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執念!

このダルマワシの剥製を入手出来たのが嬉しくてたまらない。
5年前に上野動物園で本種を見てから、頭からずっと離れる事がなかったのだ。
生体を入手しようとするも、有限会社プラストの佐々木氏によれば、150万もする超高級な鷲らしく、あまりの金額に目玉が飛び出そうになった。
なので標本の入手に気持ちを切り替え、日本国内はもちろん、剥製標本に力を入れているヨーロッパ、ロシアのショップのサイトを手当たり次第に探し回る。
ところが⋯。
どこにも売ってないではないか!!
それなら、分布域に近い南アフリカの剥製ショップを当たってみたが⋯ここにもなし!

諦めモードになり、数年が経過する。
2020年の4月を迎えた。
4月18日。
いつものようにヤフオクで剥製や標本を物色してると⋯ダルマワシの剥製が出品されている。
しかも即決12万円と言う超破格!
矢も盾もたまらず、即決で購入。
おかげで所持金はゼロになったが、執念が遂に実った!

出品者に入金を済ませ、発送連絡が来る。
送料は無料。
ありがたい。

4月21日。
大きな段ボール箱が到着した。
箱を開け、剥製を保護するビニールのプチプチを丁寧に全て剥がすと、真っ赤な顔と脚をしたワシが姿を現した。
興奮度MAX。
この日の夜は中々寝付けなかった、笑。

ダルマワシの詳しいデータを以下に書く。

ダルマワシTerathopius ecaudatus。
ダルマワシ属と言うモノタイプな属である。
体長55〜70センチ、体重2〜2.6キロ、翼開長186センチの中型種。
サブサハラアフリカ、すなわち西はセネガルから、東はアフリカの角まで分布。
顔や脚の皮膚は明るい赤色で、地味な体色の多いワシの中では珍しく色鮮やかな種。
雌は羽の付け根が白くなるのに対し、雄は真っ黒なので、雌雄の区別は簡単である。
尾羽は非常に短く、種小名のecaudatus(尾羽がない)の由来にもなっており、飛翔時には赤い脚が尾羽を超えて突き出して見える。
一方、若鳥は全身が褐色だが、長い翼や大きな頭といった体型は成鳥さながらで、尾羽も換羽ごとに短くなっていく。
一日の80%を空中で過ごし、地上の獲物を探しながらときに500km以上も移動する。
その割には地上の水場で群れをなし、翼を広げて日光浴してる姿も観察されるそうだ。
尾羽が短い為、左右のバランスをとりながら高速で滑空する飛び方から、「軽業師」を意味するフランス語のBateleurという英名がつけられている。
ダルマワシは蛇やトカゲなどを狩るエキスパートだが、ジサイチョウなどの鳥類も捕まえ、そのほか齧歯類やノウサギなどの哺乳類も餌とする。
一方で要領の良い掃除屋でもあり、ハゲワシに先んじて動物の死骸にも集まってくる。
繁殖の季節はアフリカ西部で5〜9月、南部では12〜8月、東部の個体は通年行う。
雄が雌の方へ急降下し、雌が背中を下にして、通り過ぎていく雄に鉤爪を見せ、雄は羽音を打ち鳴らしたり、連続した横回転を披露する華々しい求愛行動を行う。
こうして誕生した番は生涯をともにし、水辺に生える木の又に枝を使って巣を作り、卵を一個生む。
抱卵期間は54〜59日、雛が巣立ちを迎えるまでには最低110日、その後も親鳥の縄張り内で過ごす。
親元を離れた若鳥が成鳥の羽衣を手に入れるまでは8年もかかる。
寿命は長く、中には25年生きる個体もいる。
2018年12月6日に上野動物園でダルマワシの雄個体が死亡したが、来園したのは1971年4月で飼育期間は47年超である。
アメリカのセントルイス動物園の長寿記録は55年で、ダルマワシは飼育下では野生下より、ずっと長生きする。
※参考文献「世界一美しい鷲の図鑑」

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