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志望理由書を書く

 志望理由書は、入試の第一関門とも言えます。
一次選抜が志望理由書を含む提出書類の評価という入試も多いと思います。つまり、志望理由書がしっかりしていないと試験すら受けられない場合もあるということです。

 考えるのも書くのも大変ですし、評価されるということは、既に試験が始まっているのです。今回は、その志望理由書の書き方について私見を書いてみます。

志望理由書の大きな要素は、
①これまで
②現在
③これから

の3つだと考えます。

 それぞれについて詳しく説明していきます。

①これまで

 出願するに至った経緯を書きます。学校や学部、学問に興味を抱いたきっかけなどを書きます。アドミッション・ポリシーや求める人物像とマッチした内容になるようにした方が良さそうです。「地域に根ざした農業」を売りにしている学校に対して「地球規模の水産養殖技術」をメインにするのは少し違いますよね。
 また、できるだけ書く内容は絞って具体的にします。きっかけが一つだけということは中々ないでしょうから、数あるきっかけの中で最もその学校に対してアピールできそうな経験を選びます。複数書いてしまうと、字数の関係で広く浅くなってしまい、印象に残りにくいです。

②現在

 ①と③を繋ぐ位置付けです。”「これまで」の経験から、「これから」について「現在」こう考えている” というような内容です。
 ①と③でほぼ確実に現在については触れることになるので、あまり意識して書く必要はないかもしれません。


 ①と②の注意点は、志望理由書以外の提出書類(調査書や推薦書など)に書いてある内容と被らない方がいい、被るのであれば志望理由書ではとことん深く書くのがいいと思います。志望理由書に「部活動をがんばりました」と書こうとしても、それは調査書にも同じ内容で先生方の評価がほぼ間違いなく書いてあるからです。書くのであれば何をどのようにがんばったのかを具体的に書きます。
 あまり詳しくないのですが、推薦書や調査書の内容を見せてもらえるのであれば、志望理由書を書く前に一度目を通して内容が被らないようにするのも手だと思います。

③これから

 進学・卒業後に何をしたいのか、学んだことをどう活かしたいのか、がメインとなりますが、私はこのパートが最も重要だと考えています。
 一般入試と違い、志望理由書の提出は必要な入試(総合型選抜)では、学力とともに「意欲」を求めているからです。総合型選抜や推薦・AO入試は一般入試とさまざまな面で違いがあります。例えば、試験科目が少なかったり、一般入試にはない試験があったり、試験日程や合格発表が早かったり。世間では、「一般入試より簡単だ」と言われることもあります。確かに、試験科目が少なかったりなどの学力的なハードルは低いのかもしれません。しかし、その引き換えと言っては語弊があるかもしれませんが、総合型選抜や推薦・AO入試受験者は「意欲」を見られているのです。
 そこで、志望理由書から「意欲」「やる気」を強くアピールしていきます。簡単に言えば「どうしてもそこの学校で学びたいことがある」ということを書けばいいのです。①や②を踏まえた上で、というのが前提です。きっかけとつながらないことを書くのはNGです。

 入学後に勉強したいこと・研究したいこと
 在学中にやっておきたいこと(留学や学校独自のプログラムなど)
 大学院等に進学する気があのならそこでの研究
 学んだことを将来どうやって社会に還元するか

 上のような内容は必須かと思います。これらをできるだけ具体的に説得力を持たせて志望理由書に組み込んでいきます。そのために必要なのが進学先の情報です。パンフレットやウェブサイトなどさまざまに発信されている情報を得て、具体的に書いていきます。
 ざっくりと書くと「〇〇学部に進学して、〇〇専攻に進み、〇〇について〜〜という視点から研究し、その知見を活かして将来は〜〜ということに取り組みたい。」というような内容です。ここに留学や研究会などを加えてもいいかもしれません。
 ここでのポイントは「”志望先にしかないもの”に惹かれている」ということを書くことです。例えば、京都精華大学には日本唯一のマンガ学部がるように、その学校にしかない専攻、研究内容などはわかりやすいです。他にも、立地に着目すれば北海道大学という北海道の広い敷地にある獣医学部や農学部、水産学部は他の大学にはない強みがあります。理念への共感でも構いません。私の知人は京都大学の「対話を根幹とした自学自習」という教育の基本理念に共感したことを学びの設計書で強く押し出したと言っていました。
 そして、最後の「社会にどう還元するか」という点です。高校入試ではあまり意識しなくても良いかもしれませんが、大学入試の志望理由書では意識しておくべきだと思います。大学は教育機関であり、研究機関です。多くの研究は社会を一歩でも前に進めるために行われていると思います。そのような機関へ足を踏み入れようとするわけですから、当然「社会」への視点が必要になるでしょう。この視点をしっかりと持てていることをアピールしておけば、大学側は受験生の「将来性」に強く期待すると思います。


 志望理由書を書く際には「一貫性」を意識すると良いと思います。これまで・現在・これからは連続して「意欲」を形成しているという風に考えてください。
 それぞれのパートのボリュームは志望理由書の文字数や体裁によりますが、私は①これまでの分量が少し多めで、③これからは少し短い分かなり具体的に専攻や研究者の名前を出して記述しました。自分のアピールポイントになりそうなパートを多めにするのがいいと思います。

 志望理由書を書いたらたくさんの人に読んでもらうといいと思います。恥ずかしいかもしれませんが、感想を聞くと客観的に自分の文章の熱量を測ることができます。熱量と意欲はほぼ同じです。しかし、空回りしないように注意して「他人が読む文章」ということを忘れなのも大切です。

 今回書いたことはあくまで私の意見ですので、実際に志望理由書を書く方がいらっしゃいましたら、学校や塾の先生方、参考書、合格体験記等、さまざまな手法のいいとこ取りをなさってください。


 最後までお読みいただきありがとうございます。

 


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