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君たちはどう生きるか

「君たちはどう生きるか」は絶賛されそうなので、批判的な観点で感想を書いておく。この作品は宮崎駿の少女愛、成熟した女性への恐怖、母性愛への渇望をニーチェの「永劫回帰」を使ってつなぎ合わせた作品だとおもう。ジブリ作品を通して分かるように彼の愛の対象は「少女」。コナン、カリオストロの城、ラピュタ、となりのトトロ、魔女の宅急便など初期の作品ではストレートに彼がおもう理想の「少女」を描いている。また彼にとって成熟した女性は恐怖の対象であるため、クシャナ、マダムジーナ、ポニョのお母さん、今回のなつこ。この場合は「少女」は調停者として彼のことを救う。また、母性愛への渇望は多くの作品で描かれている。今回は、「過去と未来への道は緩やかに弧を描いて遥かかなたで繋がる。現在経っている場所には門がありそこには瞬間と書かれている」という「永劫回帰」を上手く使用し、少女時代の母から愛をもらい、成熟した女性から守ってもらい、最終的に自身の母となってもらうという妄想を見事に映像化している。こんな幼稚な彼の作品が素晴らしく映るのは映像への拘りもさることながら我々とは比べ物にならない教養を作品に練り込み殴りかかってくるからだと思う。また日本社会で彼の作品が受け入れられるのも、日本社会がもつ幼稚性、全能性と上手くかみ合っているからだと思われる。なので、この作品は彼自身のカルマを昇華したものであり、作品を観た第三者が「よくわからなかった」というは至って普通の感想だとおもう。

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