R6 慶應ロー 再現答案


総論

  先輩方の再現答案には大変お世話になったので私の再現答案も公開しようと思います。あまりに拙く恥ずかしいので、もしかしたら今後有償化するかもしれません。試験翌日に作成したものなので、再現性は高いとは思いますが、やや分量などに変化はあるかもしれません。ですが、かけた時間や使用した紙面の量については正確なのでそれについては信頼していただいて問題ありません。
  ナンバリングはいつもⅠ→第1→1→(1)→ア のようにしています。
  自分で気づいたことは(※)で答案中に書いていますがこれは実際の答案に記載しているものではありません。
  正直ギリギリなんとか滑りこんだ感じがするのであまり参考にはならないかもしれません…

憲法・民法・刑法

  時間がないことは過去問を解いて重々承知していたので、最初に全部の問題に目を通してどの順番で解くか検討するようにしていました。パッと見の印象として、刑法は分量は多いものの完答できそう、民法は将来債権譲渡まではすんなりいけそうだけど最後まで行きつけるか不安、憲法は泉佐野・上尾市でなんとかいけそう と感じたので、刑法→憲法→民法の順で解くことにしました。
結果論ではありますが、民法の難易度が高かったようで刑法に重点的に時間を割いたのが良かったのかなと思います。

刑法

62分(問題1:41分 問題2:21分) 4頁目のちょうど真ん中くらいまで
共犯と強盗の典型論点ばかりだと思ったので書き負けないようにあてはめをしっかり充実させようと意識しました
今見返すともっと問題文の事情を拾うべきだったと感じます(甲と丙とに上下関係があることなど)
問題1の時点で書きすぎている気もしたので"Ⅰ問題1"と"Ⅱ問題2"とは改行などはせずに連続で書いた気がします


