陰謀論観察メモ-ウォッチャー誕生

前回、https://note.com/marubano/n/n1d983d134706
「陰謀論者」「反ワクチン」「スピ」を結構雑に使い分けずに使ってしまったなと反省してるんだけれども、母以外でもその全てを併発してる人って結構いるとTwitter見てると思う。

2021年夏、母の陰謀論反ワクムーブが酷くなり、元々やっていたTwitterがその愚痴ばかりになっていたので別にアカウントを作ることにした。
家庭内のあれこれをよそ様に開陳するのもどうかとは思ったけれど、ネタにでもしないとやってられなかった。
母が投げつけてくる動画は、Twitterで出回ってファクトチェックされ少し経ったようなネタが多く、完全に私のほうが陰謀論ネタに詳しくかつ最新情報をチェックしていた。
最初は陰謀論を見ているとミイラ取りがミイラになってしまうんじゃないかとビクビクしていたけど、あまりに何もかもが雑すぎてそんな心配はなかったようだ。

イチベイ発見

アカウント作成時点では陰謀論系YouTuber岡本市兵衛(以下、イチベイ)の存在は知らず、知ったのはアカウント作成直後にフォローした同じ境遇のフォロワーさんのツイートからだった。
程なくして母のスマホの画面にそいつを見つけることになる。

https://twitter.com/K7yUb/status/1427632294064496650

私へ投げつけられていた動画のラインナップには入っていなかったが、どうやらほぼ毎日見ていたようだ。

時を同じくして私のワクチン接種が母にバレ、絶望したのか諦めたのかどうせワクチン死するであろう私への興味を失ったのか理由はわからないが、動画が送られてくることはなくなり、私への接種阻止キャンペーンは終わった。

だからといって平穏が訪れたわけではない。
母は相変わらず毎日、新型コロナワクチンだ宇宙人だのいう動画は見ていたし、まだ接種していなかった他の家族へは動画送りつけを続けていたし、イベルメクチンは政府に潰されたと言い、やたら味噌汁を飲ませようとしてきた(のちにイベルメクチンは部屋で見つかった)。
水面下に潜っただけであり、状況が改善されているとはとても思えなかった。

この頃にはもう母の説得は正直ほとんど諦めていた。
ワクチンはビル・ゲイツによる人類削減計画で、2 年後にみんなが死ぬ世界こそ母の望んだ世界なのだろうから、そこで生きていくのだろう。私はその世界の一部が重なった別の世界に生きている存在なのだ。まあそもそも家族とはいえ他人なんてそんなもんだ。
ワクチン接種は嫌ならしなくていいし、そこを問題にしたことはない。
私だって一次情報を当たれるわけじゃないから「自分が信用出来ると思った人や機関が発信する情報を信用している」という点においては母とやっていることは何一つ変わらない。
お互いに「相手が誤った情報を信じ込んでいて、それを根拠に行動しようとしている。どうにかならないか」と考えていてその図式を崩すのは私にはどう考えても無理だった。

ただし、母の世界を私の世界に持ち込まれることによる被害が出ては困ったことになる。
ワクチン接種をしないことによる新型コロナ重症化以外の懸念は「変なものに大金をつぎこまないか」「家族の食べ物に変なものを混ぜないか」主にこの2つだった。
神真都Qもまだ存在せず、統一教会の霊感商法が改めて話題になる前のことだったが、私だけでなく離れて暮らすきょうだいも同じような懸念を口にした。
その話に触れさえしなければ、ずっとスマホで見ている動画の内容さえ気にしなければ、表面的には大きな問題はなかったが、いつか何か恐ろしい帰結を迎えるのではないかという、うっすらとしたとした恐怖があった。

ウォッチャー活動開始

適切な監視をし、限度を超えた問題を見つけ次第早期の対応が必要だと思ったが、母からの「情報提供」がなくなったがゆえに動向がますます掴みづらくなってしまっていた。
そこで、母がほぼ毎日見ているYouTuberイチベイの動画とTwitterを監視を継続することにした。そこからそのYouTuberが団体を作り、逮捕に至るだなんてまさか想像もしないまま、私の陰謀論ウォッチャー生活がぬるっと本格的に始まったのである。

自称トランプ元大統領の関係者であり宇宙連邦員でありタイムラインを移動する能力を持つという男の配信は、ほぼ毎日1時間程度あった。
芸能人の誰それがゴムマスクをかぶっているだの荒唐無稽なことを、目が死んだ男がグダグダ話しているばかりで私には何が面白いのか全くわからず、これを必死に見ている母まで気持ち悪く思えた。 


母が動画配信を見ている隣の部屋で、私はその動画の悪口をTwitterに書き込んだり通報しているという地獄が時々発生していた。

デモ隊や神真都Qが結成された時には「母が参加しませんように」と祈ったものだけれど、どうもその様子はなく配信は熱心に見るけれど神真都Qに参加はしないというスタンスのようだった。
おそらくリアルに反ワク仲間がたくさんいたので、仲間への渇望みたいなものはなかったんだと思う。もしくはスピがメインの人なので、社会運動みたいなものへはあまり興味がなかったのかもしれない。
半ばエンタメとして見ていたとしても、イチベイの会場襲撃や逮捕をどう思ったのだろうか。イチベイ逮捕の辺りまでほぼ欠かさず見ていたはずだから、それは知らないはずがないのだ。

イチベイ復活後の今のところは見ている様子はないけれど、母が昔から信奉するスピ教祖とコラボみたいなのをする予定も聞こえてくるので心配なところではある。

母の監視目的でやむにやまれず始めたイチベイウォッチだったが、周辺にあまりにいろんなことが急激に起こって目が離せず今に至る。
どうなるんだろうねこれから。

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