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現代のタブー「性別論」

ローレンス・サマーズという人を知っていますか。経済学者で、財務長官、ハーバード学長も務めた才人です。しかし、2005年にした発言によってハーバード学長を辞任する羽目になりました。その発言というのが、「科学や数学におけるトップ5%の男女比率を見ると男子2に対し女子1、そこから逆算すると標準偏差の差が20%」というものでした。

標準偏差を感覚的に説明すると、平均値の上下に標準偏差2個分の中に95%の人がおさまるものです。つまり平均が70点、標準偏差が10といったときに、クラスの95%の人は50点から90点の中に納まります。サマーズ氏は、「(平均が同じでも)男子の分布のほうが標準偏差が2割大きい」という事実から、分布の端っこ―つまり凄くできるヤツとすごくできない奴—の分布をみると男子のほうが多くなると述べただけです。つまり、女子が50点から90点の間に95%収まっているとすれば、男子は46点から94点の間に95%収まっているということです。上位5%を切り取ってみれば、男女比2:1かもしれませんが、研究者となるようなほんの一握りの上位層では、この標準偏差2割の差はもっと大きくなってほとんど男性になる。と同時に、分布の下のほうにも同じくらい男ばかりになる。ということも言えるわけです。

しかし、実際に報道されたのは「女性はなぜか生得的に数学が苦手だ」と述べたものと伝わったということです。怖いですね。分布の話からすれば、「極度に苦手なのも男性が多い」ということになるわけですけれども。丁寧に事実を述べようとしただけでも、ジェンダーに関する領域では極端な解釈が行われて火あぶりにされますので、足を踏み入れないようよろしくお願いいたします。

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