Ⅰ問題1について
第1  甲の罪責について
1  甲がAの身体を脅迫及び緊迫による暴行を加えて現金300万円を強取した行為について、強盗罪(236条1項)が成立しないか。
2(1)  「暴行又は脅迫」とは、財物奪取に向けられた人の反抗を抑圧するに足りる暴行又は脅迫をいう。本件において甲は、「死にたくなかったら言うことを聞け」と申し向ける害悪の告知を行い、テープで身体を緊縛するといった身体に対する有形力の行使を行っており、これは一般人をして反抗を抑圧するに足りる程度であるといえる。
(2)  「他人の財物」とは他人が所有する財物をいうところ、Aが寝室の引出し及び書斎の金庫においていた現金300万円がこれにあたるのは明らかである。
(3)  「強取」とは、暴行又は脅迫によって、財物を占有者から自己又は第三者に移転させる行為をいう。本件において、甲は暴行・脅迫によって反抗できなくなったAの現金を持ち出しており、因果関係についても欠くところにないのでこれにあたるといえる。
(4)  上記事実につき甲の認識・予見の欠くところになく、故意(38条1項本文)も認められ、不法領得の意思も認められる。
3  よって、甲に1項強盗罪が成立する。
第2  乙の罪責について
1  乙に上記甲の1項強盗罪についての共同正犯が成立しないか(60条)。
2  本件において、乙は執行猶予中であり実行行為に加担していないので、共謀共同正犯が成立しないかが問題となる。そして、その要件は、①共謀、②共謀に基づく実行である。
(1)  ①共謀とは正犯意思に基づく意思連絡をいう。本件において、乙が甲に犯罪を実行する上での情報提供をし、共に計画を練っていることから意思連絡は認められる。
  正犯意思とは自己の犯罪として犯罪を行う意思である。これは乙に認められるかが問題となる。まず、乙は執行猶予中であり、犯罪を実行することはできないが、失職中であり金に困っていたのであるから、本件行為に加担する動機が認められる。また、乙は甲にAが多額の現金を有していること、A宅の見取り図、Aの出勤時間、施錠されていない裏手の勝手口についてなどの情報提供を受けている。これらの情報は犯罪を実行する上では相当有用である上に、一般的には入手困難な事柄であるから、これらを甲に提供した乙は本件の犯罪実行において重要な役割を果たしているといえる。さらに、盗んだ金の三分の一を貰うことについて合意しており、利害関係を有しているともいえる。
  したがって、乙に正犯意思があるといえ、正犯意思に基づく意思連絡として①共謀があるといえる。
(2)  ②共謀に基づく実行があったといえるか。本件において甲と乙は窃盗を行う旨の計画をしているが、甲が実際に行ったのは強盗であるから、共謀に基づく実行といえないのではないか。共謀の射程が及ぶかが問題となる。
  共謀の射程の範囲内かどうかは、共犯の本質が心理的因果性を与えることにあることにつき、共謀危険が結果として現実化したかどうかで決する。
  まず、上記のとおり窃盗についての共謀が認められる。確かに、人がいた場合にどうするかについて話していたことはなかった。しかし、一般に窃盗犯が偶然に被害者に遭遇し、急きょ強盗行為に及ぶことは類型的にしばしばあるといえる。したがって、本件における窃盗の共謀が強盗として危険が現実化したといえる。なお、本件において甲は乙に会ったが、強盗をしたことを聞いておらず認識していないが、共謀の射程について客観的に判断するべきであるから、この点については問題にならない。
(3)  共謀共同正犯としても故意が必要となる。そこで、強盗についての認識を欠く乙にも故意が認められるか。
  故意責任の本質は犯罪事実の認識・予見があれば規範の問題に直面し、反対動機が形成されるにもかかわらず、それを超えて実行したことに対する道義的非難である。そして、犯罪事実は構成要件として刑法上類型化されており、異なる構成要件であるとしても、その重なり合う範囲で規範の問題に直面するという。かかる重なり合いの判断は、行為態様と保護法益によって類型的に判断する。窃盗と強盗とは財物を占有者の意思に反して移転させる点で同一であるし、類型的に窃盗が強盗に転じることはあるし、保護法益も財産である点で同一であるといえる。したがって、窃盗と強盗とには重なり合いがあり、本件においても、窃盗の限度で故意が認められる。
3  よって、本件において乙には甲と重なり合う限度での窃盗犯の共謀共同正犯が成立する。
第3  丙の罪責
1  丙に上記甲の1項強盗罪との関係で共謀共同正犯が成立しないか。
2  上記乙と同様に検討する。
