キラメイジャー 最終回を終えて
わたしの中で最近あった大きな出来事と言えば、やはり魔進戦隊キラメイジャーが最終回を迎えたことである。
今回はこれについて、感想と考察を語っていこうと思う。(ネタバレ注意)
スーパー戦隊シリーズにおいて44回目の最終回。最終回は、いつものことながら、楽しみという感情やここまでたどり着くことのできた達成感と、終わってしまう寂しさと悲しさが入り混じる。今作は特に、ここまでたどり着くことができた達成感は大きかった。「無事に」最終回を迎えられて安心したという気持ちは強かった。寂しさもあったが、キラメイジャーであれば最終回も期待を裏切らず、いや期待以上のものを当然のように見せつけてくれるだろうと思っていたので、落ち着いて9時30分を迎えることができた。
まず、オープニングがあったことに驚いた。早速想定外のものをぶつけてきた。まるで通常回のような演出である。驚きつつも、主題歌をじっくり聞き修めた。最終回に通常オープニングが流れるのは実にシンケンジャー以来11作品ぶり。どうりで新鮮なわけだ。緊迫感は少ないが、その分最終回もいつものキラメイジャーと同様に楽しく明るい作品であることを示唆しているようにも感じた。キラメイジャーに無駄な緊迫感は不要だったのだろう。
CM明け。ヨドンナは生きていた。最後にきて自分の存在意義がヨドン皇帝の生い立ちとともに明かされる。仮面は弱さを隠すためのもの、シャドンとヨドンナはヨドン皇帝が求めた仲間であり、弱さの象徴。孤高の強者になるためには足かせであった。献身的なヨドンナは自分の死を笑顔で受け入れる。悲しい終わり方である。最後まで、自我がふらついた不憫な立ち位置のキャラだった。最後は笑うところであっていたのかな…
心の弱さによって生まれた仲間。ヨドン皇帝はこれがある限り真の強き者ではないと語った。いうまでもなく、これはキラメイジャーと正反対である。彼らは6人が助け合い、チームでいるからこそキラキラ輝けるのである。「君たちがいて輝いた」この言葉はキラメイジャーのメンバーが他のメンバーに向けたセリフとしても成り立つ。
メットオフ名乗り。予告でわかっていたことだが、まさか組体操までやるとは。正直驚いた。びっくりした。キャストとスタッフの執念というか、やる気を十二分に感じた。最終回の名乗りには、素面名乗り、名乗り途中に変身(これが最近は多い印象)、変身後名乗りなどいろいろなタイプがあるが、戦隊のスーツを着たメットオフの状態で、フルサイズで名乗るというとゴーオンジャー以来。というよりゴーオンジャーしか前例がないかと思う。マブシーナの紹介の通りキラキラしたお顔をしているキラメイジャー。彼らがメットオフをすることは、仮面をつけることで弱さを隠していたヨドン皇帝との対比である。世界全体を見ても激動だった一年間を乗り越えた6人の顔つきと、作品にかける思いを見せるという意味で、大変有意義なメットオフ名乗りだったと思う。組体操含めクオリティが本当に高かった。(ただ組体操自体に最初から若干抵抗がある。これは最後までぬぐえなかった笑)
マブシーナと魔進が一言ずつキラメイジャーに言葉を投げかける。6人の個性と、マブシーナと魔進のそれぞれへの思いが伝わる。6人の個性を語るとき、戦い方(銃の腕前が、等)ではなく人間性を語っていることが、素晴らしいと感じた。特にマブシーナの最後の言葉選びが秀逸だった。参謀としての為朝に向けて「素敵」。勇気を与えてくれる宝路に向けて「ワンダーラブ」。弱音を吐かない強さを持った小夜に「まぶしい」。自分を律する時雨に「かっこいい」。勢いで引っ張る瀬奈に「好き」。そして充瑠に向けては「憧れます」。視聴者の感情を見事に代弁してくれているのではないかと勝手に思っている。全員一律に「すごい」とかではなく、それぞれのいいところを丁寧に汲み取って言葉を投げかけている。見ていてとても自然に感情移入できた。感動した。(個人的に、「エモい」という言葉は雑な印象を受け、あまり好きではなかったので、小夜のところでそれを避けたのはかなり好印象だった。)
キラメイジャーは作品を通して、人間の個性や特性を認め、等身大の自分というものを大切にする姿勢をメッセージとして強調し、それを「キラキラ」と表現した。最終決戦のバトルにおいても、その戦いの迫力を強調するのではなく、6人の役割とマブシーナたちの言葉に重点を置く演出は、キラメイジャーらしいといえる。だからこそ、割とあっけなくヨドン皇帝を倒したわけだが、変に決めポーズをばっちり決めてとどめを刺すよりもリアリティがあり、オープニングがあったことも踏まえて通常回のようなスピード感で話が展開したことで、キラメイジャーらしさを損なうことなく楽しんで視聴できた。
エピローグ。「素敵な偶然」という言葉が印象的である。何らかの特殊な能力ではなく、単なる偶然によって、充瑠とオラディン王、ガルザはつながっていた。インスピレーションとでもいう物であろうか。特殊能力なんていらない、それ以上に世の中には大切な「素敵な偶然」がある。まさに「人が輝くとき、そこに奇跡が生まれる」ということである。コロナ禍において、温かい作風の今作が「無事に」最終回を迎えられたこと。一番大きい「素敵な偶然」はこれだと私は思う。「君たちがいて輝いた」まさに我々視聴者がキラメイジャーに向けて発したい言葉である。
言ってしまえば「キラメンタル」というものも人が持っている輝きなので、特殊能力というわけではないのである。一方、今作で現実にない特殊なものと言えばカラットやヨドン軍であるが、こちらはむしろ深く掘り下げられていない。今作の親しみやすい点は、このあたりのSF的要素はあまり気にせずに、人間的な要素を強く感じるからかもしれない。
エピローグでの、少し成長した6人のすがたはかっこよかった。もうすでに先輩という感じがして、寂しさも覚えた。(瀬奈の格好はなかなかのものだった、多くは語らない) 充瑠と柿原さんのカップルもほほえましい。見事のハッピーエンドで幕を閉じた。寂しさ以上に大きな満足感があった。
今回は最終回の余韻に浸っているということもあり、肯定的意見が9割以上の、考察とは言えないただのキラメイジャー妄信人間の戯言になってしまった笑。改めて、時間があるときに多角的に考察するかもしれない。ひとまず、素晴らしい戦隊がまた一つ「無事に」(ここ重要)歴史に刻まれたということに、大きな喜びを示すとともに、キャスト・スタッフへの感謝を申し上げる。
キラメイジャーありがとう。
※画像はTwitterより引用。順番に、スーパー戦隊オフィシャル、魔進戦隊キラメイジャ―、小宮璃央さんより。
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