とヒコーキはコントが面白い」というイメージをつけたいわけです。なのでここでは、キングオブコントに勝つか負けるかといった結果だけに囚われることなく、賞レースに挑戦すること自体を最大限利用して「コントが面白い」というイメージを獲りにいくべきでしょう。
その為に、協力してくれる先輩も後輩も、皆にメリットがある企画を立てるのが1つ目の作戦です。
戦略②後輩とのツーマンライブ
さて、このライブを1~2年ほど行って、春ヒコがKOCの決勝に出たとします。この時点で業界の中では「コントが面白い」という評価は既に手に入れているはず。
そうするとこの計画は第二段階に入ります。
月一ライブのタイトルを「春とヒコーキ・コントライブ(仮)」とし、
春ヒコと若手のツーマンライブに変更します。今まで先輩を呼んでいた先生役のポジションに自分たちが座ることで先輩たちが持っていた「実力派コント師」のイメージをスライドして自分たちにつけていくわけです。
さらにここではお互いにコントをやるだけでなく、ぐんぴぃさんの才能「プレゼン」と「インタビュー」を活かしてまだ無名である若手芸人の面白さをお客さんに上手く伝えるトークゾーンを作るんです。そうすることで先程のライブ以上に、若手が出たくなるライブになるでしょう。
戦略③コントフェスを開く
そして5年後2028年頃には、決勝に数回出場して「実力派コント師」という評価が既についている頃のはず。そのタイミングで、「天才コント師」という評価にランクアップする作戦を実行します。
それが、年に一回、「春とヒコーキ・コントフェス」を行う作戦です。ここに今までライブに出てくれた方々を集結させるわけです。
さらに、このフェスの目玉として、シソンヌやかもめんたる、バナナマン、東京03などのコントの大御所をシークレットゲストとして毎年1組呼ぶことが出来たら若手コント師の多くが憧れるステージに出来るでしょう。逆に言えば、このクラスの人をゲストで呼べるくらいの位置まで行ってからフェスを開くということ。これが重要です。
勿論、春とヒコーキ・コントフェスですから、大トリは春ヒコのコントです。つまり、毎年必ずシークレットゲストよりも客席を唸らせるコントを作らなければいけないという大きな命題を背負ったライブになります。ここで圧倒的なコントの実力を見せつけ続ければ、コント師として、賞レース優勝に匹敵する評価が得られるはず。
さらに言えば、ここまで大掛かりなライブを、業界の関係者が見逃すはずはありません。特に、注目株の若手を青田買い的に出演させているなら尚のこと、佐久間さんのようなアンテナが鋭い人たちが次なるスターを探して見に来てくれるはず。このような環境が整えば、ライブシーンで頑張っている若手が、このフェスに呼ばれることを一つの目標にしてくれるでしょう。
前回の芸人の格の理論で考えれば、このように後輩コント師が活躍する場所を作ることで大きな尊敬に繋がり、春ヒコのコント師としての格が上がっていくはずです。
自分たちの実力を見せることは勿論、まだ売れていない後輩たちにもスポットライトを当てるという大義があれば協力してくれる先輩や関係者は多くいるでしょう。もっと言うと、春ヒコの為なら協力するよと言ってもらえるような存在になる為にも、YouTubeやメディア出演で多くの芸人さんたちと良好な関係を作ることも大切です。
このような若手コント業界に光を当てるライブを続けることで、春ヒコのことを天才コント師だと認める人が現れ始めるでしょう。
この動画シリーズを作った動機
ここまで聴いて、「いや、そもそも、天才コント師なんて勝手に目標を立てて、厄介オタクのお節介か?」と思った方に向けてこの動画を作った動機をお伝えします。
というのも、僕は彼らの考察をするにあたって、バキ童チャンネルはもちろん現在ネットで確認できるインタビューやブログ、ラジオ、生配信のアーカイブをほぼ全て観てきました。その中で彼らが一貫して言っていることがあるんです。それは「YouTuberやバキバキ童貞としてではなく、芸人として売れたい」という発言です。
その気持ちは言葉だけでなく実際の行動にも表れています。いまYouTube100万登録をきっかけに、ドコモのプロモーション案件が来たり、映画の主演が決まったり、オールスター感謝祭に出たり、既にぐんぴぃさんは業界内で売れて大衆への知名度を広げに行く時期のはず。それでも忙しいスケジュールの中で無理をしてまで、彼らはキングオブコントに向けて舞台に立ち続けているんです。
前回までに考えた賞レースの役割を頭に入れると、この行動は「大衆への知名度を獲得しながら、並行して芸人の格も上げたい」という意思の表れだと解釈できるでしょう。
彼らの発言を聴いていると、キングオブコントという大会そのものに憧れがあってどうしてもこの大会を優勝したいというよりは、芸人として認められたいという気持ちから、今はコントという競技を選んでいる感覚なのだと感じるんです。
僕は春ヒコのお二人には、コント以外にも数多くの才能があると思っていて、オードリーさんのようなラジオスターになる為の作戦や、伊集院さんや爆笑問題さんのような教養ある芸人として活躍するための作戦、そして土岡さんが岩崎う大さんのような天才劇作家として活躍する作戦などを以前の動画で考えました。しかし、数ある芸人の山・様式美の中で本人たちが今、力を入れているのが「コント」なわけですから、そのコントの山の頂点を目指す方法を考えてみようと思ったわけです。
そしてその前提となる理論を解説するために、「賞レースとは何か?」「芸人の格とは何か?」を前回までの動画で考えてきました。
賞レースの幻想や業界内の古い慣習に流されて、ただの流行りの人として埋もれることなく、才能あふれるお二人がご自身の望む形で活躍し続けられることを、1ファンとして願っています。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?