(1)  丙は甲から小遣いをもらうために甲が犯罪行為を行うことを知りながら送迎等を行うことを了承しており、報酬を30万円にあげるよう請求していることからして意思連絡は認められる。また、正犯意思においても小遣いとして30万円を受領する旨合意しているから利害関係を有しているといえる。さらに、丙は見張りと車の運転という重大な役割を果たしているといえる。したがって、正犯意思も認められる。
(2)  また、本件において甲が窃盗を行うことを丙は予期はしていなかったが、上記乙と同様に共謀の射程外ということはできず、②「共謀に基づく実行」があったともいえる。
(3)  故意についても、甲は実行にあたり丙に計画を伝えており、少なくとも窃盗についての故意が認められており、上記乙と同様に抽象的事実の錯誤として重なり合う範囲で強盗の故意が認められる。
3  よって、本件において丙には甲と重なり合う限度での窃盗犯の共謀共同正犯が成立する。
Ⅱ問題2について
1  甲がA宅から現金を盗み出す目的で侵入し、逮捕を免れるために果物ナイフを向け、Bに全治約10日間の傷害を負わせた行為について強盗致傷罪(240条、238条、243条)が成立しないか。
2  まず、甲が「強盗」といえるか。そこで、甲に事後強盗罪が成立しないか検討する。
(1)ア  甲が「窃盗」といえるか。本件において、甲はA宅から現金を盗み出すことを目的に立入り、金目のものを見つけたうえで、さらに現金を求めて箪笥に近寄ろうとしており、この時点において窃盗の未遂犯が成立するといえる。というのも「実行の着手」とは、実行行為と密接性を有し、結果発生の危険性を有する行為であるところ、甲は現金を盗み出すために対象を見つけるために物色行為に及んでいるところかかる行為は密接性を有し、見つければ盗っていただろうから危険性もあるといえる。
イ  もっとも、甲が後述の暴行・脅迫を行ったのはかかる窃盗行為の1時間後であるところ、窃盗の機会に行われたものであるかが問題となる。
  したがって、甲は「窃盗」であるといえる。そして、事後強盗罪の未遂・既遂の判断は、窃盗によって判断する。本件において1時間経過しており、時間的接着性は認められず窃盗の機会に行われたものではないように思える。もっとも、甲はAが散歩を中止して帰宅したことに気づき、急いで屋根裏部屋に逃げこみ、そこにとどまっていることから場所的接着性も認められる。そして、甲は隠れたもののAが再度出かければ再び窃盗を行おうとする有している上、Aは雨戸や屋根裏部屋の物音から違和感を感じ、警察を呼んでいるから追及可能性も及んでいる。したがって、本件における「暴行又は脅迫」は窃盗の機会が及んでいるといえる。
(2)  「暴行又は脅迫」とは、事後強盗罪とはいえ「強盗」とみなすことから、強盗罪(236条)等と同様に反抗を抑圧するに足りる程度である必要がある。
  本件において、甲は携帯していた果物ナイフを警察官Bに「どけ!どかないと刺すぞ!」と強い口調で脅した上に、向けているところ、一般人をしてこれは反抗を抑圧するに足りる程度のものであるといえる。
  したがって、甲の行為は「暴行」に該当するといえる。
(3)  そして、甲はかかる事実について認識・予見に欠くところがない上、捕まってなるものかと思い本件行為に及んでいるので、「逮捕を免れ」るために行っているといえる。
(4)  以上から、甲に事後強盗罪が成立し、「強盗」であるといえる。なお、本件における窃盗は未遂であるから、事後強盗罪も未遂となる。
3  本件において、Aは全治10日間の傷害を負っているがこれはBが果物ナイフを投げ渡そうとした結果発生したものであるから、「強盗が、人を負傷させた」といえるかが問題となる。この点について、強盗の手段として発生した結果のみならず、強盗の機会に結果が発生したといえれば強盗致傷罪が成立すると解する。そして、その判断は原因行為が強盗行為と密接関連性を有しているかによる。
  本件において、警察官であるBは、強盗行為として果物ナイフを向ける甲を取り押さえようとしており、取り上げに成功した結果、甲が再度果物ナイフを手にしないようにAに渡そうとしている。私人の保護を目的とする警察官がナイフという危害を加えるおそれのある凶器を所持している者に対して取り掛かり取り押さえようとすること、及びそれを犯人が再び手にしないように近場の人に渡すことは通常であるといえる。したがって、本件致傷結果の原因となったナイフをAに投げ渡そうとした行為はナイフを向け相手方を脅そうとする強盗の手段たる行為に密接関連するものであるといえる。
  したがって、本件致傷結果は強盗の機会に行われたものであるといえる。
4  よって、甲に強盗致傷罪が成立する。なお、強盗致傷罪は強盗に際して致傷結果が生じることを厳罰化する趣旨である結果加重犯であることから、致傷結果が生じている本件において既遂犯となる。そして、結果加重犯において結果についてに過失は必要ない。



