FWのエゴイスト論
Jやアジアよりもっと上を見ていた柳沢敦選手。
俺が小2とか小3ぐらいの時のお話。
「点を取ることだけがFWの仕事じゃない」みたいなことを、当時日本代表だった柳沢敦選手が颯爽と言い放ち、なんやなんやと雑誌や新聞でエライ騒ぎになってたのを覚えてる。
騒いでる雑誌が主張することは、「FWはエゴであれ!ていうかエゴでなければならない!柳沢はFW失格!」的な論調が多かったと、幼少期の記憶の片隅に残ってる。
当時の俺は今見たく色々考えるってよりも、“ちょっと同年代より活字慣れしてる程度のガキンチョ”だったから、そんな記事もそういうもんなのかと思って読んでたし、今でもある程度納得はできる批評。
だけど、今ふと思うと柳沢さんはもっと高いところを見てたんだろうなと時を超えて感じて、今さら妙に納得。
エゴが通じるのは自分のレベルまで
自説ですが。FWの成長論。あ、ここでは点の取り方じゃなくて、成長方法についてまとめます。
⚫︎FWはエゴイストになることで今いるステージ では点が取れるようになる。
⚫︎逆にクレバーになると今いるステージでは一時期点が取りづらくなるけど、我慢するとそれ以上のレベルで点が取れるようになる。
と考えてまして。(エゴとクレバーって別に相反する言葉じゃないけど、なんとなく自分の感覚だとこんな感じになる…)
今自分が所属するステージとかリーグではちょっとエゴになるだけで結果出せることってあるんだよね。
ただ、エゴなサッカーを続けてれば色々と気付いてレベル上がることもあるだろうけど、基本的にはエゴなだけだと壁にぶち当たる。
多分俺が中学生ぐらいからずっとエゴだけ出してたら、個サルとかにいるめっちゃ下手なくせにKYなおっさんにしかならなかったと思う。
今、センスなき俺もそこそこのレベルでサッカーやれるには、エゴだけじゃなすて色々と考えてきた過程があったわけで。
大切なのは自分が一体どこに照準を合わすか?どんな選手でどこでプレーしたいのか?ということ。
エゴってのは今の自分の実力をドーーンと出すことでして、エゴだけの選手じゃ自分の実力以上のステージで通用しなくなる。
だから、どこかの成長の過程でクレバーになって工夫することがステップアップには必要不可欠。でも、今いるレベルで十分ならエゴにやっとけばいいのよFWなんて。
自分がLv30のFWなら、Lv30以下のステージではエゴになることでゴールをたくさん取れる。でもLv31以上になるとエゴだけじゃ急に点が取れなくなっきて、なんなら普通のプレーだってできなくなってくる。
だってそのレベルじゃ通用しないわけだから。
自分のチームの先輩とかで、エゴ感あってポテンシャルもあるすんげえFWがいても、自分達が勝てる程度の大会では結果出せるけどなかなか上で通用しないこともしばしば…ってのはそういうことなんだと思う。
壁に当たった時はクレバーに
だから上のレベルとかハイクオリティこディフェンスとかそんな高い壁にぶち当たった時に必要なのは、もっとエゴ出して空気感出してって…ってことをするより、しばらく点取れなくてもクレバーにプレーし続けて、我慢してレベル上げに専念する事が大事。
ステップアップしたいなら、点が多少取れなくなるとしてもクレバーにやって己のFWとしての幅を広げる時期ってのがいるんだよなあ多分。
でもただ、やっぱりFWってポジションはクレバーにやってるだけでもダメで、結果を出さなきゃいけない試合もあるし、今いるチームで数字残さないとそもそもレギュラーにもなれなくて試合にも出れない。
それは選手としてダメなのは間違いないから、エゴにやるときもFWには絶対必要。今その瞬間が人生の勝負な時もある。
エゴも必要、クレバーも必要…そう考えるとFWとして成長していくには
エゴ出してプレーして壁に当たるまでプレーする
→冷静に工夫してみて自分の幅を広げる
→エゴになって自分の全部を出す
→全部出して壁にぶつかるようになったらまた上に行くために工夫する
…みたく頭の中をループしてやってくのが良いのかなぁと。
何より今自分の実力はこうで、将来やりたいレベルはここでってのを認識しないと!まずはそこから。
テレビやスタジアムで見るエゴなだけに見える選手も、生まれてから死ぬまでずっとエゴなんじゃなくて壁にぶつかって工夫してってやってそこまで来た…って経緯や過程が絶対あるはず。
そこを無視しピッチで起きてる現象だけを切り取って、自分のサッカー観にぶつけてももったいない。
ただエゴなのを真似っこするだけじゃなくて、その人達はどういう過程を経て成長してきたのか?ってところにフォーカスを当てていきたいところ。
世界のトップはどうだろうか
と、ここまではトッププロじゃない選手の成長論でして。
いざ、世界のトップに目を向けてみるともうエゴとクレバーどっち?とかそういうレベルじゃない。両立してる。
ヨーロッパトップリーグとかの高いレベルで点を取るために必要なことは、例えゴール前に100人いようともシュート打つ!みたいなエゴだけじゃなくて、点を決めるためには何が大切なのか冷静に考えて判断し、自分ができる最善を尽くすことなんだと思う。そうだきっと。
