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2022年度入学筑波大学法科大学院未修コース入試の振り返り

筑波ローの入試ってどんな感じでしたか?というご質問を時々いただくので、まとめておくことにしました。もう3年も前の話ですので、日記を見ながらの記憶の掘り起こしになりますが、参考にしていただければ幸いです。

写真は私が筑波ローの筆記試験を受けたときにパチリとしたものです。


出願

私が最終的に受験したのは、筑波大学と慶應義塾大学です。
筑波大学を志望校とした理由は2つ。
国立大学であり、学費が安いこと。
また、社会人専門の夜間コースであることです。

  • 資格欄には、教員免許と登録セキスペを記載しました。

  • 職歴調書の証明として、辞令メール、社内表彰の告知メールを全部発掘して印刷、他人部分を黒塗りして、添付しました。これがちょっと大変でした・・・。

  • 在職証明として、健康保険証のコピーを提出しました。

  • TOEICなどの外国語に関する資料は一切記入・添付していません。

  • 修士号を所持していますので、学部成績表と合わせて、修士課程の成績表および、修士論文のコピーを提出しました。

筆記試験

問題について

私が受験した時の筆記試験は、いわゆる現代文の問題のような、長文読解が中心の形式でした。
課題文(大問)は2つ、それぞれに、「傍線部の意味を◯文字以内で答えよ」「筆者の意見を◯文字以内で要約せよ」といった小問が設置されていました。

回答用紙のマス目に鉛筆で記入する形式で、中学受験にもよく似た形式だと思います。
文字数をたくさん書かせるタイプではありません。むしろ、メリハリある書き言葉を使わないと指定文字数に収まりません。

殆どが課題文中に答えが存在する問題でした。いわゆる「◎◎についてあなたの意見を書きなさい」という設問は少なかったように思います。例外として覚えているのは、「傍線部について、筆者が挙げているものとは別の具体例を書きなさい」ですね。

なお、課題文のテーマは「マイノリティ」「空気(を読むこと)」でした。初めて読む文章でしたが非常に名文で、試験中も大変勉強になりました。
後日似たような分野の専攻の方から伺ったのですが、どうやらその道では有名な筆者が書かれた本のようでした。

会場の雰囲気

このセクション、本当にどう書けば誠実な文章になるのか本当に悩みまして…。書いては消し、書いては消し…。

私が受験した2021年9月19日はコロナ真っ盛りでしたから、社会的にも不安定な時でした。
私がいた教室がたまたま特殊な雰囲気だったのかもしれません。
ですから、ここに書いたことが毎年起きるとは限りません。
ただ、入試ではいろんなことが起きてもおかしくないんだな、と。
その中で自分をしっかり保たなければならないのだな、と。

筑波ローは社会人&夜間ですから、年齢の高い方ばかり。
学費も安いので、お金持ちの子息ばかりの慶應とは受験層が違います。
年齢を重ねても何かにチャレンジしたいという気持ちとパワーで溢れていました。

そう、パワーが溢れていました。
そのパワーが、問題冊子と解答用紙が配られた後、突如爆発したのです。

Aさん「問題冊子からから余白部分を切り取ってメモ用紙にしたい。」
なぜだ・・・問題冊子は回収するから分解しないようにと書いてあるのに・・・

Bさん「メモ用紙が分離して使えないなら、解答用紙の裏面をメモ用紙に使わせて欲しい。」
なぜだ・・・余白には何も記入するなと書いてあるのに・・・・

Cさん「(以下略

試験監督の先生が都度説明するのですが、止まらない。
本当に、止まらない。
「ルールがわからない」ではないのです。「ルールを破りたい」と言っているのです。なぜ。

さらに、試験監督の方が見回れるよう、通路の荷物を机の脇に寄せているのですが
試験監督が通り過ぎた側から荷物を通路の真ん中に出す人・・・
杖がこの位置にないといけないからと試験監督に反論し始める人・・・
なぜか通路に荷物の中身を並べ始める人・・・

カオス!!!

試験開始前にはおちつきましたので、私の受験に差し障りがあったわけではないのですが、これは独特だなあ、口述試験を課すローがあるわけだなあ、と感じたのでした。

合格発表

2021年10月8日に、オンライン発表で確認しました。合格者の受験番号一覧が掲載されていました。
掲示もしていたらしいのですが、仕事が忙しくて見に行くことは叶いませんでした。
記録を見ると、未修受験者116名(出願者122名)中、筆記試験に合格した者は43名でした。

また、合格者には、簡易書留にて、合格証と、口述試験の案内が送付されました。

口述試験

集合

確か受験番号ごとに集合時間を指定されていたと思います。私は受験番号が7番で、面接は4番目だったので、最初のグループでした。

集合時間に大学に向かうと、大教室に案内され、受験番号順に座るように指示されました。ここで1人ずつ呼び出されるのを待つことになります。私より番号が後ろの人も居ましたので、多少早めに行っても大丈夫そうです。

服装はスーツの方が多かったように思います。待ち時間にPCを開いて仕事をしている方もいらっしゃいましたし、「たった今オフィスから到着しました」というような方もいらっしゃいました。
私はカジュアルなブラウスとスカートでしたので、「あーせめてジャケット持ってくればよかったな」と思いました。が、私は合格していますので、別にスーツを用意しないと落ちるということはありません。ご安心ください。