憲法

48分 2頁目いっぱいまで
集会の自由の典型的論点ではあるもののあまり書けず自分の勉強不足を感じました。
今思えばA市市民会館とランコントルはそれぞれ指定的パブリックフォーラムと伝統的パブリックフォーラムで書きわけるべきだとは思いますが、試験当事はあれ?両方指定的パブリックフォーラムじゃね?と思っていたので二つの処分を一緒に検討してしまいました。
また、自己と異なる見解についてはあまり意識的に論じる余裕がありませんでした。
憲法はいつも書きながら自分でなにを書いているかわからなくなるので、簡易ですが答案構成をしています。
(どうやら直前の予備試験論文模試でも出題されたようですね…)

答案構成:
保障:憲法改正に反対するA市民がA市市民会館とランコントルにおいて集会を行う自由
制約:PF論
形式的正当化:条例制定権+法律の留保 /明確性の原則
実質的正当化:処分違憲 泉佐野・上尾市


1  まず、Dらが行おうとしている集会が憲法上保障されているといえるかが問題となる。この点について「集会」(憲法(以下、法令名省略)21条1項)とは、共通の目的で不特定又は特定の多数人が一つの場所にて集まることをいう。
  本件においてDらは、憲法改正に反対するA市の各種団体が、様々な集会を企画して反対運動を盛り上げることを計画してという同一の目的で、多数人がA市市民会館及びランコントルにおいて集まることを予定しており、これは「集会」にあたるといえる。
  したがって、Dらの憲法改正に反対するA市民がA市市民会館とランコントルにおいて決起集会を開く自由は憲法上保障された権利であるといえる。
2  では、本件二つの不許可処分(以下、「本件不許可処分」とする。)が上記Dらの権利を制約するものといえるか。
  21条の保障する集会の自由は原則として防御権的性格を有するものであり、特定の場所において集会を行うことを請求する積極的権利ではなく、A市に許諾の判断について裁量が認められている点から、これをもって集会の自由の制約を認めることはできないように思える。
  もっとも、本件A市市民会館及びランコントルにおいて集会を行うことが原則的に認められるといえれば、不許可処分をもって集会の自由が制約されているといえる。
  まず、A市市民会館は指定的パブリックフォーラムであるところ、「公の施設」(地方自治法244条2項)にあたることから、「正当な理由がない限り」その利用を拒むことはできず、集会を行うことが認められているのが原則形態であるといえる。
  また、ランコントルにおいても、平らな広場であり、数々のイベントが以前から行われてきたことに鑑み、A市市民会館と同様に考えることができ、「公の施設」として集会を行うことが許容されるのが原則的形態であるといえる。
  これより、本件A市市民会館及びランコントルいずれにおいてもパブリックフォーラムに該当し、そこで集会を行うことは原則的に認められており、不許可処分によってDらの憲法上の権利が制約されているといえる。
3  もっとも、いかなる憲法上の権利の制約が許されないのではなく、「公共の福祉」(13条参照)から正当化され得る。
(1)  形式的正当化
ア  まず、本件不許可処分は、条例6条、11条及び6条に抵触するとしてなされているところ、条例によって憲法上の権利が侵害されているといえる。
  そこで、条例によって国民の権利の範囲を制約するものであるとして法律による留保の原則に反しないかが問題となる。
  この点について、近代立憲主義の要請から法律の根拠が必要となり、また条例としても法律の趣旨、目的、効果等から矛盾抵触しないものでなければならない。
  地方自治法において「公の施設」についての条例を委任する趣旨が認められるうえ、その内容等においても矛盾抵触するものではない。そして、法律上、同一目的の規定について法令が地域の実情に応じて別段の規制を施すことを容認する趣旨であるともいえる。
  したがって、本件における制約がC条例のみに基づくものであるとして憲法上許されないとは解されない。
イ  また、地方自治法244条2項の「正当な理由がない限り」の文言が、明確性を欠き、萎縮効果の観点から許されないとして憲法21条に反するようにも思える。
  この点について、かかる文言を合憲限定解釈をする必要があるように思えるが、上記の通りC条例は地方自治法に委任された条例であり、その趣旨が法律に抵触するものではないので、C条例11条の「公の秩序をみたすおそれがある場合」であるとして、下位規範によって補完されていると解するべきである。
  したがって、本件において地方自治法の文言が憲法に反するとして本件処分が許されないとの主張は認められないと解するべきである。
(2)  実質的正当化
ア  A市市民会館及びランコントルの管理権を有するA市がその利用形態について広範な裁量を有していることは否定できないことに鑑み、本件においてDらの集会の拒否することが許されるのは、明らかな差し迫った危険の発生が具体的に予見される場合に限られると解するべきである(泉佐野市民会館事件参照)。具体的には、集会を拒否することによって得られる利益と失われる利益を比較衡量して、前者が後者を上回っている必要がある。
  そして、集会の自由は国民が様々な情報に接し、意見交換を経る機会を準備する点において必要であり、また対外的に意見表明をする簡易かつ有効な手段であるから民主主義社会において重要であるといえる。本件においても、憲法改正についての議論が白熱しており、意見交換及び意見表明の場として集会は重要であり、かかる理があてはまるといえる。
  また、規制態様としても、Dら本件条例の規定に従い、プラカードを掲げない旨合意しているにも関わらず、本件処分において一律的に集会を認めないとしており、強度であるといえる。また、本件A市民会館及びランコントルにおいては上記の通り、パブリックフォーラム論から利用を容認されるのが原則であり、利用者としてもそう期待していることから、かかる期待に反して利用を拒否するのは制約として強度であるといえる。
  このような、Dらの集会の自由の重要性ならびに権利の制約態様の強度さから上記比較衡量においては慎重な判断を要する。
  この点について、本件集会の性質が市民の間で分裂を生じかねない政治的問題であり、反対派による騒動が発生しかねず、A市として市民秩序を維持することが重要であるから、拒否する利益が優越していると主張することも考えられる。もっとも、本件において憲法に関する集会において市民間の分裂が生じる蓋然性がある科学的根拠を欠いており、そのような危険が生じているとはいえない。したがって、本件処分によってDらの集会を制約することによって得られる利益は観念的なものにとどまり、保護必要性が高いとは解し難い。
  よって、明らかな差し迫った危険があるとは言えず、Dらの憲法上の権利の制約が許容されるとはいえない。
イ  また、仮に明らかな差し迫った危険があると解したとしても、主催者らが平穏に集会を行おうとしている場合において、利用を拒否するのが許されるのは、警察の警備等によってもなお混乱を防止することができないような特段の事情が存する場合に限られると解するべきである(上尾市市民会館事件参照)。
  本件において、主催者たるDらは条例上の制約に従う態度を示しており、平穏な態様で行おうとしている。そして、反対派の集会によって騒動が発生する懸念があるとしても、それが警察等の警備によって事前に抑止できない程度のものであるとは解し難く、そのように解するべき合理的理由もない。
  したがって、やはり本件処分は憲法上許されないといえる。
4  上記旨、弁護士として回答すると考えられる。


民法

30分 2頁目6割くらいまで
時間もないし、問題も意味わからないので怪文書を作成してしまいました…
意識したことは途中答案をなくすことと自分の知っていることは厚く書くようにしていました
配点に応じて答案の分量を決めるのがセオリーですが、設問2と設問3の分量が逆転しているのは設問2が20点で設問3が30点だと勘違いしていたからです。設問2のところで信義則も思いつきはしたのですが、20点だしいいやと思ってなにも言及しなかったのは少し勿体なかったかもしれません