世界の多くのサッカー関係者はFWはエゴでなければならないと言うけど、実は良く見ると本当のトップ選手はそうでもないわけで、今本当のトップで結果を出している選手はエゴさもあってクレバーさもあって、って両方を兼ね備えてる選手。
メッシもネイマールもロナウドもベンゼマも、自分でガツガツもいけるしちゃんと状況判断もできる選手の完成系。
逆にエゴだけの選手…例えば俺がイメージするのはブラジル代表のフッキで、フッキは世界レベルの選手ではあると思うけど、マジのトップリーグで活躍は出来ていない。それはエゴでしかないから。
今あの人は、エゴでやってるとぶつかる壁にぶち当たってる。自分の実力の最大値で世界超一流の壁にぶつかってるんだ。多分。
ブラジル代表としてW杯も出てるしCLも出てるし、あそこぐらいのキャリアまで行けばそのままエゴを続けて結果出せるリーグで結果出しとくのも良いと思う。
けど、フッキがもしバルサやレアルに入りたいなら、多少点取れない時期があっても我慢してクレバーにやる過程が必要なはず。FWとしての幅を身につけて壁を乗り越えないと。
逆に言うと、もしネイマールやメッシ、ロナウドやベンゼマが急にフッキみたくエゴの塊になった途端、バルサもレアルもCL圏外に行くと思う。あの辺りのサッカー界最大レベルまで行くと、クレバーさとエゴの両立が大事なのだ。
サッカーってのは味方がいて、相手がいて、いろんな状況がある。
彼らはその様々な状況の中で、その瞬間を瞬時に自分の引き出しと照らし合わせて判断した結果、自分で打開するのが一番良いって判断して「こじあけドリブル」とか「無理矢理シュート」とか豪快にやってるわけ。
一見ひとりでやっちゃってるプレーも、実はただのエゴじゃないんだよ。
もっと言うと、こじあけシュートとか無理矢理ドリブルが通じない時(壁に当たった時)は、メッシもロナウドもすぐにクレバーになる。この局面をどうやって打開するか?って頭フル回転させてクレバーにプレーしてみる。そうして新しい解決方法を身につける。
バロンドールクラスになるとひとつの試合の中でエゴとクレバーのループを無意識に繰り返してて、何が立ち塞がろうとどんどん相手を凌駕していくわけ。
あの人たちはトップレベルだから気付きにくいけど、実は1試合1試合で凄まじい成長を繰り返してて、だから相手がどんなに対策を練ってもその上のプレーをすぐに披露して壁を乗り越えていく。
成長のスピードがとてつもないからこそ、スーパーな選手はワールドクラスで居続けられるんだよね。じゃなきゃ研究された瞬間に、はい終わり。の一発屋な選手のはず。
エゴさとクレバーさを兼ね備えてるからワールドクラスなのだ。
だからトップレベルになるとどっちの要素も大事。どっちも大事ってか、ループのスパンが凄まじく速くなってくるってわけ。
最後に
FWやってみたり、トップ下やってみたり、サイドバックやったり、ストッパーやったり、インサイドハーフやったり…
自分がそんな、どこで使ったら良いのかわからないパッとしない選手だったからこそ、こういう観点でFWを見れたと思う。FWだけやってたらエゴなだけのただの下手くそだった、多分。
自分の場合はセンスとかないけど、こうやって考察とか出来る才能はあったわけで、これをどうにかリアルのサッカーにも活かしていきたい。そんな思いで自分のサッカーノートにいつものごとく書くつもりで、まとめてみました。
まあ便所の落書きと思って気軽に読んでもらえれば光栄です。
柳沢選手が思い描いてたこと
あと多分、ただの俺の勝手な空想だけど、柳沢選手の場合はヨーロッパトップのステージを見てたんだと思う。
きっとJとかアジアカップとかじゃなくて、セリエAとかW杯とかそういうカテゴリーで活躍する自分を思い描いてた。
ルーキーの時からたくさん点取ってたわけだから、Jでやってくだけなら今のままでエゴ出してやってけばいい。
でも俺は世界で通用するFWになるんだ!ってところからクレバーになる必要性を感じて
「点取るだけが仕事じゃない、ゴールキーパーと1対1になってもパスすることだって必要だ!」
みたいな発言になったんだと思う。
多分、語弊もあったしマスコミに湾曲されて報道もされたんだろう。柳沢選手も不器用な部分があったのかもしれない。確かにエゴさは欠けてたのかもしれない。
だけど今になってみて、柳沢選手は直感的にそういうステージを思い描いてたんじゃないかな?って思った。それがFWエゴ論を考えるきっかけになったわけで、14〜5年ぐらい前の柳沢選手に感謝したい笑
FWの話だけじゃない
FWだけじゃなくて、目指すとこがどこなのか?によって人のあり方って変わると思うから、こういう考え方は常に持っていたい。
インプットとアウトプットじゃないけど、何かを学ぶ時間と自分を出す時間ってのを交互に行うからこそ人間って成長するわけで。
色々頭の中が行ったり来たりしながら、人間的にもサッカー的にも成長したいな。そんな感じのことを思った日でした。
おわり。
※このノートは、Twitterアカウント @maru_ryuyaでつぶやいたことを編集してまとめました。
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