ただし、寝癖や体臭、洗濯など、みだしなみには気をつけた方が良いです。
・・・何を婚活のようなことを言ってるんだと思われるかもしれませんが、「この人は対話ができる」「集団生活ができる」ということが相手に伝わることが重要だと思います。
筆記試験のカオスっぷりを考えるに。

しばらく待っていると、「7番の方〜」と声をかけられ、荷物を持って廊下を移動し、小さい教室に向かいました。部屋の前の椅子に腰掛けて前の人が終わるのを待つことに。英検や就活の面接に似ていますね。

面接室

前の方が部屋から出てきた後、しばらく待っていると(おそらく採点の時間)、部屋の中から声がして、入室するよう指示されました。面接官は先生お2人。そして私の席の上には、ラミネートされたA4の白い紙が置いてありました。これが問題用紙です。見えている面には、「指示があるまで裏返さないで」のようなことが書かれていました。

部屋のレイアウト


着席したら、簡単な挨拶をして、いよいよ面接スタートです。面接は終始和やかで、いわゆる圧迫のような雰囲気はありませんでした。面接時間は20分程だったと思います。

前半戦:受験者個人に関する質問

全ての質問に言えることですが、就活の面接ではないので、自分を取り繕う必要はないと思います。ローの先生方は、学生が直面する現実を本当によくわかっています。綺麗事で会話しても意味がないです。泥をどう掬うつもりなのか、その覚悟を問うているのです。

まずは、法曹を目指したきっかけや、将来法曹としてどのような仕事をしたいかを尋ねられました。出願時に志望理由書に書いた内容と同じです。ただ、筑波の願書は文字数制限がタイトで書けないことも多くありましたので、そうした内容も具体的にお伝えしました。

次に、学習環境を相当細かく尋ねられました。私は理系卒で完全初学者であった上に、一般的に激務職と言われる業界でしたので、学習環境が本当に取れるのか心配だったのだと思います。
・・・はい、心配されている感じが伝わってきました。

具体的質問と回答については、個人的な情報を含んでいるため、有料エリアに記載します。
末尾にありますので、もし読まれたい方は100円でご購入いただけますでしょうか。
システム上の最低金額ですので、ご容赦いただけますと幸いです。

後半戦:課題

面接官の指示で問題用紙を裏返すと、問題文が横書きで書かれていました。

「政府が、コロナウイルスのワクチンを接種した国民のみに、飲食店や旅行で利用できる割引クーポンを配布することについて、どのように考えますか。」(正確な文言は忘れた)

なるほど?どう答えるかな、と問題文を見つめて考えていたところ…黙り過ぎたようで…

👨「だ、大丈夫ですか?」
私「あっすみません、ちょっと考え込んでしまいました。」
👨「よかった、お答えをお願いします」

私「私は、この政策に賛成します。政府はコロナウイルスの蔓延に対して対策を取らなけばならない立場にあります。一般的にワクチン接種は感染症対策に極めて効果的ですから、政府がワクチン接種を進めるのは当然のことです。そのための手段として、ワクチン接種をした人を優遇する政策をとることは良いことだと思います。」

👨「ワクチンを打たない人にとっては不利だと思いませんか」
私「ワクチンを『打てない人』と『打ちたくない人』に分けて考える必要があります。体質や持病により、ワクチンを打つことができない方は一定数存在すると思われます。彼らに対しては救済が必要です。例えば,主治医による診断書を役所に提出すればクーポンを貰える、などの措置があってもいいと思います。」

👨「『打ちたくない人』はワクチンを打つことを強制された気持ちになりませんか」
私「病院に無理やり連れて行かれるわけではないですし、ワクチンを打たない選択をした場合も定価で支払うだけなので、それによって何か強制されたことにはならないと思います。」

それ以外にも色々ディスカッションをしました。
以下、質問は忘れてしまいましたが、私が話した(記憶のある)内容です。

「もちろんワクチンにはリスクがつきものです。私は大学で生物学を学んでいたので、コロナウイルスワクチンの原理を理解した上で理想論を話していますが、医薬品の開発・認定プロセスをすっ飛ばしてないことが前提です。」
「COVID-19パンデミックの初期に、飲食店と旅行には営業制限をかけていたと思います。政府がその代償としてその業界にクーポンを出すのは良いと思います。」

何か正解があるわけではなさそうでした。
自分なりに、何らかの根拠に従って自分の意見を言えれば良いと思います。
別に答えに詰まっても大丈夫そうな雰囲気でしたし、面接官の質問で答えを変えても全然OKだと思います。私も「なるほどおっしゃる通りなので、こうするのはいかがでしょうか」みたいな事を言った記憶があります。

法律の勉強をしている方だと、色々と「規範(判例の考え方)」が出てくると思うのですが、別にそのような文言を言う必要はないと思います。判例を今から叩き込む必要もないと思います。
法律の勉強をしていない方も、あえて難しい言葉に引きつける必要などないと思います。

最終合格

合格発表はまたもやオンラインで確認しました。最終的に、筆記試験に合格した43人全てが口述試験を受験し、そのうち30人が合格していました。

また、最終合格者には合格通知書と入学手続きの書類が送られてきます。
このあたりの手続きは本当に丁寧で、筑波大の良さが伝わってくるものでした。

残念ながら、私は筑波大を辞退することになりました(辞退者3名)。今ロー生として振り返っても、とてもよく練られた素晴らしい入試だと思います。

筑波ローをめざす皆様の健勝を心からお祈りいたします。


以下、口述試験前半部分の具体的内容です。

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