第1  設問1について
1  CはBに対して債権者代位()に基づき自己に対して乙債権の支払を請求することが考えられる。
  債権者代位が認められるためには、①被保全債権の存在、②被代位権利の存在が必要となる。本件において、CはAに対して貸付債権2000万円を有しており、①被保全債権の存在が認められ、AはBに対して乙債権という被代位権利も有している。
  また、③保全の「必要性」も要求されるところ、「必要性」とは原則として債務者が無資力であることをいうところ、本件においてAは円高等により債務超過状態に陥っており、かかる要件も認められる。
  したがって、CのBに対する請求は基礎づけられる。
2  もっとも、これに対してBは乙債権は既に譲渡されているから、Bは債務者ではなく、乙債務を支払う義務はないと反論することが考えられる。
  本件において、Aは乙債権をDに対して譲渡している。本件譲渡はいまだ未発生の債権を含む、将来債権譲渡(466条の4)であるところ、この有効性が問題となる。
  この点について、将来債権譲渡は明文上認められており、譲渡契約時点において債権が発生していることおよびその基礎が存することは要求されない。もっとも、無限定にはゆるされず、債権譲渡の対象が明確性を有しており、公序良俗に反しないことも要求される。
  本件において、乙債権のうち令和6年3月分から令和12年5月分までのものと、譲渡の対象となる債権ならびにその期間が定められていることから、明確性について欠くところにはない。もっとも、およそ6年2か月と長期間にわたるものであるから、不当に債務者の地位を害するものとして公序良俗に反し許されないようにも思えるが、賃貸借契約がその性質上、長期間にわたり継続的になされる契約形態であることに鑑み、当該譲渡が公序良俗に反するものとまではいえない。
  以上から、本件将来債権譲渡は有効であるといえる。
  そして、債務者BBに対する内容証明郵便によって確定日付ある通知が8日に到着していることから()、かかる譲渡につき第三者対抗要件も具備されているといえる。
  したがって、債権譲渡をもってBの反論が認められるように思える。
3  しかし、本件においてCは令和6年2月1日に本件差押えを行っているところ、本件差押えと債権譲渡の優劣が問題となる。
  この点について、差押えを要求する趣旨は第三債務者の二重弁済の危険を防止する点にあり、譲受人を保護する趣旨ではない。したがって、差押え後に債権譲渡がなされ第三債務者に対して対抗要件として通知がなされている場合には債権譲渡の譲受人に対して弁済をすれば足りることが確知できるので、かかる趣旨は及ばない。
  したがって、差押えに加えて転付命令がなされているなど特段の事情がない限り、差押えが劣後すると解するべきである。
  そうすると、Cの反論が認められると解するべきである。
第2 設問2について
  上記第1と同様の請求をCはすると考えられる。これに対して、Bは、乙債権が混同(520条)によって消滅したと反論することが考えられる。かかる反論が認められるか検討する。
  乙債権は賃料債権であるが、本件においてBは、甲建物とその敷地を購入しており、それによって賃料債権も、同建物およびその敷地と法律的運命を共にするのが望ましく、従たる権利としてBに移転しているといえる(87条2項類推)。これによってBに乙債権という賃料債権と、賃借人としての賃料支払債務が同一人に帰属したといえ、消滅するといえる(520条)。
  したがって、本件においてCの反論が認められ、支払拒絶が認められると解するべきである。 
第3  設問3について
  上記第1と同様の請求をCはすると考えられる。これに対して、Bは、乙債権が相殺(505条)によって消滅したと反論することが考えられる。
  まず、乙債権と丙債権が相殺適状にあるかが問題となるも、本件においてAB間で弁済期を到来させる合意があることに加え、自働債権については期限の利益を自ら喪失することは許されるから問題にならず、本件においても乙債権と丙債権は相殺適状にあるといえる。
  そして、第三債務者が相殺を差押権者に対抗できるかが問題となるも、その優劣は相殺適状ではなく、意思表示の前後によって決せられると解するべきである。
  本件乙債権と丙債権はいずれも本件差し押さえ前に取得された債権であり、事前に相殺できる旨の合意に至っているから令和6年1月15日の時点で相殺適状に達しているといえる。もっとも、相殺の意思表示をしたのは令和6年2月12日であり、本件差し押さえがなされた令和6年2月1日である。
  そうすると、意思表示が差押えに劣後しているから、Cは相殺によって遡及的に消滅したことについて対抗できないと解するべきである。
  したがって、Cの反論は認められず、乙債権の支払を拒絶することはできない。 



商法・民事訴訟法・刑事訴訟法

1科目目と同様まず3問すべてについて目を通しました。
覚えてる限りで抱いた印象としては、 商法は予備試験の過去問でみたことがあるので完答できそう、民訴は12年出ていない多数当事者訴訟だけど論点自体は簡単そう でも書く論点が多くなりそう、 刑訴は捜査でヤマを張ってたけど、重問で同じ問題見たからなんとかなるかな みたいな感じだったと思います。
商法→民訴→刑訴の順で検討しました。

商法

32分 2頁目半分くらい
ラスト2分の確認で民事保全法の条文番号があってるか確認しようとしましたが、法科大学院六法に載ってなかったので諦めました。もしかしたら答案上は28条と書いてしまったかもしれません(六法に載ってない以上点数はないと思いますが)…


