『Engage Kiss』感想まとめ

同じく夏放映の『リコリス・リコイル』が似たような作風であったためソレに呑み込まれてしまった感は否めないものの、近年稀に見る屈指の名作のひとつだと思う。
シリアスな筋書きのバトル系アニメといった作風を基礎としつつも、同時に主人公を中心とした三角関係の話が大きく交わってくるので、バトルモノとしても恋愛モノとしても存分に楽しめるアニメ。
戦闘中だろうが所構わずイチャイチャし出すけど、彼らは至ってマジメです。そのシュールな光景は最高に笑えるものだけど。

作品の魅力としては多々語りたいものがあれど、まず何よりも解説すべきは、感極まるストーリー展開についてだ。
と、大言壮語を吐いたものの、ネタバレに触れずにその魅力を語るのはどだい無理な話でもあるので、実際のところは「シナリオイイヨ、トリアエズミロ」と口をロボットのようにして繰り返すしかないが。

序盤は何が何だかまるで分からないような展開が続くのだけれど、中盤以降、様々な謎が徐々に明かされていくにつれて、その悲痛な展開に胸をどんどん締め付けられていくという、観れば観るほどにどんどんのめり込んでいってしまう筋書き。
それだけに、1話を観た段階では作品の面白さがイマイチ伝わってこないという点に関しては非常に勿体ないと言える。
こう見てみると、1話で作品の魅力を余すことなく描き出すというのは昨今のアニメビジネスにおいて必須課題であるよなぁと再認識した。
シナリオ目的でアニメを楽しんでいる層には、是非とも終幕までその目にくっきり焼き付けて欲しい。

ちなみに、『WHITE ALBUM 2』をはじめ数々の名作アダルトゲームにおいてライターを務めた人物が本作の脚本を任されていたので、個人的にも放映前から注目していた作品ではあるのだけれど、その期待にしっかり応えた素晴らしいシナリオだった。
夏季の他作品『ようこそ実力至上主義の教室へ』や『RWBY 氷雪帝国』など、アダルトゲーム出身のライター達がアニメ業界の第一線で活躍してくれるのは、大のエロゲファンからすると嬉しい限り。

と、シナリオ面にばかり触れてしまってはいたけれど、キャラクター達の魅力も個人的推しポイントのひとつ。
まずは主人公が面白い。というかクズ。めっさクズ。週間最大風速では「nice boat」のあの御仁すらも上回るほどのクズ。でも嫌いになれない。理由は自分の目で物語を確認してから理解しよう。まぁ、1話で切ればただのクズのままで終わるけど(笑)

ヒロインズもみんな可愛い。メインヒロイン2人の性格がまず独特過ぎる。
というかヤンデレ。というか甘やかせダメ女。主人公がクズなら周りもそれに準じて大概おかしい。それが面白くてたまらない。

シナリオ面抜きにしても、これらの変人たちのオモシロ掛け合い見てるだけでも十分楽しめるよ。
エンディング映像見るだけでもその空気感はひしひし伝わってくるのでかるーく確認すべしだよ。

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