1  Cは甲社に対して会社法(以下、法令名省略)210条に基づき、本件新株発行の差止を請求することが考えられる。
2  「株主が不利益を受けるおそれ」(210条柱書)があるといえるか。
  この点について、「株主」は全株主である必要はなく、一人の株主であれば足り、「不利益」は経済的利益のみならず、支配的利益も含まれる。
  本件においてCは5株を有する「株主」であり、本件新株発行によって持ち株比率が10%から約7%まで低下することになり、支配的利益が害されるおそれがある点で、「不利益を受けるおそれ」があるといえる。
  したがって、本件新株発行によって「株主が不利益を受けるおそれ」があるといえる。
3(1)  まず、Cは210条1号に基づき、本件新株発行が法令に違反するとして差止を請求することが考えられる。具体的には、本件新株発行が有利発行にあたるにも関わらず、取締役会決議の他に、本件新株発行に関する機関決定を行っていないことが法令に反するのではないかが問題となる。
(2)  では、有利発行にあたるか。「特に有利な金額」(199条3項)とは、公正価格よりも特に低い金額をいい、公正価格とは新株発行等が資金調達目的で行われるのが原則であることに鑑み、資金調達の目的を達成される限度で、既存の株主にとって最も有利な金額をいう。
  甲社は、公開会社であるが、非上場会社であるところ、公正価格は客観的資料に基づき合理的に判断された価額であれば足りる。甲社の株式の評価額はどのような算出方法でも1株あたり50万円程度であり、本件における1株当たりの払込金額は20万円であり、半額以下であるところ、既存の株主にとって有利な金額とは解し難く、公正価格よりも著しく低い価格であるといえる。
  したがって、本件新株発行は「特に有利な金額」での発行にあたる。
(3)  本件新株発行は有利発行にあたるので、株主総会特別決議が必要となる(199条3項、199条2項、309条2項5号)。しかし、甲社は、取締役会決議の他に、本件新株発行に関する機関決定を行っていない。
  したがって、本件新株発行は法令に違反するといえる。
(4)  上記のとおり、「株主が不利益を受けるおそれ」があるといえるので、210条1号に基づく差止請求をすることができる。 
4(1)  また、Cは210条2号に基づき、本件株式発行が「著しく不公正」であるとして差止請求をすることも考えられる。
(2)  「著しく不公正」とは、募集株式の発行が資金調達のために行われるものであるから、資金調達の目的を超えて、特定の株主の持株比率を下げることを目的とする等の場合には、著しく不公正な発行に当たると解すべきである。
  具体的には、特定株主の持株比率を低下させる等の不当目的が資金調達等の他の正当目的に優越し、それが主要目的といえる場合には、不公正発行に当たると解する。
  本件における募集株式の発行は、生成AIの開発責任者であるDが甲社の経営を支配するために行っており、資金調達目的ではない会社支配権を移転させるための不当目的であるといえる。そして、これを正当化する特段の事情もないことから、特定株主の持ち株比率を低下させる不当目的が主要目的となっているといえる。
  したがって、本件新株発行は「著しく不公正な方法」により行われているといえる。
(3)  さらに、上記のとおり、「株主が不利益を受けるおそれ」があるともいえるので、210条2号に基づく差止請求をすることができる。
5  上記の通り、Cは210条1号及び2号に基づく差止請求によって甲社に対して本件新株発行をやめるよう請求することが考えられる。本件新株発行の払込期日は令和6年3月27日で、令和6年3月21日時点ではまだ効力が発生しておらず、他の方法によることはできない。
  また、民事保全法23条2項に基づく仮処分も同時に行うべきである。


民事訴訟法

48分 3枚目半分いかないくらい
かなり良いペースで商法解けたので、民訴は丁寧に知っている知識は全部書こうという気持ちで書きました。
事実が少ない分、理論的な部分を重点的に論じた方が良いのかなと思い、あまり関係ないであろうこと(当事者拘束力とか)まで言及しました。
結果、刑訴に余裕がなくなってしまったのであまり良くなかったのかもしれません


Ⅰ問1について
第1  設問前段について
1  本件陳述は裁判上の自白にあたるか。
  裁判上の自白とは、①口頭弁論または弁論準備手続の期日における、②自己に不利益な事実について争わない旨の、③弁論としての陳述をいう。
  本件陳述は第1回口頭弁論期日における弁論として行われている(①、③充足)。そして、自己に不利益なとは、明確性の観点から相手側が立証責任を負う事実であると解するべきである。
  本件陳述は、Xらの不法行為に基づく損害賠償請求の訴えにおける、過失相殺(民法722条2項)に関する事実である。そして、過失相殺における過失の有無の事実については、被告側が立証責任を負う事実である。X2の陳述は、過失があることを容認する趣旨であるから、Yが立証責任を負う事実について争わない趣旨の内容であると解することができる(②充足)。
  したがって、本件陳述は裁判上の自白にあたるといえる。
2  本件陳述が裁判上の自白にあたるとして、それが裁判所にとってどのような意味を有するか検討する。
(1)  まず、証明不要効(民事訴訟法(以下、法令名省略)179条)が生じる。これによって、かかる事実について証明せずとも認定することができる。
(2)ア  また、裁判所拘束力も生じるのではないか。裁判所拘束力は弁論主義の第2テーゼを根拠とするものであるところ、その及ぶ範囲については主要事実に限定されると解するべきである。というのも、主要事実に弁論主義を及ぼせば必要十分であり、間接事実や補助事実にまで弁論主義が及ぶとすれば自由心証主義(247条)を害することになるからである。
イ  そこで、本件陳述の内容が主要事実に関するものであるかが問題となる。本件陳述は、「事故当事は赤信号であった。」とする具体的内容であるところ主要事実であるとはいえないのではないか。
  もっとも、かかる事実は上記の通り、過失相殺に関する事実であるところ、過失のような規範的要件についてはその具体的事実が主要事実にあたると解するべきである。というのも、規範的要件においてはそれに該当する具体的事実の存否が主要な争点となるからである。
  本件においても、被害者らX側の過失の有無が問題となっており、「事故当時は赤信号であった」というのは過失における注意義務を基礎づけるものであるから、かかる事実が主要事実にあたると解するべきである。
ウ  したがって、本件陳述は、主要事実についての裁判上の自白にあたり、裁判所拘束力が生じるといえる。
(3)  加えて、禁反言(2条)から当事者拘束力も生じ、撤回制限効が生じるともいえる。もっとも、この場合でも、相手方の同意がある場合、刑事上罰すべき行為によって行われた場合、反真実かつ錯誤の場合には撤回することができる。なお、反真実によって錯誤は推定される。 
  当事者拘束力も裁判所拘束力の反射的効力的側面が存することからその範囲は主要事実に限定して及ぶところ、上記のところ本件陳述は主要事実に関するものなので及ぶ。
3  本件陳述が裁判上の自白は上記の通りであるが、権利抗弁にあたるのではないか。法解釈については裁判所の専権であるから問題となる。
  もっとも、この点について、日常的概念に関するものであれば、事実の自白と同様に当事者がその内容を認識しているといえるので、問題なく裁判所拘束力を及ぼすとしても問題ない。本件陳述は過失に関するものであるところ、過失は所有権のように日常生活になじみやすい日常的概念といえる。
  したがって、この点についても問題とならない。
第2  設問後段について
1  共同訴訟人に対する影響について検討するに、まず本件訴訟が通常共同訴訟か固有必要的共同訴訟のいずれにあたるかが問題となる。
  通常共同訴訟と固有必要的共同訴訟の区別については、民事裁判が実体法上の権利関係の存否について決するものであるから実体法的観点、さらに補充的に訴訟法的観点から検討して合一確定の必要性の有無によって判断する。
  本件訴訟は不法行為に基づく損害賠償請求訴訟であるところ、実体法上独立して請求することができる。また、訴訟法的観点からも同一事件に関するものであるから、合一確定が望ましいように思えるが、本件においてはその必要性が高いとはいえない。
  したがって、本件訴訟は通常共同訴訟(38条)にあたると解するべきである。
2  本件訴訟は通常共同訴訟にあたるところ、通常共同訴訟人独立の原則が及ぶ(39条)。したがって、本件陳述は同原則により、「他の共同訴訟人に影響を及ばさない」ので、X1にとってなんら意味を持たない。
3  なお、本件訴訟を固有必要的共同訴訟にあたると解しても、「全員の利益においてのみ」(40条1項)効力が生じ、過失相殺の過失に関する事実は不利益な事実なのでX1にとって意味をなさない。
Ⅱ問2について
1  本件訴訟において、X1は損害額全体500万円のうち、入院治療費と慰謝料分の計200万円を部分的に請求しているところ、このような請求は認められるか。
  明示的一部訴訟については、明示がされている限り被告にとって不意打ちにならず、試験訴訟を認める必要性があり、実体法上債権の分割行使が認められていることから許容されるべきである。
  したがって、本件訴訟も認められる。
2  控訴するためには控訴の利益が必要であるところ、控訴の利益の有無については明確性の観点から、申立内容と判決とを比較して、形式的に全面勝訴した当事者には原則として認められないと解するべきである。
  本件訴訟において、明示的一部分については全部請求認容判決を経ているから、加えて介護費用300万円を追加請求するのは控訴の利益を欠き許されない。
  また、実質的にも、明示的一部請求の訴訟物は明示的一部分に限定され、既判力も明示部分においてのみ及ぶ(114条1項)ので、X1は控訴ではなく別訴の提起をすれば足りる。
3  もっとも、明示的一部訴訟であるから、被告については明示以外の部分の債権の存在について予想することができ、追加で残部請求を控訴審において争うとしても不当に防御権を害することにならない。さらに、訴訟資料を利用することが可能な点において、原告の合理的意思に反するものでもなく、訴訟経済の観点からも望ましいものであるといえる。
  したがって、明示的一部訴訟の場合には、例外的に残部請求について控訴の利益を認めることが許容されると解するべきである。
4  なお、附帯控訴(293条1項)によることもできる。


刑事訴訟法

38分 3頁目前半まで
正直絶対に捜査が出ると思ってたので規範や知識があやふやで今見るとひどい答案だなと感じます。
別紙1と別紙2の取り扱いをどうするのかについてはかなり悩みました。わざわざ区別している以上、両方要証事実を「記載通りの犯罪事実の証明」に読みかえるのは不自然かなと思い、答案の通りにしましたが、結論としてなにが正しいのかはいまでもいまいち良くわかっていません。


第1  設問1について
  伝聞証拠とは、「公判期日における供述」に代わる書面または「公判期日外における他の者の供述を内容とする供述」(刑事訴訟法(以下、法令名省略)320条1項)を内容とする供述証拠であり、その真実性が問題となるものである。
  320条1項が伝聞証拠の証拠能力を制約するのは、供述証拠には知覚・記憶・表現・叙述の過程があり、それぞれに誤りが入りこむおそれがあり、これを反対尋問等なので確認する機会を確保する趣旨である。
第2  設問2について
  実況見分調書は、321条3項の「司法警察職員の検証の結果を記載した書面」には含まれないが、準用されると解する。
  検証の結果を記載した書面が作成者の供述があれば、伝聞例外にあたるのは、検察官等の検証の結果の記載には類型的に誤りが入りこみにくく、作成者が真実性を担保する供述があれば証拠能力を認めれば十分であることに加え、検証の記載が専門的にならざる負えない場合が多く、供述によることより書面によることの利便性が高い点にある。
  そして、実況見分と検証との違いは両者が任意捜査か強制捜査かの違いにすぎず、製作者も同一であるから、上記趣旨が実況見分の場合にも妥当するといえる。
  したがって、実況見分調書は検証の結果を記載した書面にはあたらないが、同条が準用され、作成者の真実性に関する供述があれば伝聞例外にあたると解するべきである。
第3  設問3について
1  実況見分調書全体について
  まず、本件事件に関する実況見分の結果が記載されたものであるから、自然的関連性は問題なく認められる。
  法的関連性については、実況見分の結果が司法警察員Lの供述に代わる書面であるから伝聞法則が適用される点が問題となる(320条1項)。
  伝聞証拠に該当するかは、上記第1の通り、その真実性が問題となるかによって決せられる。そして、真実性が問題となるかについては、要証事実との関係で相対的に決せられる。
  本件実況見分調書の要証事実は立証趣旨の通り、「本件犯行が可能であったこと」であると解するべきであり、この点に関しては実況見分調書記載の真実性が問題となるといえ、伝聞証拠に該当するといえる。したがって、321条以降の伝聞例外にあたらないければ法的関連性が否定され、証拠能力が認められないのが原則である。
  もっとも、上記第2の通り、実況見分調書には321条3項が準用される。そして、本件実況見分調書は「司法警察員」たるLが作成した、実況見分の結果を記載した文書である。 
  したがって、Lが321条3項の「供述者が公判期日において証人として尋問を受け、その真正に作成されたものであることを供述した」ときには伝聞例外にあたり、証拠能力が認められる。
2  別紙1について
(1)  実況見分調書に記載された結果についての報告であり、Xが身長155㎝で、Vの着衣に届かないとして犯罪の実行可能性が争点となっていることから、自然的関連性は認められる。
(2)  そこで、法的関連性が問題となる。実況見分調書全体としての証拠能力が認められるのは上記のとおりであるが、本件別紙1記載の内容がVの供述内容を含むものであり、伝聞証拠に該当するのではないかが問題となる。
  伝聞証拠とは上記の通りであるが、本件要証事実が「本件犯行が可能であったこと」と立証趣旨通りの事実であった場合、真にⅤの示した通りであるかが問題となる点で伝聞証拠に該当するといえる。
  そこで、伝聞例外に該当する必要があるところ、本件供述が被害者による供述であるところ、321条1項3号の適用可能性がある。
  したがって、別紙1記載について、321条1項3号の要件を満たす場合に限り証拠能力が認められると解する。
  もっとも、別紙1の写真部分については、写真が機械的操作によって行われ、知覚・記憶の過程がなく、類型的に誤りを含むおそれが低いから、321条1項柱書の署名・押印については不要であると解するべきである。
3  別紙2について
別紙1同様に検討する。
(1)  自然的関連性については別紙1同様に認められる。
(2)   伝聞該当性が問題となるも、本件要証事実は、立証趣旨たる本件犯行の実行可能性ではなく、別紙2記載通りの犯罪事実があったことと解するべきである。そうすると、別紙2記載の供述の内容はその真実性が問題となるといえる。
  そうすると、321条1項3号の伝聞例外の要件を満たす必要がある。写真部分については、別紙1と同様に署名・押印については不要であると解するべきである。
4  したがって、別紙1及び別紙2については、実況見分調書として321条3項の要件を満たすことに加えて、321条1項3号の伝聞例外の要件を満たさない限り法的関連性を欠き、証拠能力が認められない。





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